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ゲームの始まり

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「ここだ…」

次の日の夜更け、三人はトレル達の住む町に着いた。



「どうした、オルジェス…
懐かしい町に来て、気持ちが変わったか?」

「そんなことあるもんか!
どうする?
すぐに行くか?」

「まぁ、待て…何事も用心を重ねなくてはな。
オルジェス、どこか良い隠れ場所はないか?」

「それならうちの近くに廃屋がいくつかある。」

「よし、まずはそこへ行こう。」

小さな町には夜更けまで営業している店もなければ、出歩く者もいない。
さらに、イアン達の住む家は町のはずれということもあり、家すらもほとんどない。



「あそこだな。」

何もない漆黒の闇の中に、一軒だけ灯かりの灯る家があった。
オルジェスはその少し奥にある廃屋に案内したが、そこでは近すぎるということで三人はさらに奥を目指した。



「そうだ、裏山にちょっとした洞穴がある。」

結局、オルジェスに案内されたその洞穴に落ちつくことになった。
ベルナールは二人を洞穴に残し、様子を見てくると言って外へ出た。
洞窟を出たベルナールは、そっと目を閉じ、先程見たトレルの家に心を凝らす。




次の瞬間、ベルナールの身体はトレルの家のすぐ傍に現れた。
ベルナールは苦笑いを浮かべた。

(この間のあいつの血肉のおかげで少しは力が付いたのか…それともやっとこの器が馴染んできたということか…
いずれにせよ、まだこんな程度では大きな事を起こすのには不充分だ…
もう少し時を待たねばなるまい…)



足音を忍ばせ家に近づいたベルナールは、窓からそっと中の様子を伺う…
ちょうど、彼らは食事をしている所だった。

(あれはランディ!!
…そうか、奴がここに来ているということは、オルジェス達の悪行はもうバレたということだな。
あの男は…トレル?まさか…あれはトレルなのか?
あの有様は一体どういうことだ?)



 不意にイアンが立ち上がり、ベルナールの方へ向かって来たのを見て、ベルナールは洞窟に瞬間移動した。



「どうかしたのか、イアン?」

窓を開け、あたりを見まわすイアンにトレルが声をかけた。


「……いえ、私の気のせいだったようです。」

イアンはバタンと窓を閉めて微笑んだ。
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