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帰還
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「ベルナールも俺と同じような境遇なんだ。
彼の母親も悪魔で、母親はトレルによって殺されたらしい…
オルジェス…俺のことが嫌いになっただろう?
気味が悪いだろう?悪魔の血が流れてるなんて…」
「そんなことないさ!
君が悪魔だろうが人間だろうが、そんなことは関係ない。
君は、僕にとっては兄弟みたいな人だもの。
それに、昔から君が人間じゃないんじゃないかと考えたことはあったんだ。
成長が違ったもん。
だけど、そのことで君を嫌いだと思ったことなんてないよ。
それは本当だから信じてほしい。」
「ありがとう、ルーク…!!」
「……でも、僕には、トレルおじさんやイアンさんがそんな悪い事をするとは思えない…」
「だけど……」
「よせ、オルジェス…
ルークが信じられないのも当然だ。
奴らは、ふだんはその牙を隠している…
誰の前でも優しい良い人の仮面をかぶっている…そのことに気付く者などほとんどいない。
オルジェス…ルークにはあの話はしない方が良いんじゃないか?
ルークはおまえのように強くはない…可哀想じゃないか…」
「何のこと?
僕が可哀想って…」
迷っているのか、ベルナールの方を見やるオルジェスに、ベルナールは首を横に振った。
「オルジェス、何かあるなら言って!
僕のことで何かあるんだろ?」
「……やめろ、オルジェス。
ルークには受け止められない…」
「大丈夫だ!オルジェス!
君達は何を知ってるんだい?
教えておくれよ!」
ルークは、オルジェスに詰め寄り、突き刺さるような真剣な視線を向けた。
「……ルーク…おまえは…キャシーさんの産んだ子じゃない…」
「オルジェス!!
……やめろと言ったのに…」
ベルナールは、頭を抱え俯いた…
「……オルジェス…今、なんて言ったの?
僕は…僕は母さんの子供じゃないってことなのかい…?」
「……そうだ…」
オルジェスの上着を掴んでいたルークの手から力が抜けた。
「おまえとサマンサは双子なんかじゃない。
ただ、同時期に生まれたというだけだ…」
「じゃあ…じゃあ、僕は誰の子供なの!?」
「それは……」
「オルジェス、もうやめてくれ…
私は、ルークがこれ以上傷付く姿を見たくない…」
「ベルナール…あんたは少し席をはずしてくれ。
俺が、ルークに話す…」
「どうしても話すのか…」
オルジェスは黙ってうなずいた。
ベルナールは、潤んだ瞳をしてオルジェスをみつめ、その場を離れた。
彼の母親も悪魔で、母親はトレルによって殺されたらしい…
オルジェス…俺のことが嫌いになっただろう?
気味が悪いだろう?悪魔の血が流れてるなんて…」
「そんなことないさ!
君が悪魔だろうが人間だろうが、そんなことは関係ない。
君は、僕にとっては兄弟みたいな人だもの。
それに、昔から君が人間じゃないんじゃないかと考えたことはあったんだ。
成長が違ったもん。
だけど、そのことで君を嫌いだと思ったことなんてないよ。
それは本当だから信じてほしい。」
「ありがとう、ルーク…!!」
「……でも、僕には、トレルおじさんやイアンさんがそんな悪い事をするとは思えない…」
「だけど……」
「よせ、オルジェス…
ルークが信じられないのも当然だ。
奴らは、ふだんはその牙を隠している…
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僕が可哀想って…」
迷っているのか、ベルナールの方を見やるオルジェスに、ベルナールは首を横に振った。
「オルジェス、何かあるなら言って!
僕のことで何かあるんだろ?」
「……やめろ、オルジェス。
ルークには受け止められない…」
「大丈夫だ!オルジェス!
君達は何を知ってるんだい?
教えておくれよ!」
ルークは、オルジェスに詰め寄り、突き刺さるような真剣な視線を向けた。
「……ルーク…おまえは…キャシーさんの産んだ子じゃない…」
「オルジェス!!
……やめろと言ったのに…」
ベルナールは、頭を抱え俯いた…
「……オルジェス…今、なんて言ったの?
僕は…僕は母さんの子供じゃないってことなのかい…?」
「……そうだ…」
オルジェスの上着を掴んでいたルークの手から力が抜けた。
「おまえとサマンサは双子なんかじゃない。
ただ、同時期に生まれたというだけだ…」
「じゃあ…じゃあ、僕は誰の子供なの!?」
「それは……」
「オルジェス、もうやめてくれ…
私は、ルークがこれ以上傷付く姿を見たくない…」
「ベルナール…あんたは少し席をはずしてくれ。
俺が、ルークに話す…」
「どうしても話すのか…」
オルジェスは黙ってうなずいた。
ベルナールは、潤んだ瞳をしてオルジェスをみつめ、その場を離れた。
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