深淵に眠る十字架 The second

ルカ(聖夜月ルカ)

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「なんでおじさんまでついて来るんですか!」

「ボクだって、ランディ達に会いたいじゃないか!」

「こらこら、肩の上でまで喧嘩するのはやめてくれよ。」

「…ケイトが生きてたら、『喧嘩するなら木の枝にぶらさげて行くわよ!』…なぁんて言う所だな…」

「おじさん…そんな話…」

アルグはそれだけ言うとそのまま下を向いてしまった。



「私やおまえたちの姿は変わらないが、いつの間にか長い月日が流れたんだな…」



ルシファーが黒い宝石に封じ込められてから、アズラエルはリュタンを村に送り届け、その後はずっと各地を渡り歩いていた。
ルシファーのことを少しでも知っている悪魔に渡りを付け、話を聞いた。
さらには宝石に詳しいもの、魔術に精通している者にも会い、どんなに小さなことであれルシファーに関わると思われる情報を拾い集めた。
そして、数年前にひょっこりとリュタンの達の前に現れたのだ。
アズラエルはそれからリュタンの言語を学んだ。
ラグラの森で、毎日アルグからリュタンの言語の教授を受けた。
やがて、アズラエルはリュタンの言語を完全に理解するようになった。
しかし、リュタンにまつわる書物は村の外に持ち出す事は出来ない。
そのため、アズラエルは数日村に滞在してはまた外に出て体力の回復をはかり、そしてまた村に戻るということを続けながら、村にある資料のほとんどに目を通した。
フォーラスによる大火の時に焼失してしまったものもあったらしいが、大半…それも古いものはほぼ持ち出せたことが不幸中の幸いだった。
スィーク・レノには入る事が出来ず、もう一つの村は数多くのリュタンごと燃え尽きてしまったため、リュタンに関する資料はここでしか見られないのだから。
リュタンには少し大きなくらいの書物もアズラエルには小さくて扱い辛い。
しかし、そんなことにはおかまいなしに小さな書物を熱心に読みふけるアズラエルの姿はどこか滑稽なものだった。
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