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策略
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「ベルナール、どうかしたの?」
「いや…君は隠し事はしないって言ったけど…そうじゃないんだなってちょっと寂しくなってね…」
ベルナールは、俯き小さな声で呟いた。
「時の奈落のことを言ってるの?
そ、それは、その…時の奈落はボーランジェ家の者だけの…」
「ボーランジェ家の者だけの秘密だってことだね…
わかったよ…もう何も聞かない…
僕は、名もなき貧乏貴族の出だからね…」
「ま、待って、ベルナール!
正式に結婚したら、あなたにもお父様がきっと…」
「シャルロット…侯爵は関係ない。
僕は…君に信用されなかったことが…そのことが寂しかっただけなんだ。
もう婚約までしてるのに、それでもやっぱりそういうことは教えてもらえないんだなと思ったら、なんだか悲しくて…」
ベルナールは、湖のように深い青い瞳を潤ませシャルロットをみつめた。
「違うわ!そうじゃない!
あなたを信用してないとかそういうことではなく、そんなこと知らなくても良いことだと思っただけなの。」
「もう良いんだよ、シャルロット…」
「ううん、誤解したままじゃ良くないわ。私、本当に……
わかったわ…あなたが知りたいのなら教えてあげる…」
シャルロットは、時の奈落について話し始めた。
それは、遥か昔、ボーランジェ家の一族の誰かが、ある不思議な力を持つ者に依頼して作らせたと伝えられている井戸のことだという。
その井戸は今とは違う時代へ繋がっているということだったが、今までにその井戸に入って戻って来た者はいないということだった。
「時の奈落はもともとは二つあったらしいの。
一つは未来へ通じるもの、そしてもう一つは過去へ通じるものよ。
でも、片方はどこにあるのかわからない。今、場所がわかってるものは未来に通じると言われている方よ。」
「未来に…」
ベルナールは、ほっと胸を撫で下ろした。
これが過去へ通じる方だったら、また振り出しに戻る所だったのだから。
「いや…君は隠し事はしないって言ったけど…そうじゃないんだなってちょっと寂しくなってね…」
ベルナールは、俯き小さな声で呟いた。
「時の奈落のことを言ってるの?
そ、それは、その…時の奈落はボーランジェ家の者だけの…」
「ボーランジェ家の者だけの秘密だってことだね…
わかったよ…もう何も聞かない…
僕は、名もなき貧乏貴族の出だからね…」
「ま、待って、ベルナール!
正式に結婚したら、あなたにもお父様がきっと…」
「シャルロット…侯爵は関係ない。
僕は…君に信用されなかったことが…そのことが寂しかっただけなんだ。
もう婚約までしてるのに、それでもやっぱりそういうことは教えてもらえないんだなと思ったら、なんだか悲しくて…」
ベルナールは、湖のように深い青い瞳を潤ませシャルロットをみつめた。
「違うわ!そうじゃない!
あなたを信用してないとかそういうことではなく、そんなこと知らなくても良いことだと思っただけなの。」
「もう良いんだよ、シャルロット…」
「ううん、誤解したままじゃ良くないわ。私、本当に……
わかったわ…あなたが知りたいのなら教えてあげる…」
シャルロットは、時の奈落について話し始めた。
それは、遥か昔、ボーランジェ家の一族の誰かが、ある不思議な力を持つ者に依頼して作らせたと伝えられている井戸のことだという。
その井戸は今とは違う時代へ繋がっているということだったが、今までにその井戸に入って戻って来た者はいないということだった。
「時の奈落はもともとは二つあったらしいの。
一つは未来へ通じるもの、そしてもう一つは過去へ通じるものよ。
でも、片方はどこにあるのかわからない。今、場所がわかってるものは未来に通じると言われている方よ。」
「未来に…」
ベルナールは、ほっと胸を撫で下ろした。
これが過去へ通じる方だったら、また振り出しに戻る所だったのだから。
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