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策略

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「シャルロット、ちょっと良いかな?」

「お父様、どうかなさったんですか?」

ボーランジェがわざわざシャルロットの部屋を訪ねるのはそうあることではない。
何事があったのかと、シャルロットは神妙な面持ちでボーランジェの話に耳を傾けた。



「おまえに尋ねたいことがある。
単刀直入に聞くが…おまえは、ベルナールのことを愛しているのだな?」

「えっ…」

あまりに唐突な父親の質問に、シャルロットは動揺の色を隠せなかった。



「どうなんだ?」

強い口調で問いただすボーランジェに、シャルロットは一瞬の間を置いてから顔を上げた。



「はい、お父様。
私はベルナールのことを真剣に愛しています。」

「やはりそうか…
それで、ベルナールの方ははどうなんだ?」

「はしたないと思われるかもしれませんが…私は自分の気持ちが押さえきれずベルナールに気持ちを打ち明けました。
すると、彼も私のことは愛しているとおっしゃって下さいました。
私は、天にも昇る気持ちだったのですが…
なせだか、ベルナールは結婚は出来ないとおっしゃるのです。
自分は一生誰とも結婚は出来ないと…
そのことをどう理解して良いものかと、実はずっと悩んでおりました。
やはり、ベルナールは私のことが好きではないということでしょうか?
お父様、私は一体どうすれば良いのでしょうか…?」

今まで心の中に押しこめていた想いを吐き出すように、シャルロットの言葉に熱がこもる。



「良いか、シャルロット、今夜、しっかりとベルナールに理由を問いただすのだ。
なぜ、結婚が出来ないかという理由をしっかりとな。
その結果、おまえが傷付くことになるかもしれん。
しかし、それでもおまえがベルナールを愛しているというのなら本当のことを問いただすのだ。
それが、今の状態を打破する唯一の方法だ。」

「本当のことを……わかりました、お父様。
今夜、そのようにしてみます。」

 
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