深淵に眠る十字架 The second

ルカ(聖夜月ルカ)

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策略

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その晩、ベルナールは密かにロクシーを呼び付けた。



「ロクシー、おまえにやってもらいたいことがある。」

「一体、どんなことです?」

ベルナールは声を潜め、ロクシーに知恵を授けた…







あれから二日後、ロクシーは町にいた。
ロクシーはボーランジェ家の執事に派手にぶつかり、そのせいで執事はバランスを崩し尻餅を着いた。


「おっと、すまないな。
大丈夫か?」

ロクシーは執事に手を差し伸べ、衣服についた土を払いのける。



「あぁ、大丈夫だ。たいしたことはない。」

「あんた、良い服着てるな…
どこかの貴族なのか?」

「私はボーランジェ家の執事だ。」

「ボーランジェ家の…!こいつはすごい!
あんな名門貴族の家で執事をやってるとは、あんたは相当優れた人なんだろうな。」

執事はそのお世辞に、まんざらでもないような顔で微笑んだ。



「そういえば、あんた、クシュネル家の養子って知ってるか?」

「ベルナール様のことか?
あぁ、よく知っている。」

「そいつはすごい美男子だって噂は本当なのか?」

「あぁ、その通りだ。
あんな美しい青年はみたことがない。」

「実はな…そいつは、ジェローム伯爵の慰み者だったらしいぞ。
実の親に金のために売られたんだそうだ。
ところが、そんな生活が苦しくて自殺を図ったらしくてな。
伯爵は、それを不憫に思って、クシュネルのところに養子に出したってことだぜ。」

「な、なに?
それは本当のことか?」

「あぁ、あいつと同じ町の者が言ってたんだから間違いない。
どれほどの美男子か、俺も見てみてぇもんだなぁ…」

ロクシーは独り言のようにそう呟くと、その場を離れた。



(こ、これは大変なことを聞いてしまったぞ。
早く、旦那様にご報告しなくては…!)

執事は、一目散に屋敷に駆け戻った。



「旦那様、実はついさっき町でとんでもないことを耳にしたのですが…」

エドワーズはロクシーから聞いた話をボーランジェに話して聞かせた。



「そんなことが……よくわかった。
このことは決して他言するな。」

「もちろんです、旦那様。」

 
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