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策略
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「クシュネル殿、本日はお招きありがとう。」
うんざりする程の貴族達と挨拶を交わした後、一際威厳を感じさせる男性がクシュネルとベルナールの元へ現れた。
「これは、これはボーランジェ侯爵、よくおいで下さいました!」
(ボーランジェ侯爵…!?
では、この男が…)
「素晴らしいパーティですな。
…それで、そちらがベルナール君…でしょうか?」
「ボーランジェ様、初めまして。
ベルナールと申します。
どうぞよろしくお願いします。」
ベルナールの差し出す片手を、ボーランジェが強く握り返した。
「初めまして、ベルナール君。」
その時、ボーランジェの後ろに隠れるように立っていた女性とベルナールの視線があった。
「ボーランジェ様、そちらの方は?」
「あぁ、紹介しよう、娘のシャルロットだ。
シャルロット、ベルナール君にご挨拶を…」
「は…初めまして、ベルナール様。
本日はお招きありがとうございます。」
「初めまして、シャルロット様。
お越しいただいて光栄です。」
シャルロットは、まるで術にでもかかったかのように、うっとりとした瞳でベルナールの顔をみつめる。
(やはり、こいつを利用するのがてっとり早いか…)
心の中でそう呟いたベルナールは、シャルロットに向かってにっこりと微笑んだ。
「シャルロット、さあ、向こうでシャンパンでもいただこう…」
「え…は、はい、お父様。」
とても名残惜しそうな顔で、シャルロットは二人の前から去って行った。
ベルナール達の元を訪れる人々はその後もなかなか途切れることがなかった。
やがて、広間に楽団の軽快な音楽が流れ始めた。
人々は、自然に音楽に合わせて踊り出す。
「シャルロット様、お相手願えますか?」
不意に差し出された手の主を顔を見上げて、シャルロットは目を丸くした。
「ベ…ベルナール様…!」
動揺しているのか、シャルロットはなかなか差し出された手に触れようとはしなかった。
「私とでは、おいやですか?」
ベルナールの美しい顔に影が差す…
「い、いえ…そ、そんなこと…」
シャルロットは、俯きながらやっと立ちあがった。
軽快なメロディに合わせ、二人は踊り始める。
うんざりする程の貴族達と挨拶を交わした後、一際威厳を感じさせる男性がクシュネルとベルナールの元へ現れた。
「これは、これはボーランジェ侯爵、よくおいで下さいました!」
(ボーランジェ侯爵…!?
では、この男が…)
「素晴らしいパーティですな。
…それで、そちらがベルナール君…でしょうか?」
「ボーランジェ様、初めまして。
ベルナールと申します。
どうぞよろしくお願いします。」
ベルナールの差し出す片手を、ボーランジェが強く握り返した。
「初めまして、ベルナール君。」
その時、ボーランジェの後ろに隠れるように立っていた女性とベルナールの視線があった。
「ボーランジェ様、そちらの方は?」
「あぁ、紹介しよう、娘のシャルロットだ。
シャルロット、ベルナール君にご挨拶を…」
「は…初めまして、ベルナール様。
本日はお招きありがとうございます。」
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お越しいただいて光栄です。」
シャルロットは、まるで術にでもかかったかのように、うっとりとした瞳でベルナールの顔をみつめる。
(やはり、こいつを利用するのがてっとり早いか…)
心の中でそう呟いたベルナールは、シャルロットに向かってにっこりと微笑んだ。
「シャルロット、さあ、向こうでシャンパンでもいただこう…」
「え…は、はい、お父様。」
とても名残惜しそうな顔で、シャルロットは二人の前から去って行った。
ベルナール達の元を訪れる人々はその後もなかなか途切れることがなかった。
やがて、広間に楽団の軽快な音楽が流れ始めた。
人々は、自然に音楽に合わせて踊り出す。
「シャルロット様、お相手願えますか?」
不意に差し出された手の主を顔を見上げて、シャルロットは目を丸くした。
「ベ…ベルナール様…!」
動揺しているのか、シャルロットはなかなか差し出された手に触れようとはしなかった。
「私とでは、おいやですか?」
ベルナールの美しい顔に影が差す…
「い、いえ…そ、そんなこと…」
シャルロットは、俯きながらやっと立ちあがった。
軽快なメロディに合わせ、二人は踊り始める。
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