深淵に眠る十字架 The second

ルカ(聖夜月ルカ)

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運命の出会い

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次の日の晩、ジェロームとベルナールは馬車ででかけた。
指定された屋敷から少し離れた所に馬車を隠し、二人は馬車を降りる。



「では、昨夜、話し合った通りにな…」

「あぁ、わかっている。」



屋敷の傍で二人は別れ、ベルナールは一人で屋敷に出向いていった。







「待ってたぜ!
良かった…無事に来れたんだな…さ、入ってくれ。」

ベルナールを出迎えたのは、意外にもロクシーだった。
通された部屋には一人の大柄な男がいた。
大きな椅子に足を組んでゆったりと座るその男は、男性的で端正な顔をしており、ロクシーより少し若く見えるが、その貫禄は比べ物にはならない。



「アレクシス様、こいつがお話ししたベルナールです。」

アレクシスと呼ばれた男は、ベルナールを見て満足げに何度も頷いた。



「ロクシー、ちょっと来い。」

アレクシスは立ち上がり、ロクシーを部屋の外に誘った。



「いかがです?」

「素晴らしい…思っていた以上だ。」

「そいつは良かった!
きっと気に入られると思ってましたがね。」

「では、これを…」

アレクシスは、ロクシーに皮袋を手渡した。



「えっ!こいつをいただけるんで?
あ、ありがとうございます!アレクシス様。
では、俺はこれで…後はお任せ致します。」

皮袋の中身をのぞいたロクシーは上機嫌で駆け出して行った。
アレクシスは、その背中を見ながら部屋へ戻る。



「待たせてすまなかったな。
確か、おまえはベルナール…だったな。
私はアレクシスだ。」

「はじめまして。アレクシス様。」

ベルナールに近付くアレクシスの足が唐突に停まる。



「……おまえ…他の悪魔と契約しているのか?」

「いえ…なぜですか?」

「おまえから、わずかだが悪魔の気配を感じる…」

「まさか…僕は悪魔との接触はロクシーさんが初めてです。
ただ…すでに、お聞きおよびかとは思いますが、僕はジェローム伯爵の…その…
そんなわけで、伯爵とは始終一緒にいます。
もしかしたら、伯爵の繋がりに悪魔がいるのか、または伯爵自身が悪魔なのかわかりませんが、その影響でもあるのではないでしょうか?」
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