深淵に眠る十字架 The second

ルカ(聖夜月ルカ)

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不運な幸運

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チャールスは、リッキーの目の前に白い封筒を差し出した。



「なんだよ、これ?」

「ま、そんなたいした額じゃないけどな…」

「何?じゃあ、これは金なのか?」

リッキーは封を開け、中をのぞく。



「けっこうな額じゃないか!
一体、なぜこんなものを?」

「とにかく、今は仕入れに急ごう!
その金のことは、歩きながら話すよ。」

チャールスは、仕入れに行く道すがら、その金について…そして、酔いつぶれた理由について語り続けた。



「なんだって?!
あの石を売った?」



チャールスは、あの晩、なんともいえない不気味な感覚を感じたと話した。
誰もいないはずなのに、ずっと誰かが自分をみつめ、何かを訴えかけてるような感覚を感じ、一睡も出来なかったと言う。



「おまえの話なんて信じちゃいなかったが…なんていうのか…とにかく薄気味悪い感じがしたんだ。
捨ててしまおうかとも思ったが、あんなに綺麗な石なんだ。
もしかしたら少しは金になるんじゃないかと思って、次の朝、早速、道具屋へ持ち込んだ。
道具屋のおやじも見たことのない石だと言ってたよ。
綺麗は綺麗だが何の宝石かわからないからということで、最初は安い値段を言われた。
それでも、捨てるよりはマシかと思って話を付けようとした時に、どこで手に入れたか聞かれたんだ。
それで、咄嗟にリュタンにもらった石だと言ったら、おやじの奴、目の色を変えやがった。
俺としたことがうかつだったぜ。
それを言うのと言わないのとでは心証が全然違うのにな…」

「もらったって…拾っただけじゃないか。
しかも、葬式場でだぞ!」

「そんなことは言う必要がないじゃないか!
で、俺はやっぱり売るのはやめるとおやじに言ったんだ。
そしたら、最初の10倍の値を言って来やがった!
いきなり10倍だぜ!?
これはいけると踏んだ俺は、さらにじらして、結局、最初の言い値の15倍になったんだ!」

「たいした悪党だな、おまえは…」

リッキーが呆れた様子でチャールスをみつめた。



「そう言うなよ。
本当なら一緒に酒を飲みたかったんだが、おまえはあいにく下戸と来てる。
だから、半分の金をこうして持ってきたんじゃないか。」

「そういうことだったのか…
しかし、あの石がこんな高値で売れるとはな…」

「リュタンのものってなると、なんでも値打ちが付いちまう。
たいしたもんだな。」

そう言ってチャールスは苦笑した。

 
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