58 / 78
Angel's Ring
31
しおりを挟む
次の朝、私達は予定より少し遅い時間に町を出ました。
私もファビアンさんもつい寝坊をしてしまったのです。
「次の町まではちょっと遠いぞ。
今夜は野宿になるかもしれない。」
「そんなこと、かまいませんよ。」
私達は、隣町に向かって歩いて行きました。
進むごとにあたりはだんだん山深くなって行きました。
「このあたりは空気が良いですね。」
「そうだな。山が近いからな。」
私達が、街道の脇に腰掛けて昼食を食べていた時、一人の小柄な若者が近付いて来ました。
若者は、一人で旅をしているそうで、昼食を一人で食べるのは寂しいのでご一緒させてほしいと
のことでした。
「さぁ、良かったらこれもどうぞ!」
「おっ、うまそうじゃないか。
じゃあ、遠慮なくいただくぜ!」
「あ、申し遅れました。
僕はウィン…ウィンザーという者です。」
「俺は、ファビアン。」
「私はディディエと申します。」
「ファビアンさんにディディエさん…ですか…
それで、お二人はどこへ?」
「実はな…」
私達は、路銀が乏しくなって来たので、仕事を探すためにこの先の町に行く事をウィンザーさんに話しました。
「そうだったんですか。
それなら良いことがある!
この山の先に森があるんですが、そこにはお宝が眠っているということですよ。」
「何?お宝が?!」
「ええ…なんでも妖精の宝物と呼ばれるものがあるそうなんですよ。
お二人は僕と違って体力もありそうですし、行ってみられてはいかがですか?
運が良ければみつかるかもしれませんよ。」
「運?それならなんとかなるかもしれないぞ!
こいつはな、ものすごく運が良いんだ!
お宝がみつかれば、仕事を探す事もないもんな!
よし!行ってみよう!!な、ディディエ…
おい……どうかしたのか?」
「え?……あ……いえ…なんでもないんです。
そうですね。
では、その森へ行ってみましょう!
こんな貴重なお話を聞かせてくれてありがとうございます。」
「いえいえ…こちらこそ、ご一緒させていただいてありがとうございました。
では、僕は先を急ぎますので…」
そう言って、ウィンザーさんは去って行かれました。
「今日は良い話を聞けて良かったな。
さ、早速行こうぜ!」
「………あ…なにか、おっしゃいましたか?」
「何なんだ?さっきからぼーっとして…」
「……すみません。」
実は、少しおかしなことがあったのです。
ウィンザーさんと話している間、ずっと誰かが私の名前を呼んでいるような気がしていたのです。
しかも、ウィンザーさんに手を振っている時には「助けて」という声が聞こえたような気がして…
しかし、それはとても微かな声で、途切れ途切れだったのです。
あたりには私達の他には誰もいませんし、やはり気のせいだったのでしょう。
「じゃあ、行きましょうか!」
私達は、街道を逸れ山の方へ歩き出しました。
私もファビアンさんもつい寝坊をしてしまったのです。
「次の町まではちょっと遠いぞ。
今夜は野宿になるかもしれない。」
「そんなこと、かまいませんよ。」
私達は、隣町に向かって歩いて行きました。
進むごとにあたりはだんだん山深くなって行きました。
「このあたりは空気が良いですね。」
「そうだな。山が近いからな。」
私達が、街道の脇に腰掛けて昼食を食べていた時、一人の小柄な若者が近付いて来ました。
若者は、一人で旅をしているそうで、昼食を一人で食べるのは寂しいのでご一緒させてほしいと
のことでした。
「さぁ、良かったらこれもどうぞ!」
「おっ、うまそうじゃないか。
じゃあ、遠慮なくいただくぜ!」
「あ、申し遅れました。
僕はウィン…ウィンザーという者です。」
「俺は、ファビアン。」
「私はディディエと申します。」
「ファビアンさんにディディエさん…ですか…
それで、お二人はどこへ?」
「実はな…」
私達は、路銀が乏しくなって来たので、仕事を探すためにこの先の町に行く事をウィンザーさんに話しました。
「そうだったんですか。
それなら良いことがある!
この山の先に森があるんですが、そこにはお宝が眠っているということですよ。」
「何?お宝が?!」
「ええ…なんでも妖精の宝物と呼ばれるものがあるそうなんですよ。
お二人は僕と違って体力もありそうですし、行ってみられてはいかがですか?
運が良ければみつかるかもしれませんよ。」
「運?それならなんとかなるかもしれないぞ!
こいつはな、ものすごく運が良いんだ!
お宝がみつかれば、仕事を探す事もないもんな!
よし!行ってみよう!!な、ディディエ…
おい……どうかしたのか?」
「え?……あ……いえ…なんでもないんです。
そうですね。
では、その森へ行ってみましょう!
こんな貴重なお話を聞かせてくれてありがとうございます。」
「いえいえ…こちらこそ、ご一緒させていただいてありがとうございました。
では、僕は先を急ぎますので…」
そう言って、ウィンザーさんは去って行かれました。
「今日は良い話を聞けて良かったな。
さ、早速行こうぜ!」
「………あ…なにか、おっしゃいましたか?」
「何なんだ?さっきからぼーっとして…」
「……すみません。」
実は、少しおかしなことがあったのです。
ウィンザーさんと話している間、ずっと誰かが私の名前を呼んでいるような気がしていたのです。
しかも、ウィンザーさんに手を振っている時には「助けて」という声が聞こえたような気がして…
しかし、それはとても微かな声で、途切れ途切れだったのです。
あたりには私達の他には誰もいませんし、やはり気のせいだったのでしょう。
「じゃあ、行きましょうか!」
私達は、街道を逸れ山の方へ歩き出しました。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
検索魔法で助けたもふもふ奴隷が伝説の冒険者だったなんて聞いてませんっ
富士とまと
ファンタジー
異世界に妹と別々の場所へと飛ばされました。
唯一使える鑑定魔法を頼りに妹を探す旅を始めます。
ですがどうにも、私の鑑定魔法って、ちょっと他の人と違うようです。
【鑑定結果〇〇続きはWEBで】と出るんです。
続きをWEBで調べると、秘伝のポーションのレシピまで表示されるんです。
なんだか、もふもふ奴隷さんに懐かれてしまったのですけど、奴隷とか無理ですごめんなさいっ。
尻尾ふらないでぇ!もふもふもふ。
ギルド職員に一目置かれちゃったんですけど、私、普通の接客業ですよ?
*無自覚の能力チート+日本人の知識無双で、時々プチざまぁしつつの、もふもふスローライフ?*
ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~
むらくも航
ファンタジー
Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。
配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。
誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。
そんなホシは、ぼそっと一言。
「うちのペット達の方が手応えあるかな」
それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。
☆10/25からは、毎日18時に更新予定!
女神様から同情された結果こうなった
回復師
ファンタジー
どうやら女神の大ミスで学園ごと異世界に召喚されたらしい。本来は勇者になる人物を一人召喚するはずだったのを女神がミスったのだ。しかも召喚した場所がオークの巣の近く、年頃の少女が目の前にいきなり大量に現れ色めき立つオーク達。俺は妹を守る為に、女神様から貰ったスキルで生き残るべく思考した。
追い出された万能職に新しい人生が始まりました
東堂大稀(旧:To-do)
ファンタジー
「お前、クビな」
その一言で『万能職』の青年ロアは勇者パーティーから追い出された。
『万能職』は冒険者の最底辺職だ。
冒険者ギルドの区分では『万能職』と耳触りのいい呼び方をされているが、めったにそんな呼び方をしてもらえない職業だった。
『雑用係』『運び屋』『なんでも屋』『小間使い』『見習い』。
口汚い者たちなど『寄生虫」と呼んだり、あえて『万能様』と皮肉を効かせて呼んでいた。
要するにパーティーの戦闘以外の仕事をなんでもこなす、雑用専門の最下級職だった。
その底辺職を7年も勤めた彼は、追い出されたことによって新しい人生を始める……。
集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
魔法のトランクと異世界暮らし
猫野美羽
ファンタジー
曾祖母の遺産を相続した海堂凛々(かいどうりり)は原因不明の虚弱体質に苦しめられていることもあり、しばらくは遺産として譲り受けた別荘で療養することに。
おとぎ話に出てくる魔女の家のような可愛らしい洋館で、凛々は曾祖母からの秘密の遺産を受け取った。
それは異世界への扉の鍵と魔法のトランク。
異世界の住人だった曾祖母の血を濃く引いた彼女だけが、魔法の道具の相続人だった。
異世界、たまに日本暮らしの楽しい二拠点生活が始まる──
◆◆◆
ほのぼのスローライフなお話です。
のんびりと生活拠点を整えたり、美味しいご飯を食べたり、お金を稼いでみたり、異世界旅を楽しむ物語。
※カクヨムでも掲載予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる