Angel's Ring

ルカ(聖夜月ルカ)

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Angel's Ring

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次の朝、私達は予定より少し遅い時間に町を出ました。
私もファビアンさんもつい寝坊をしてしまったのです。



「次の町まではちょっと遠いぞ。
今夜は野宿になるかもしれない。」

「そんなこと、かまいませんよ。」

私達は、隣町に向かって歩いて行きました。
進むごとにあたりはだんだん山深くなって行きました。



「このあたりは空気が良いですね。」

「そうだな。山が近いからな。」

私達が、街道の脇に腰掛けて昼食を食べていた時、一人の小柄な若者が近付いて来ました。
若者は、一人で旅をしているそうで、昼食を一人で食べるのは寂しいのでご一緒させてほしいと
のことでした。



「さぁ、良かったらこれもどうぞ!」

「おっ、うまそうじゃないか。
じゃあ、遠慮なくいただくぜ!」

「あ、申し遅れました。
僕はウィン…ウィンザーという者です。」

「俺は、ファビアン。」

「私はディディエと申します。」

「ファビアンさんにディディエさん…ですか…
それで、お二人はどこへ?」

「実はな…」

私達は、路銀が乏しくなって来たので、仕事を探すためにこの先の町に行く事をウィンザーさんに話しました。



「そうだったんですか。
それなら良いことがある!
この山の先に森があるんですが、そこにはお宝が眠っているということですよ。」

「何?お宝が?!」

「ええ…なんでも妖精の宝物と呼ばれるものがあるそうなんですよ。
お二人は僕と違って体力もありそうですし、行ってみられてはいかがですか?
運が良ければみつかるかもしれませんよ。」

「運?それならなんとかなるかもしれないぞ!
こいつはな、ものすごく運が良いんだ!
お宝がみつかれば、仕事を探す事もないもんな!
よし!行ってみよう!!な、ディディエ…
おい……どうかしたのか?」

「え?……あ……いえ…なんでもないんです。
そうですね。
では、その森へ行ってみましょう!
こんな貴重なお話を聞かせてくれてありがとうございます。」

「いえいえ…こちらこそ、ご一緒させていただいてありがとうございました。
では、僕は先を急ぎますので…」

そう言って、ウィンザーさんは去って行かれました。



「今日は良い話を聞けて良かったな。
さ、早速行こうぜ!」

「………あ…なにか、おっしゃいましたか?」

「何なんだ?さっきからぼーっとして…」

「……すみません。」

実は、少しおかしなことがあったのです。
ウィンザーさんと話している間、ずっと誰かが私の名前を呼んでいるような気がしていたのです。
しかも、ウィンザーさんに手を振っている時には「助けて」という声が聞こえたような気がして…
しかし、それはとても微かな声で、途切れ途切れだったのです。
あたりには私達の他には誰もいませんし、やはり気のせいだったのでしょう。



「じゃあ、行きましょうか!」

私達は、街道を逸れ山の方へ歩き出しました。 
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