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Angel's Ring
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次の日…
キャリーが目を覚ましたのは、すでに太陽が高く上がった頃だった。
(少し寝過ぎたようだが…ウィンクルもまだ寝てるのか?)
上体を起こしたキャリーは昨夜のことを思い出し、部屋の中を見まわす…
「石ころ…
どこにいるんだ?」
昨夜、扉にぶつけたはずの瑠璃石がない…
(……あいつ、自分で動けるのか?
まさか、昨夜言ったことを真に受けて…)
「石ころ…!
隠れてないで出て来い!」
キャリーは、部屋の中をくまなく探したが瑠璃石の姿はどこにもなかった。
(ば…馬鹿が…!)
困り果てたキャリーは、隣の部屋のウィンクルを尋ねたが、部屋からの返事はない。
ウィンクルの部屋の扉を叩いていると、宿の者が通り掛かりウィンクルは朝早くに発ったということを教えてくれた。
「そ、そんな馬鹿な!奴は私の旅の連れだぞ!
私を置いて出て行くはずがない!」
「そうおっしゃられても…
あのお客様は、あなた様がお疲れだから起こさないであげてくれとおっしゃられて、ご自分の宿賃だけお支払いになられて出て行かれました。」
「な、な、な、な……
そ、そ、それで、奴はどこに行くと?」
「そういうことは一言もおっしゃってませんでした。」
「そ…そんな…」
ウィンクルがなぜ突然自分を置いて出て行ったのか、キャリーには皆目わからなかった。
しかし、それが現実ならばそれを受け入れる他ない。
瑠璃石のことも気にはなったが、おそらく天界に戻ったのだろうとキャリーは考えた。
ウィンクルと瑠璃石がいなくなった以上、もう頼れる者はいないのだ。
自分の力でなんとかしてディディエに追い付くしかない。
キャリーは、すぐに旅立つ事を決意した。
「ええええええーーーーーーっっ!!」
キャリーの目が大きく見開き、身体がわなわなと奮える…
「なぜだ?なぜ、そんなに高いんだ!
泊まったのは一泊だぞ!」
「あなた様が壊されたお部屋と家具の修繕費でございます…」
「あ……」
昨夜の電撃のせいで、キャリーは宿屋に多額の金を請求されてしまった。
(あぁ…なんてことだ…
ウィンクルも瑠璃石もそして金までもなくなってしまった…
この先、私はどうやって…
……ん?もしかして、ウィンクルがいなくなったのはこのせいか?
こんな高い修繕費を払わされてはたまらないと思って逃げたのか?
畜生!!あの小心者めが!)
キャリーは怒りで顔を真っ赤にしながら、街道を歩き始めた。
キャリーが目を覚ましたのは、すでに太陽が高く上がった頃だった。
(少し寝過ぎたようだが…ウィンクルもまだ寝てるのか?)
上体を起こしたキャリーは昨夜のことを思い出し、部屋の中を見まわす…
「石ころ…
どこにいるんだ?」
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(……あいつ、自分で動けるのか?
まさか、昨夜言ったことを真に受けて…)
「石ころ…!
隠れてないで出て来い!」
キャリーは、部屋の中をくまなく探したが瑠璃石の姿はどこにもなかった。
(ば…馬鹿が…!)
困り果てたキャリーは、隣の部屋のウィンクルを尋ねたが、部屋からの返事はない。
ウィンクルの部屋の扉を叩いていると、宿の者が通り掛かりウィンクルは朝早くに発ったということを教えてくれた。
「そ、そんな馬鹿な!奴は私の旅の連れだぞ!
私を置いて出て行くはずがない!」
「そうおっしゃられても…
あのお客様は、あなた様がお疲れだから起こさないであげてくれとおっしゃられて、ご自分の宿賃だけお支払いになられて出て行かれました。」
「な、な、な、な……
そ、そ、それで、奴はどこに行くと?」
「そういうことは一言もおっしゃってませんでした。」
「そ…そんな…」
ウィンクルがなぜ突然自分を置いて出て行ったのか、キャリーには皆目わからなかった。
しかし、それが現実ならばそれを受け入れる他ない。
瑠璃石のことも気にはなったが、おそらく天界に戻ったのだろうとキャリーは考えた。
ウィンクルと瑠璃石がいなくなった以上、もう頼れる者はいないのだ。
自分の力でなんとかしてディディエに追い付くしかない。
キャリーは、すぐに旅立つ事を決意した。
「ええええええーーーーーーっっ!!」
キャリーの目が大きく見開き、身体がわなわなと奮える…
「なぜだ?なぜ、そんなに高いんだ!
泊まったのは一泊だぞ!」
「あなた様が壊されたお部屋と家具の修繕費でございます…」
「あ……」
昨夜の電撃のせいで、キャリーは宿屋に多額の金を請求されてしまった。
(あぁ…なんてことだ…
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この先、私はどうやって…
……ん?もしかして、ウィンクルがいなくなったのはこのせいか?
こんな高い修繕費を払わされてはたまらないと思って逃げたのか?
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キャリーは怒りで顔を真っ赤にしながら、街道を歩き始めた。
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