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Angel's Ring
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「あああああ~~っ!!」
私は自分の発した大声で目を覚ましました。
「ど、どうしたっっ?!」
ファビアンさんも飛び起きました。
「……………あ、すみません!!」
「どうしたんだ?」
「あの…実は、夢を……」
「夢ぇ?」
そうなのです。
私は、夢の中で金のわっかを追いかけていました。
私が追いかけると、それを嘲笑うかのように金のわっかは転がったり飛んだりして逃げていくのです。
あと一歩で捕まえられる…!
金のわっかを崖に追い詰めた私が押さえこもうとした所、金のわっかはふわりと宙に飛びあがり、私は真っ逆さまに崖下に落ちていったのです!
ベッドからは落ちていましたが、あれが夢で本当に良かったと私は胸を撫で下ろしました。
現実だったら、死んでいる所です。
「お騒がせ致しました。」
「夢くらいで大きな声出すなよな。」
ファビアンさんはまたすぐにすやすやと静かな寝息を立てて眠られましたが、私は先ほどの夢のせいか、すぐには寝つけませんでした。
「……ん?」
そのうち、私は部屋の外から聞こえる異様な物音に気付きました。
誰かが廊下を歩いています。
泊まり客でしょうか?
でも、泊り客は二階の部屋にいますからめったにこのあたりには来ないはず…
どうも気になってしまい、私は、そっと扉をあけてみました。
廊下にはもう誰もいません。
でも、厨房とは反対側の隣の部屋の扉がほんの少しあいているのです。
物音はその部屋からしています。
隣の部屋は、どなたの部屋でしょうか?
少し気はひけましたが、私は、そっと隣の部屋をのぞいてみました。
真っ暗な部屋の奥に小さな灯かりが見えます。
誰かがいるようです。
ですが、なぜ、あんな小さな灯かりだけで…?
手前にあるベッドには別の誰かが眠っているようです。
私はどうしたら良いかわからず、部屋に戻り、ファビアンさんを起こしました。
「今度はどうしたんだ?」
「どうも隣の部屋の様子がおかしいんです。
見ていただけませんか?」
「なにっっ?」
ファビアンさんはベッドから跳ね起きると、傍らの剣を腰に携え、隣の部屋に向かわれました。
そして、部屋の外から中の様子を伺うと、扉を開け、短い呪文を唱えられました。
その瞬間、真っ暗だった部屋の中が昼間のように明るくなり、部屋の様子が明らかになりました。
部屋の奥の金庫の前に真っ黒な服を着た男性がしゃがみこみ、口を開けて驚いたような顔をこちらに向けています。
次の瞬間、その男性の脳天に、ファビアンさんの剣が振り下ろされました。
「ぎゃあああああーーーー!」
絶叫と共に、男性はその場にひっくり返りました…
「ファ…ファ…ファビアンさん…ま、ま、ま、まさか、この方は…」
「何、心配してるんだ。
殺すわけないだろ!峰打ちだ、峰打ち!」
峰打ちなるものが何のことなのかはわかりませんでしたが、とにかくその方が死んでないと聞いて私は胸を撫で下ろしました。
「あああああ~~っ!!」
私は自分の発した大声で目を覚ましました。
「ど、どうしたっっ?!」
ファビアンさんも飛び起きました。
「……………あ、すみません!!」
「どうしたんだ?」
「あの…実は、夢を……」
「夢ぇ?」
そうなのです。
私は、夢の中で金のわっかを追いかけていました。
私が追いかけると、それを嘲笑うかのように金のわっかは転がったり飛んだりして逃げていくのです。
あと一歩で捕まえられる…!
金のわっかを崖に追い詰めた私が押さえこもうとした所、金のわっかはふわりと宙に飛びあがり、私は真っ逆さまに崖下に落ちていったのです!
ベッドからは落ちていましたが、あれが夢で本当に良かったと私は胸を撫で下ろしました。
現実だったら、死んでいる所です。
「お騒がせ致しました。」
「夢くらいで大きな声出すなよな。」
ファビアンさんはまたすぐにすやすやと静かな寝息を立てて眠られましたが、私は先ほどの夢のせいか、すぐには寝つけませんでした。
「……ん?」
そのうち、私は部屋の外から聞こえる異様な物音に気付きました。
誰かが廊下を歩いています。
泊まり客でしょうか?
でも、泊り客は二階の部屋にいますからめったにこのあたりには来ないはず…
どうも気になってしまい、私は、そっと扉をあけてみました。
廊下にはもう誰もいません。
でも、厨房とは反対側の隣の部屋の扉がほんの少しあいているのです。
物音はその部屋からしています。
隣の部屋は、どなたの部屋でしょうか?
少し気はひけましたが、私は、そっと隣の部屋をのぞいてみました。
真っ暗な部屋の奥に小さな灯かりが見えます。
誰かがいるようです。
ですが、なぜ、あんな小さな灯かりだけで…?
手前にあるベッドには別の誰かが眠っているようです。
私はどうしたら良いかわからず、部屋に戻り、ファビアンさんを起こしました。
「今度はどうしたんだ?」
「どうも隣の部屋の様子がおかしいんです。
見ていただけませんか?」
「なにっっ?」
ファビアンさんはベッドから跳ね起きると、傍らの剣を腰に携え、隣の部屋に向かわれました。
そして、部屋の外から中の様子を伺うと、扉を開け、短い呪文を唱えられました。
その瞬間、真っ暗だった部屋の中が昼間のように明るくなり、部屋の様子が明らかになりました。
部屋の奥の金庫の前に真っ黒な服を着た男性がしゃがみこみ、口を開けて驚いたような顔をこちらに向けています。
次の瞬間、その男性の脳天に、ファビアンさんの剣が振り下ろされました。
「ぎゃあああああーーーー!」
絶叫と共に、男性はその場にひっくり返りました…
「ファ…ファ…ファビアンさん…ま、ま、ま、まさか、この方は…」
「何、心配してるんだ。
殺すわけないだろ!峰打ちだ、峰打ち!」
峰打ちなるものが何のことなのかはわかりませんでしたが、とにかくその方が死んでないと聞いて私は胸を撫で下ろしました。
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