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Angel's Ring
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(あいつ、一体どこまで行ったんだ?
もう暗くなってきたぞ…)
先程から、あたりをきょろきょろと見渡しながら、ファビアンは落ちつかない様子で煙草をふかしていた。
(ま、まさか…
俺と一緒だって言ったらだめだって断られて、それで自分だけ宿に泊まってるんじゃ…)
ファビアンの頭の中に、そんな疑惑がわきあがり、いてもたってもいられなくなり宿屋に向かった。
「おい、そこのガキ!」
「なんだよ、おじさん!」
「お、お、お、おじさん?!
俺は、まだお兄さんだ!」
「あっそ。
それで、何なんだよ、おじさん!」
(くそ…このガキめ…)
「ちょっと、たのみたいことがあるんだが…」
少年は黙って片手を差し出した。
「何だ、この手は?」
「おじさん、人に頼み事をするのにタダって法はないだろう?」
「お、俺は金は持ってない…」
「じゃあ…そのたばこで勘弁してやるよ!」
少年は、ファビアンの腰の煙草入れを差し示した。
「煙草って、おまえ…」
「いやなら良いんだぜ!」
「あぁ、わかった、わかった。
じゃあ、これをやるから…」
ケースの中から数本の煙草を差し出そうとするファビアンの手をさえぎり、少年はケースごとファビアンの煙草をぶんどった。
「……おまえは強盗か…!!」
「それで、なにをすれば良いんだ?」
「ちっ…抜け目のないガキだな。まぁ、良い。
宿屋に行って、ディディエって奴が泊まってないか聞いてきてくれりゃあ良いんだ。
背が高くて金髪で、真っ白な長いローブを着た男だ。」
「宿屋はそこじゃないか、なんで自分で行かないんだ?」
「まあ、いろいろあってな…」
「わかった、じゃあ、行って来る。」
しばらくすると少年が戻って来た。
「そんな奴は泊まってもないし、来てもいないってさ。」
「な、な、なんだと!
なんでだ?なんで、奴は…」
「そんなこと知らないさ。
俺の仕事は終わった。じゃあな!」
走り去る少年の後姿を見送りながら、ファビアンは呆然とその場に立ち尽していた。
(……やられた…
あいつは端から宿屋なんかにゃ行かなかったんだ…
きっと金を渡した時点でとんずらするつもりだったんだな…
そうだよな…俺を泊めてくれる宿屋なんて、このあたりにゃないもんな…
あぁ…俺は、なんて馬鹿なんだ…)
ファビアンはがっくりと肩を落とし、とぼとぼと歩きだした…
(あいつ、一体どこまで行ったんだ?
もう暗くなってきたぞ…)
先程から、あたりをきょろきょろと見渡しながら、ファビアンは落ちつかない様子で煙草をふかしていた。
(ま、まさか…
俺と一緒だって言ったらだめだって断られて、それで自分だけ宿に泊まってるんじゃ…)
ファビアンの頭の中に、そんな疑惑がわきあがり、いてもたってもいられなくなり宿屋に向かった。
「おい、そこのガキ!」
「なんだよ、おじさん!」
「お、お、お、おじさん?!
俺は、まだお兄さんだ!」
「あっそ。
それで、何なんだよ、おじさん!」
(くそ…このガキめ…)
「ちょっと、たのみたいことがあるんだが…」
少年は黙って片手を差し出した。
「何だ、この手は?」
「おじさん、人に頼み事をするのにタダって法はないだろう?」
「お、俺は金は持ってない…」
「じゃあ…そのたばこで勘弁してやるよ!」
少年は、ファビアンの腰の煙草入れを差し示した。
「煙草って、おまえ…」
「いやなら良いんだぜ!」
「あぁ、わかった、わかった。
じゃあ、これをやるから…」
ケースの中から数本の煙草を差し出そうとするファビアンの手をさえぎり、少年はケースごとファビアンの煙草をぶんどった。
「……おまえは強盗か…!!」
「それで、なにをすれば良いんだ?」
「ちっ…抜け目のないガキだな。まぁ、良い。
宿屋に行って、ディディエって奴が泊まってないか聞いてきてくれりゃあ良いんだ。
背が高くて金髪で、真っ白な長いローブを着た男だ。」
「宿屋はそこじゃないか、なんで自分で行かないんだ?」
「まあ、いろいろあってな…」
「わかった、じゃあ、行って来る。」
しばらくすると少年が戻って来た。
「そんな奴は泊まってもないし、来てもいないってさ。」
「な、な、なんだと!
なんでだ?なんで、奴は…」
「そんなこと知らないさ。
俺の仕事は終わった。じゃあな!」
走り去る少年の後姿を見送りながら、ファビアンは呆然とその場に立ち尽していた。
(……やられた…
あいつは端から宿屋なんかにゃ行かなかったんだ…
きっと金を渡した時点でとんずらするつもりだったんだな…
そうだよな…俺を泊めてくれる宿屋なんて、このあたりにゃないもんな…
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