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Angel's Ring
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「じゃあ、早速、出発しましょうか!」
「早速って…今から発ったんじゃ、途中は野宿ってことになっちまうぞ。
まずは、あんたが本当に運が良いかどうかの判定も兼ねて、宿を取って来てくれ。」
「や、宿をですか?
で、でも、私…お金が…」
「それなら心配ない。
金なら、ほら、ここにある。」
そう言って、ファビアンさんはお金の入った皮袋を私の前に差し出されました。
「ええっ!私がこれを…」
「あぁ、俺が持ってるとろくなことがないからな。
落としたり擦られたり…そんなことがしょっちゅうなんだ。
だから、これから金はあんたにあずけとくよ。」
「本当ですか!」
私も金のわっかをどこかに置き忘れてしまうほどのうっかり者です。
しかし、これからは気を引き締めていかなくては…!
ファビアンさんがこんな見ず知らずの私のことをここまで信頼して下さってるんですから…
「その代わり、宿には俺と一緒だってこともちゃんと言って、その上で取ってくるんだぞ!」
「わかりました。
では、行って来ます!」
私は、ファビアンさんから預かったお金をしっかりと懐におさめて、宿に向かって行きました。
しかし、宿は一体どこにあるのでしょう?
キョロキョロしながら歩いていると、白髪のご婦人が道端にうずくまっているのが見えました。
「どうかなさったんですか?」
「あ…あぁ…たいしたことはないんです。
今そこで足をひねってしまって…」
「足を…?!それは大変です!
このあたりに治療して下さる所はありませんか?」
「診療所はあるにはあるんですが…ここからは少し遠いので…」
「では、私がお連れしましょう!
さぁ、どうそ!」
「いえ、そんなこと…大丈夫です。
ゆっくり帰りますから…」
そう言って、立ち上がろうとされた瞬間、ご婦人は顔をしかめられました。
その表情から、相当痛いのだということがわかりました。
「ご遠慮は無用です。
さぁ、どうぞ!」
私は、ご婦人の前にしゃがみました。
ご婦人は躊躇っていらっしゃるようですが、やっと私の首に手を回して下さいました。
「診療所はどちらですか?」
「ご親切にどうもありがとうございます。
診療所はこっちです。」
「じゃあ、早速、出発しましょうか!」
「早速って…今から発ったんじゃ、途中は野宿ってことになっちまうぞ。
まずは、あんたが本当に運が良いかどうかの判定も兼ねて、宿を取って来てくれ。」
「や、宿をですか?
で、でも、私…お金が…」
「それなら心配ない。
金なら、ほら、ここにある。」
そう言って、ファビアンさんはお金の入った皮袋を私の前に差し出されました。
「ええっ!私がこれを…」
「あぁ、俺が持ってるとろくなことがないからな。
落としたり擦られたり…そんなことがしょっちゅうなんだ。
だから、これから金はあんたにあずけとくよ。」
「本当ですか!」
私も金のわっかをどこかに置き忘れてしまうほどのうっかり者です。
しかし、これからは気を引き締めていかなくては…!
ファビアンさんがこんな見ず知らずの私のことをここまで信頼して下さってるんですから…
「その代わり、宿には俺と一緒だってこともちゃんと言って、その上で取ってくるんだぞ!」
「わかりました。
では、行って来ます!」
私は、ファビアンさんから預かったお金をしっかりと懐におさめて、宿に向かって行きました。
しかし、宿は一体どこにあるのでしょう?
キョロキョロしながら歩いていると、白髪のご婦人が道端にうずくまっているのが見えました。
「どうかなさったんですか?」
「あ…あぁ…たいしたことはないんです。
今そこで足をひねってしまって…」
「足を…?!それは大変です!
このあたりに治療して下さる所はありませんか?」
「診療所はあるにはあるんですが…ここからは少し遠いので…」
「では、私がお連れしましょう!
さぁ、どうそ!」
「いえ、そんなこと…大丈夫です。
ゆっくり帰りますから…」
そう言って、立ち上がろうとされた瞬間、ご婦人は顔をしかめられました。
その表情から、相当痛いのだということがわかりました。
「ご遠慮は無用です。
さぁ、どうぞ!」
私は、ご婦人の前にしゃがみました。
ご婦人は躊躇っていらっしゃるようですが、やっと私の首に手を回して下さいました。
「診療所はどちらですか?」
「ご親切にどうもありがとうございます。
診療所はこっちです。」
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