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1話
カメラ
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去年の8月、暑い夏の頃に田舎の爺さんが亡くなった。
カンカン照りの太陽が昇る真昼間に寺の坊さんと黒服とネクタイに身を包んだ親族一同揃いお経を読経する声が静けさの中に響く
。
「親父、こんな時に何してんだよ。葬儀中だぞ。」
「今、大事なプロジェクトを社長から俺に指名されてるんだよ。」
俺はヒソヒソと声をかけた。
オールバックの髪をした親父が迷惑そうな顔をししながらスマホを見ていた。
「そもそも、こんなクソ暑い日にくたばりやがって周りの事も考えろ。」
親父と爺さんの間では何かあったのだろうが昔からこんなもんだと思っていたので気にはしなかった。
「死にたい時に死ねるなんて便利な機能が命にあるわけないだろ。」
「お前も今日が撮影だったんじゃないのか?」
「まぁ、モデルがヒステリー起こしたから断ってきた。」
「そうか、んじゃこの後の財産分与の話はお前に任せるわ。」
「は?」
爺さんはそこそこ土地を持っており畑をして地元の市場に卸して生計を立ててた。
昔は自分と同じカメラマンを目指してたそうだ。
婆さんから聞くと腕はいまいち、俗に言う『下手の横好き』ってやつ。
火葬が終わり親族一同が集まりいよいよ財産の話が始まる。
「皆様、お集まりいただきありがとうございます。」
「お袋、ちゃんと平等にしたか?」
「あんたは昔から変なところは疑り深いね。アンタは。」
「ドラマじゃ親族同士で汚い奪い合いがよくされてるからな。」
親父は周りをギロギロと睨みながら婆さんにそう聞いた。
変なところは疑いやすいから小さい時からよく知ってる。
俺に任せると言っときながら自分でしたいようだ。
「婆ちゃん、俺は相続の話とか興味ないし叔父さんや皆で勝手にしてくれ。タバコ吸ってくる。」
親族が話し合う中をライターと来る際に買ったタバコを片手に居間に出た。
玄関に出る前に爺さんの部屋に向かう。
中を見ると大量のカメラが並べられていた。
古すぎてジャンク品に置かれてそうなモノばかりで最新モデルや大手のモノもなかった。
「爺ちゃんは・・・これかな?」
古びたカメラの中でも一番古いカメラを手に取り玄関を出た。
タバコを咥え火をつけて一服する。
「さて、」
カメラを覗くと死んだ爺さんが空を眺めていた。
「爺ちゃん、何見てんだよ。」
「ん?お前ワシが見えんのか?」
「ガキの頃から言ってたじゃん。」
「あれ、本当だったのか・・・」
「いや、嘘言ってどうすんだよ。」
「ひい婆ちゃんとも話したって言ってたからそんなはずないと思ってたがな。」
爺さんは参ったと頭を掻いた。
「とりあえず、これで信じた?」
「あぁ、死んだあとだがな。」
「てか、成仏しろよ。坊さん呼ぶのも金かかるんだから。」
「なんじゃ、死んだ爺ちゃんに会えて感激するのが普通じゃないか?」
「そんな、熱い家族じゃないだろ。」
「まぁ、そうだな。」
爺さんは空を眺めながらつぶやいた。
「婆さんとも打算で一緒になったからな。愛してるわけでもないし。」
「50年以上も生活しといてよく言うぜ。」
「結婚なんてそんなもんだよ。」
「んじゃ何が心残りなんだよ。」
「・・・死ぬ前にトイレ行きたかった。」
「・・・安心しろ。死ぬ時によくあることらしいぞ。死んだあとの脱糞。」
「そうか、んじゃ行くわ。」
爺さんはそう言って消えた。
タバコを吸い終わるとまだ居間ではもめてる。
「そんなんじゃお爺ちゃんが浮かばれないじゃない。」
と相続の話がエキサイトしていた。
親族はにらみ合いになり。
絶縁するとまで飛躍していた。
「あぁ、盛り上がってるとこ悪いけど各自好きにしたら?」
「何よ、あんたも・・・。」
「爺ちゃんからの伝言。死ぬ前にトイレ行きたかった以上」
その後、遺産の相続は欲しい人に分けて終了した。
意外と人間の心残りなんてくだらない事なんだな。
カンカン照りの太陽が昇る真昼間に寺の坊さんと黒服とネクタイに身を包んだ親族一同揃いお経を読経する声が静けさの中に響く
。
「親父、こんな時に何してんだよ。葬儀中だぞ。」
「今、大事なプロジェクトを社長から俺に指名されてるんだよ。」
俺はヒソヒソと声をかけた。
オールバックの髪をした親父が迷惑そうな顔をししながらスマホを見ていた。
「そもそも、こんなクソ暑い日にくたばりやがって周りの事も考えろ。」
親父と爺さんの間では何かあったのだろうが昔からこんなもんだと思っていたので気にはしなかった。
「死にたい時に死ねるなんて便利な機能が命にあるわけないだろ。」
「お前も今日が撮影だったんじゃないのか?」
「まぁ、モデルがヒステリー起こしたから断ってきた。」
「そうか、んじゃこの後の財産分与の話はお前に任せるわ。」
「は?」
爺さんはそこそこ土地を持っており畑をして地元の市場に卸して生計を立ててた。
昔は自分と同じカメラマンを目指してたそうだ。
婆さんから聞くと腕はいまいち、俗に言う『下手の横好き』ってやつ。
火葬が終わり親族一同が集まりいよいよ財産の話が始まる。
「皆様、お集まりいただきありがとうございます。」
「お袋、ちゃんと平等にしたか?」
「あんたは昔から変なところは疑り深いね。アンタは。」
「ドラマじゃ親族同士で汚い奪い合いがよくされてるからな。」
親父は周りをギロギロと睨みながら婆さんにそう聞いた。
変なところは疑いやすいから小さい時からよく知ってる。
俺に任せると言っときながら自分でしたいようだ。
「婆ちゃん、俺は相続の話とか興味ないし叔父さんや皆で勝手にしてくれ。タバコ吸ってくる。」
親族が話し合う中をライターと来る際に買ったタバコを片手に居間に出た。
玄関に出る前に爺さんの部屋に向かう。
中を見ると大量のカメラが並べられていた。
古すぎてジャンク品に置かれてそうなモノばかりで最新モデルや大手のモノもなかった。
「爺ちゃんは・・・これかな?」
古びたカメラの中でも一番古いカメラを手に取り玄関を出た。
タバコを咥え火をつけて一服する。
「さて、」
カメラを覗くと死んだ爺さんが空を眺めていた。
「爺ちゃん、何見てんだよ。」
「ん?お前ワシが見えんのか?」
「ガキの頃から言ってたじゃん。」
「あれ、本当だったのか・・・」
「いや、嘘言ってどうすんだよ。」
「ひい婆ちゃんとも話したって言ってたからそんなはずないと思ってたがな。」
爺さんは参ったと頭を掻いた。
「とりあえず、これで信じた?」
「あぁ、死んだあとだがな。」
「てか、成仏しろよ。坊さん呼ぶのも金かかるんだから。」
「なんじゃ、死んだ爺ちゃんに会えて感激するのが普通じゃないか?」
「そんな、熱い家族じゃないだろ。」
「まぁ、そうだな。」
爺さんは空を眺めながらつぶやいた。
「婆さんとも打算で一緒になったからな。愛してるわけでもないし。」
「50年以上も生活しといてよく言うぜ。」
「結婚なんてそんなもんだよ。」
「んじゃ何が心残りなんだよ。」
「・・・死ぬ前にトイレ行きたかった。」
「・・・安心しろ。死ぬ時によくあることらしいぞ。死んだあとの脱糞。」
「そうか、んじゃ行くわ。」
爺さんはそう言って消えた。
タバコを吸い終わるとまだ居間ではもめてる。
「そんなんじゃお爺ちゃんが浮かばれないじゃない。」
と相続の話がエキサイトしていた。
親族はにらみ合いになり。
絶縁するとまで飛躍していた。
「あぁ、盛り上がってるとこ悪いけど各自好きにしたら?」
「何よ、あんたも・・・。」
「爺ちゃんからの伝言。死ぬ前にトイレ行きたかった以上」
その後、遺産の相続は欲しい人に分けて終了した。
意外と人間の心残りなんてくだらない事なんだな。
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