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第一章
第4話(1)話は変わりますが
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4
「しかし……」
現は腕を組んで、座っていた事務所の椅子によりかかる。
「……」
「問題というか、気になるな……」
「………」
「何故あいつら、大島たちは夢世界に入れたのか……」
「…………」
「あの時、現実世界のあいつらはどこにいたんだ?」
「……………」
「そもそも夢世界の存在をどうやって知った?」
「………………」
「何が目的だ?」
「…………………」
現が話を続けるが、テーブルを挟んで向かい合って座っている甘美はティーカップを片手にどこか上の空である。
「……おい」
「……………………」
「おい!」
現は声を上げる。甘美は現に視線を向ける。
「……なんですの?」
「それはこっちの台詞だ」
「はい?」
「話を聞いていたか?」
「なんとなくは」
甘美はティーカップに口を付ける。
「つまり聞いていないということだな」
「いつもの独り言だと思いまして」
「いつものってなんだ、いつものって」
「あまりそういうのを聞くのも悪いでしょう?」
「悪い?」
「人には誰しも、他人には知られたくない心の闇というものがありますから……」
「勝手に闇を抱えているキャラにするな!」
「違うのですか?」
甘美が首を傾げる。
「違う! 仮に抱えていたとしても……」
「としても?」
「人前でさらけ出すわけがないだろう」
「わたくしには心を許して下さっているのかなと思いましたわ」
「許してない」
「あらまあ、どうして?」
「ある意味、お前が一番油断ならんからな……」
「ふふっ……」
甘美がコーヒーカップをテーブルに置いて笑う。
「何がおかしい?」
「今さらな話をおっしゃるので……」
「今さらだと?」
現が首を傾げる。
「だって、そうでしょう? わたくしは貴女の……」
「あ~! その話はいい!」
現は大声を出す。
「大声を出すなんてはしたないですわよ」
「……とにかくだ」
「はい」
「話を戻すが……」
「どこに?」
現がため息をついて、あらためて話し出す。
「……聞いていなかったんだな、最初から話すと……」
「何故にして、大島ウッドラックさんたちが夢世界に入れたかという疑問ですわね」
「……極楽な」
「それはどうでもよろしい」
「酷いな」
「大島グループの研究成果とかなんとかおっしゃっていましたわ」
「ああ、確かにそういうことを言っていたな」
現が頷く。
「大島グループは夢世界への研究を進めていたということです」
「いつからだ?」
「さあ?」
「何故夢世界の存在を知っている?」
「わたくしたちだけが特別だとは限らないということですわ」
「うん?」
現が首を捻る。
「他にも夢世界に入ることが出来た方が大島グループにいらっしゃった……もしくはその人物が大島グループに接触をした……」
「そうか……だがな……」
「大島グループの目的に関しては、様々な可能性が考えられますが、現時点ではそれら全てが推測の域を出ませんので、ここでいくら考えても無駄かと」
「うむ……」
「機会があれば聞いてみるしかないでしょう」
「聞いてみる?」
「大島ウッドストックさんに」
「極楽な。なんでウッドを残すんだ」
「まあ、それはどうでもよろしい」
「酷いな。友人だろう?」
「何かと絡んでくるので正直苦手ですわ……」
「それにしてもだな……」
「とにかく、装置、あるいはシステムの遠隔操作か何かで、彼女たちが夢世界にアクセスすることが出来るのが分かりました」
「ああ……」
「放っておいても、またどこかの夢世界で顔を合わせるということになるでしょう。出来れば合わせたくはないのですが」
「顔を合わせた時に問い質すと……」
「ええ、そうです」
「素直に教えてくれるか?」
「その時は……」
「その時は?」
「縛り上げます」
「強引だな!」
「拷問も視野に入れています」
「過激だな!」
甘美が微笑む。
「冗談ですよ……」
「冗談には思えん……」
「話は変わりますが、間もなく大型連休ですわね?」
「ああ、そうだな。それがどうした?」
「この連休を利用して、新たなバンドメンバー探し旅行を致しましょう」
「はあっ⁉」
甘美の突拍子もない提案に現が驚く。
「しかし……」
現は腕を組んで、座っていた事務所の椅子によりかかる。
「……」
「問題というか、気になるな……」
「………」
「何故あいつら、大島たちは夢世界に入れたのか……」
「…………」
「あの時、現実世界のあいつらはどこにいたんだ?」
「……………」
「そもそも夢世界の存在をどうやって知った?」
「………………」
「何が目的だ?」
「…………………」
現が話を続けるが、テーブルを挟んで向かい合って座っている甘美はティーカップを片手にどこか上の空である。
「……おい」
「……………………」
「おい!」
現は声を上げる。甘美は現に視線を向ける。
「……なんですの?」
「それはこっちの台詞だ」
「はい?」
「話を聞いていたか?」
「なんとなくは」
甘美はティーカップに口を付ける。
「つまり聞いていないということだな」
「いつもの独り言だと思いまして」
「いつものってなんだ、いつものって」
「あまりそういうのを聞くのも悪いでしょう?」
「悪い?」
「人には誰しも、他人には知られたくない心の闇というものがありますから……」
「勝手に闇を抱えているキャラにするな!」
「違うのですか?」
甘美が首を傾げる。
「違う! 仮に抱えていたとしても……」
「としても?」
「人前でさらけ出すわけがないだろう」
「わたくしには心を許して下さっているのかなと思いましたわ」
「許してない」
「あらまあ、どうして?」
「ある意味、お前が一番油断ならんからな……」
「ふふっ……」
甘美がコーヒーカップをテーブルに置いて笑う。
「何がおかしい?」
「今さらな話をおっしゃるので……」
「今さらだと?」
現が首を傾げる。
「だって、そうでしょう? わたくしは貴女の……」
「あ~! その話はいい!」
現は大声を出す。
「大声を出すなんてはしたないですわよ」
「……とにかくだ」
「はい」
「話を戻すが……」
「どこに?」
現がため息をついて、あらためて話し出す。
「……聞いていなかったんだな、最初から話すと……」
「何故にして、大島ウッドラックさんたちが夢世界に入れたかという疑問ですわね」
「……極楽な」
「それはどうでもよろしい」
「酷いな」
「大島グループの研究成果とかなんとかおっしゃっていましたわ」
「ああ、確かにそういうことを言っていたな」
現が頷く。
「大島グループは夢世界への研究を進めていたということです」
「いつからだ?」
「さあ?」
「何故夢世界の存在を知っている?」
「わたくしたちだけが特別だとは限らないということですわ」
「うん?」
現が首を捻る。
「他にも夢世界に入ることが出来た方が大島グループにいらっしゃった……もしくはその人物が大島グループに接触をした……」
「そうか……だがな……」
「大島グループの目的に関しては、様々な可能性が考えられますが、現時点ではそれら全てが推測の域を出ませんので、ここでいくら考えても無駄かと」
「うむ……」
「機会があれば聞いてみるしかないでしょう」
「聞いてみる?」
「大島ウッドストックさんに」
「極楽な。なんでウッドを残すんだ」
「まあ、それはどうでもよろしい」
「酷いな。友人だろう?」
「何かと絡んでくるので正直苦手ですわ……」
「それにしてもだな……」
「とにかく、装置、あるいはシステムの遠隔操作か何かで、彼女たちが夢世界にアクセスすることが出来るのが分かりました」
「ああ……」
「放っておいても、またどこかの夢世界で顔を合わせるということになるでしょう。出来れば合わせたくはないのですが」
「顔を合わせた時に問い質すと……」
「ええ、そうです」
「素直に教えてくれるか?」
「その時は……」
「その時は?」
「縛り上げます」
「強引だな!」
「拷問も視野に入れています」
「過激だな!」
甘美が微笑む。
「冗談ですよ……」
「冗談には思えん……」
「話は変わりますが、間もなく大型連休ですわね?」
「ああ、そうだな。それがどうした?」
「この連休を利用して、新たなバンドメンバー探し旅行を致しましょう」
「はあっ⁉」
甘美の突拍子もない提案に現が驚く。
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