フィーバーロボット大戦~アンタとはもう戦闘ってられんわ!~

阿弥陀乃トンマージ

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チャプター2

第22話(3)FtoVの大無双

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軍馬に乗り、僕を含めた新生リガード竜騎士団騎士35名の部隊は、同盟国であるアスデン王国マージラス砦を目指し、王都から出撃となった。

みんなの体調、軍馬の体調を気遣いながら、3日後の早朝に到達を目標とした。

元ツォルバ騎士団騎士長のウガニエムは、帰還後、空席のリガード竜騎士団副騎士長の座に就く。





ザシンは、ディオガルーダの動きを兵に監視させていた。



ディオガルーダが竜の祭壇へ向かったと報告を受けた時、ザシンは複数の騎士を連れ、動き出していた。




よろめきながら歩いていたディオガルーダを見つけた時、深い傷を負いながらも、少し笑顔を見せていたらしい。



久々のウイプル、とても懐かしかったよ。



もう二度と会う事はないだろうと。





全ての用を終えた今、この国を去る、と。





そう言って、ディオガルーダは治療を受けてすぐにウイプルから出ていってしまったんだ。











僕の口の中に血が溜まり、時折、吐き出した。







体中の傷が、破裂しそうなほど痛む。










恐らく、ディオガルーダもそうだ。













死ぬな、ディオガルーダ。









死なないでくれ。











荒野を軍馬で駆けながら、必死にそう願った。









ディオガルーダはジゼベルガロフの竜王、ゾーファルの元へ帰っていった。











この時には、薄々とわかっていたのかも知れない。



ディオガルーダが黒い鎧姿でウイプルに入って、僕と最初に出会った時に持っていた細長い鉄の筒、それはザシンから僕に渡った。



竜を鎮めるもの。



ダルレアス自治領にない方がいいからと、僕に渡したんだ。



紫雷刀身竜ゲボルトベルザスドラゴンは老衰していて、存在がわからないくらいに静かで、暴れてもいなかった。



竜使いのザシンへの手土産に持ってきた?



まだウイプルに竜が多くいると思っていた?





ディオガルーダが、僕に悲しみの感情を持っていた。





何故、このウイプルを、僕を竜の血を持つ者としてわかっていながら、人間側に立てと、お母様と同じ事を言った?





お母様を、貴覇竜スカリテラスと本名で言った?





アスデン王国マージラス砦の戦いの前だから、わざとわからない振りをしていたけど。





お母様の書室で、破かれた紙片を見つけていたんだ。







ディオガルーダとは違う、名前が書かれていた。









僕の思った通りだったなら、

僕がディオガルーダから流れてきた感情に、ごめんなさい、どうか許してと、思った心は、間違いじゃなかった。








簡易テントを張り、休息して兵の体調を整え、軍馬の体調を気にし、コーリオ王国領に入らぬ様に迂回してアスデン王国を目指した。



僕の治癒能力は高い。



それでも、体調は上がらなかった。



体の傷は疼き、口の中は気づけば血の海となっていたけど。









ベルベッタはもう、笑えないんだよ。



好きな花も、食べられない。



もう、竜の山に戻れない。



また、2人で仲良く、戯れる事も、できないんだ。




___________

地平線から日が顔を見せたばかりの薄暗い周辺、開かれた道を通らず、木々に隠れながら進めていった。緩やかな上り坂の上方に日を背に佇む、両端に三角屋根を伸ばした大きな建物が見えた。



それが、マージラスの砦。



切石の塁壁るいへきが横に長く広がり、見張り台が手前奥四隅、真ん中に高さのない主塔が見え、上部にアスデン王国の紋章が彫られている。 





ダラメイズ、僕は来たぞ。






許しを請う必要などない、ただそのまま散ればいい。







火蓋はすでに切られているんだ。








僕は合図を出し、中央から左に12名の騎士を僕が引き連れ、右に13名の騎士をウガニエムが引き連れ、軍馬に拍車をかけ、突撃した。



それぞれ2名ずつの騎士が軍馬で駆けながらも、火薬の塗られた矢先に、火打ち石で発火させ、火矢をマージラスの砦に向かって構える。






その矢は立て続けに躊躇なく、放たれた。




火矢は狙った場所に的確に捉え、次々と砦内に入っていった。






正門は橋が蓋をして正面突破はできない。



火矢の攻撃に見張りの兵が気づき、見張り台から激しく警鐘が打ち鳴らされ、砦内で音が反響していた。




間もなく、砦の塁壁の上から何十人ものアスデン王国の兵が姿を現して、弓矢が僕らを見つけ、躊躇なく矢を放ってきた。





その放たれた矢の雨を僕らは身に受ける事なくかわし、軍馬でマージラス砦の周りを駆け巡り、再び火矢を放つ。



あの砦の壁の高さ程度であれば、僕の軍馬なら駆け上る事もできたけど、マージラス砦の駐屯兵には猶予を与えるつもりだった。



このまま火矢を甘んじて受ける訳もなく、橋を下ろし、正面の扉を開け、兵を送り出すかと思ったが、籠城を貫くつもりか、中々出てこない。





僕らウイプルのリガード竜騎士団は、小国の割に大国に劣らないほどの強力な部隊だと、恐れられている。





そのウイプルに対して、対応が遅れたと、後悔しても、もう遅い。





ダラメイズの命ある限り、止む事はない。









この世での償いは、無用だ。










リガード竜騎士団の騎士の火矢は、マージラス砦内の何かに燃え移り、火消しに兵が持っていかれているのがわかる。






こちらがさらに攻勢に出れば、アスデン王国の兵に死人が出始めるだろう。






この時に、僕は砦の正面に回り、声を張り上げた。








こちらはウイプル王国リガード竜騎士団のアスカ・グリーンディ、そして組する騎士の部隊である。






同盟国交流強化期間に、我が国、ウイプル王国内で凶行を繰り返し行ったマージラス砦守備隊長ダラメイズに用がある。扉を開け、姿を現せ。









そう言って、僕はダラメイズをいち早くこの場に出させようとした。







マージラス砦の弓兵から放たれる矢の本数は減っても、まだ射抜こうと僕を狙ってきた。






それに対して、こちらの騎士も火矢を放ち続ける。








砦から細長い煙が上がり、鎮火が遅れている事がわかった。








ここから先は、死人が出る。互いに戦に身を投じる者同士、覚悟を決めて戦うしかないか、と。







僕は、ダラメイズがウイプルの許可外の区域に入ろうとした時の事を思い出したんだ。



これが、最後だ。



心に浮かんだ言葉を、声を張り上げて口にした。












ウイプルで、少しは楽しませろと言ったな。



お前はどうか。



随分と退屈な男じゃないか。



マージラスの砦に隠れ、



男としての誇りをなくし、



無力な女を背後から斬る事が、



お前の取り柄か。





姿を現せ、マージラス砦守備隊長ダラメイズ。





お前の凶行、決して許しはしない。








ウイプル王国リガード竜騎士団のアスカ・グリーンディ、






ここで、お前との一騎討ちで、決着をつける事を提案する。








どちらが死んでも、他の者に手出しは無用。







これを拒めば、このアスカ・グリーンディ、命を賭しても、



アスデン王国マージラス砦を陥落させる事を、宣言する。










これが僕の彼に対する最終通告だった。



ウイプルにいたダラメイズは、誇りが過剰に高そうに見えた。

女を誘い、相手が断れば剣を抜く様な男だ。

誇りを傷つけられただろう。

この砦の多くの駐屯兵に男を見せるか、ダラメイズ。

それとも、砦に引っ込んだまま、リガード竜騎士団とやり合うか。

砦から逃げない様に、この砦の背後は気にしている。

逃しはしない。










マージラス砦から矢は来なくなった。



僕の元に、ウイプルの騎士が集まってくる。









しばらくして、マージラス砦の正面扉を塞いでいた橋が降りた。









そして、正面扉が開いたんだ。








アスデン王国の兵50名に囲まれ、波立つ金髪の鎧姿、ダラメイズが姿を現した。



鬼の形相。



誇りを傷つけられたという顔をしている。



元ツォルバ騎士団騎士長ウガニエムは、僕に呟いた。

兵を配置していたけど、やられてしまった。

私達の恨みも、晴らしてほしい、と。



そう。

僕らはベルベッタのいた位置から、そう遠くなかったんだ。



ベルベッタ、今、お前のかたきを討つから、と。



僕はこの場にいる様にと新生リガード竜騎士団の騎士達を手で制し、ダラメイズのいる場所へ歩いていった。





意外にも、ダラメイズも自分の兵達を解いて、1人でこちらへ歩いてきた。



日が先ほどより上り、大地に広く光が届いていた。





砦の矢狭間から、矢先が光る。



僕を狙っているのは、明らかだった。







ダラメイズは不敵に笑って、剣を抜いてきた。



アスデン王国に盾突く小国ウイプルの小僧が、と言ってきた。



少し唇を震わせている。



ウイプルで会った僕が、あの忌まわしい名を持つ男と思わなかっただろう。

















時間は、戻るためにあるんじゃない。





進むためにあると、言った人がいた。






頭では理解していた僕は。








心では、何もわかっていなかった。








とても、苦しくて。




時間よ止まれと、言いたくもなった時もあった。








ベルベッタ。









お前は、もう戻らない。









それでも、お前は。









僕の心と共にある。








これからも、ずっと。















さあ、








一緒に戦うよ、ベルベッタ。





___________
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