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第1章
第5話(3)住
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「こちらになります……」
「ふむ……」
「いかがでしょうか?」
「日当たりも良くていい感じっすね!」
「ありがとうございます」
不動産会社の社員がルトに向かって頭を下げる。
「……ここにしようと思うっす!」
「それでは……」
社員がななみに目配せする。
「う~ん……」
ななみが首を傾げる。ルトが問う。
「なにか問題があるっすか?」
「ルトちゃん……」
「はい?」
「やっぱりあそこじゃダメなの?」
「あそこ?」
「クラブハウスの敷地内の……」
「いやいや、あそこは狭いっすよ!」
「片付ければ結構な広さのはずよ」
「片付ければって……そもそもあそこって……」
「予備の物置小屋よ。あ……」
ななみが口元を抑える。
「いや、犬顔だからって、小屋に住まわせておけば良いとでも思っているっしょ⁉」
「そ、そういうわけじゃないけど……」
「ここもクラブハウスから近いから良いじゃないっすか!」
「結構割高なのよね……」
ななみがぼそっと呟く。
「駅や商業施設からも近く、人気が高いので……」
社員が笑みを浮かべる。
「う~む……」
ななみが腕を組む。
「クラブハウスで雑魚寝はもう嫌っす!」
「むう……」
「クーオの奴、寝相が悪いわ、いびきはかくわで、もう大変なんすよ!」
「まあ、その辺はなんとか改善したいとは思っていたけど……」
「その為の引っ越しっす!」
「そうなると、他の皆も自分も自分もと言い出しそうだからねえ……」
「そこをなんとか!」
「ちょっと考えさせて……」
「……」
「……うん、やっぱり今回は無しで」
「ええっ⁉」
「すみませんが……」
「……そうですか、またご検討のほど、お願いいたします」
社員は頭を下げる。ななみたちはクラブハウスに戻る。
「……納得いかないっすよ!」
「計画ではすぐ近くに選手寮を建設するはずだったんだけどね……」
「それは?」
「色々騒動があって、結局計画そのものが頓挫したわ……」
「そ、そんな⁉」
「えっと……もうしばらく我慢してくれる?」
「そりゃないっすよ!」
「う~ん、選手に良い住環境を提供するのもクラブの務めだと思うけど……」
ななみが頭を抱える。
「……あの辺のスペースはなんだみゃあ?」
トッケが窓の外を指差して問う。ななみが答える。
「え? ああ、駐車場をもうちょっと拡張するって話があったんだけど、今は必要ないわね。車で通勤する人がそもそもいないんだし……」
「じゃあ、ちょちょいっと♪」
「!」
トッケが指を振ると、そこに立派な建物が出来上がった。トッケが満足そうに頷く。
「今日は魔力の調子が比較的良いみゃあ、良いものが出来たみゃあ……」
「おおっ、良い感じっす! あそこに住んでも良いっすか⁉」
「構わんみゃあ。ワシもここで雑魚寝は飽き飽きしていたので……」
「やったっす!」
「トッケちゃん、天才!」
ななみがトッケに抱き着く。
「ふふん……」
「私も使っていい?」
「それなら家賃が欲しいところだみゃあ……ふみゃあ⁉」
ななみはトッケの顎を撫でて誤魔化す。
「こちらになります……」
「ふむ……」
「いかがでしょうか?」
「日当たりも良くていい感じっすね!」
「ありがとうございます」
不動産会社の社員がルトに向かって頭を下げる。
「……ここにしようと思うっす!」
「それでは……」
社員がななみに目配せする。
「う~ん……」
ななみが首を傾げる。ルトが問う。
「なにか問題があるっすか?」
「ルトちゃん……」
「はい?」
「やっぱりあそこじゃダメなの?」
「あそこ?」
「クラブハウスの敷地内の……」
「いやいや、あそこは狭いっすよ!」
「片付ければ結構な広さのはずよ」
「片付ければって……そもそもあそこって……」
「予備の物置小屋よ。あ……」
ななみが口元を抑える。
「いや、犬顔だからって、小屋に住まわせておけば良いとでも思っているっしょ⁉」
「そ、そういうわけじゃないけど……」
「ここもクラブハウスから近いから良いじゃないっすか!」
「結構割高なのよね……」
ななみがぼそっと呟く。
「駅や商業施設からも近く、人気が高いので……」
社員が笑みを浮かべる。
「う~む……」
ななみが腕を組む。
「クラブハウスで雑魚寝はもう嫌っす!」
「むう……」
「クーオの奴、寝相が悪いわ、いびきはかくわで、もう大変なんすよ!」
「まあ、その辺はなんとか改善したいとは思っていたけど……」
「その為の引っ越しっす!」
「そうなると、他の皆も自分も自分もと言い出しそうだからねえ……」
「そこをなんとか!」
「ちょっと考えさせて……」
「……」
「……うん、やっぱり今回は無しで」
「ええっ⁉」
「すみませんが……」
「……そうですか、またご検討のほど、お願いいたします」
社員は頭を下げる。ななみたちはクラブハウスに戻る。
「……納得いかないっすよ!」
「計画ではすぐ近くに選手寮を建設するはずだったんだけどね……」
「それは?」
「色々騒動があって、結局計画そのものが頓挫したわ……」
「そ、そんな⁉」
「えっと……もうしばらく我慢してくれる?」
「そりゃないっすよ!」
「う~ん、選手に良い住環境を提供するのもクラブの務めだと思うけど……」
ななみが頭を抱える。
「……あの辺のスペースはなんだみゃあ?」
トッケが窓の外を指差して問う。ななみが答える。
「え? ああ、駐車場をもうちょっと拡張するって話があったんだけど、今は必要ないわね。車で通勤する人がそもそもいないんだし……」
「じゃあ、ちょちょいっと♪」
「!」
トッケが指を振ると、そこに立派な建物が出来上がった。トッケが満足そうに頷く。
「今日は魔力の調子が比較的良いみゃあ、良いものが出来たみゃあ……」
「おおっ、良い感じっす! あそこに住んでも良いっすか⁉」
「構わんみゃあ。ワシもここで雑魚寝は飽き飽きしていたので……」
「やったっす!」
「トッケちゃん、天才!」
ななみがトッケに抱き着く。
「ふふん……」
「私も使っていい?」
「それなら家賃が欲しいところだみゃあ……ふみゃあ⁉」
ななみはトッケの顎を撫でて誤魔化す。
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