合魂‼

阿弥陀乃トンマージ

文字の大きさ
上 下
6 / 51
第1章

第2話(1)上々のスタート

しおりを挟む
 執務室へと移動。
 冒険者ギルドが肩代わりしている俺の借金をハイネ領主が全額支払うという念書を書いてもらい、書類を作成。

「これでよいか?」

 ヘイゼルの言葉に俺は黙って頷く。
 金額は一切、言っていない。
 むしろ、ヘイゼルが金額に関しては聞いて来なかったので俺は黙っている。

「それじゃ俺は帰るので、また何かあったら依頼してください」
「分かった。君には世話になった」
「いえいえ。こちらこそ――」

 数十億もの、俺の借金を肩代わりしてくれるとは、俺こそ大変に世話になった。
 頑張って返済して欲しいものだ。
 俺は、借用書を無くさないようにアイテムボックスに入れつつ、部屋を後にした。

「マスター、話は終わったのか?」
「ああ、エミリアも疲れただろう?」
「――いえ。私は……何の役にも……」
 
 今回、水竜の討伐や皆月茜の件といい、エミリアは殆ど戦闘に参加できていない。
 その事を気に病んでいるのかも知れない。

「大丈夫だ。水竜も元・勇者であるサキュバスクィーンも、それぞれ次元の違う強さの化物だったからな。普通の冒険者では、誰も戦いについてこられないだろう」
「――でも、私……。完全に足手纏いに……」
「なら、妾が鍛えてやってもよいぞ? 亜人を鍛えるのは得意であるからな」
「本当ですか?」
「うむ。マスターだと次元が違いすぎるからの。妾くらいが丁度いいじゃろうて」
「それでは、リオンさん。お願いします」
「うむ」

 どうやら、リオンが空気を読んでエミリアを鍛えることにしてくれたようだ。
 なら、あとはする事は一つだけだな。

「エミリア、リオン」
「はい」
「マスター、なんじゃ?」
「まずは急いでハイネ領を出るぞ」
「――え?」

 エミリアが首を傾げるが、いまはハイネ城に居るので詳しく説明する時間が勿体ないというかサッサとトンずらしたい。

「とりあえず、宿に戻るぞ」
「分かりました」

 俺が、この場で事情を説明出来ない事に気がついたのか、エミリアは頷いてきた。
 すぐに用意された馬車に乗り、宿まで戻ったあとは、支払いを済ませて宿を引き払う。

 そして――、サキュバスに踏み荒らされた市場で水や食料を買いこんだあと城門へと向かう。

「もう行くのか?」

 辿り着いた城門で俺に話しかけてきたのは老兵のセイガル。

「ああ、リーン王国の王都まで行かないといけないからな。仕事が詰まっているから、ゆっくりしている時間がな……」
「それなら、今度、暇な時に立ち寄ってくれ。若き英雄に色々と聞きたいからな」
「時間があったならな」

 俺は、セイガルの言葉に肩を竦める。
 そして――、開いた城門からハイネの街を出た。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

美人女子大生を放心状態にさせ最後は大満足させてあげました

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
若い女子達との素敵な実話です

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

交換した性別

廣瀬純七
ファンタジー
幼い頃に魔法で性別を交換した男女の話

Bグループの少年

櫻井春輝
青春
 クラスや校内で目立つグループをA(目立つ)のグループとして、目立たないグループはC(目立たない)とすれば、その中間のグループはB(普通)となる。そんなカテゴリー分けをした少年はAグループの悪友たちにふりまわされた穏やかとは言いにくい中学校生活と違い、高校生活は穏やかに過ごしたいと考え、高校ではB(普通)グループに入り、その中でも特に目立たないよう存在感を薄く生活し、平穏な一年を過ごす。この平穏を逃すものかと誓う少年だが、ある日、特A(特に目立つ)の美少女を助けたことから変化を始める。少年は地味で平穏な生活を守っていけるのか……?

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...