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第二章

第14話   次なる伝説

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「はあ、まだ筋肉痛だわ……」

「わ、私もです……」

 黒髪ロングのストレートヘアを一つに束ね、三つ編みにした目鼻立ちの整ったブレザーの制服姿の女子は自らが通う栃木県の『能力研究学園』、通称『能研学園』の校門をくぐり、自らのクラスがある校舎に向かいながら、脚をさする。そこに気弱そうな小柄な女子が声をかける。前髪が長く、両目がほとんど隠れている。

「あ、おはよう……聡乃さんもまだ?」

「おはようございます、ええ、全然取れません……」

「なんだなんだ、情けないな、東照美(あずまてるみ)に本荘聡乃(ほんじょうさとの)!」

 女子二人に学ラン姿の男子が声をかける。制服が違うのは転校生だからだ。もっとも一ヶ月経っているが。男子は無造作かつ長すぎず短すぎない髪をかき上げながら笑う。

「……わざわざフルネームを大声で呼ばないでくれる?」

「まったく、たかが球技大会のドッジボールで、その有様では……2年B組のクラス長と副クラス長の名がすたるというものだぞ」

「話を聞きなさいよ。大体、あのドッジボールはどう見ても普通じゃなかったでしょ……」

「そうか? 俺、仁子日光(にこにっこう)は特になんともないぞ? なあ、八角花火(はっかくはなび)よ?」

「ええ……」

 日光の呼びかけに対し、側に控えていた紫がかったショートヘアーの整った容姿で紫色の忍び装束に身を包んだ女性が言葉少なに頷く。照美が目を細めながら呟く。

「アンタたちは特別なのよ……」

「うん? まあ、褒め言葉として受け取っておこう。校舎に向かうぞ……ん? あれは……」

 日光たちの目の前に全身赤色で統一した制服姿の生徒――ブレザー姿だが、切り揃えられた赤い短髪と端正なルックスから女子である――と全身を黒ずくめの服で決めた金髪の男子生徒と、凛々しい顔立ちで白髪のポニーテールの女子生徒と、丁寧にセットされた青い髪と白い歯が輝く長身でハンサムな男子生徒が並んで立っている。周囲がざわつく。

「井伊谷朱雀(いいのやすざく)と笠井玄武(かさいげんぶ)と扇原白虎(おうぎはらびゃっこ)と本郷青龍(ほんごうせいりゅう)!」

「2年B組の四天王が揃っている! これは只事じゃないぜ……!」

「周囲の視線が……」「なんだか照れるね~」「恥ずいな……」「こんなはずでは……」

「おおっ、おはよう! それでは皆で校舎に向かおう! 次なる伝説の始まりだ!」

「次なる伝説って……清々しいほどの中二病ね……でもわずか一ヶ月であの曲者揃いの四天王を束ねてしまったし……なにかを変えてしまいそうな気がするわね……」

 照美は四天王を連れて先を歩く日光の背中を見つめながら呟く。
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