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第一章
第10話(1)成果発表
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10
明くる日の校舎の空き教室で、四天王が一つの机を囲んで座っていた。
「……最近の成果発表といこうか?」
「成果発表だあ?」
朱雀の言葉に白虎が首を傾げる。朱雀が頷く。
「そうだよ」
「くだらねえなあ……」
「井伊谷さん、まずは貴女からどうぞ」
青龍が朱雀を促す。
「僕から?」
「こういうのは言い出した方からです」
「ふむ、それもそうだね……僕は……」
「僕は?」
玄武が首を傾げる。
「ある生徒の恋愛相談に乗ってあげたよ!」
「おお~」
玄武が感心したような声を上げる。白虎が鼻で笑う。
「はっ、お前に恋愛が分かるのかよ?」
「その言葉、そっくりお返しするよ、扇原さん」
「あ?」
「まあまあ、それで?」
玄武が白虎をなだめつつ、朱雀に尋ねる。朱雀が首を傾げる。
「それで?」
「いや、相談に乗ってあげた結果だよ。どうなったのさ?」
「概ねではあるが、良い方向に進んだようだよ」
「お~いいじゃん、いいじゃん♪」
「けっ、くだらねえなあ……」
白虎は頬杖をつく。
「そういう扇原さんは何かないのかい?」
「あん?」
「大した成果は挙げられなかったのかな?」
「なんだと?」
「君には相談してくる物好きはいないだろうからね」
「お前さんにだけには言われたくねえよ、井伊谷。馬鹿にすんなよ、しっかり相談されたわ」
「ほう……」
「それは正直意外だね~」
「大変興味深いお話です」
朱雀だけでなく、玄武や青龍もやや驚いた様子を見せる。
「お前らなあ……アタシを一体何だと思っていやがる?」
「「「煽り屋」」」
「うるせえ! そんなところでハモんな!」
白虎が声を上げる。玄武が再びなだめる。
「まあまあ……それでどんな相談だったの?」
「……詳しいことは言えねえが、コンプレックス解消に一役買ったぜ」
「へえ……」
玄武が腕を組んで頷く。朱雀が首を傾げる。
「それにしても君を頼るとはね……」
「……」
「?」
「……ふん」
白虎は朱雀の全身をじっと見てから鼻で笑う。朱雀がムッとする。
「ちょっと待て、今、完全に馬鹿にしただろう⁉」
「コンプレックス……私とは無縁の言葉かもしれません……」
「憎たらしいことをサラッと言うね、青龍っち……青龍っちはどうだったのさ?」
玄武が朱雀をなだめながら、青龍に話を振る。
「……私は学業についての相談を受けました」
「へえ」
「ああ、どの教科もそろそろ小テストが近いからね」
落ち着きを取り戻した朱雀が頷く。白虎が玄武に問う。
「赤点を取ると追試だったか?」
「そうだね」
「結構、戦々恐々としている奴らがいるよな」
「そうですね……その方もご多分に漏れず、赤点を恐れていました」
青龍がその様子を思い出しながら頷く。
「まあ、青龍っちに見てもらえば安心だろうね」
玄武が腕を組んでうんうんと頷く。
「そうか?」
白虎が首を傾げる。玄武が問う。
「え? 違う?」
「こいつが人に上手に教えられるような奴か?」
「貴方にそう言われるのは少々心外ですね、扇原さん……」
青龍がややムッとする。
「思ったことを言ったまでだぜ」
「確かに……ノートを見せて、はい、それっきりという様子が思い浮かぶな」
「!」
朱雀の言葉に青龍の眉がピクリと動く。白虎はそれを見逃さない。
「ほらみろ、そういうのは勉強を教えたって言わねえんだよ」
「……学業に対するスタンスは人それぞれです。まずは結果がどうなるか見てみましょう」
「それは楽しみだぜ」
「あ~白虎ちゃんも煽らないで……」
「それで、笠井くんはどうなんだ?」
朱雀が玄武に尋ねる。
「あ~僕は……良いよ」
「良いよってなんだよ」
「プライバシーに関わることだからさ」
「別に口外したりなんかしねえよ。アタシらだけに話をさせて、自分は話しませんってのはナシだろう? なあ?」
「そうだね」
「おっしゃる通りです」
朱雀と青龍も白虎の言葉に同意する。玄武はため息交じりに話し出す。
「はあ……僕もいわゆるコンプレックス解消に協力したよ」
「へえ、それはまた奇遇だな」
白虎が笑みを浮かべる。青龍が腕を組んで呟く。
「コンプレックスを抱えている人は結構多いのですね……知りませんでした」
「本郷くん、あまり他所でそういうことは言わない方がいいぞ……」
朱雀が青龍を注意する。
「それでどうなったんだ?」
白虎が玄武に問う。
「まあ、完全に解消されたわけじゃないけど、一歩前進といったところかな?」
「それはなによりだ」
玄武の言葉に朱雀は頷く。白虎が問う。
「……で?」
「ん?」
「これはいわゆる世間話だろう。本題はなんだよ?」
「実は……」
「「「「C組が動き出した」」」」
「「「「えっ⁉」」」」
四人の声がピタリと揃ったため、四人は揃って驚く。
明くる日の校舎の空き教室で、四天王が一つの机を囲んで座っていた。
「……最近の成果発表といこうか?」
「成果発表だあ?」
朱雀の言葉に白虎が首を傾げる。朱雀が頷く。
「そうだよ」
「くだらねえなあ……」
「井伊谷さん、まずは貴女からどうぞ」
青龍が朱雀を促す。
「僕から?」
「こういうのは言い出した方からです」
「ふむ、それもそうだね……僕は……」
「僕は?」
玄武が首を傾げる。
「ある生徒の恋愛相談に乗ってあげたよ!」
「おお~」
玄武が感心したような声を上げる。白虎が鼻で笑う。
「はっ、お前に恋愛が分かるのかよ?」
「その言葉、そっくりお返しするよ、扇原さん」
「あ?」
「まあまあ、それで?」
玄武が白虎をなだめつつ、朱雀に尋ねる。朱雀が首を傾げる。
「それで?」
「いや、相談に乗ってあげた結果だよ。どうなったのさ?」
「概ねではあるが、良い方向に進んだようだよ」
「お~いいじゃん、いいじゃん♪」
「けっ、くだらねえなあ……」
白虎は頬杖をつく。
「そういう扇原さんは何かないのかい?」
「あん?」
「大した成果は挙げられなかったのかな?」
「なんだと?」
「君には相談してくる物好きはいないだろうからね」
「お前さんにだけには言われたくねえよ、井伊谷。馬鹿にすんなよ、しっかり相談されたわ」
「ほう……」
「それは正直意外だね~」
「大変興味深いお話です」
朱雀だけでなく、玄武や青龍もやや驚いた様子を見せる。
「お前らなあ……アタシを一体何だと思っていやがる?」
「「「煽り屋」」」
「うるせえ! そんなところでハモんな!」
白虎が声を上げる。玄武が再びなだめる。
「まあまあ……それでどんな相談だったの?」
「……詳しいことは言えねえが、コンプレックス解消に一役買ったぜ」
「へえ……」
玄武が腕を組んで頷く。朱雀が首を傾げる。
「それにしても君を頼るとはね……」
「……」
「?」
「……ふん」
白虎は朱雀の全身をじっと見てから鼻で笑う。朱雀がムッとする。
「ちょっと待て、今、完全に馬鹿にしただろう⁉」
「コンプレックス……私とは無縁の言葉かもしれません……」
「憎たらしいことをサラッと言うね、青龍っち……青龍っちはどうだったのさ?」
玄武が朱雀をなだめながら、青龍に話を振る。
「……私は学業についての相談を受けました」
「へえ」
「ああ、どの教科もそろそろ小テストが近いからね」
落ち着きを取り戻した朱雀が頷く。白虎が玄武に問う。
「赤点を取ると追試だったか?」
「そうだね」
「結構、戦々恐々としている奴らがいるよな」
「そうですね……その方もご多分に漏れず、赤点を恐れていました」
青龍がその様子を思い出しながら頷く。
「まあ、青龍っちに見てもらえば安心だろうね」
玄武が腕を組んでうんうんと頷く。
「そうか?」
白虎が首を傾げる。玄武が問う。
「え? 違う?」
「こいつが人に上手に教えられるような奴か?」
「貴方にそう言われるのは少々心外ですね、扇原さん……」
青龍がややムッとする。
「思ったことを言ったまでだぜ」
「確かに……ノートを見せて、はい、それっきりという様子が思い浮かぶな」
「!」
朱雀の言葉に青龍の眉がピクリと動く。白虎はそれを見逃さない。
「ほらみろ、そういうのは勉強を教えたって言わねえんだよ」
「……学業に対するスタンスは人それぞれです。まずは結果がどうなるか見てみましょう」
「それは楽しみだぜ」
「あ~白虎ちゃんも煽らないで……」
「それで、笠井くんはどうなんだ?」
朱雀が玄武に尋ねる。
「あ~僕は……良いよ」
「良いよってなんだよ」
「プライバシーに関わることだからさ」
「別に口外したりなんかしねえよ。アタシらだけに話をさせて、自分は話しませんってのはナシだろう? なあ?」
「そうだね」
「おっしゃる通りです」
朱雀と青龍も白虎の言葉に同意する。玄武はため息交じりに話し出す。
「はあ……僕もいわゆるコンプレックス解消に協力したよ」
「へえ、それはまた奇遇だな」
白虎が笑みを浮かべる。青龍が腕を組んで呟く。
「コンプレックスを抱えている人は結構多いのですね……知りませんでした」
「本郷くん、あまり他所でそういうことは言わない方がいいぞ……」
朱雀が青龍を注意する。
「それでどうなったんだ?」
白虎が玄武に問う。
「まあ、完全に解消されたわけじゃないけど、一歩前進といったところかな?」
「それはなによりだ」
玄武の言葉に朱雀は頷く。白虎が問う。
「……で?」
「ん?」
「これはいわゆる世間話だろう。本題はなんだよ?」
「実は……」
「「「「C組が動き出した」」」」
「「「「えっ⁉」」」」
四人の声がピタリと揃ったため、四人は揃って驚く。
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