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第2回公演
オープニング
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オープニング
「おい、待て!」
「へっ、待たねえよ! ぐはっ⁉」
じゃがいものような頭に短い手足がついた二頭身くらいの奴が声を上げて倒れる。
「よ、四号⁉」
銃声がしたかと思うと、じゃがいも一体が倒れ込む。他のじゃがいもが駆け寄る。
「会場物販の売り上げに手を出すなんて、なかなか良い度胸しているわね……」
そこに銃を構えた緑の髪色をしたポニーテールの女の子が現れて冷静な顔で呟く。
「ケ、ケイ=ハイジャ⁉ 四号、しっかりしろ! 郷里の家族に豪邸建ててやるんだろう⁉」
「四号はもうダメだ! 五号、ここはさっさとずらかるぞ!」
「ずらかせないよ~?」
「ぬおっ⁉」
赤の髪色をしたショートカットの女の子が脇道に逃げようとしたじゃがいもを思い切り殴り飛ばす。壁に打ち付けられて地面に落下したじゃがいもはピクリとも動かなくなる。
「コ、コウ=マクルビ⁉ 六号! ちっ!」
「逃がしません……」
青の髪色をしたロングヘアの女の子が上に逃げようとしたじゃがいもを力強く抱き込む。
「ア、アユミ=センリ⁉ は、離せ……!」
「離しませんよ、賞金首のコソ泥団、『ポテトシーフス』の皆さん……」
「ぐっ……ま、待ってくれ! 俺の娘がアンタたちの大ファンでさ……!」
「……あなたたちの盗難による被害で一家離散へと追い込まれた方々は大勢います……せめて最後くらいは綺麗なお顔でご家族とご対面下さい……」
「……!」
アユミの腕の中で、じゃがいもが事切れる。首の骨を折ったようだ。俺が尋ねる。
「あ、相変わらず容赦がないな……。いいのか? 賞金首だったはずだが……」
「ええ、『Live or Die』……生死を問わずということですから」
「これで賞金ゲットだね~♪ 打ち上げはちょっと豪勢に行こうか?」
「それも悪くないわね……さあ、会場に戻りましょう」
彼女たち三人は『ギャラクシーマーダーズ』、銀河の殺し屋、賞金稼ぎである……。もっともそれは世を忍ぶ仮の姿……それから約一時間後、俺はあるホールのステージ袖に立っていた。ステージ上に先程の三人がフリフリのドレスを着て現れる。アユミが声を上げる。
「ど~も~! 皆さん、『ギャラクシーフェアリーズ』のライブにようこそ!」
そう、彼女らは銀河で人気を集めるアイドルグループなのである。しかし……。
「どちらかと言えば、こっちの方が世を忍ぶ仮の姿なんじゃねえのかな……」
ステージ袖で、この三人のマネージャーを務める俺、タスマ=ドラキンは後頭部をポリポリと掻きながら、今さらと言えば今さらなことを呟く。
「おい、待て!」
「へっ、待たねえよ! ぐはっ⁉」
じゃがいものような頭に短い手足がついた二頭身くらいの奴が声を上げて倒れる。
「よ、四号⁉」
銃声がしたかと思うと、じゃがいも一体が倒れ込む。他のじゃがいもが駆け寄る。
「会場物販の売り上げに手を出すなんて、なかなか良い度胸しているわね……」
そこに銃を構えた緑の髪色をしたポニーテールの女の子が現れて冷静な顔で呟く。
「ケ、ケイ=ハイジャ⁉ 四号、しっかりしろ! 郷里の家族に豪邸建ててやるんだろう⁉」
「四号はもうダメだ! 五号、ここはさっさとずらかるぞ!」
「ずらかせないよ~?」
「ぬおっ⁉」
赤の髪色をしたショートカットの女の子が脇道に逃げようとしたじゃがいもを思い切り殴り飛ばす。壁に打ち付けられて地面に落下したじゃがいもはピクリとも動かなくなる。
「コ、コウ=マクルビ⁉ 六号! ちっ!」
「逃がしません……」
青の髪色をしたロングヘアの女の子が上に逃げようとしたじゃがいもを力強く抱き込む。
「ア、アユミ=センリ⁉ は、離せ……!」
「離しませんよ、賞金首のコソ泥団、『ポテトシーフス』の皆さん……」
「ぐっ……ま、待ってくれ! 俺の娘がアンタたちの大ファンでさ……!」
「……あなたたちの盗難による被害で一家離散へと追い込まれた方々は大勢います……せめて最後くらいは綺麗なお顔でご家族とご対面下さい……」
「……!」
アユミの腕の中で、じゃがいもが事切れる。首の骨を折ったようだ。俺が尋ねる。
「あ、相変わらず容赦がないな……。いいのか? 賞金首だったはずだが……」
「ええ、『Live or Die』……生死を問わずということですから」
「これで賞金ゲットだね~♪ 打ち上げはちょっと豪勢に行こうか?」
「それも悪くないわね……さあ、会場に戻りましょう」
彼女たち三人は『ギャラクシーマーダーズ』、銀河の殺し屋、賞金稼ぎである……。もっともそれは世を忍ぶ仮の姿……それから約一時間後、俺はあるホールのステージ袖に立っていた。ステージ上に先程の三人がフリフリのドレスを着て現れる。アユミが声を上げる。
「ど~も~! 皆さん、『ギャラクシーフェアリーズ』のライブにようこそ!」
そう、彼女らは銀河で人気を集めるアイドルグループなのである。しかし……。
「どちらかと言えば、こっちの方が世を忍ぶ仮の姿なんじゃねえのかな……」
ステージ袖で、この三人のマネージャーを務める俺、タスマ=ドラキンは後頭部をポリポリと掻きながら、今さらと言えば今さらなことを呟く。
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