Live or Die?

阿弥陀乃トンマージ

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第1回公演

第9惑星(3)ドキドキ撮影

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「インストアイベントはどうでした?」

「なんていうか、殺気を隠しきれていなかったな……」

「ええ?」

 俺の言葉に横を歩くアユミは驚く。

「いや、あくまでも俺の感想だけどな、ネットの書き込みを見る限りは、そこまではマイナスイメージを持たれなかったようだ。ケイのクールさが上手い方に作用したのかな?」

「そ、そうですか……」

「まあ、概ね成功と言って良いんじゃないか」

「は、はあ……」

「お店の方も、次回もよろしくお願いしますって言ってくれたし」

「ああ、それなら良かったですね」

「ただ、次回はアユミにお願いした方が良いかもな……」

「ははっ……」

「アユミはどうだ? ああいう握手会というのには抵抗はないか?」

「絶対に緊張すると思いますけど、ファンの方と直接交流ができるのは楽しそうですよね」

「そうか」

「むしろ抵抗があるのは、今日みたいなお仕事ですかね……」

 アユミが小声でなにやら呟く。俺は首を傾げる。

「うん? なにか言ったか?」

「い、いいえ、なんでもありません。急ぎましょう」

「いや……もう着いたぞ?」

「え?」

「ここだから、今日の現場」

 俺はある建物を指差す。

「あ、ああ、こちらですか。立派な建物ですね」

「そうだな」

「……」

「アユミ?」

「いや、なんでもないです。入りましょう」

「ああ。おはようございます!」

「お、おはようございます!」

 俺とアユミは建物に入り、挨拶をする。現場に入ると、俺はスタッフさんと簡単な打ち合わせをする。スタッフさんがある人物を紹介してくれる。

「マネージャーさん。こちらが今日撮影して下さる先生です」

「よろしく~♪ アユミちゃんの良い写真、ガンガン撮っちゃおう~」

「あ、は、はい、よろしくお願いします」

 俺はその界隈ではかなり有名だというカメラマンの方と挨拶をかわす。そう、今日はアユミのグラビア撮影なのだ。

「アユミさん、入りまーす!」

「よ、よろしくお願いします……」

 アユミが白のワンピース姿で現れた。おお……まるで清楚を擬人化したような感じだな。有名カメラマンが大きな声を上げる。

「よ~し、それじゃあ、撮っていこうか!」

「は、はい……」

「じゃあ、立ったままポーズ取ってみてくれる?」

「こ、こうですか……?」

「う~ん、ちょっと硬いかな?」

「す、すみません……」

「謝らなくても良いよ~♪ あ、笑顔ね、笑顔♪」

「は、はい……」

 アユミが笑みを浮かべる。ちょっとぎこちない感じだ……。カメラマンが首を捻る。

「う~ん、もっと自然な感じでお願い出来る?」

「え、えっと……」

「ちょっと違うかな~」

 アユミ、手こずっているな。別に暗い性格でもないんだけど、自然な感じで笑顔を作れって言われても難しいよな……。そうだ!

「……!」

「? ⁉」

 俺はカメラマンの背後に回り、ギャラクシーフェアリーズの振り付けをマネする。もちろん、素人のダンスなので無茶苦茶だ。しかし、結構覚えているので、なんとなくそれっぽくはなる。それでも滑稽な動きであることには間違いない。アユミはそんな俺を見て、思わず噴き出してしまう。カメラマンが声を上げる。

「おお~良いね、その笑顔だよ、そういう感じでドンドン行こうか!」

 その後、緊張が解けて、リラックスしたアユミは撮影を順調にこなしていく。5パターン目の衣装を撮り終えると、スタッフが声を上げる。

「それでは、本日の撮影は以上でーす!」

「いや~良かったよ、アユミちゃん♪ 実はね、近くの高級ホテルに部屋を取っているんだ。どうかな、食事の後にプライベートな撮影でも……って⁉」

「あ、ありがとうございます! お、お疲れ様でした!」

 アユミ、自分の肩に馴れ馴れしく手をまわそうとしたカメラマンの肩を一瞬だけ脱臼させてすぐに戻したな……。なんという早業だ。見逃さなかった俺も恐ろしい……。カメラマンが戸惑っている内に退散しよう……。
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