25 / 51
第1回公演
第6惑星(4)悪魔的なギャル達
しおりを挟む
「さて、今度こそ勝負はついたよね……」
ネラが口を開く。ビアンカが頷く。
「それじゃあ、タスマっちはアタシらのマネージャーになるってことで……」
「ちょ、ちょっと待って下さい!」
アユミが声を上げる。
「え?」
「ま、まだ、わたしが残っています!」
「はい?」
「どうしてもマネージャーさんを我が物にしたいというのなら、このわたしを倒してからにして下さい!」
「我が物って……」
「アタシの場合、連戦になるんだけど? 体力的にお嬢ちゃんが有利じゃない?」
「そ、そうでした!」
「そうでしたって……」
「で、では、お二人同時にかかってきてもらって構いません!」
「は?」
「それでちょうど良いはずです!」
「あ?」
「ううっ⁉ そ、そんなに睨まれたって平気です!」
アユミがややビビっている。いや、ギャルたちに睨まれているのは、君がナチュラルに煽っているからだからね?
「ア、アユミ……」
「さ、さあ! どこからでもかかってきなさい!」
あ、自覚なしだわ、これ。
「随分と舐めたこと言ってくれんじゃん!」
「ちょい待ち……」
ピキっていたビアンカをネラが落ち着かせる。黒ギャルの方が白ギャルより冷静なんだな……これは少し偏見が過ぎるか。
「……なによ、ネラ?」
「さすがに2対1で戦うとか、ウチらがダサすぎっしょ……」
「まあ、確かに……」
「に、逃げるんですか⁉」
「いや、なんで、そっちが優位みたいになってんのよ……誰かいないの?」
「え? で、では、マネージャーさんとわたしがお相手しましょう!」
「ええっ⁉」
まさかの俺参戦⁉
「却下、マネージャーを賭けてんのに、マネージャー本人が出てきてどうすんの……」
「あ、そうか……」
「そうかって……お仲間はまだ回復しなさそうだし、ウチらの勝ちってことで……」
「ま、待って下さい! この子がいます!」
「キュイ!」
アユミの肩からテュロンが顔を覗かせる。ネラたちは思わず噴き出す。
「! プッ、アハハッ! なにそれ?」
「なによそれ、リス? かわいい~」
「この子はテュロンです!」
アユミが真っすぐな瞳で答える。ビアンカの顔色が変わる。
「……なに? マジでそのペットを頭数に入れてんの?」
「ええ!」
「だってよ、ネラ……これでも待つの?」
「いや、さすがにウチもピキっときたわ……お嬢ちゃん、少し痛い目見てもらおうか……」
「秒でケリつけるし!」
ビアンカが早速仕掛けようとする。アユミが叫ぶ。
「テュロン!」
「キュイ‼」
「なっ⁉」
テュロンが大型犬を一回り大きくしたような大きさに変わり、ビアンカたちは面喰らう。
「はっ!」
アユミがテュロンに跨り、ビアンカの脇を素早くすり抜ける。ネラが声を上げる。
「機動力で上回る気⁉」
「お覚悟!」
「くっ⁉」
アユミが短剣を突き立てようとするが、ネラがフライパンでそれを防ぐ。
「甘いから!」
「テュロン、一旦距離を取って!」
アユミがテュロンを軽快に走らせる。ビアンカが舌打ちし、拳銃を取り出す。
「まずはそのうっとうしいケモノの脚を止める!」
「ア、アユミ!」
ビアンカが拳銃を何発か発砲するが、アユミはなんとかかわす。
「おっと⁉ そ、そう簡単には当たりませんよ!」
「ちっ! でもアタシらに接近することも出来ないでしょう⁉」
「ビアンカの言う通り! ジリ貧だね!」
「……ならば!」
アユミとテュロンが九組に分身する。
「はっ⁉」
「ぶ、分身⁉」
「水星出身ならではの特殊能力! テュロンまで分身するとは⁉」
ビアンカたちだけでなく、俺も度肝を抜かれる。アユミが声を上げる。
「この能力はわたしの持ち物や乗り物にも適用されます!」
「そ、そんなのあり⁉」
「きゅ、9対2ってこと⁉ 小癪なマネを!」
ビアンカが銃を連射する。ネラが諫める。
「ビアンカ、そんなに闇雲に撃っても当たらないよ!」
「クソが!」
「もらいました!」
九組のアユミとテュロンがビアンカとネラに一斉に迫る。
「し、しまった!」
「これは無理ゲーだし!」
「あらためてお覚悟!」
「……な~んちゃって」
「!」
「なっ‼」
ビアンカが舌を出したかと思うと、突如大爆発が起こる。分身状態から元に戻ったアユミとテュロンが地面に激しく叩きつけられる。
「がはっ……!」
「キュイ……!」
「テ、テロリスト鎮圧にも使っていた爆弾か……それがあったか」
「察しが良いね、タスマっち……」
ネラが俺に向かってウインクしてくる。ビアンカが両手を広げて笑う。
「……不利な状況をひっくり返すの得意なんだよね、アタシら」
「うう……」
「キュ……」
「アユミ! テュロン!」
「安心して、殺傷能力はギリギリまで抑えてあるから」
「アタシらも無駄な殺しはしたくないから……動物愛護というポリシーもあるし」
「なにそれ、初耳なんだけど」
「うん、だってついさっき決めたし」
「「アハハ!」」
ネラとビアンカが顔を見合わせて高らかに笑う。あ、悪魔か、この二人組……。
ネラが口を開く。ビアンカが頷く。
「それじゃあ、タスマっちはアタシらのマネージャーになるってことで……」
「ちょ、ちょっと待って下さい!」
アユミが声を上げる。
「え?」
「ま、まだ、わたしが残っています!」
「はい?」
「どうしてもマネージャーさんを我が物にしたいというのなら、このわたしを倒してからにして下さい!」
「我が物って……」
「アタシの場合、連戦になるんだけど? 体力的にお嬢ちゃんが有利じゃない?」
「そ、そうでした!」
「そうでしたって……」
「で、では、お二人同時にかかってきてもらって構いません!」
「は?」
「それでちょうど良いはずです!」
「あ?」
「ううっ⁉ そ、そんなに睨まれたって平気です!」
アユミがややビビっている。いや、ギャルたちに睨まれているのは、君がナチュラルに煽っているからだからね?
「ア、アユミ……」
「さ、さあ! どこからでもかかってきなさい!」
あ、自覚なしだわ、これ。
「随分と舐めたこと言ってくれんじゃん!」
「ちょい待ち……」
ピキっていたビアンカをネラが落ち着かせる。黒ギャルの方が白ギャルより冷静なんだな……これは少し偏見が過ぎるか。
「……なによ、ネラ?」
「さすがに2対1で戦うとか、ウチらがダサすぎっしょ……」
「まあ、確かに……」
「に、逃げるんですか⁉」
「いや、なんで、そっちが優位みたいになってんのよ……誰かいないの?」
「え? で、では、マネージャーさんとわたしがお相手しましょう!」
「ええっ⁉」
まさかの俺参戦⁉
「却下、マネージャーを賭けてんのに、マネージャー本人が出てきてどうすんの……」
「あ、そうか……」
「そうかって……お仲間はまだ回復しなさそうだし、ウチらの勝ちってことで……」
「ま、待って下さい! この子がいます!」
「キュイ!」
アユミの肩からテュロンが顔を覗かせる。ネラたちは思わず噴き出す。
「! プッ、アハハッ! なにそれ?」
「なによそれ、リス? かわいい~」
「この子はテュロンです!」
アユミが真っすぐな瞳で答える。ビアンカの顔色が変わる。
「……なに? マジでそのペットを頭数に入れてんの?」
「ええ!」
「だってよ、ネラ……これでも待つの?」
「いや、さすがにウチもピキっときたわ……お嬢ちゃん、少し痛い目見てもらおうか……」
「秒でケリつけるし!」
ビアンカが早速仕掛けようとする。アユミが叫ぶ。
「テュロン!」
「キュイ‼」
「なっ⁉」
テュロンが大型犬を一回り大きくしたような大きさに変わり、ビアンカたちは面喰らう。
「はっ!」
アユミがテュロンに跨り、ビアンカの脇を素早くすり抜ける。ネラが声を上げる。
「機動力で上回る気⁉」
「お覚悟!」
「くっ⁉」
アユミが短剣を突き立てようとするが、ネラがフライパンでそれを防ぐ。
「甘いから!」
「テュロン、一旦距離を取って!」
アユミがテュロンを軽快に走らせる。ビアンカが舌打ちし、拳銃を取り出す。
「まずはそのうっとうしいケモノの脚を止める!」
「ア、アユミ!」
ビアンカが拳銃を何発か発砲するが、アユミはなんとかかわす。
「おっと⁉ そ、そう簡単には当たりませんよ!」
「ちっ! でもアタシらに接近することも出来ないでしょう⁉」
「ビアンカの言う通り! ジリ貧だね!」
「……ならば!」
アユミとテュロンが九組に分身する。
「はっ⁉」
「ぶ、分身⁉」
「水星出身ならではの特殊能力! テュロンまで分身するとは⁉」
ビアンカたちだけでなく、俺も度肝を抜かれる。アユミが声を上げる。
「この能力はわたしの持ち物や乗り物にも適用されます!」
「そ、そんなのあり⁉」
「きゅ、9対2ってこと⁉ 小癪なマネを!」
ビアンカが銃を連射する。ネラが諫める。
「ビアンカ、そんなに闇雲に撃っても当たらないよ!」
「クソが!」
「もらいました!」
九組のアユミとテュロンがビアンカとネラに一斉に迫る。
「し、しまった!」
「これは無理ゲーだし!」
「あらためてお覚悟!」
「……な~んちゃって」
「!」
「なっ‼」
ビアンカが舌を出したかと思うと、突如大爆発が起こる。分身状態から元に戻ったアユミとテュロンが地面に激しく叩きつけられる。
「がはっ……!」
「キュイ……!」
「テ、テロリスト鎮圧にも使っていた爆弾か……それがあったか」
「察しが良いね、タスマっち……」
ネラが俺に向かってウインクしてくる。ビアンカが両手を広げて笑う。
「……不利な状況をひっくり返すの得意なんだよね、アタシら」
「うう……」
「キュ……」
「アユミ! テュロン!」
「安心して、殺傷能力はギリギリまで抑えてあるから」
「アタシらも無駄な殺しはしたくないから……動物愛護というポリシーもあるし」
「なにそれ、初耳なんだけど」
「うん、だってついさっき決めたし」
「「アハハ!」」
ネラとビアンカが顔を見合わせて高らかに笑う。あ、悪魔か、この二人組……。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
【第一章完】からくり始末記~零号と拾参号からの聞書~
阿弥陀乃トンマージ
歴史・時代
江戸の世に入って、しばらくが経った頃、とある老中のもとに、若い女子が呼び寄せられた。訝しげに見つめる老中だったが、その女子は高い実力を示す。それを目の当たりにした老中は女子に、日本各地に点在している、忌まわしきものの破壊工作を命じる。『藤花』という女子はそれを了承した。
出発の日の早朝、藤花の前に不思議な雰囲気の長身の男が立っていた。杖と盾しか持っていない男の名は『楽土』。自らが役目をこなせるかどうかの監視役かなにかであろうと思った藤花は、あえて楽土が同行することを許す。
藤花と楽土は互いの挨拶もそこそこに、江戸の町を出立する。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【BIO DEFENSE】 ~終わった世界に作られる都市~
こばん
SF
世界は唐突に終わりを告げる。それはある日突然現れて、平和な日常を過ごす人々に襲い掛かった。それは醜悪な様相に異臭を放ちながら、かつての日常に我が物顔で居座った。
人から人に感染し、感染した人はまだ感染していない人に襲い掛かり、恐るべき加速度で被害は広がって行く。
それに対抗する術は、今は無い。
平和な日常があっという間に非日常の世界に変わり、残った人々は集い、四国でいくつかの都市を形成して反攻の糸口と感染のルーツを探る。
しかしそれに対してか感染者も進化して困難な状況に拍車をかけてくる。
さらにそんな状態のなかでも、権益を求め人の足元をすくうため画策する者、理性をなくし欲望のままに動く者、この状況を利用すらして己の利益のみを求めて動く者らが牙をむき出しにしていきパニックは混迷を極める。
普通の高校生であったカナタもパニックに巻き込まれ、都市の一つに避難した。その都市の守備隊に仲間達と共に入り、第十一番隊として活動していく。様々な人と出会い、別れを繰り返しながら、感染者や都市外の略奪者などと戦い、都市同士の思惑に巻き込まれたりしながら日々を過ごしていた。
そして、やがて一つの真実に辿り着く。
それは大きな選択を迫られるものだった。
bio defence
※物語に出て来るすべての人名及び地名などの固有名詞はすべてフィクションです。作者の頭の中だけに存在するものであり、特定の人物や場所に対して何らかの意味合いを持たせたものではありません。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる