108 / 109
『ケース3:パーティーを追放されてからチート魔法に目覚めて無双、モテモテハーレムライフを送りたい魔法使いユメナムの場合』
第3話(3)伸び代しかない
しおりを挟む
「来ないならこっちから行くよ!」
「うええっ⁉」
「はいっ!」
「がはっ!」
「えいっ!」
「ぐはっ!」
「せいっ!」
「ごはっ!」
アギさんの繰り出す鋭い突きを立て続けに食らい、僕はたまらず崩れ落ちる。
「あらら……ことごとくクリーンヒット……」
「むぐう……」
「ちょっとは避けるなり防いだりしなよ~」
「む、無茶を言わないで下さい……こちとらかよわい魔法使いですよ?」
「かよわいって」
「接近戦なんて無理ですよ……」
「強くなってもらわないと困るんだよ」
「例の変化する魔法があるから大丈夫ですよ……」
「とはいってもさ……」
アギさんがしゃがんで、こちらを覗き込んでくる。
「え?」
「ある程度基礎となる戦闘力は高めておかないと駄目なんじゃない?」
「む……」
「違うかな?」
アギさんが首を傾げる。
「ま、まあ、理屈としては分からないでもないですが……」
「でしょ?」
アギさんが屈託のない笑顔を浮かべる。
「う、う~ん……」
「それじゃあ、ほら立って立って」
「は、はい……」
僕はなんとか立ち上がる。アギさんが少し距離を取って向き直る。
「それじゃあ行くよ~」
「ちょ、ちょっと待って下さい!」
「うん?」
「やっぱり無理なものは無理ですよ……」
「弱音を吐かないの」
「し、しかしですね……」
「手加減してあげるからさ」
「……本当ですか?」
「マジマジ、大体の実力は分かったからさ」
「はあ……」
「良いね?」
「は、はい……!」
「ほいっ!」
「どはっ!」
「ていっ!」
「ぶはっ!」
アギさんの切れ味ある蹴りを食らい、僕はまたもや崩れ落ちる。
「あらら……またもや……手加減したんだけどな~」
「蹴りじゃないですか! 足加減して下さい!」
「足加減って……」
僕の意味不明な発言にアギさんは戸惑う。
「下半身を狙うなんて聞いてないです!」
「素直に言う馬鹿はいないでしょ」
「そ、それは確かにそうですが……」
「まあいいや、立てるでしょ?」
「え? ま、まだ続けるんですか……?」
「そりゃあねえ」
「い、いつまでやるおつもりですか?」
「それなりにモノになるまでかな~」
「そ、そんなの無理ですって!」
「ううん、無理じゃないよ」
アギさんが首を左右に振る。
「で、ですが……この体たらくですよ?」
「逆に言えば……」
「逆に?」
「伸び代があるよ♪」
「物は言いような気が……」
「さあ、続けるよ♪」
「くっ……」
僕はどうにかこうにか立ち上がる。もはや結構ボロボロなんだが……。
「……」
「はあっ!」
「うん!」
「たあっ!」
「ふん!」
「やあっ!」
「むん!」
「……はあ、はあ……」
「うん、なかなか良くなってきたよ」
肩で息をする僕に対し、アギさんが笑顔で声をかけてくる。
「ほ、本当ですか……?」
「マジだよ」
「でも、一度も攻撃を当てられませんでした……」
「そりゃあ、アタシは結構な達人だし」
アギさんが首をすくめる。
「きゃあ!」
「なっ!」
悲鳴の上がった方に視線を向けると、ギャング・イハタゲの連中が暴れていた。
「あいつら……」
「アギさん! 街の平穏を守るときです!」
「ああ……おい、お前ら!」
「ああん?」
「この魔法使い、ユメナムちゃんが相手だ!」
アギさんが僕を指し示す。
「ええっ⁉ 僕が行くんですか⁉」
「見た感じちょうどいい相手だよ」
「そ、そんな……」
「魔法使いだあ? そんなひ弱な野郎に何が出来る!」
「さあ、功夫の成果を見せるときだよ!」
「くっ!」
「!」
「‼」
「⁉」
僕は向かってきたギャング三人を簡単にのしてしまった。
「えっ……この短時間で強くなっている……?」
「こういうのは案外コツを掴めば早いもんなんだって♪」
アギさんが僕を見てウインクする。
「うええっ⁉」
「はいっ!」
「がはっ!」
「えいっ!」
「ぐはっ!」
「せいっ!」
「ごはっ!」
アギさんの繰り出す鋭い突きを立て続けに食らい、僕はたまらず崩れ落ちる。
「あらら……ことごとくクリーンヒット……」
「むぐう……」
「ちょっとは避けるなり防いだりしなよ~」
「む、無茶を言わないで下さい……こちとらかよわい魔法使いですよ?」
「かよわいって」
「接近戦なんて無理ですよ……」
「強くなってもらわないと困るんだよ」
「例の変化する魔法があるから大丈夫ですよ……」
「とはいってもさ……」
アギさんがしゃがんで、こちらを覗き込んでくる。
「え?」
「ある程度基礎となる戦闘力は高めておかないと駄目なんじゃない?」
「む……」
「違うかな?」
アギさんが首を傾げる。
「ま、まあ、理屈としては分からないでもないですが……」
「でしょ?」
アギさんが屈託のない笑顔を浮かべる。
「う、う~ん……」
「それじゃあ、ほら立って立って」
「は、はい……」
僕はなんとか立ち上がる。アギさんが少し距離を取って向き直る。
「それじゃあ行くよ~」
「ちょ、ちょっと待って下さい!」
「うん?」
「やっぱり無理なものは無理ですよ……」
「弱音を吐かないの」
「し、しかしですね……」
「手加減してあげるからさ」
「……本当ですか?」
「マジマジ、大体の実力は分かったからさ」
「はあ……」
「良いね?」
「は、はい……!」
「ほいっ!」
「どはっ!」
「ていっ!」
「ぶはっ!」
アギさんの切れ味ある蹴りを食らい、僕はまたもや崩れ落ちる。
「あらら……またもや……手加減したんだけどな~」
「蹴りじゃないですか! 足加減して下さい!」
「足加減って……」
僕の意味不明な発言にアギさんは戸惑う。
「下半身を狙うなんて聞いてないです!」
「素直に言う馬鹿はいないでしょ」
「そ、それは確かにそうですが……」
「まあいいや、立てるでしょ?」
「え? ま、まだ続けるんですか……?」
「そりゃあねえ」
「い、いつまでやるおつもりですか?」
「それなりにモノになるまでかな~」
「そ、そんなの無理ですって!」
「ううん、無理じゃないよ」
アギさんが首を左右に振る。
「で、ですが……この体たらくですよ?」
「逆に言えば……」
「逆に?」
「伸び代があるよ♪」
「物は言いような気が……」
「さあ、続けるよ♪」
「くっ……」
僕はどうにかこうにか立ち上がる。もはや結構ボロボロなんだが……。
「……」
「はあっ!」
「うん!」
「たあっ!」
「ふん!」
「やあっ!」
「むん!」
「……はあ、はあ……」
「うん、なかなか良くなってきたよ」
肩で息をする僕に対し、アギさんが笑顔で声をかけてくる。
「ほ、本当ですか……?」
「マジだよ」
「でも、一度も攻撃を当てられませんでした……」
「そりゃあ、アタシは結構な達人だし」
アギさんが首をすくめる。
「きゃあ!」
「なっ!」
悲鳴の上がった方に視線を向けると、ギャング・イハタゲの連中が暴れていた。
「あいつら……」
「アギさん! 街の平穏を守るときです!」
「ああ……おい、お前ら!」
「ああん?」
「この魔法使い、ユメナムちゃんが相手だ!」
アギさんが僕を指し示す。
「ええっ⁉ 僕が行くんですか⁉」
「見た感じちょうどいい相手だよ」
「そ、そんな……」
「魔法使いだあ? そんなひ弱な野郎に何が出来る!」
「さあ、功夫の成果を見せるときだよ!」
「くっ!」
「!」
「‼」
「⁉」
僕は向かってきたギャング三人を簡単にのしてしまった。
「えっ……この短時間で強くなっている……?」
「こういうのは案外コツを掴めば早いもんなんだって♪」
アギさんが僕を見てウインクする。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
異世界で等価交換~文明の力で冒険者として生き抜く
りおまる
ファンタジー
交通事故で命を落とし、愛犬ルナと共に異世界に転生したタケル。神から授かった『等価交換』スキルで、現代のアイテムを異世界で取引し、商売人として成功を目指す。商業ギルドとの取引や店舗経営、そして冒険者としての活動を通じて仲間を増やしながら、タケルは異世界での新たな人生を切り開いていく。商売と冒険、二つの顔を持つ異世界ライフを描く、笑いあり、感動ありの成長ファンタジー!
イチメハ!! カン違いで始まる物語
二コ・タケナカ
ファンタジー
「主人公が目を覚ますとそこは異世界だった!」で始まる転生ファンタジー小説です。メインは転生者の男性と、それを見つけたエルフの女性の話です。勘違いが勘違いを呼び、それでもなぜか上手く転がっていき、最後にはアッと驚く勘違いが待っているとかいないとか・・・。
ちょいちょいエロシーンも出てきますが、やきもきする程度のものなので気軽に読めると思います。
文字数は80万字越えの長編です。順次公開していきますのでよろしくお願いします。
美しくも残酷な世界に花嫁(仮)として召喚されたようです~酒好きアラサーは食糧難の世界で庭を育てて煩悩のままに生活する
くみたろう
ファンタジー
いつもと変わらない日常が一変するのをただの会社員である芽依はその身をもって知った。
世界が違った、価値観が違った、常識が違った、何もかもが違った。
意味がわからなかったが悲観はしなかった。
花嫁だと言われ、その甘い香りが人外者を狂わすと言われても、芽依の周りは優しさに包まれている。
そばに居るのは巨大な蟻で、いつも優しく格好良く守ってくれる。
奴隷となった大好きな二人は本心から芽依を愛して側にいてくれる。
麗しい領主やその周りの人外者達も、話を聞いてくれる。
周りは酷く残酷な世界だけれども、芽依はたまにセクハラをして齧りつきながら穏やかに心を育み生きていく。
それはこの美しく清廉で、残酷でいておぞましい御伽噺の世界の中でも慈しみ育む人外者達や異世界の人間が芽依を育て守ってくれる。
お互いの常識や考えを擦り合わせ歩み寄り、等価交換を基盤とした世界の中で、優しさを育てて自分の居場所作りに励む。
全ては幸せな気持ちで大好きなお酒を飲む為であり、素敵な酒のつまみを開発する日々を送るためだ。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が子離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
レディース異世界満喫禄
日の丸
ファンタジー
〇城県のレディース輝夜の総長篠原連は18才で死んでしまう。
その死に方があまりな死に方だったので運命神の1人に異世界におくられることに。
その世界で出会う仲間と様々な体験をたのしむ!!
別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが
まっど↑きみはる
ファンタジー
「我が宿敵!! あなたに、私の夫となる権利をあげるわ!!」
そう、王国騎士『マルクエン・クライス』は、敵対していた魔剣士の女『ラミッタ・ピラ』にプロポーズを受けのだ。
The Outer Myth :Ⅰ ~目覚めの少女と嘆きの神~
とちのとき
SF
少女達が紡ぐのは、絆と神話の続き・・・。
主人公の女子高生、豊受イナホ。彼女は神々と人々が当たり前のように共存する地、秋津国で平凡な生活を送っていた。しかし、そこでは未知なる危険生物・クバンダにより平和が蝕まれつつあった。何の取り柄もない彼女はある事件をきっかけに母の秘密を探る事になり、調査を進めるうち運命の渦へと巻き込まれていく。その最中、ニホンからあらゆる漂流物が流れ着く摩訶不思議な池、霞み池に、記憶を失った人型AGI(汎用人工知能)の少女ツグミが漂着する。彼女との出会いが少年少女達を更なる冒険へと導くのだった。
【アウターミス パート1~目覚めの少女と嘆きの神~】は、近未来和風SFファンタジー・完結保証・挿絵有(生成AI使用無し)・各章間にパロディ漫画付き☆不定期更新なのでお気に入り登録推奨
【作者より】
他サイトで投稿していたフルリメイクになります。イラスト製作と並行して更新しますので、不定期且つノロノロになるかと。完全版が読めるのはアルファポリスだけ!
本作アウターミスは三部作予定です。現在第二部のプロットも進行中。乞うご期待下さい!
過去に本作をイメージしたBGMも作りました。ブラウザ閲覧の方は目次下部のリンクから。アプリの方はYouTube内で「とちのとき アウターミス」と検索。で、視聴できます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる