22 / 109
『ケース1:Dランク異世界でのまったりとしたスローライフを希望するCランク勇者ショー=ロークの場合』
第6話(2)ランクとかそういうのじゃないから
しおりを挟む
「あ、し、失礼しました……」
俺は頭を下げる。メラヌが尋ねる。
「間に合っているということは既に?」
「うむ、我が領内の別の町にいる神官や僧侶、また親交関係にある他の領主たちが召喚した転生者のパーティーがちょうど昨晩こちらに到着したのだ」
「転生者のパーティー?」
俺は顔を上げる。そんなことがあり得るのか? 領主が側に控える少年に尋ねる。
「彼らは今どこか?」
「セントラ様と一の客間で歓談中でございます」
少年は淀みなく答える。
「そうか、こちらに呼んで参れ」
「かしこまりました」
少年が一礼し、応接の間を出る。程なくして、五人の若き男女と一人の老人が応接の間にやってきた。並ぶ場所を変えた俺たちとちょうど向かい合うような形になる。
「セントラ、こちらへ」
「はっ……」
セントラと呼ばれた禿頭の老人が領主の下へ歩み寄り、何やら小声でやりとりを交わす。やりとりを終えた後、セントラは軽く一礼して、領主の側から離れる。領主は頷いた後、俺たちの方を申し訳なさそうな表情で見つめ、こう告げてくる。
「……メラヌ、申し訳ないがそなたらを援助することは出来ない」
「……大方の察しはつきますが、せめて理由をお聞かせ下さい」
メラヌの淡々とした問いに対し、領主はあご鬚をさすりながら答える。
「ふむ、説明が無ければ納得出来ぬだろう……理由は二つ。一つは外交的理由だ」
「外交的理由?」
「先程も申したように、こちらのパーティーの中には他の領主たちが召喚した転生者もいる。そこを我が方から半ば無理を言って、貸し出してもらっているような形なのだ」
「借りたということですか、何故に?」
「転生者一人でも十分強力ではあるが、パーティーを組ませた方がより強力になるだろう……と、こちらのセントラから提案があってな」
「成程……」
メラヌは視線を向けるとセントラは軽く頭を下げた。
「ここでやはり他のパーティーを援助するとなると、我らを信用してくれた他の領主たちとの関係がまずくなる恐れがある」
「戦力は多いに越したことはありません。双方を援助してもらうわけには?」
「そこでもう一つの理由、財政的な理由だ」
「財政的理由ですか……」
領主は俯き加減に話す。
「見事、魔王討伐を成し遂げた暁には、ただその労をねぎらうだけではなく、それなりの褒美を取らせなければならない。世間体もあるからな。しかし、あまり大きな声では言えぬが、我が方には二つのパーティーに同等の報奨金を支払う余裕はとても無い」
「そうですか……」
「これで納得してくれたか?」
メラヌは少し間を空けて答える。
「領主様、こちらのショー=ローク殿は富も名声も欲してはおりません」
「⁉」
「なんと⁉ まことか?」
メラヌは俺の方に振り返り、軽くウィンクしてくる。広い応接の間にいる全ての者の注目が俺に集まる。ここで俺の『良い恰好しい』スキルが発動する。俺は領主に告げる。
「領主様、たった今メラヌ殿が申したように、私たちは富も名声も欲しくはありません」
「私たちと言ったな、他の者もか?」
「ええ、例えばこちらのスティラは自分自身の見聞を広める為、私に同行してくれました。そうですよね、スティラ?」
「は、はい……山奥の集落出身の為、世間知らずなところが多々ありまして……」
「こちらのモンドは己の武芸の研鑽が何よりの目的です。ですよね、モンド?」
「全くもっておっしゃる通りでござる」
「アパネは一族の為、武勇伝を増やすのが目的です。ね、アパネ?」
「え? ま、まあ、そういうことにしておくかな……」
「最後にルドンナ、彼女はただ好奇心を満たすのが願いです。そうでしたよね?」
「ちょっと待ってよ。それじゃあアタシ、単なる奇人変人じゃない……」
「ルドンナ」
「はい、はい、そうです、まったく勇者様の仰せの通りでございます」
ルドンナがやけくそ気味に頷く。俺は領主の方に向き直る。
「お聞きの通りです。私たちは富も名声も欲しません。ただ一つ望むのは……」
「望むのは?」
「今朝の戦闘で生じた被害に対する補償です。無論、我々に対してではなく、宿屋やホテル、市場の方々への損害補償です」
「なんと、それだけで良いと申すか!」
「ええ」
俺はこれ以上ないほどの笑顔で頷く。ルドンナの軽い舌打ちが聞こえたが気にしない。
「これはこれは、想像以上の人格者……噂などまったく当てにはなりませんな」
セントラが口を開く。どんな噂が流れていたんだろう? 聞かないでおこう。
「ご領主様、如何でしょうか? 彼らも討伐に向かってもらうというのは?」
「そなたがそれを言うのか?」
「ええ、正直私は胸を打たれました。なんと言っても彼らのお陰で、昨夜から今朝にかけての騒動でも死傷者を0に抑えることが出来ました。実力の程は疑いようがありません」
領主は腕を組んで首を捻る。
「とは言っても、報奨金を全く出さぬという訳にはいかぬだろう……」
「地方全体の危機と一領地の財政危機、天秤にかけることでしょうか?」
「それもそうだな……よし分かった! 両方のパーティーを援助することにしよう。詳細についてはセントラ、そなたの方で決めておいてくれ」
「かしこまりました……」
セントラが頭を下げる。領主は応接の間を出ていく。頭を上げたセントラが告げる。
「では場所を移しましょう。会議の間にご案内します」
俺たちはセントラに続いて、会議の間と呼ばれる部屋に移動する。各自、思い思いの座席につき、セントラからの説明を受ける。
「こちらのローク殿たちには急な話となりますが、三日後に魔王討伐へ出発して頂きます。それまではこの城内でお過ごし下さい。必要なものなどあれば申し出て下さい」
「魔王の場所に見当がついているのですか?」
俺の問いにセントラが頷く。
「この領内の南端に位置する古代神殿……そちらに魔族やそれに与する連中が集結しつつあるという報告を受けています。実際のところは不明ですが、恐らく魔王の完全復活までもはやそれほど猶予は残されていないと考えて宜しいかと……」
「そうですか……」
セントラは説明を続ける。
「この都市の南に広がる広大な森を抜けた所に、古代神殿はあります。森などに出没する下級モンスターなどは我が方の兵が片付けます。言ってみれば道中の露払いですな。その後の神殿周辺や神殿にいるであろう上級魔族のお相手を皆様にお願いしたいのです。戦い方などは一任致します。それぞれのやり方があるでしょうからな……今日の所はお疲れでしょうから、顔合わせの挨拶などは明日以降としましょう。甚だ簡単ではありますが、説明は以上とさせて頂きます」
その後、俺たちは決して広くはないが狭くもない部屋にそれぞれ案内された。三日後の出発まで英気を養えということであろう。やや遅めの昼食を終えた俺は腹ごなしに城内を散策することにした。立派な中庭が目に入ったところで、背後から声を掛けられる。
「おい、口だけのヘボ勇者」
振り返ると、銀色の甲冑に身を包んだオレンジ髪の男がニヤニヤして立っている。
「……なんでしょうか?」
「上手く取り入りやがって。手柄を横取りしようとしたって、そうはいかねえぞ」
「貴方も転生者なのですよね……転生者同士で揉めても致し方ありません」
俺は冷静に答えるよう努める。
「はっきり言って、お前らの出る幕は無えぞ。手柄は俺たちのものだ」
「別にそれはいいです……それにしても随分と自信たっぷりな物言いですね。まるで魔王討伐を確信しているかのようだ」
「当たり前だろ、俺を誰だと思っている? SSランク勇者、アザマ様だぞ?」
「⁉」
「あそこで筋トレしている坊主頭のマッチョがSランク戦士のエレッツオ、ベンチに腰掛けて、これ見よがしに小難しい魔導書を読んでいる眼鏡がAAAランク僧侶のレイトゥ、柱に気怠そうにもたれかかっている女が、AAランクのビーストテイマー、獣使いのキコハだ」
「な……!」
俺は思わず絶句してしまう。他の転生者と同じ異世界で遭遇するのはそう珍しいことではないが、俺がこれまで会ったのはBランクの遊び人が最高だ。Aランク以上を見たのは初めてだ。サインとか貰いたいくらいだ。っていうか、Aランク以上になるとそこまで細分化されるのか、全然知らなかった。アザマが俺に顔を近づけてくる。かなりのイケメンだな、良い匂いもするし、恰好も全体的にシャープでオシャレな感じだ。なんかずるい。そんなことを考えているとアザマが口を開く。
「顔とかはその都度変化するとして……ショー=ロークねえ……聞いたことが無えなあ、お前、ランクはいくつだ?」
「……cランクです」
「ええっ? なんつった?」
「か、限りなくB寄りのcランクです……」
「ぶつぶつ言って聞こえねえんだよ!」
「わ、私はその、アレですから! ランクとかそういうものに囚われてないですから!」
「! 急に大声出すなよ! ランクに囚われてないってなんだよ!」
「その……個性とか、気持ちの面を主に見てもらいたいなって思っていますから!」
「わけわかんねえこと言ってんじゃねえぞ!」
「……アザマ、合同鍛錬の時間……」
「「⁉」」
いつの間にか俺たちの近くに黒いローブを着た小柄な女の子が立っていた。フードを目深に被っており、その表情は伺いしれない。女の子はスタスタと歩き去っていく。
「か、彼女も転生者ですか?」
「いや、この世界の奴だ、名前はアリン。気配を消すのが得意な変わった女だ。腕は立つから、パーティーに加えた……まあいい、お前ら、くれぐれも俺たちの邪魔をすんなよ」
アザマが立ち去る。エリートぶった気に食わないやつだ、まあ実際エリートなんだが。しかし決まった時間に合同で鍛錬とか意識高いな、油断も慢心もないじゃないか。本当に俺たちの出る幕はなさそうだな……俺は頭を軽く抑える。
俺は頭を下げる。メラヌが尋ねる。
「間に合っているということは既に?」
「うむ、我が領内の別の町にいる神官や僧侶、また親交関係にある他の領主たちが召喚した転生者のパーティーがちょうど昨晩こちらに到着したのだ」
「転生者のパーティー?」
俺は顔を上げる。そんなことがあり得るのか? 領主が側に控える少年に尋ねる。
「彼らは今どこか?」
「セントラ様と一の客間で歓談中でございます」
少年は淀みなく答える。
「そうか、こちらに呼んで参れ」
「かしこまりました」
少年が一礼し、応接の間を出る。程なくして、五人の若き男女と一人の老人が応接の間にやってきた。並ぶ場所を変えた俺たちとちょうど向かい合うような形になる。
「セントラ、こちらへ」
「はっ……」
セントラと呼ばれた禿頭の老人が領主の下へ歩み寄り、何やら小声でやりとりを交わす。やりとりを終えた後、セントラは軽く一礼して、領主の側から離れる。領主は頷いた後、俺たちの方を申し訳なさそうな表情で見つめ、こう告げてくる。
「……メラヌ、申し訳ないがそなたらを援助することは出来ない」
「……大方の察しはつきますが、せめて理由をお聞かせ下さい」
メラヌの淡々とした問いに対し、領主はあご鬚をさすりながら答える。
「ふむ、説明が無ければ納得出来ぬだろう……理由は二つ。一つは外交的理由だ」
「外交的理由?」
「先程も申したように、こちらのパーティーの中には他の領主たちが召喚した転生者もいる。そこを我が方から半ば無理を言って、貸し出してもらっているような形なのだ」
「借りたということですか、何故に?」
「転生者一人でも十分強力ではあるが、パーティーを組ませた方がより強力になるだろう……と、こちらのセントラから提案があってな」
「成程……」
メラヌは視線を向けるとセントラは軽く頭を下げた。
「ここでやはり他のパーティーを援助するとなると、我らを信用してくれた他の領主たちとの関係がまずくなる恐れがある」
「戦力は多いに越したことはありません。双方を援助してもらうわけには?」
「そこでもう一つの理由、財政的な理由だ」
「財政的理由ですか……」
領主は俯き加減に話す。
「見事、魔王討伐を成し遂げた暁には、ただその労をねぎらうだけではなく、それなりの褒美を取らせなければならない。世間体もあるからな。しかし、あまり大きな声では言えぬが、我が方には二つのパーティーに同等の報奨金を支払う余裕はとても無い」
「そうですか……」
「これで納得してくれたか?」
メラヌは少し間を空けて答える。
「領主様、こちらのショー=ローク殿は富も名声も欲してはおりません」
「⁉」
「なんと⁉ まことか?」
メラヌは俺の方に振り返り、軽くウィンクしてくる。広い応接の間にいる全ての者の注目が俺に集まる。ここで俺の『良い恰好しい』スキルが発動する。俺は領主に告げる。
「領主様、たった今メラヌ殿が申したように、私たちは富も名声も欲しくはありません」
「私たちと言ったな、他の者もか?」
「ええ、例えばこちらのスティラは自分自身の見聞を広める為、私に同行してくれました。そうですよね、スティラ?」
「は、はい……山奥の集落出身の為、世間知らずなところが多々ありまして……」
「こちらのモンドは己の武芸の研鑽が何よりの目的です。ですよね、モンド?」
「全くもっておっしゃる通りでござる」
「アパネは一族の為、武勇伝を増やすのが目的です。ね、アパネ?」
「え? ま、まあ、そういうことにしておくかな……」
「最後にルドンナ、彼女はただ好奇心を満たすのが願いです。そうでしたよね?」
「ちょっと待ってよ。それじゃあアタシ、単なる奇人変人じゃない……」
「ルドンナ」
「はい、はい、そうです、まったく勇者様の仰せの通りでございます」
ルドンナがやけくそ気味に頷く。俺は領主の方に向き直る。
「お聞きの通りです。私たちは富も名声も欲しません。ただ一つ望むのは……」
「望むのは?」
「今朝の戦闘で生じた被害に対する補償です。無論、我々に対してではなく、宿屋やホテル、市場の方々への損害補償です」
「なんと、それだけで良いと申すか!」
「ええ」
俺はこれ以上ないほどの笑顔で頷く。ルドンナの軽い舌打ちが聞こえたが気にしない。
「これはこれは、想像以上の人格者……噂などまったく当てにはなりませんな」
セントラが口を開く。どんな噂が流れていたんだろう? 聞かないでおこう。
「ご領主様、如何でしょうか? 彼らも討伐に向かってもらうというのは?」
「そなたがそれを言うのか?」
「ええ、正直私は胸を打たれました。なんと言っても彼らのお陰で、昨夜から今朝にかけての騒動でも死傷者を0に抑えることが出来ました。実力の程は疑いようがありません」
領主は腕を組んで首を捻る。
「とは言っても、報奨金を全く出さぬという訳にはいかぬだろう……」
「地方全体の危機と一領地の財政危機、天秤にかけることでしょうか?」
「それもそうだな……よし分かった! 両方のパーティーを援助することにしよう。詳細についてはセントラ、そなたの方で決めておいてくれ」
「かしこまりました……」
セントラが頭を下げる。領主は応接の間を出ていく。頭を上げたセントラが告げる。
「では場所を移しましょう。会議の間にご案内します」
俺たちはセントラに続いて、会議の間と呼ばれる部屋に移動する。各自、思い思いの座席につき、セントラからの説明を受ける。
「こちらのローク殿たちには急な話となりますが、三日後に魔王討伐へ出発して頂きます。それまではこの城内でお過ごし下さい。必要なものなどあれば申し出て下さい」
「魔王の場所に見当がついているのですか?」
俺の問いにセントラが頷く。
「この領内の南端に位置する古代神殿……そちらに魔族やそれに与する連中が集結しつつあるという報告を受けています。実際のところは不明ですが、恐らく魔王の完全復活までもはやそれほど猶予は残されていないと考えて宜しいかと……」
「そうですか……」
セントラは説明を続ける。
「この都市の南に広がる広大な森を抜けた所に、古代神殿はあります。森などに出没する下級モンスターなどは我が方の兵が片付けます。言ってみれば道中の露払いですな。その後の神殿周辺や神殿にいるであろう上級魔族のお相手を皆様にお願いしたいのです。戦い方などは一任致します。それぞれのやり方があるでしょうからな……今日の所はお疲れでしょうから、顔合わせの挨拶などは明日以降としましょう。甚だ簡単ではありますが、説明は以上とさせて頂きます」
その後、俺たちは決して広くはないが狭くもない部屋にそれぞれ案内された。三日後の出発まで英気を養えということであろう。やや遅めの昼食を終えた俺は腹ごなしに城内を散策することにした。立派な中庭が目に入ったところで、背後から声を掛けられる。
「おい、口だけのヘボ勇者」
振り返ると、銀色の甲冑に身を包んだオレンジ髪の男がニヤニヤして立っている。
「……なんでしょうか?」
「上手く取り入りやがって。手柄を横取りしようとしたって、そうはいかねえぞ」
「貴方も転生者なのですよね……転生者同士で揉めても致し方ありません」
俺は冷静に答えるよう努める。
「はっきり言って、お前らの出る幕は無えぞ。手柄は俺たちのものだ」
「別にそれはいいです……それにしても随分と自信たっぷりな物言いですね。まるで魔王討伐を確信しているかのようだ」
「当たり前だろ、俺を誰だと思っている? SSランク勇者、アザマ様だぞ?」
「⁉」
「あそこで筋トレしている坊主頭のマッチョがSランク戦士のエレッツオ、ベンチに腰掛けて、これ見よがしに小難しい魔導書を読んでいる眼鏡がAAAランク僧侶のレイトゥ、柱に気怠そうにもたれかかっている女が、AAランクのビーストテイマー、獣使いのキコハだ」
「な……!」
俺は思わず絶句してしまう。他の転生者と同じ異世界で遭遇するのはそう珍しいことではないが、俺がこれまで会ったのはBランクの遊び人が最高だ。Aランク以上を見たのは初めてだ。サインとか貰いたいくらいだ。っていうか、Aランク以上になるとそこまで細分化されるのか、全然知らなかった。アザマが俺に顔を近づけてくる。かなりのイケメンだな、良い匂いもするし、恰好も全体的にシャープでオシャレな感じだ。なんかずるい。そんなことを考えているとアザマが口を開く。
「顔とかはその都度変化するとして……ショー=ロークねえ……聞いたことが無えなあ、お前、ランクはいくつだ?」
「……cランクです」
「ええっ? なんつった?」
「か、限りなくB寄りのcランクです……」
「ぶつぶつ言って聞こえねえんだよ!」
「わ、私はその、アレですから! ランクとかそういうものに囚われてないですから!」
「! 急に大声出すなよ! ランクに囚われてないってなんだよ!」
「その……個性とか、気持ちの面を主に見てもらいたいなって思っていますから!」
「わけわかんねえこと言ってんじゃねえぞ!」
「……アザマ、合同鍛錬の時間……」
「「⁉」」
いつの間にか俺たちの近くに黒いローブを着た小柄な女の子が立っていた。フードを目深に被っており、その表情は伺いしれない。女の子はスタスタと歩き去っていく。
「か、彼女も転生者ですか?」
「いや、この世界の奴だ、名前はアリン。気配を消すのが得意な変わった女だ。腕は立つから、パーティーに加えた……まあいい、お前ら、くれぐれも俺たちの邪魔をすんなよ」
アザマが立ち去る。エリートぶった気に食わないやつだ、まあ実際エリートなんだが。しかし決まった時間に合同で鍛錬とか意識高いな、油断も慢心もないじゃないか。本当に俺たちの出る幕はなさそうだな……俺は頭を軽く抑える。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
退屈な人生を歩んでいたおっさんが異世界に飛ばされるも無自覚チートで無双しながらネットショッピングしたり奴隷を買ったりする話
菊池 快晴
ファンタジー
無難に生きて、真面目に勉強して、最悪なブラック企業に就職した男、君内志賀(45歳)。
そんな人生を歩んできたおっさんだったが、異世界に転生してチートを授かる。
超成熟、四大魔法、召喚術、剣術、魔力、どれをとっても異世界最高峰。
極めつけは異世界にいながら元の世界の『ネットショッピング』まで。
生真面目で不器用、そんなおっさんが、奴隷幼女を即購入!?
これは、無自覚チートで無双する真面目なおっさんが、元の世界のネットショッピングを楽しみつつ、奴隷少女と異世界をマイペースに旅するほんわか物語です。
転生して異世界の第7王子に生まれ変わったが、魔力が0で無能者と言われ、僻地に追放されたので自由に生きる。
黒ハット
ファンタジー
ヤクザだった大宅宗一35歳は死んで記憶を持ったまま異世界の第7王子に転生する。魔力が0で魔法を使えないので、無能者と言われて王族の籍を抜かれ僻地の領主に追放される。魔法を使える事が分かって2回目の人生は前世の知識と魔法を使って領地を発展させながら自由に生きるつもりだったが、波乱万丈の人生を送る事になる
異世界二度目のおっさん、どう考えても高校生勇者より強い
八神 凪
ファンタジー
旧題:久しぶりに異世界召喚に巻き込まれたおっさんの俺は、どう考えても一緒に召喚された勇者候補よりも強い
【第二回ファンタジーカップ大賞 編集部賞受賞! 書籍化します!】
高柳 陸はどこにでもいるサラリーマン。
満員電車に揺られて上司にどやされ、取引先には愛想笑い。
彼女も居ないごく普通の男である。
そんな彼が定時で帰宅しているある日、どこかの飲み屋で一杯飲むかと考えていた。
繁華街へ繰り出す陸。
まだ時間が早いので学生が賑わっているなと懐かしさに目を細めている時、それは起きた。
陸の前を歩いていた男女の高校生の足元に紫色の魔法陣が出現した。
まずい、と思ったが少し足が入っていた陸は魔法陣に吸い込まれるように引きずられていく。
魔法陣の中心で困惑する男女の高校生と陸。そして眼鏡をかけた女子高生が中心へ近づいた瞬間、目の前が真っ白に包まれる。
次に目が覚めた時、男女の高校生と眼鏡の女子高生、そして陸の目の前には中世のお姫様のような恰好をした女性が両手を組んで声を上げる。
「異世界の勇者様、どうかこの国を助けてください」と。
困惑する高校生に自分はこの国の姫でここが剣と魔法の世界であること、魔王と呼ばれる存在が世界を闇に包もうとしていて隣国がそれに乗じて我が国に攻めてこようとしていると説明をする。
元の世界に戻る方法は魔王を倒すしかないといい、高校生二人は渋々了承。
なにがなんだか分からない眼鏡の女子高生と陸を見た姫はにこやかに口を開く。
『あなた達はなんですか? 自分が召喚したのは二人だけなのに』
そう言い放つと城から追い出そうとする姫。
そこで男女の高校生は残った女生徒は幼馴染だと言い、自分と一緒に行こうと提案。
残された陸は慣れた感じで城を出て行くことに決めた。
「さて、久しぶりの異世界だが……前と違う世界みたいだな」
陸はしがないただのサラリーマン。
しかしその実態は過去に異世界へ旅立ったことのある経歴を持つ男だった。
今度も魔王がいるのかとため息を吐きながら、陸は以前手に入れた力を駆使し異世界へと足を踏み出す――
1枚の金貨から変わる俺の異世界生活。26個の神の奇跡は俺をチート野郎にしてくれるはず‼
ベルピー
ファンタジー
この世界は5歳で全ての住民が神より神の祝福を得られる。そんな中、カインが授かった祝福は『アルファベット』という見た事も聞いた事もない祝福だった。
祝福を授かった時に現れる光は前代未聞の虹色⁉周りから多いに期待されるが、期待とは裏腹に、どんな祝福かもわからないまま、5年間を何事もなく過ごした。
10歳で冒険者になった時には、『無能の祝福』と呼ばれるようになった。
『無能の祝福』、『最低な能力値』、『最低な成長率』・・・
そんな中、カインは腐る事なく日々冒険者としてできる事を毎日こなしていた。
『おつかいクエスト』、『街の清掃』、『薬草採取』、『荷物持ち』、カインのできる内容は日銭を稼ぐだけで精一杯だったが、そんな時に1枚の金貨を手に入れたカインはそこから人生が変わった。
教会で1枚の金貨を寄付した事が始まりだった。前世の記憶を取り戻したカインは、神の奇跡を手に入れる為にお金を稼ぐ。お金を稼ぐ。お金を稼ぐ。
『戦闘民族君』、『未来の猫ロボット君』、『美少女戦士君』、『天空の城ラ君』、『風の谷君』などなど、様々な神の奇跡を手に入れる為、カインの冒険が始まった。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が子離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
カフェ・ユグドラシル
白雪の雫
ファンタジー
辺境のキルシュブリューテ王国に、美味い料理とデザートを出すカフェ・ユグドラシルという店があった。
この店を経営しているのは、とある準男爵夫妻である。
準男爵の妻である女性は紗雪といい、数年前にウィスティリア王国の王太子であるエドワード、彼女と共に異世界召喚された近藤 茉莉花、王国騎士であるギルバードとラルク、精霊使いのカーラと共に邪神を倒したのだ。
表向きはそう伝わっているが、事実は大いに異なる。
エドワードとギルバード、そして茉莉花は戦いと邪神の恐ろしさにgkbrしながら粗相をしていただけで、紗雪一人で倒したのだ。
邪神を倒しウィスティリア王国に凱旋したその日、紗雪はエドワードから「未来の王太子妃にして聖女である純粋無垢で可憐なマリカに嫉妬して虐めた」という事実無根な言いがかりをつけられた挙句、国外追放を言い渡されてしまう。
(純粋無垢?可憐?プフー。近藤さんってすぐにやらせてくれるから、大学では『ヤリマン』とか『サセコ』って呼ばれていたのですけどね。それが原因で、現在は性病に罹っているのよ?しかも、高校時代に堕胎をしている女を聖女って・・・。性女の間違いではないの?それなのに、お二人はそれを知らずにヤリマン・・・ではなく、近藤さんに手を出しちゃったのね・・・。王太子殿下と騎士さんの婚約者には、国を出る前に真実を伝えた上で婚約を解消する事を勧めておくとしましょうか)
「王太子殿下のお言葉に従います」
羽衣と霊剣・蜉蝣を使って九尾の一族を殲滅させた直後の自分を聖女召喚に巻き込んだウィスティリア王国に恨みを抱えていた紗雪は、その時に付与されたスキル【ネットショップ】を使って異世界で生き抜いていく決意をする。
紗雪は天女の血を引くとも言われている千年以上続く陰陽師の家に生まれた巫女にして最強の退魔師です。
篁家についてや羽衣の力を借りて九尾を倒した辺りは、後に語って行こうかと思っています。
求めていた俺 sequel
メズタッキン
SF
「求めていた俺」の続編。戦いは正念場へと突入する・・・
桐生は意識を失い病室のベットに横たわっていた。皇楼祭最後の戦いにて、『冥王』の『システムディスターバー』を辛くも攻略することが出来たが、桐生が受けた身体的、精神的ダメージ、疲労は極めて深かった。そして一ヶ月の入院生活を終えたある夜、桐生は謎の黒服の男に追われているクラスメイトの馬場コウスケを自宅に匿うことに。
・・・この行動が後に桐生の全てを踏みにじった男、祠堂流星との思いがけぬ邂逅を引き起こしてしまう。
錬金術師カレンはもう妥協しません
山梨ネコ
ファンタジー
「おまえとの婚約は破棄させてもらう」
前は病弱だったものの今は現在エリート街道を驀進中の婚約者に捨てられた、Fランク錬金術師のカレン。
病弱な頃、支えてあげたのは誰だと思っているのか。
自棄酒に溺れたカレンは、弾みでとんでもない条件を付けてとある依頼を受けてしまう。
それは『血筋の祝福』という、受け継いだ膨大な魔力によって苦しむ呪いにかかった甥っ子を救ってほしいという貴族からの依頼だった。
依頼内容はともかくとして問題は、報酬は思いのままというその依頼に、達成報酬としてカレンが依頼人との結婚を望んでしまったことだった。
王都で今一番結婚したい男、ユリウス・エーレルト。
前世も今世も妥協して付き合ったはずの男に振られたカレンは、もう妥協はするまいと、美しく強く家柄がいいという、三国一の男を所望してしまったのだった。
ともかくは依頼達成のため、錬金術師としてカレンはポーションを作り出す。
仕事を通じて様々な人々と関わりながら、カレンの心境に変化が訪れていく。
錬金術師カレンの新しい人生が幕を開ける。
※小説家になろうにも投稿中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる