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第2章 もう一人
アディショナルタイム~熱闘終えて~
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アディショナルタイム
「優勝おめでとうございます、とても良いチームですね」
令正主将の羽黒百合子はそう言って、勝者を讃えた。
「ありがとうございます。 しかし、優勝と言っても実感がまだ湧いてないです」
仙台和泉主将、緑川美智は簡潔にお礼を述べ、優勝への正直な思いを語る。
「冬の選手権予選でリベンジさせてもらいますよ」
「……それは怖い。一応他校の方にも聞いていたのですが借りっぱなしは駄目ですか?」
「はははっ、生憎そうはいきません……これからも頑張って下さい。それでは……」
「あ、あの、故障中の村山さんから主将とDFリーダーの件を譲り受けた件ですが……相当なプレッシャーだったのではないでしょうか?」
緑川の問いに羽黒は少しだけ考えて答える。
「……正直そんなこと一つ一つに構っている場合ではなくなって行きました。まずベンチからレギュラー組への昇格、周囲とのコンビネーションの構築、同級生だけでなく、後輩たちとも積極的にコミュニケーション……エトセトラ……それらをこなすに一杯一杯だったもので」
「相当な苦労をなされたのですね……」
「仙台和泉さんも今後大変になってくると思いますよ。親善大会とはいえ、我々をさしおいて優勝してしまったのですから。周囲のマークも厳しくなってくるでしょうし、個々のレベルアップはもちろん、チーム戦術も成熟させていかなくてはなりません」
羽黒がバッグから取り出した黒縁眼鏡を掛ける。眼鏡がキラっと光る。緑川が肩を落とす。
「や、やることは一杯あるということですね……」
「土台は出来上がっているから後は積み上げていくだけだと思いますよ。もっとリラックスした方が良いですね。厳しい顔ではメンバーはついてきません。それではまた会いましょう」
テキパキと歩いていく羽黒の背中に向けて、緑川は深々と頭を下げた。
「……なんだよ」
龍波竜乃の前に、寒竹いつきが腕を組んで立っている。
「今日、競り合いはほぼ全てアタシが制した。お前には仕事らしい仕事はさせなかった」
「くっ……た、ただ一度は勝っただろう、1点獲ったぞ」
「ああ、フォワードは他が駄目でも一度だけ仕事すればそれでいい。極端で不公平だがそういうものだ……今日は負けたが次は必ずアタシらが勝つ。精々腕を磨いておけよ、龍波竜乃!」
寒竹が去っていく。龍波が困惑する。
「な、なんなんだよ……」
「前半は最後にしてやられました……」
神不知火真理が渚静に語りかける。渚が不思議そうに問い返す。
「むしろ後半、チームが流れを掴めなかったのもあるが、ほぼ好機を作れず……何故だ?」
「……お名前やご異名の通り、とても静かに相手の裏を突くのに長けていらっしゃいます。ただ、気配というものは完全に消せるものではありません。よって、感知する範囲・領域を意識的に拡大・伸展しました。それにより、貴女の静かな動きにもそれほど惑わずに済みました」
「そ、そうか、勉強になった……」
渚は若干引き気味になって、神不知火に頭を下げ、その場からそそくさと去る。
「なんで?」
「え?」
憮然とした様子で問いかけてくる三角カタリナに、姫藤聖良はやや面食らう。
「なんで終盤に良いドリブルが出来たの? カタリナは二回もあの4番に止められたのに」
「……集中力が高まっていたからかな、ここしかチャンスは無い!って思ったから」
「ふ~ん、それで良い動きが出来たってわけ? 集中力……参考にしてみる、ありがとう」
「ど、どういたしまして……意外と素直ね。敵に塩を送っちゃったかしら?」
三角の背中を見て姫藤が苦笑する。
「やられたな、今日のMVPは君だ」
「きょ、恐縮です……」
椎名妙の言葉に鈴森エミリアは長身を縮こまらせる。
「突然だけど君のお勧めのルーティンってあるかい?」
「お、お勧めのルーティン? いや、特にねえです、すみません……」
「そうか、失礼したね」
「か、変わったことを聞いてくる人だな……」
椎名の後ろ姿を見て、鈴森は不思議そうに首を傾げる。
「いや~負けたで~丸井ちゃん、アンタすごいな~春より良くなっているんちゃうん?」
「あ、ありがとうございます」
米原純心の素直な称賛に丸井桃は礼を言う。すると、米原は笑顔を一変させる。
「……出来れば今日潰しときたかったんやけどな……秋は覚悟しときや?」
「えっ……」
「ふふっ、半分冗談や。じゃあな、また良い試合しようや……」
「い、いや、今のは絶対半分冗談じゃない声色だった!」
手を振りながらその場を去る米原を見つめながら丸井は背筋を正した。
スタンドで常磐野と三獅子のメンバーが向かい合う。
「おう、そこのポニテ、さっきはようガンつけてくれたのう……」
栗東マリアが馬駆このみに凄む。常磐野学園主将、本場蘭がそれをたしなめる。
「やめろマリア……馬駆、『ワンダーガール』と呼ばれる君にはこの試合はどう映った?」
「大穴党なんで、仙台和泉の勝利は想定内っすよ。2点差はちょっと驚きましたけど」
「ほう、想定内か……」
本場は感心したように頷く。押切優衣が甘粕花音に尋ねる。
「甘粕さん、中盤の攻防が見応えのある試合だったと思うけど、君は誰が印象に残った?」
「そうですね……令正なら米原さんは流石の存在感でしたし、椎名さんも2アシスト……和泉なら丸井、こう言ってはなんですが、全国的には無名の高校に進学していたのは意外でしたが、良いプレーを見せていました。ただ、やはり両チームとも18番が印象的でしたね」
「令正の三角カタリナ、和泉の鈴森エミリアか、確かにな」
甘粕の言葉に押切が頷く。栗東が朝日奈美陽に笑いながら話しかける。
「美陽、あの三角っちゅうんは、きさんより良いドリブラーなんじゃないか?」
「ふん、まだまだ甘っちょろいわよ……ポテンシャルはあるけどね」
「花音、お前はあの鈴森ってのに勝てんのか?」
「勝ち負けの定義が難しいが……マッチアップするなら後れを取るつもりはない」
「~♪ 頼もしい限りだね」
馬駆は甘粕の返答に口笛を鳴らす。本場が城照美に尋ねる。
「城、君の両チームの攻撃陣と守備陣の見解を聞いてみたい」
「えっと、そうですね。令正の渚さんのオフザボールの動きはやはり見事でした。しかし、あの人を1点に抑えた和泉の4番には驚かされました、全国は広いですね……それに和泉の攻撃陣、7番の精度の高いキック、11番の鋭いドリブルも良かったですが……途中投入の13番、そして寒竹さんにほぼ抑えられていましたが最後に1点取った9番、この二人が印象的です」
本場の問いに、城は緊張気味に答える。天ノ川佳香が笑う。
「龍波さんも伊達仁さんも色々常識外れだから見ていて面白いんだよな~」
「常識外れなのは貴女たち姉妹もでしょう? まさか揃って蒼星の高等部に進まないなんて」
「あ~まあ、その辺は色々あって……」
伊東ヴィクトリアの言葉に天ノ川は苦笑を浮かべる。豆不二子が伊東に悪戯っぽく尋ねる。
「それよりどうだった、ヴィッキー? 宮城観光は収穫あった? そっちは最下位だけど」
「そうですね……皆さん良いチームでした。全国で会えないのがなんとも残念ですわ」
豆の意地悪に伊東が皮肉で返し、両者は無言で笑い合う。
「皆揃ったかしら? そろそろ出発するわよ、マネージャー、確認お願い」
「はい、分かりました!」
「先生がバスの運転手ってのも本当にご苦労様な話だな……」
「1年生、全員乗ったッス!」
「2年生も全員乗りました」
「3年生も乗っています」
「しかし、その日の内に帰るのは少々寂しいね、地元の子達とちゃんとお別れ出来ない……」
「マッチ、もうファン作ったのー?」
「流石に手が早いね。この合宿のMVPかな?」
「MVPとくればわたくしでしょう! 最終戦の活躍をご覧になって?」
「最後のワンプレーは点に繋がったら良いけど……帰ったら反省会ね」
「ヒカル厳し過ぎだし、最後のゴールめっちゃ喜んでベンチから飛び出していたじゃん」
「反省会を兼ねてでも良いからサ。簡単にでも打ち上げとかどうヨ?」
「それなら是非うちの店でやろうや!」
「『武寿し』はこの間行きました……。今回はうちの『華華』を希望します」
「キャプテン、私、夏は冷やし中華を食べたい気分です」
「真理さんがそういうことをおっしゃるのは珍しい、想定外ですね」
「ふふっ、皆テンションさ高えな~」
「そりゃそうだぜ、エムス、なんてったって優勝だからな!」
「総得点で1点上回ったギリギリだけどね」
「ピカ子~そうやって水を差すなよ~」
「とはいえ、この優勝は今後の自信に繋がると思うよ」
「桃ちゃん……まあ、それは確かにそうね。令正にも春の借りをきっちり返せたし」
「なんと言ってもエマちゃんの存在が大きかったね」
「ええ? いんや、わだすなんかまだまだだよ……」
「ビィちゃん、3試合2得点のアタシはどうよ?」
「強豪チーム相手に立派な数字だよ、もうなくてはならない存在、エースストライカーだね」
「へへっ、そうか? ビィちゃんに言われるとそんな気分になってくるな」
「竜乃、桃ちゃんに褒められたからって、すぐ調子に乗るのやめなさいよ」
「ここで乗らないでいつ乗るんだよ! おい皆、打ち上げは『サッカーCAFE&BAR カンピオーネSENDAI』だ! なんと『伝説のレジェンド』監督の奢りだぜ!」
「⁉ ちょ、ちょっと待て、勝手に決めんじゃねえ! おい、やめろ、盛り上がるな!」
厳しくも楽しい夏合宿を良い結果で終えた仙台和泉は次の戦いへと向かう。
第2章~完~
※(2022年5月12日現在)
第2章終わりました。感想など頂ければ喜びます。
一応続きの構想はあるので、更新スピードは落ちますが、第3章以降も書いていこうと思っております。良かったらまた読んでくださると嬉しいです。
「優勝おめでとうございます、とても良いチームですね」
令正主将の羽黒百合子はそう言って、勝者を讃えた。
「ありがとうございます。 しかし、優勝と言っても実感がまだ湧いてないです」
仙台和泉主将、緑川美智は簡潔にお礼を述べ、優勝への正直な思いを語る。
「冬の選手権予選でリベンジさせてもらいますよ」
「……それは怖い。一応他校の方にも聞いていたのですが借りっぱなしは駄目ですか?」
「はははっ、生憎そうはいきません……これからも頑張って下さい。それでは……」
「あ、あの、故障中の村山さんから主将とDFリーダーの件を譲り受けた件ですが……相当なプレッシャーだったのではないでしょうか?」
緑川の問いに羽黒は少しだけ考えて答える。
「……正直そんなこと一つ一つに構っている場合ではなくなって行きました。まずベンチからレギュラー組への昇格、周囲とのコンビネーションの構築、同級生だけでなく、後輩たちとも積極的にコミュニケーション……エトセトラ……それらをこなすに一杯一杯だったもので」
「相当な苦労をなされたのですね……」
「仙台和泉さんも今後大変になってくると思いますよ。親善大会とはいえ、我々をさしおいて優勝してしまったのですから。周囲のマークも厳しくなってくるでしょうし、個々のレベルアップはもちろん、チーム戦術も成熟させていかなくてはなりません」
羽黒がバッグから取り出した黒縁眼鏡を掛ける。眼鏡がキラっと光る。緑川が肩を落とす。
「や、やることは一杯あるということですね……」
「土台は出来上がっているから後は積み上げていくだけだと思いますよ。もっとリラックスした方が良いですね。厳しい顔ではメンバーはついてきません。それではまた会いましょう」
テキパキと歩いていく羽黒の背中に向けて、緑川は深々と頭を下げた。
「……なんだよ」
龍波竜乃の前に、寒竹いつきが腕を組んで立っている。
「今日、競り合いはほぼ全てアタシが制した。お前には仕事らしい仕事はさせなかった」
「くっ……た、ただ一度は勝っただろう、1点獲ったぞ」
「ああ、フォワードは他が駄目でも一度だけ仕事すればそれでいい。極端で不公平だがそういうものだ……今日は負けたが次は必ずアタシらが勝つ。精々腕を磨いておけよ、龍波竜乃!」
寒竹が去っていく。龍波が困惑する。
「な、なんなんだよ……」
「前半は最後にしてやられました……」
神不知火真理が渚静に語りかける。渚が不思議そうに問い返す。
「むしろ後半、チームが流れを掴めなかったのもあるが、ほぼ好機を作れず……何故だ?」
「……お名前やご異名の通り、とても静かに相手の裏を突くのに長けていらっしゃいます。ただ、気配というものは完全に消せるものではありません。よって、感知する範囲・領域を意識的に拡大・伸展しました。それにより、貴女の静かな動きにもそれほど惑わずに済みました」
「そ、そうか、勉強になった……」
渚は若干引き気味になって、神不知火に頭を下げ、その場からそそくさと去る。
「なんで?」
「え?」
憮然とした様子で問いかけてくる三角カタリナに、姫藤聖良はやや面食らう。
「なんで終盤に良いドリブルが出来たの? カタリナは二回もあの4番に止められたのに」
「……集中力が高まっていたからかな、ここしかチャンスは無い!って思ったから」
「ふ~ん、それで良い動きが出来たってわけ? 集中力……参考にしてみる、ありがとう」
「ど、どういたしまして……意外と素直ね。敵に塩を送っちゃったかしら?」
三角の背中を見て姫藤が苦笑する。
「やられたな、今日のMVPは君だ」
「きょ、恐縮です……」
椎名妙の言葉に鈴森エミリアは長身を縮こまらせる。
「突然だけど君のお勧めのルーティンってあるかい?」
「お、お勧めのルーティン? いや、特にねえです、すみません……」
「そうか、失礼したね」
「か、変わったことを聞いてくる人だな……」
椎名の後ろ姿を見て、鈴森は不思議そうに首を傾げる。
「いや~負けたで~丸井ちゃん、アンタすごいな~春より良くなっているんちゃうん?」
「あ、ありがとうございます」
米原純心の素直な称賛に丸井桃は礼を言う。すると、米原は笑顔を一変させる。
「……出来れば今日潰しときたかったんやけどな……秋は覚悟しときや?」
「えっ……」
「ふふっ、半分冗談や。じゃあな、また良い試合しようや……」
「い、いや、今のは絶対半分冗談じゃない声色だった!」
手を振りながらその場を去る米原を見つめながら丸井は背筋を正した。
スタンドで常磐野と三獅子のメンバーが向かい合う。
「おう、そこのポニテ、さっきはようガンつけてくれたのう……」
栗東マリアが馬駆このみに凄む。常磐野学園主将、本場蘭がそれをたしなめる。
「やめろマリア……馬駆、『ワンダーガール』と呼ばれる君にはこの試合はどう映った?」
「大穴党なんで、仙台和泉の勝利は想定内っすよ。2点差はちょっと驚きましたけど」
「ほう、想定内か……」
本場は感心したように頷く。押切優衣が甘粕花音に尋ねる。
「甘粕さん、中盤の攻防が見応えのある試合だったと思うけど、君は誰が印象に残った?」
「そうですね……令正なら米原さんは流石の存在感でしたし、椎名さんも2アシスト……和泉なら丸井、こう言ってはなんですが、全国的には無名の高校に進学していたのは意外でしたが、良いプレーを見せていました。ただ、やはり両チームとも18番が印象的でしたね」
「令正の三角カタリナ、和泉の鈴森エミリアか、確かにな」
甘粕の言葉に押切が頷く。栗東が朝日奈美陽に笑いながら話しかける。
「美陽、あの三角っちゅうんは、きさんより良いドリブラーなんじゃないか?」
「ふん、まだまだ甘っちょろいわよ……ポテンシャルはあるけどね」
「花音、お前はあの鈴森ってのに勝てんのか?」
「勝ち負けの定義が難しいが……マッチアップするなら後れを取るつもりはない」
「~♪ 頼もしい限りだね」
馬駆は甘粕の返答に口笛を鳴らす。本場が城照美に尋ねる。
「城、君の両チームの攻撃陣と守備陣の見解を聞いてみたい」
「えっと、そうですね。令正の渚さんのオフザボールの動きはやはり見事でした。しかし、あの人を1点に抑えた和泉の4番には驚かされました、全国は広いですね……それに和泉の攻撃陣、7番の精度の高いキック、11番の鋭いドリブルも良かったですが……途中投入の13番、そして寒竹さんにほぼ抑えられていましたが最後に1点取った9番、この二人が印象的です」
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「龍波さんも伊達仁さんも色々常識外れだから見ていて面白いんだよな~」
「常識外れなのは貴女たち姉妹もでしょう? まさか揃って蒼星の高等部に進まないなんて」
「あ~まあ、その辺は色々あって……」
伊東ヴィクトリアの言葉に天ノ川は苦笑を浮かべる。豆不二子が伊東に悪戯っぽく尋ねる。
「それよりどうだった、ヴィッキー? 宮城観光は収穫あった? そっちは最下位だけど」
「そうですね……皆さん良いチームでした。全国で会えないのがなんとも残念ですわ」
豆の意地悪に伊東が皮肉で返し、両者は無言で笑い合う。
「皆揃ったかしら? そろそろ出発するわよ、マネージャー、確認お願い」
「はい、分かりました!」
「先生がバスの運転手ってのも本当にご苦労様な話だな……」
「1年生、全員乗ったッス!」
「2年生も全員乗りました」
「3年生も乗っています」
「しかし、その日の内に帰るのは少々寂しいね、地元の子達とちゃんとお別れ出来ない……」
「マッチ、もうファン作ったのー?」
「流石に手が早いね。この合宿のMVPかな?」
「MVPとくればわたくしでしょう! 最終戦の活躍をご覧になって?」
「最後のワンプレーは点に繋がったら良いけど……帰ったら反省会ね」
「ヒカル厳し過ぎだし、最後のゴールめっちゃ喜んでベンチから飛び出していたじゃん」
「反省会を兼ねてでも良いからサ。簡単にでも打ち上げとかどうヨ?」
「それなら是非うちの店でやろうや!」
「『武寿し』はこの間行きました……。今回はうちの『華華』を希望します」
「キャプテン、私、夏は冷やし中華を食べたい気分です」
「真理さんがそういうことをおっしゃるのは珍しい、想定外ですね」
「ふふっ、皆テンションさ高えな~」
「そりゃそうだぜ、エムス、なんてったって優勝だからな!」
「総得点で1点上回ったギリギリだけどね」
「ピカ子~そうやって水を差すなよ~」
「とはいえ、この優勝は今後の自信に繋がると思うよ」
「桃ちゃん……まあ、それは確かにそうね。令正にも春の借りをきっちり返せたし」
「なんと言ってもエマちゃんの存在が大きかったね」
「ええ? いんや、わだすなんかまだまだだよ……」
「ビィちゃん、3試合2得点のアタシはどうよ?」
「強豪チーム相手に立派な数字だよ、もうなくてはならない存在、エースストライカーだね」
「へへっ、そうか? ビィちゃんに言われるとそんな気分になってくるな」
「竜乃、桃ちゃんに褒められたからって、すぐ調子に乗るのやめなさいよ」
「ここで乗らないでいつ乗るんだよ! おい皆、打ち上げは『サッカーCAFE&BAR カンピオーネSENDAI』だ! なんと『伝説のレジェンド』監督の奢りだぜ!」
「⁉ ちょ、ちょっと待て、勝手に決めんじゃねえ! おい、やめろ、盛り上がるな!」
厳しくも楽しい夏合宿を良い結果で終えた仙台和泉は次の戦いへと向かう。
第2章~完~
※(2022年5月12日現在)
第2章終わりました。感想など頂ければ喜びます。
一応続きの構想はあるので、更新スピードは落ちますが、第3章以降も書いていこうと思っております。良かったらまた読んでくださると嬉しいです。
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