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第2章 もう一人
第22話(3) 対令正高校戦後半戦~終盤~
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「7番をトップ下に置いて、11番を1・5列目で自由に動かす……より細かく言えば、3‐5‐2の派生形、3‐5‐1‐1同士のミラーゲームということか……」
「ええ、そのようですね、8番がサイドハーフからボランチの位置に戻って10番と並んでいます。そこは前半最初と同じ形ですね」
和泉のメンバー交代とそれに伴うフォーメーションチェンジを確認した寒竹は即座に結論を下し、米原も同意する。ベンチに指示を仰ぎに行った羽黒が指揮官とのやりとりを終え、ピッチに戻ってきて皆に告げる。
「こちらは変わらず、今まで通りで!」
羽黒の言葉に寒竹と米原は頷く。
「江取さん、妥当な判断だな。変なこと言い出さなくて良かったぜ」
「全くもってその通りですわ」
羽黒を介した指揮官の指示は何人かの選手を通して、すぐにチーム内の全員に伝達される。寒竹と米原はそれぞれのポジションへ戻る。
「令正、慌てている様子はありませんね……」
ピッチや令正ベンチを交互に見つめていた小嶋がやや落胆気味に呟く。
「まあ、強豪チームがその程度では動じねえだろうな」
春名寺が腕を組んだまま笑う。小嶋が話す。
「ミラーゲームとは各ポジションが1対1で相対することが多くなります。相手のマークには付きやすくなり、数的有利を作らせにくくなります。ですが……」
「ですが?」
「相対する個々の選手の実力差が出やすくなります! タレント揃いの強豪校相手にはかなり苦戦するかと……」
「試合時間丸々だったら、確かにマズかったが、もう残り約十分、しかも3連戦の最後だ。ほとんど全員、疲労が溜まっている……極端な優劣は生まれにくいはず」
「それはそうかもしれませんが……」
「左右両サイドに守備が本職ではないあいつらを投入したことがメッセージだ。こちらは守りに入らない、攻めに行く!」
春名寺が声を上げる。
後半25分…和泉、林の東山への横パスを鈴森がカット。鈴森が素早く縦パス。菊沢、フィールド中央でキープして、近づいてきた丸井にパス。丸井、ダイレクトで左サイドの空いたスペースへスルーパス。走り込んだ趙がそれを受ける。町村がすぐに戻ってきてそれに対応。趙、縦に抜け出すと見せかけて、中央に切り込み、姫藤にパス。姫藤、相手を引き付けてから斜め後方にパス。走り込んだ菊沢がシュートと見せかけてスルー。中央でボールを受けた趙が右足でシュートを放つ。利き足ではなかった為、精度を欠き、ゴール右にわずかに外れる。
後半26分…和泉、相手のロングボールを谷尾が跳ね返し、こぼれたボールを石野がキープ。石野、上がってきた鈴森にパス。鈴森はダイレクトで鋭い縦パスを菊沢に送る。菊沢は米原と合田が挟まれ、容易に前を向けないものの、ボールは奪われない。上がってきた丸井がパスを要求。菊沢が丸井にパス。丸井、再び右足で相手の右サイドのスペースにパスを出そうとして、趙も走り込み、相手も警戒。しかし、丸井、即座に左足のキックに切り替え、ボールを逆の、相手の左サイドのスペース深くに蹴る。やや長いパスかと思われたが、俊足の白雲が苦も無く追いつく。白雲、追いすがる三角を振り切って縦に突破。クロスボールを中央に送る。精度を欠いたクロスだったが龍波が反応し、ジャンプして懸命に体を伸ばし、頭で合わせ、ヘディングシュートを放つ。良い体勢ではなかったにもかかわらず、鋭いシュートだったが、ゴールの右上に外れる。
後半27分…和泉、鈴森がロングパスを左サイド前方へ蹴り出す。それを受けた趙、中に切り込む素振りを見せてから縦への抜け出しを図る。町村が自陣深くまでそれを追いかけてくる。趙、近づいてきた菊沢にパス。ワンツーを狙うが、菊沢はそれをフェイントにして、自身の右斜め後方に走り込んできた丸井にパス。丸井はダイレクトでサイドチェンジ。右サイドの白雲へ。ボールを受けた白雲、スピードに乗った状態でサイドを深くえぐり、ペナルティーエリアに侵入。グラウンダーのクロスを送り込む。速いボールに対し、ニアサイドへ龍波、ファーサイドに姫藤が走り込むが、合わせることが出来ずにボールは逆サイドに流れる。こぼれたボールを町村がクリアする。
「これはどうしてなかなか……」
スタンドで本場が意外そうに呟く。
「両サイドに投入した一年、守備が不得手ならひたすら攻めさせるってことね」
「17番の俊足、15番のスピード感あるドリブルには、三角も町村も手を焼いているな」
朝日奈の言葉に押切が頷く。栗東が笑う。
「多少の実力差は勢いで押し切ろうって魂胆か……町村はまだしも、令正の18番は守備の方はさほど上手くない上に、疲労が見られるからのう、あの俊足への対応は応えるじゃろう」
「これは……形勢逆転でしょうか?」
「この流れに対して令正ベンチがどういう手を打つかに因る……というところね」
天ノ川の問いに豆は淡々と答える。
「選手層薄いと思ったけど、仙台和泉、なかなか面白いじゃねえか」
「両サイドに速さのある選手を同時に投入……守る側としては厄介だ」
馬駆の言葉に城が反応する。
「ここは令正としてはサイドのケアでしょうか?」
「まあ、右はともかく、左は何らかの手を打たないといけないでしょうね……もっともその辺りは仙台和泉ベンチも織り込み済みでしょうけど……どうなるかしら?」
甘粕の問いに伊東が笑みを浮かべながら答える。
「令正動きました!」
小嶋の言葉に春名寺は令正ベンチの方を見る。
「また二人同時投入、交代枠を使い切るか……6番と10番か」
「守備力のある6番百地さんを三角さんと交代……いや、合田さんと交代しましたね⁉ 10番の大野田さんは疲れの見える椎名さんと交代ですが……」
「三角を残すか……どういうフォーメーションで来る?」
春名寺がピッチを注視する。
後半28分…令正、合田に代えて百地、椎名に代えて大野田を投入。
後半29分…令正、白雲へのパスを百地がカット。百地、中盤中央に位置する大野田にパス。大野田すぐさまロングパスを前方に送る。前線でそれを受けた三角、ドリブル突破を狙うが神不知火が冷静に対応し、ボールをカット。こぼれ球を林が拾おうとするが鈴森が先に反応し、大きくクリアする。
「布陣としては大きく変わりありません。左のウィングバックに百地さんを、大野田さんは左のボランチに。椎名さんの抜けたトップ下に林さんが入り、林さんが担っていた役割を三角さんに任せる模様です!」
小嶋が自身の分析をすぐに春名寺に伝える。
「百地で左サイドのケア。大野田の投入に加えて一発のありそうな三角を残して攻撃力はむしろ上がったか。選手層が厚い上に一人が複数のポジションをこなせるとなると、色々と試せて羨ましい限りだな」
「どうしますか?」
「……を呼んでくれ」
「ええっ⁉ どこに投入するんですか?」
春名寺の指示に小嶋が驚く。
「……のところだ」
「し、しかし……」
「向こうは交代枠を使い切ってくれた。このタイミングを待っていた、まあ、ある意味賭けであったが……運と流れはこちらに向いているようだ、この流れに乗る!」
「よ、呼んできます!」
小嶋が再びアップ中のメンバーを呼びに行く。
「さて、どう出るかね……と思ったらマズいとこでファウルしちまったな……」
自陣の危険な位置で令正にフリーキックが与えられる。春名寺が渋い顔を浮かべる。
後半30分…令正、ゴール前ほぼ正面でフリーキックのチャンス。キッカーのポジションに三角と大野田の二人が並ぶ。左利きの三角がキックフェイント。壁が一部反応して飛んでしまう。わずかにタイミングをずらして、大野田がふわりとした絶妙なキックを放つが、ボールはクロスバーの左上を叩く。良いコースに飛んでいたが、永江が右手の指先でかすかに触っていた為、コースが微妙に変化した。こぼれ球を拾った石野が大きくサイドラインに蹴り出す。
後半31分…和泉、菊沢に代えて伊達仁を投入。
「ほ~ほっほっほ! ちょっと遅い気も致しますが、ここでわたくしを投入とは! さすが監督、お目が高いですわね!」
ピッチサイドで場違いな高笑いをした後、伊達仁がピッチに入る。
「お疲れさん」
春名寺が菊沢に声をかける。菊沢は一呼吸置いて答える。
「……ここでお嬢投入ですか? 随分とまた思い切りましたね」
「せっかくのジョーカーだ、使わねえのも勿体ねえだろう?」
「ひ、輝ちゃん、別に輝ちゃんのパフォーマンスが悪かったわけじゃなくて……」
「ウチも流石に疲労で限界だったし、ここでの交代に文句はないわ……」
フォローする小嶋に菊沢は淡々と答えながらベンチに座る。その横で緑川が呟く。
「ジョーカーがどのような効果を発揮するか……」
「さあ、わたくしにボールを集めなさい!」
ピッチ上で大仰に叫ぶ伊達仁を米原は怪訝そうに見つめる。
(18番を除けば、データが極端に少ないのが13番のこいつや……7番に代わってトップ下に入ったが、そこまでの実力者か? 警戒するに越したことはあらへんけど……)
後半32分…和泉、丸井がふんわりとした浮き球パスを敵陣の中央、バイタルエリアの前辺りに送る。やや中途半端なボールかと思われたが、ここまで下がってきた伊達仁が胸でトラップ。即座にボールを浮かして、背後から迫ってきていた大野田の頭上を越える。伊達仁は大野田の脇をすり抜け、落ちてきたボールを右足でダイレクトボレー。鋭い弾道のシュートだったが、紀伊浜が横っ飛びで防ぎ、ボールはポストに当たってこぼれる。このボールをすかさず羽黒が拾い、前方に蹴り出す。
後半33分…和泉、丸井が今度はグラウンダーのパスを伊達仁に送る。伊達仁、大野田との競り合いを制し、ボールをキープ。すぐに前を向く。大野田と米原が迫るが、果敢に躱しにかかる。大野田は躱したが、米原にはあっけなくカットされる。こぼれたボールを走り込んだ石野がダイレクトでシュートするが、うまくインパクト出来ず、ボールはゴール上に大きく外れる。
「むん!」
転がっていた伊達仁がばっと勢いよく起き上がる。米原はその様子を近くで見つめながら、考えを巡らせる。
(粗削りな面も感じるけど、技術は結構高いな……ベンチの指示か知らんけど、守備はさほどでもない杏の方に寄ってプレーしている。なんや派手に動き回りよるけど……それに惑わされたらアカン。残り時間を考えても、この嬢ちゃんが最後の切り札と見てええやろ。ボールを意識的に集めとるし……。次来たら、即ボールを奪ってカウンターや)
米原が己の考えを瞬時にまとめて頷く。
後半34分…令正、サイド際の攻防。白雲からボールを奪った百地が近くの大野田にパス。大野田は伊達仁の寄せを軽くいなし、ロングパスを蹴る。ボールは対角線上に位置する三角にピタリと合う。三角も走りながらこのパスを巧みにトラップし、自らの足下へ正確にコントロールして前を向きドリブルを開始する。神不知火が対応する。
(さっきは止められたけど、今度こそ躱す!)
三角はボールをまたいで、右足のアウトサイドを使って前に持ち出そうとする。それに対面の神不知火が反応し、体の重心を左側に傾けたのを見て、瞬時にボールを扱う部分を右足のインサイドに切り替え、逆側に持ち出す。
「!」
(よしっ! このまま左足でシュート……⁉)
三角は驚く。神不知火が足を伸ばしてきてボールをカットしたからである。
「……」
(なっ、体の重心が完全に逆側に傾いていたのに……どうして反応できたの⁉)
神不知火がボールを持ったまま持ち上がる。
「はい! こっちですわ!」
伊達仁が手を挙げて、ボールを要求する。
「させんで!」
米原と大野田が伊達仁に体を寄せる。それを見て神不知火は縦のロングパスを選択する。
「よっしゃ!」
「甘えよ!」
「ぐっ!」
神不知火からのパスをキープしようとした龍波だったが、寒竹に競り負ける。
「!」
令正守備陣に緊張が走る。寒竹が跳ね返したボールが丸井に渡ったからである。丸井は間髪入れず、グラウンダーのパスをバイタルエリアに送り込む。そこには伊達仁がいた。米原と大野田が挟み込もうとする。米原が頭を回転させる。
(やっぱり最後は元気の残っているこの13番に託すか! さっきは一本危ないシュートあったけど、前を向かせなければエエだけの話や!)
「……」
「な、なんやと⁉」
米原が驚く。伊達仁がパスをスルーしたからである。ボールはペナルティーエリアの手前で姫藤に渡る。姫藤は細かなステップワークで対面する長沢を躱し、左足でシュートを放つ。
「!」
姫藤の放ったシュートは羽黒のブロックに塞がれる。米原が声を上げる。
「ナイス! キャプテン!」
「まだだ!」
「⁉」
寒竹の言葉通り、浮いたボールの落下点に石野がいち早く入りこんだ。大野田が少し遅れて体を寄せた為、石野は体勢を崩してボールをキープすることが出来なかった。
「ファウル!」
丸井が叫ぶが、審判は反則を取らなかった。転がるボールはペナルティーエリアの左奥(令正ゴールから見て)に転がる。このままゴールラインを割るかと思ったが、姫藤が追い付く。
「ちっ!」
「次美、二度も抜かれんなよ!」
姫藤は舌打ちする。角度のないところでも構わずシュートを打とうとしたが、長沢が自分とゴールキーパーの間に割り込んできたので、僅かなシュートコースすら消されてしまったからである。一瞬後方に目をやるが、白雲へのパスコースは百地が、石野へのパスコースは大野田が消している。姫藤が考える。
(相手にボールを当てて、ゴールラインを割らせてコーナーキックをもらう? いや、下手したらただ相手にボールを渡してしまう! それにコーナーをもらっても輝先輩がベンチに下がっているから、右サイド側の担当キッカーがいない! どうする!)
「へい!」
「!」
丸井が猛ダッシュでゴール前に走り込んできたのが見えた姫藤が右足から左足にボールを持ちかえて、パスを送る。米原が慌てて体を寄せる。
(くっ! 打たせへんで!)
「……」
「なっ⁉」
米原が再び驚く。丸井がシュートを打たず、パスをスルーしたからである。ボールの転がる先には伊達仁が待ち構えている。伊達仁は声を上げる。
「ビィさん、ナイスですわ!」
(ちっ、13番を離してしもうた! !)
米原の目に羽黒が伊達仁に体を寄せるのが見える。
「むっ!」
(よっしゃ、キャプテンが防いでくれる! ⁉)
米原は一瞬ほっと安心したが、三度驚く。予想もしなかった人物がゴール前に飛び込んできたからである。
「それ!」
「⁉」
和泉の最終ラインにいたはずの鈴森が伊達仁たちの前に走り込み、右足インサイドでボールをゴールに流しこんだのである。これでスコアは3対2。和泉の勝ち越しである。
「やったあ!」
「やりやがったな、エムス!」
丸井と龍波が抱擁を交わす鈴森と姫藤に思い切り抱き付く。鈴森のポニーテールと姫藤のツインテールが大きく揺れる。歓喜の輪が弾ける。
後半35分…和泉、姫藤に代えて桜庭を投入。丸井と石野の間に置き、守備を固める。
試合はアディショナルタイムに入り、令正は東山を目がけてロングボールを蹴り込むが、谷尾がヘディングで弾き返す。こぼれたボールを桜庭が右サイド前方に蹴り出す。サイドラインを割りそうだったボールに俊足の白雲が追い付き、ボールをコーナー付近まで運び、キープに入る。令正の守備陣が二人がかりで早くボールを奪おうとする。丸井が声をかける。
「流ちゃん! そのまま時間使って! 健さん、フォローに行ってあげて!」
伊達仁が近づき、白雲がボールを預ける。一人増えた令正守備陣が今度は伊達仁を取り囲もうとする。再びコーナー付近でキープに入ると思い、そちらに意識をやった次の瞬間……。
「せい!」
「⁉」
伊達仁が鋭いターンとステップで包囲網を躱し、ペナルティーエリア横に抜け出る。
「最後の仕上げは……譲って差し上げますわ!」
「⁉」
一瞬、シュートする体勢に見えた伊達仁がペナルティーエリア中央にふんわりとしたクロスボールを上げる。そこには、高く飛んだ龍波が待っていた。
「ナイスだぜ、スコッパ!」
伊達仁に気を取られて出遅れた寒竹が慌ててジャンプするも届かず、龍波の頭が先にボールに触れる。強烈なヘディングシュートが令正ゴールに突き刺さる。まさかの追加点が和泉に入り、スコアは4対2.和泉が勝利を自分たちに手繰り寄せる。
「……」
予想外の展開に意気消沈する令正の面々を余所に和泉のメンバーが喜びを爆発させる。
「よっしゃあ! 見たか!」
「わたくしの正確なクロスを讃えなさい!」
「少し癪だが、礼を言うぜ! 合わせるだけだったからな!」
「ナイスゴール、ナイスパス!」
「おおっ! やったぜビィちゃん!」
丸井が歓喜の輪に加わる。あの場合ボールを奪われると、カウンターを喰らい、失点のリスクが増したのだが、結果オーライということでここは黙っておくことにした。その後試合は再開される。約一分半が経過した後、主審がホイッスルを鳴らす。試合終了の笛である。大方の予想を覆し、仙台和泉が令正を下した。
「ははっ、勝ちやがったよ、あいつら……」
ベンチで春名寺が笑う。
「監督! やりましたよ!」
「落ち着け、ジャーマネ。試合はちゃんと見ていたぜ」
春名寺が苦笑交じりで、興奮気味の小嶋を落ち着かせる。
「そうではなくて!」
「ん?」
「この勝利で4チーム全てが1勝1分1敗で並び、さらに得失点差もプラスマイナス0で並んだのですが、総得点で他を上回ったうちのチームがこの親善大会優勝です!」
「マ、マジか⁉」
「マジです!」
「ははっ、強豪3チーム抑えて優勝か、こりゃあちょっと出来過ぎだな……」
春名寺が頭を抱える。それでも顔は笑っている。
「ええ、そのようですね、8番がサイドハーフからボランチの位置に戻って10番と並んでいます。そこは前半最初と同じ形ですね」
和泉のメンバー交代とそれに伴うフォーメーションチェンジを確認した寒竹は即座に結論を下し、米原も同意する。ベンチに指示を仰ぎに行った羽黒が指揮官とのやりとりを終え、ピッチに戻ってきて皆に告げる。
「こちらは変わらず、今まで通りで!」
羽黒の言葉に寒竹と米原は頷く。
「江取さん、妥当な判断だな。変なこと言い出さなくて良かったぜ」
「全くもってその通りですわ」
羽黒を介した指揮官の指示は何人かの選手を通して、すぐにチーム内の全員に伝達される。寒竹と米原はそれぞれのポジションへ戻る。
「令正、慌てている様子はありませんね……」
ピッチや令正ベンチを交互に見つめていた小嶋がやや落胆気味に呟く。
「まあ、強豪チームがその程度では動じねえだろうな」
春名寺が腕を組んだまま笑う。小嶋が話す。
「ミラーゲームとは各ポジションが1対1で相対することが多くなります。相手のマークには付きやすくなり、数的有利を作らせにくくなります。ですが……」
「ですが?」
「相対する個々の選手の実力差が出やすくなります! タレント揃いの強豪校相手にはかなり苦戦するかと……」
「試合時間丸々だったら、確かにマズかったが、もう残り約十分、しかも3連戦の最後だ。ほとんど全員、疲労が溜まっている……極端な優劣は生まれにくいはず」
「それはそうかもしれませんが……」
「左右両サイドに守備が本職ではないあいつらを投入したことがメッセージだ。こちらは守りに入らない、攻めに行く!」
春名寺が声を上げる。
後半25分…和泉、林の東山への横パスを鈴森がカット。鈴森が素早く縦パス。菊沢、フィールド中央でキープして、近づいてきた丸井にパス。丸井、ダイレクトで左サイドの空いたスペースへスルーパス。走り込んだ趙がそれを受ける。町村がすぐに戻ってきてそれに対応。趙、縦に抜け出すと見せかけて、中央に切り込み、姫藤にパス。姫藤、相手を引き付けてから斜め後方にパス。走り込んだ菊沢がシュートと見せかけてスルー。中央でボールを受けた趙が右足でシュートを放つ。利き足ではなかった為、精度を欠き、ゴール右にわずかに外れる。
後半26分…和泉、相手のロングボールを谷尾が跳ね返し、こぼれたボールを石野がキープ。石野、上がってきた鈴森にパス。鈴森はダイレクトで鋭い縦パスを菊沢に送る。菊沢は米原と合田が挟まれ、容易に前を向けないものの、ボールは奪われない。上がってきた丸井がパスを要求。菊沢が丸井にパス。丸井、再び右足で相手の右サイドのスペースにパスを出そうとして、趙も走り込み、相手も警戒。しかし、丸井、即座に左足のキックに切り替え、ボールを逆の、相手の左サイドのスペース深くに蹴る。やや長いパスかと思われたが、俊足の白雲が苦も無く追いつく。白雲、追いすがる三角を振り切って縦に突破。クロスボールを中央に送る。精度を欠いたクロスだったが龍波が反応し、ジャンプして懸命に体を伸ばし、頭で合わせ、ヘディングシュートを放つ。良い体勢ではなかったにもかかわらず、鋭いシュートだったが、ゴールの右上に外れる。
後半27分…和泉、鈴森がロングパスを左サイド前方へ蹴り出す。それを受けた趙、中に切り込む素振りを見せてから縦への抜け出しを図る。町村が自陣深くまでそれを追いかけてくる。趙、近づいてきた菊沢にパス。ワンツーを狙うが、菊沢はそれをフェイントにして、自身の右斜め後方に走り込んできた丸井にパス。丸井はダイレクトでサイドチェンジ。右サイドの白雲へ。ボールを受けた白雲、スピードに乗った状態でサイドを深くえぐり、ペナルティーエリアに侵入。グラウンダーのクロスを送り込む。速いボールに対し、ニアサイドへ龍波、ファーサイドに姫藤が走り込むが、合わせることが出来ずにボールは逆サイドに流れる。こぼれたボールを町村がクリアする。
「これはどうしてなかなか……」
スタンドで本場が意外そうに呟く。
「両サイドに投入した一年、守備が不得手ならひたすら攻めさせるってことね」
「17番の俊足、15番のスピード感あるドリブルには、三角も町村も手を焼いているな」
朝日奈の言葉に押切が頷く。栗東が笑う。
「多少の実力差は勢いで押し切ろうって魂胆か……町村はまだしも、令正の18番は守備の方はさほど上手くない上に、疲労が見られるからのう、あの俊足への対応は応えるじゃろう」
「これは……形勢逆転でしょうか?」
「この流れに対して令正ベンチがどういう手を打つかに因る……というところね」
天ノ川の問いに豆は淡々と答える。
「選手層薄いと思ったけど、仙台和泉、なかなか面白いじゃねえか」
「両サイドに速さのある選手を同時に投入……守る側としては厄介だ」
馬駆の言葉に城が反応する。
「ここは令正としてはサイドのケアでしょうか?」
「まあ、右はともかく、左は何らかの手を打たないといけないでしょうね……もっともその辺りは仙台和泉ベンチも織り込み済みでしょうけど……どうなるかしら?」
甘粕の問いに伊東が笑みを浮かべながら答える。
「令正動きました!」
小嶋の言葉に春名寺は令正ベンチの方を見る。
「また二人同時投入、交代枠を使い切るか……6番と10番か」
「守備力のある6番百地さんを三角さんと交代……いや、合田さんと交代しましたね⁉ 10番の大野田さんは疲れの見える椎名さんと交代ですが……」
「三角を残すか……どういうフォーメーションで来る?」
春名寺がピッチを注視する。
後半28分…令正、合田に代えて百地、椎名に代えて大野田を投入。
後半29分…令正、白雲へのパスを百地がカット。百地、中盤中央に位置する大野田にパス。大野田すぐさまロングパスを前方に送る。前線でそれを受けた三角、ドリブル突破を狙うが神不知火が冷静に対応し、ボールをカット。こぼれ球を林が拾おうとするが鈴森が先に反応し、大きくクリアする。
「布陣としては大きく変わりありません。左のウィングバックに百地さんを、大野田さんは左のボランチに。椎名さんの抜けたトップ下に林さんが入り、林さんが担っていた役割を三角さんに任せる模様です!」
小嶋が自身の分析をすぐに春名寺に伝える。
「百地で左サイドのケア。大野田の投入に加えて一発のありそうな三角を残して攻撃力はむしろ上がったか。選手層が厚い上に一人が複数のポジションをこなせるとなると、色々と試せて羨ましい限りだな」
「どうしますか?」
「……を呼んでくれ」
「ええっ⁉ どこに投入するんですか?」
春名寺の指示に小嶋が驚く。
「……のところだ」
「し、しかし……」
「向こうは交代枠を使い切ってくれた。このタイミングを待っていた、まあ、ある意味賭けであったが……運と流れはこちらに向いているようだ、この流れに乗る!」
「よ、呼んできます!」
小嶋が再びアップ中のメンバーを呼びに行く。
「さて、どう出るかね……と思ったらマズいとこでファウルしちまったな……」
自陣の危険な位置で令正にフリーキックが与えられる。春名寺が渋い顔を浮かべる。
後半30分…令正、ゴール前ほぼ正面でフリーキックのチャンス。キッカーのポジションに三角と大野田の二人が並ぶ。左利きの三角がキックフェイント。壁が一部反応して飛んでしまう。わずかにタイミングをずらして、大野田がふわりとした絶妙なキックを放つが、ボールはクロスバーの左上を叩く。良いコースに飛んでいたが、永江が右手の指先でかすかに触っていた為、コースが微妙に変化した。こぼれ球を拾った石野が大きくサイドラインに蹴り出す。
後半31分…和泉、菊沢に代えて伊達仁を投入。
「ほ~ほっほっほ! ちょっと遅い気も致しますが、ここでわたくしを投入とは! さすが監督、お目が高いですわね!」
ピッチサイドで場違いな高笑いをした後、伊達仁がピッチに入る。
「お疲れさん」
春名寺が菊沢に声をかける。菊沢は一呼吸置いて答える。
「……ここでお嬢投入ですか? 随分とまた思い切りましたね」
「せっかくのジョーカーだ、使わねえのも勿体ねえだろう?」
「ひ、輝ちゃん、別に輝ちゃんのパフォーマンスが悪かったわけじゃなくて……」
「ウチも流石に疲労で限界だったし、ここでの交代に文句はないわ……」
フォローする小嶋に菊沢は淡々と答えながらベンチに座る。その横で緑川が呟く。
「ジョーカーがどのような効果を発揮するか……」
「さあ、わたくしにボールを集めなさい!」
ピッチ上で大仰に叫ぶ伊達仁を米原は怪訝そうに見つめる。
(18番を除けば、データが極端に少ないのが13番のこいつや……7番に代わってトップ下に入ったが、そこまでの実力者か? 警戒するに越したことはあらへんけど……)
後半32分…和泉、丸井がふんわりとした浮き球パスを敵陣の中央、バイタルエリアの前辺りに送る。やや中途半端なボールかと思われたが、ここまで下がってきた伊達仁が胸でトラップ。即座にボールを浮かして、背後から迫ってきていた大野田の頭上を越える。伊達仁は大野田の脇をすり抜け、落ちてきたボールを右足でダイレクトボレー。鋭い弾道のシュートだったが、紀伊浜が横っ飛びで防ぎ、ボールはポストに当たってこぼれる。このボールをすかさず羽黒が拾い、前方に蹴り出す。
後半33分…和泉、丸井が今度はグラウンダーのパスを伊達仁に送る。伊達仁、大野田との競り合いを制し、ボールをキープ。すぐに前を向く。大野田と米原が迫るが、果敢に躱しにかかる。大野田は躱したが、米原にはあっけなくカットされる。こぼれたボールを走り込んだ石野がダイレクトでシュートするが、うまくインパクト出来ず、ボールはゴール上に大きく外れる。
「むん!」
転がっていた伊達仁がばっと勢いよく起き上がる。米原はその様子を近くで見つめながら、考えを巡らせる。
(粗削りな面も感じるけど、技術は結構高いな……ベンチの指示か知らんけど、守備はさほどでもない杏の方に寄ってプレーしている。なんや派手に動き回りよるけど……それに惑わされたらアカン。残り時間を考えても、この嬢ちゃんが最後の切り札と見てええやろ。ボールを意識的に集めとるし……。次来たら、即ボールを奪ってカウンターや)
米原が己の考えを瞬時にまとめて頷く。
後半34分…令正、サイド際の攻防。白雲からボールを奪った百地が近くの大野田にパス。大野田は伊達仁の寄せを軽くいなし、ロングパスを蹴る。ボールは対角線上に位置する三角にピタリと合う。三角も走りながらこのパスを巧みにトラップし、自らの足下へ正確にコントロールして前を向きドリブルを開始する。神不知火が対応する。
(さっきは止められたけど、今度こそ躱す!)
三角はボールをまたいで、右足のアウトサイドを使って前に持ち出そうとする。それに対面の神不知火が反応し、体の重心を左側に傾けたのを見て、瞬時にボールを扱う部分を右足のインサイドに切り替え、逆側に持ち出す。
「!」
(よしっ! このまま左足でシュート……⁉)
三角は驚く。神不知火が足を伸ばしてきてボールをカットしたからである。
「……」
(なっ、体の重心が完全に逆側に傾いていたのに……どうして反応できたの⁉)
神不知火がボールを持ったまま持ち上がる。
「はい! こっちですわ!」
伊達仁が手を挙げて、ボールを要求する。
「させんで!」
米原と大野田が伊達仁に体を寄せる。それを見て神不知火は縦のロングパスを選択する。
「よっしゃ!」
「甘えよ!」
「ぐっ!」
神不知火からのパスをキープしようとした龍波だったが、寒竹に競り負ける。
「!」
令正守備陣に緊張が走る。寒竹が跳ね返したボールが丸井に渡ったからである。丸井は間髪入れず、グラウンダーのパスをバイタルエリアに送り込む。そこには伊達仁がいた。米原と大野田が挟み込もうとする。米原が頭を回転させる。
(やっぱり最後は元気の残っているこの13番に託すか! さっきは一本危ないシュートあったけど、前を向かせなければエエだけの話や!)
「……」
「な、なんやと⁉」
米原が驚く。伊達仁がパスをスルーしたからである。ボールはペナルティーエリアの手前で姫藤に渡る。姫藤は細かなステップワークで対面する長沢を躱し、左足でシュートを放つ。
「!」
姫藤の放ったシュートは羽黒のブロックに塞がれる。米原が声を上げる。
「ナイス! キャプテン!」
「まだだ!」
「⁉」
寒竹の言葉通り、浮いたボールの落下点に石野がいち早く入りこんだ。大野田が少し遅れて体を寄せた為、石野は体勢を崩してボールをキープすることが出来なかった。
「ファウル!」
丸井が叫ぶが、審判は反則を取らなかった。転がるボールはペナルティーエリアの左奥(令正ゴールから見て)に転がる。このままゴールラインを割るかと思ったが、姫藤が追い付く。
「ちっ!」
「次美、二度も抜かれんなよ!」
姫藤は舌打ちする。角度のないところでも構わずシュートを打とうとしたが、長沢が自分とゴールキーパーの間に割り込んできたので、僅かなシュートコースすら消されてしまったからである。一瞬後方に目をやるが、白雲へのパスコースは百地が、石野へのパスコースは大野田が消している。姫藤が考える。
(相手にボールを当てて、ゴールラインを割らせてコーナーキックをもらう? いや、下手したらただ相手にボールを渡してしまう! それにコーナーをもらっても輝先輩がベンチに下がっているから、右サイド側の担当キッカーがいない! どうする!)
「へい!」
「!」
丸井が猛ダッシュでゴール前に走り込んできたのが見えた姫藤が右足から左足にボールを持ちかえて、パスを送る。米原が慌てて体を寄せる。
(くっ! 打たせへんで!)
「……」
「なっ⁉」
米原が再び驚く。丸井がシュートを打たず、パスをスルーしたからである。ボールの転がる先には伊達仁が待ち構えている。伊達仁は声を上げる。
「ビィさん、ナイスですわ!」
(ちっ、13番を離してしもうた! !)
米原の目に羽黒が伊達仁に体を寄せるのが見える。
「むっ!」
(よっしゃ、キャプテンが防いでくれる! ⁉)
米原は一瞬ほっと安心したが、三度驚く。予想もしなかった人物がゴール前に飛び込んできたからである。
「それ!」
「⁉」
和泉の最終ラインにいたはずの鈴森が伊達仁たちの前に走り込み、右足インサイドでボールをゴールに流しこんだのである。これでスコアは3対2。和泉の勝ち越しである。
「やったあ!」
「やりやがったな、エムス!」
丸井と龍波が抱擁を交わす鈴森と姫藤に思い切り抱き付く。鈴森のポニーテールと姫藤のツインテールが大きく揺れる。歓喜の輪が弾ける。
後半35分…和泉、姫藤に代えて桜庭を投入。丸井と石野の間に置き、守備を固める。
試合はアディショナルタイムに入り、令正は東山を目がけてロングボールを蹴り込むが、谷尾がヘディングで弾き返す。こぼれたボールを桜庭が右サイド前方に蹴り出す。サイドラインを割りそうだったボールに俊足の白雲が追い付き、ボールをコーナー付近まで運び、キープに入る。令正の守備陣が二人がかりで早くボールを奪おうとする。丸井が声をかける。
「流ちゃん! そのまま時間使って! 健さん、フォローに行ってあげて!」
伊達仁が近づき、白雲がボールを預ける。一人増えた令正守備陣が今度は伊達仁を取り囲もうとする。再びコーナー付近でキープに入ると思い、そちらに意識をやった次の瞬間……。
「せい!」
「⁉」
伊達仁が鋭いターンとステップで包囲網を躱し、ペナルティーエリア横に抜け出る。
「最後の仕上げは……譲って差し上げますわ!」
「⁉」
一瞬、シュートする体勢に見えた伊達仁がペナルティーエリア中央にふんわりとしたクロスボールを上げる。そこには、高く飛んだ龍波が待っていた。
「ナイスだぜ、スコッパ!」
伊達仁に気を取られて出遅れた寒竹が慌ててジャンプするも届かず、龍波の頭が先にボールに触れる。強烈なヘディングシュートが令正ゴールに突き刺さる。まさかの追加点が和泉に入り、スコアは4対2.和泉が勝利を自分たちに手繰り寄せる。
「……」
予想外の展開に意気消沈する令正の面々を余所に和泉のメンバーが喜びを爆発させる。
「よっしゃあ! 見たか!」
「わたくしの正確なクロスを讃えなさい!」
「少し癪だが、礼を言うぜ! 合わせるだけだったからな!」
「ナイスゴール、ナイスパス!」
「おおっ! やったぜビィちゃん!」
丸井が歓喜の輪に加わる。あの場合ボールを奪われると、カウンターを喰らい、失点のリスクが増したのだが、結果オーライということでここは黙っておくことにした。その後試合は再開される。約一分半が経過した後、主審がホイッスルを鳴らす。試合終了の笛である。大方の予想を覆し、仙台和泉が令正を下した。
「ははっ、勝ちやがったよ、あいつら……」
ベンチで春名寺が笑う。
「監督! やりましたよ!」
「落ち着け、ジャーマネ。試合はちゃんと見ていたぜ」
春名寺が苦笑交じりで、興奮気味の小嶋を落ち着かせる。
「そうではなくて!」
「ん?」
「この勝利で4チーム全てが1勝1分1敗で並び、さらに得失点差もプラスマイナス0で並んだのですが、総得点で他を上回ったうちのチームがこの親善大会優勝です!」
「マ、マジか⁉」
「マジです!」
「ははっ、強豪3チーム抑えて優勝か、こりゃあちょっと出来過ぎだな……」
春名寺が頭を抱える。それでも顔は笑っている。
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