もっともな戦隊はごもっともな変態!?

阿弥陀乃トンマージ

文字の大きさ
上 下
9 / 28
第1章

第2話(4)最高のブルー

しおりを挟む
「コウモリ怪人さま!」

 全身黒タイツの者が蝙蝠の顔をした怪人に近寄り、敬礼する。

「……首尾はどうだ?」

「はっ! 各地点に散らばりました!」

「うむ……」

「それでは実行に移します!」

「ま、待て!」

「えっ⁉」

「えっ⁉じゃない! なにを実行に移すつもりだ⁉」

「……さあ?」

「さあ?じゃないだろう!」

 コウモリ怪人が呆れる。

「ええっと……」

「指示を仰がないで行動するつもりだったのか?」

「ま、まあ……」

「なんということだ……」

「考えるよりもまずは動いた方が良いかと……」

「それはそうだが……」

「どうすればよろしいのでしょうか?」

「事前に話したはずだが……まあいい、今一度確認だ。私が校舎の屋上に向かう」

 コウモリ怪人が屋上を指差す。戦闘員が首を傾げる。

「屋上に……ですか?」

「ああ」

「なるほど、なんとかと煙は高い所が好きということですか?」

「違う! この広い敷地内を見渡すにはちょうどいい場所だろうが!」

「あ、ああ……」

「……貴様、ひょっとしてケンカを売っているのか?」

「と、とんでもありません……」

 戦闘員が慌てて手を左右に振る。

「……まあいい、私が屋上から指示を送るから各自その通りに動け」

「……飛べるんだから、最初からあそこに向かえば良かったのでは?」

「なにか言ったか?」

「い、いえ、なんでもありません!」

「よし、それでは屋上に向かう……!」

「待て!」

「!」

 青いスーツを着た男がその場に駆け付ける。

「貴様らの悪事もそこまでだ……!」

「ブ、ブルーセイバー⁉ どうしてこんな場所に⁉」

 コウモリ怪人が驚く。

「言う必要などないでしょう」

「ちっ……」

「聞けば素直に答えると思いましたか? 貴方はアホですか?」

「むっ……」

 コウモリ怪人がムッとする。ブルーセイバーが呆れ気味に両手を広げる。

「まったく……」

「む……」

 コウモリ怪人が周囲を見回す。

「……」

「貴様一人か? 他の連中はどうした?」

「今日は私一人です」

「なにっ⁉ な、舐めているのか?」

「いいえ……情報をもとに冷静に判断したまでです」

「冷静に判断しただと?」

「ええ、それくらいの数ならば、私一人でも十分だと……」

「な、なにを……!」

 コウモリ怪人たちが色めき立つ。ブルーセイバーがため息交じりに呟く。

「はあ……事実を指摘したまでなのですが……」

「ふ、ふん! どこまでその余裕を保てるかな? おい、かかれ!」

「はっ! 行くぞ! お前たち!」

 コウモリ怪人の指示を受け、戦闘員たちがブルーセイバーを包囲する。

「戦闘員ですか……雑魚が何人群がろうと一緒ですよ?」


「我々は戦闘員の中でも選抜された面々だぞ! 最上戦隊ベストセイバーズのメンバーであるお前にだって勝てるぞ!」

「選抜ですか……低いレベルから選んでも大して意味はないと思うのですが……」

「な、舐めるなよ! 行け!」

「おおっ!」

「……!」

「がはっ⁉」

 向かってきた一人の戦闘員をブルーセイバーが銃撃で倒す。

「ああっ⁉ じゅ、銃撃だと⁉」

「素手で戦うなど……それはあくまでも最後の手段です……」

「な、ならば! この部隊でも随一の俊足のお前が行け!」

「うおおっ!」

「はあ……」

「うおりゃあ!」

「………!」

「ぐはっ⁉」

 ブルーセイバーが向かってきた戦闘員の突進を見極め、銃撃一発で倒す。

「ああっ⁉ この部隊でも随一の俊足を一撃で……な、なんてことだ……!」

「……貴方たち、数の優位性というものを活かしたらどうですか?」

「はっ、そ、そうか! よし! お前ら、一斉にかかれ! どおりゃあ!」

「ふん……」

「げはっ⁉」

 ブルーセイバーの反撃で、戦闘員たちはあっという間に全員倒される。

「馬鹿正直に突っ込んでくれば、それだけ当てやすいというもの……むっ⁉」

「はははっ! 上に逃げれば、銃弾も届くまい! ブルーセイバー!」

 コウモリ怪人が翼を広げて空に舞う。

「射程距離というものはどうしてもありますからね……」

「制空権をとってしまえば、どうとでもなる!」

「……はっ!」

 ブルーセイバーがコウモリ怪人より上に飛んで見せる。

「‼」

「『最高』の私の前では無駄なことです……それっ!」

「ごはあっ⁉」

 ブルーセイバーの銃撃を食らい、翼を射抜かれたコウモリ怪人は遠くへ墜落していく。

「終わりましたね。戦闘員たちの確保は警察にでも任せましょうか……さて……」

 ブルーセイバーは生徒会室に窓から戻り、変身を解いて、正高に戻る。美蘭が問う。

「……私の前で変身しても良かったの?」

「まあ、知られても構いません。貴女には尋ねたいことがあるからな……」

「! 尋ねたいこと?」

 美蘭が身構える。潜入がバレたのかと考えていると、正高が近寄ってくる。

「いや、お願いしたいことと言った方が良いでしょうか……」

「お願いしたいこと? !」

「お願いします! さきほどみたいに私を上から目線で罵倒してください! 私が最高すぎるあまり、誰も私を見下してはくれないのです! しかし、貴女なら、私の望みは叶う!」

「⁉ へ、変態⁉」

 目の前で土下座する正高を見て、美蘭は困惑する。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

乙男女じぇねれーしょん

ムラハチ
青春
 見知らぬ街でセーラー服を着るはめになったほぼニートのおじさんが、『乙男女《おつとめ》じぇねれーしょん』というアイドルグループに加入し、神戸を舞台に事件に巻き込まれながらトップアイドルを目指す青春群像劇! 怪しいおじさん達の周りで巻き起こる少女誘拐事件、そして消えた3億円の行方は……。 小説家になろうは現在休止中。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

処理中です...