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第1章
第5話(4)特異なエクソシスト
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「さあ、ちゃっちゃと祓っちまおうぜ!」
「えっと……」
「さあさあ!」
「う、う~ん……」
「ガンガン」
「い、いや……」
「行こうぜ!」
「嫌です!」
「ええっ⁉」
わたしの大声による拒絶に、ブレムさんは困惑する。わたしは頭を下げる。
「い、いや、すみません、いきなり大声なんか出しちゃって……」
「そ、それは別に構わねえが……嫌なのか?」
「いや、嫌でしょ、それは……」
「何故だ?」
ブレムさんは不思議そうに首を傾げる。
「何故って……」
「いいか? アンタにはエクソシストの素質があるんだぜ?」
「いや、そう言われてもですね……」
「なにか気になることがあるのかよ?」
「いや、気になることだらけで、挙げ始めたらキリが無いのですが……」
わたしは側頭部をポリポリと搔く。
「例えばなによ?」
「例えばですか……」
「ああ」
「ええっと……」
「いいから言ってみろよ」
「いや、たまたま悪魔にビビらなかっただけで素質ありだと判断するのはいかがなものだと思うんですよね……」
「ん?」
ブレムさんは首を捻る。
「つまり……判断基準がおかしい……いや、狂っていると言っていいです」
「く、狂っているだあ⁉」
ブレムさんが面食らう。
「すみません、正直過ぎました」
「言い過ぎましたじゃねえの⁉」
「ええ」
「そ、そうか……」
ブレムさんは自らの額を抑える。
「あの……」
「うん?」
「さらに言うのであれば……」
「追い打ちをかける気か⁉」
「駄目ですか?」
「い、いや、いい……この際だから聞こうじゃねえか」
「……良いんですね?」
「良いさ」
ブレムさんは両手を大げさに広げてみせる。
「判断基準のみならず……全部間違っています」
「ぜ、全部だと⁉」
「ええ、全部」
「な、なにを以って、そう感じたんだ?」
「いや、なんとなく」
「なんとなく⁉」
「はい」
「なんとなくで全否定すんなよ!」
「肯定出来る要素も見当たらないので……」
「オ、オーバーキルをかましてくるなあ、なんかこう、精神的によお!」
「そういうつもりは無かったんですが……」
「ま、まあいいさ……」
「具体的に否定した方が良かったですか?」
「いいや、もういい!」
「そうですか、それでは……」
「ちょっと待て、どこへ行く気だ?」
「え、失礼しようかと……」
「いや、帰る気かよ!」
ブレムさんが驚いた様子で声を上げる。
「いや帰るでしょう、それは……」
「ア、アンタ……」
「……唖然とされていますね」
「そ、それは唖然ともするさ……」
「……………」
悪魔がゆっくりとこちらに接近してくる。
「あ、悪魔が近づいてきていますよ!」
「……やっと頼れる相棒を見つけることが出来たと思ったのによ……オイラはいつだって一人ぼっちだぜ……」
ブレムさんはがっくりとしている。
「! 一人ぼっち……」
「………………」
「って、ブレムさん! 悪魔が!」
「……!」
「……うぜえな!」
「!」
悪魔が槍を振りかざして襲いかかってきたが、ブレムさんは俯いたまま、十字架のペンダントをかざす。ペンダントから眩い光が放たれるとともに、強い風が吹き荒れる。それを食らった悪魔は後方に思いっきり吹っ飛ばされる。
「! な、なんという力……!」
「そりゃあ、一流のエクソシストだからな……」
「は、はあ……」
「アンタも手伝ってくれりゃあ超一流になれんだけどな……」
ノリタカさんが残念そうな表情でわたしを見つめてくる。
「い、いや! 別に手伝わなくても全然大丈夫じゃないかと思いますけど⁉」
「…………………」
「あ、悪魔が体勢を立て直した!」
「……!」
「ま、また接近してきていますよ! さっきよりも速い!」
「……‼」
「と、飛びかかってきた!」
「しつけえ!」
「‼」
ブレムさんが手に持った十字架のペンダントを剣に変化させて、横に薙ぐ。悪魔はこの攻撃をかわしきれず、一刀両断される。わたしは驚き交じりで呟く。
「け、剣……?」
「エクソシストならば、このペンダントに念ずれば、どんな武器だって具現化することが出来るぜ……針から核弾頭までなんでもござれだ……」
「………!」
「なにっ⁉」
両断されたはずの悪魔が二体に再生して、ブレムさんを襲う。二本の槍がブレムさんの右肩と左膝を貫く。
「ブレムさん!」
「ちぃっ、油断した……」
「さ、再生したんですか?」
「かなり低い階級の悪魔だと思っていたんだが、再生・分裂能力持ちのそこそこ低い階級の悪魔にレベルアップしやがった……うぜえな」
「レ、レベルアップとかあるんですね……」
「オイラとちょっと戦うだけでも、かなりの経験値が貯まるからな……」
「ブ、ブレムさん、大丈夫……ではないですよね?」
「これくらいの傷はてめえで治せるが、ちょいと時間がかかる……ヘンテコな呪文を唱えねえといけねえからな……ここは任せたぜ」
「ま、任せられても!」
「このままだと、オイラがやられる。そうなると次の標的はアンタや周りの人々だ……」
「! ……戦うしかないってことですか……し、しかし、一体どうすれば⁉」
「ペンダント的なものを強く握って念じろ! そうすりゃ、不思議な力が湧いてくる!」
「ペ、ペンダント的なものって⁉ ……ええいっ! ああっ⁉」
わたしは通学鞄に提げているイグアナのキーホルダーを握ると、イグアナのような四足歩行の体勢になり、二体の悪魔の攻撃を難なくかわして反撃。悪魔に思い切り噛みつく。
「………‼」
二体の悪魔たちが霧消する。
「……倒せた?」
「獣の形態模写とはな……アンタ、エクソシストとして特異な才能を持っているぜ。悪魔祓いには必要な存在だ。これからも頼むぜ」
傷を癒したブレムさんがニヤリと笑う。一人ぼっちなのはちょっと可哀そうかなと思ったけれども、特異なエクソシストか……。
「えっと……」
「さあさあ!」
「う、う~ん……」
「ガンガン」
「い、いや……」
「行こうぜ!」
「嫌です!」
「ええっ⁉」
わたしの大声による拒絶に、ブレムさんは困惑する。わたしは頭を下げる。
「い、いや、すみません、いきなり大声なんか出しちゃって……」
「そ、それは別に構わねえが……嫌なのか?」
「いや、嫌でしょ、それは……」
「何故だ?」
ブレムさんは不思議そうに首を傾げる。
「何故って……」
「いいか? アンタにはエクソシストの素質があるんだぜ?」
「いや、そう言われてもですね……」
「なにか気になることがあるのかよ?」
「いや、気になることだらけで、挙げ始めたらキリが無いのですが……」
わたしは側頭部をポリポリと搔く。
「例えばなによ?」
「例えばですか……」
「ああ」
「ええっと……」
「いいから言ってみろよ」
「いや、たまたま悪魔にビビらなかっただけで素質ありだと判断するのはいかがなものだと思うんですよね……」
「ん?」
ブレムさんは首を捻る。
「つまり……判断基準がおかしい……いや、狂っていると言っていいです」
「く、狂っているだあ⁉」
ブレムさんが面食らう。
「すみません、正直過ぎました」
「言い過ぎましたじゃねえの⁉」
「ええ」
「そ、そうか……」
ブレムさんは自らの額を抑える。
「あの……」
「うん?」
「さらに言うのであれば……」
「追い打ちをかける気か⁉」
「駄目ですか?」
「い、いや、いい……この際だから聞こうじゃねえか」
「……良いんですね?」
「良いさ」
ブレムさんは両手を大げさに広げてみせる。
「判断基準のみならず……全部間違っています」
「ぜ、全部だと⁉」
「ええ、全部」
「な、なにを以って、そう感じたんだ?」
「いや、なんとなく」
「なんとなく⁉」
「はい」
「なんとなくで全否定すんなよ!」
「肯定出来る要素も見当たらないので……」
「オ、オーバーキルをかましてくるなあ、なんかこう、精神的によお!」
「そういうつもりは無かったんですが……」
「ま、まあいいさ……」
「具体的に否定した方が良かったですか?」
「いいや、もういい!」
「そうですか、それでは……」
「ちょっと待て、どこへ行く気だ?」
「え、失礼しようかと……」
「いや、帰る気かよ!」
ブレムさんが驚いた様子で声を上げる。
「いや帰るでしょう、それは……」
「ア、アンタ……」
「……唖然とされていますね」
「そ、それは唖然ともするさ……」
「……………」
悪魔がゆっくりとこちらに接近してくる。
「あ、悪魔が近づいてきていますよ!」
「……やっと頼れる相棒を見つけることが出来たと思ったのによ……オイラはいつだって一人ぼっちだぜ……」
ブレムさんはがっくりとしている。
「! 一人ぼっち……」
「………………」
「って、ブレムさん! 悪魔が!」
「……!」
「……うぜえな!」
「!」
悪魔が槍を振りかざして襲いかかってきたが、ブレムさんは俯いたまま、十字架のペンダントをかざす。ペンダントから眩い光が放たれるとともに、強い風が吹き荒れる。それを食らった悪魔は後方に思いっきり吹っ飛ばされる。
「! な、なんという力……!」
「そりゃあ、一流のエクソシストだからな……」
「は、はあ……」
「アンタも手伝ってくれりゃあ超一流になれんだけどな……」
ノリタカさんが残念そうな表情でわたしを見つめてくる。
「い、いや! 別に手伝わなくても全然大丈夫じゃないかと思いますけど⁉」
「…………………」
「あ、悪魔が体勢を立て直した!」
「……!」
「ま、また接近してきていますよ! さっきよりも速い!」
「……‼」
「と、飛びかかってきた!」
「しつけえ!」
「‼」
ブレムさんが手に持った十字架のペンダントを剣に変化させて、横に薙ぐ。悪魔はこの攻撃をかわしきれず、一刀両断される。わたしは驚き交じりで呟く。
「け、剣……?」
「エクソシストならば、このペンダントに念ずれば、どんな武器だって具現化することが出来るぜ……針から核弾頭までなんでもござれだ……」
「………!」
「なにっ⁉」
両断されたはずの悪魔が二体に再生して、ブレムさんを襲う。二本の槍がブレムさんの右肩と左膝を貫く。
「ブレムさん!」
「ちぃっ、油断した……」
「さ、再生したんですか?」
「かなり低い階級の悪魔だと思っていたんだが、再生・分裂能力持ちのそこそこ低い階級の悪魔にレベルアップしやがった……うぜえな」
「レ、レベルアップとかあるんですね……」
「オイラとちょっと戦うだけでも、かなりの経験値が貯まるからな……」
「ブ、ブレムさん、大丈夫……ではないですよね?」
「これくらいの傷はてめえで治せるが、ちょいと時間がかかる……ヘンテコな呪文を唱えねえといけねえからな……ここは任せたぜ」
「ま、任せられても!」
「このままだと、オイラがやられる。そうなると次の標的はアンタや周りの人々だ……」
「! ……戦うしかないってことですか……し、しかし、一体どうすれば⁉」
「ペンダント的なものを強く握って念じろ! そうすりゃ、不思議な力が湧いてくる!」
「ペ、ペンダント的なものって⁉ ……ええいっ! ああっ⁉」
わたしは通学鞄に提げているイグアナのキーホルダーを握ると、イグアナのような四足歩行の体勢になり、二体の悪魔の攻撃を難なくかわして反撃。悪魔に思い切り噛みつく。
「………‼」
二体の悪魔たちが霧消する。
「……倒せた?」
「獣の形態模写とはな……アンタ、エクソシストとして特異な才能を持っているぜ。悪魔祓いには必要な存在だ。これからも頼むぜ」
傷を癒したブレムさんがニヤリと笑う。一人ぼっちなのはちょっと可哀そうかなと思ったけれども、特異なエクソシストか……。
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