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第1章

第3話(1)またまた悩む

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 またあらためてわたしの名前は最寄田静香。16歳。この春から高校二年生だ。

 さて、つい昨日、『新宿オルタナティブ学園』の二年生に晴れて進級して記念すべき二日目だったのだが……なんとも驚くべきことがあった。学園名変更? 残念ながら違う。

 ……栗毛色の髪でイケメンのスーパーヒーローと会ったのだ。いや、何を言っているのだと思われるのも分かる。わたし自身も同じような気持ちだからだ。最初はその恰好から、どこかでコスプレイベントでもあるのかと思った。コスプレイヤーさんに話しかけられるとはまったく予想だにしていない。戸惑いつつも話を聞くと、その栗毛髪イケメンの男性は、浜松功人さんと名乗り、自分のことはスーパーヒーローだと言った。馬鹿げていると思ってしまった。スーパーヒーローなんてアメコミ映画の中の話だと思っていたからだ。仮にそういう方たちが本当に存在していたとして。何故現代の新宿の高校に?

 功人さんは整った顔立ちで清潔感を感じさせる人だった。人によっては、それだけで警戒心を緩めてしまう人もいるだろうし、その逆の場合もある。わたしの場合は後者だった。ごくごく普通に生きてきたつもりなのに、スーパーヒーローさんに話しかけられるとは思えない。そりゃあ、高校に入学してからは不幸な体質になってしまったかのように感じていたが、それが現代日本に、いや、現代世界において何人いるのかも分からないスーパーヒーローさんにお世話になることになるだなんて、本当に想像もしていない。

 しかし、功人さんが言うには、わたしは選ばれし存在だという。この新宿近辺に眠るという『M資金』――都市伝説でよく聞くやつだ――を狙うヴィランたちの悪い企てを共に阻止しようと言われた。実際に昨日、蜘蛛女に遭遇してしまったのだから、信じるしかない。この学園の辺りをヴィランたちが狙っているという。わたしは功人さんとともに『スーパーヒロイン』として、ヴィラン撃退にあたることとなった。そんな……わたしはただ唖然とするしかなかった。

 ……まあ、嘆いてばかりもいられない。功人さんの話では、ヴィランの襲撃頻度というのは週に一度か二度らしい。頻度が決まっているヴィランってなんだろうとは思うが、正義か悪かで言えば、正義よりの人間だという自覚はある。悪を挫くとしよう……うん?

「……」

 何やら校舎前がざわざわしているな……。平穏に過ごしたいところなのだが……む?

「ああ、おはよう。やっと出会うことが出来たな……」

 ロールプレイングゲームから飛び出してきた勇者のような恰好をした、灰色の長髪の男性がわたしを見つけて、淡々と挨拶をしてきた。

「ど、どなたさまでしょうか……?」

 わたしは困惑気味に応える。新年度三日目、またしても予想外の幕開けだ。
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