オレと君以外

泉花凜 いずみ かりん

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第四章 「形勢逆転」

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 仲間たちはみんな俺のために駆けつけてくれた。警官に見咎められないよう、全員私服姿だ。外も暗いし、遠目なら未成年だとバレて補導される可能性も低いだろう。

 あいつらの居場所を突き止めた矢来の情報網に従って、俺たちは本道区の奥まった地域に入り込んでいった。

 本道区の中心的な役割を持つ『本道駅』からどんどん離れ、次第に同じ地区とは思えないほど空気も雰囲気も冷え切った世界になっていく。一本道を挟んだ左側の街なんて大体そんなもんだけど、さらに離れるとこんなにも過疎化してるのか。この街に生まれて育った俺はほんの一瞬、寂しく感じる。

 ひたすら奥地に進んで、進んで、たどり着いたのは、塀の広い範囲を頑丈そうな金網で取り囲まれた、人の気配のしない四階建ての公共施設みたいな建物だった。ネームプレートが錆びついて名前の部分が?がれてしまい、ここがどういった場所だったのかまったくわからない。

 四人で注意深く辺りを観察する。
 俺は呻いた。

「何だ、ここ!? どうなってる!?」
「廃校になった小学校だろ。取り壊しになるまで立ち入り禁止だけど、あいつらの根城になってるのかもな」

 飯田が冷静に事の状況を分析した。

「金網で囲ったところで壊すのが俺ら不良だもんなあ」

 千代田が当然のごとく不良の矜持を言い切る。俺もそれには同意だが、一般人に手を出す不良は俺のポリシーに反する。許せないやつらだ。

 窓ガラスはほぼ全部割れていたので、金網をよじ登れば簡単に校舎内に進入できそうだった。俺たち四人は軽々と柵を飛び越え、敷地内に入る。警察を待っていたらいつになるかわからない。大目玉を食らいそうな行動をしていることは百も承知だったが、大人しく家で待機なんてしていられなかった。

 スマホに標準搭載されてる懐中電灯の機能を使い、辺りを照らして玄関から中に入った。埃を大量に被った下駄箱の列が、何とも不気味だ。

「何か、声が聞こえるよ」

 矢来が言った。

「な、何だよ、幽霊か?」

 俺が少々ビビると、「バカ! 人の話し声が聞こえるっつってんの! ちょっとギャーギャー騒いでる感じのやつ」と注意を食らう。

「矢来、耳がいいな」

 飯田が褒め、「地獄耳って言われてたからねー」と自慢げに矢来が返す。今はこいつの聴覚の鋭さが頼りだ。

 一階の廊下を渡り、矢来の指示に従って、なるべく足音を立てずに小走りで各教室を覗く。一つ一つ、順にめぐるうちに、確かに俺の耳にも男たちの野太い声が届き始めていた。

「いちばん奥の教室だな、たぶん」

 千代田の体から一種の殺気が立ち上ってくる。こいつがこういう気配を出すのは、喧嘩の始まりが近い合図だった。中学時代、こいつと一緒になって敵対勢力の不良どもを薙ぎ払っていた過去を思い出す。

 スマホの明かりを全員消して、中の様子をうかがう。
 声ははっきりと聞こえてきた。間違いなく、筑摩たちの声だった。

「それで、こいつの扱いどうすんの?」

 口を開いているのは相方の竹だろう。あいつの読めない調子の冷たい声質がひどく癇に障った。

「お前、囮《おとり》に使えると思ったんだけどなあ」

 嫌らしく耳を撫でる声が、はっきりと筑摩のものだとわかる。この件は、絶対にあいつが主犯格に違いない。

(千晃さん! いるのか!?)

 俺は気が気でなかった。千晃さんがもし怪我でもさせられていたらただじゃおかない。百倍くらいは仕返ししてやると、黒い炎が胸の中に渦巻いていく。

 連中は、真っ暗な教室を少しの明かりでぼんやりと照らしていた。俺たちと同じようにスマホのライト機能を使っているのか、他の装置でも持ってきているのか、廃校舎の教室はここだけ薄く明るい。

「全然来ねえじゃん、あいつら」

 竹の野郎が酷薄な言葉を吐く。言葉尻にはっきりとした苛立ちが表れている。

「かわいそうに。お前、友だちだと思われてなかったんだな」

 竹が嘲笑した。脅しのつもりか、近くの壁を乱暴に蹴る音が響く。

 愛しい人の声は、かすれるほどに小さかったが、確かに俺の耳に届いた。

「家に……帰してください」

 千晃さんだ。相当怖がっている。
 やっぱり、俺のせいで彼は巻き込まれてしまったんだ。

 すぐにでも千晃さんを救出してあげたかった。だけど軽率に出てきたら彼の身に危険が迫る。やつらは何をするかわからない。そもそも千晃さんは無傷なのか? それさえわからない現状が俺の不安を駆り立てる。

「なあ、もうこいつボコッてさあ、痛い目に遭わせようぜ。そんであいつらの前に晒してやろうよ」

 竹の発した言葉に、怒りで体が燃え滾る。けど同時に、まだ千晃さんは危害を加えられていないことがわかって少しほっとした。

「で、お前ってあいつらとどんな関係?」

 筑摩が千晃さんに畳みかけた。

 胸が痛みに疼く。

 千晃さんも押し黙ってしまっている。

 ここで正直に発言できたら、どれほど楽なんだろう。

 喉元に苦い感情がせり上がって、知らず唾を飲み込んだ。彼は、適当に言葉を濁すだろうか。大した関係じゃないみたいな台詞を告げるだろうか。もしそうだとしても、俺は彼を助ける。こんな事態に巻き込まれたのは俺の責任だ。俺がもっとしっかりしていればよかった。だから、せめてけじめはつけたい。

 張り詰めた緊張感が教室内にも、俺らの間にも満ちる。一瞬でも気を抜けば、何かに飲み込まれてしまいそうな、嫌な時間だった。

 頼む。
 ごまかしていいから、俺を傷つけていいから、あんたは無事でいてくれ。

 今まで、人のために祈ったことなど、なかった。自分さえよければ、それでかまわなかった。
 あの時の自分には、もう戻れないのだと、この瞬間、俺はわかった。

 彼に出会ってから、俺は変わったのだろう。
 何もかも一変させてしまった、この人のために、戦いたいと思った。取り戻したいと思った。

 千晃さんが、好きだから。
 拒絶されても、逃げられても、俺は俺の決意を最優先させよう。

 そうするべき時が、来たのだから。
 それは、今なのだから。

 俺は仲間たちに視線を走らせた。
 目と目が合う。

 千代田が合図を送る。
 飯田がバトルモードに入り、指の関節をコキッと鳴らす。
 矢来がチームの動きの作戦を練っている。

 大丈夫だ。俺たちは無敵の四人組だから。
 勝負を仕掛けようとした時、

「――です」

 千晃さんの、か細い声が聞こえた。
 小さくて聞き取れなかったけれど、その声音には凛とした強さが内包されていた。

「あ?」

 筑摩が苛立った声を上げる。聞こえねーよ、とやつの恫喝《どうかつ》が響いて、その場の空気が一触即発のような殺伐さを増していった。

 それでも千晃さんは、もう一度、今度は大きな声で、言った。

「――大切な、人です」

 言い切って、くれた。

 ――あんた、どうして。
 ――そんなに、バカ正直に。

 一瞬の間の後、耳に響いてきたのはやつらの大爆笑だった。何がおかしいのか、ゲラゲラ下品な声を立てて千晃さんを小突いている。

「おままごとかよ! お前ら、出来てんの!? 強がったってお前のそばには誰もいねえじゃん! せいぜい気持ち悪い趣味を持ってるあいつの――」

 ――バシィン、と甲高い音が暗い部屋に鳴る。

 ――千晃さんが、筑摩の頬を思い切り、張り飛ばしていた。

 ひりつく空気。誰もが発言できないほど、その場の空間は氷のように何もかも固まってしまった。

「……何で」

 気づいた時、俺は口にこぼしていた。

 彼は、どうしてここまで怒る?

 俺のことは、振ったんだろ? ならもう他人じゃん。知り合い程度じゃん。笑って態度を濁せばいいのに、何でそんな器用な真似ができないんだよ。簡単な作業じゃん。

 千晃さん、あんた、バカだよ。やっぱり、かなりの大バカだよ。

 ……ちくしょう。全然わかんねえ。

 やっぱり、大好きだ。

 何度砕け散っても、あんたをあきらめる時は、きっと訪れない。

 手放したくない。
 だから、守る。

 俺は走り出した。

 千代田たちの制止の声が聞こえるが、立ち止まらなかった。振り返らなかった。

「何すんだてめえ!」と筑摩が千晃さんの胸倉を掴んで、頬を殴りつけた。倒れ込んで苦しそうに呻く千晃さんの体に、筑摩の暴力行為がさらに及びそうになった瞬間、俺はやつに飛び掛かった。

 ――――この人に手を出すな。

 気づくと、口に出して咆哮していた。

 振り向いた筑摩の顔を倍返しに思い切り殴りつける。千晃さんを傷つけた罪は重いぞ。身をもって知れ。

 もつれあって、俺と筑摩は転がった。先に飛び起きたのは俺か、筑摩か。

「正義のヒーロー気取ってんじゃねえぞ」

 筑摩の、憎しみのこもった瞳が俺の眼前に迫る。頭突きをするつもりか。

 すさまじい勢いで俺の鼻を折ろうと攻撃を仕掛けた筑摩の頭を寸前でかわし、俺は足を蹴り上げた。こいつの鳩尾を狙ってやったつもりだったが、逆に両手で足を掴まれてしまう。そのまま力ずくで地面に倒された。

 ここで負けるつもりの俺ではない。空いてる方の腕で相手のこめかみを打つ。急所だ。ここを当てればたいていのやつは無事では済まない。

 案の定、筑摩の動きが鈍った。拘束が緩み、野郎から離れる。

 しかしその瞬間、竹が俺の後ろを狙って体当たりを仕掛けた。もろに当たってしまい、前につんのめる。

 こいつら、一筋縄じゃいかねえ。

 悪辣な手を使う。喧嘩のやり方も、千晃さんを巻き込む手段も、何もかも気に食わない。俺の最も忌み嫌う不良だ。お前たちは不良の風上にも置けない、最低なクズだ。今こそ証明してやる。

「京!」

 千代田の声が聞こえる。後方から援護射撃のごとく竹と互角に渡り合う。体格差では不利に働く千代田の特技は、その体躯に似合わない強烈なキック力だ。強靭な足腰から放たれる千代田独特の喧嘩スタイルは、水面下でかなり恐れられていた。

 俺は再度、筑摩と対峙した。

 視界の端で千晃さんの状態を見る。

 彼のそばには矢来がついて、守ってくれている。さらに二人の前に飯田が立ちはだかり、やつらの手下の雑魚どもを一網打尽にしている。

 心配はない。俺の仲間はみんな優秀だ。
 俺のするべきことは、こいつを倒すことだ。

「ムカつくんだよ、てめえ!」

 筑摩が吠える。
 ギラギラに煮えたぎった悪意の炎を見せつけ、汚い罵詈雑言を手当たり次第に投げつけるみたいにして、唾を飛ばす。

「てめえら全員キモイやつらなんだよ! 俺らの前で堂々と歩いてんじゃねえぞ! 日陰者のくせによぉ!」

 最低なことを言われているのに、俺の心は不思議と凪いでいた。
 傷さえもつかなかった。

 言葉には力がある。人を癒す魔法にもなるし、殺すだけの威力もある。呪いは人の口から生まれて、最後は本人を縛りつけ、一生そこから変われないまま人生が終わる。

 そういう人間をたくさん見てきた。

 中学時代、喧嘩に明け暮れていた頃の、同じように堕ちまくっていた不良たち。
 みんなそうだった。汚い言葉を使えばカッコイイと思ってて、それが自分自身を最も醜い姿に書き換えている事実に気がつかないまま、いつの間にか闇落ちしていったやつら。

 筑摩も、きっと、同じだ。

 なら、俺はそこから這い上がりたい。

 俺はこいつとは違う。
 それを、証明してやる。

「助けてやるよ」

 挑発を仕掛ける。筑摩の眼力の暗さが一気に増していく。

「お前、かわいそうだから、俺が助けてやる。どんなクズなことも受け止めてやるよ。
 ――ほら、来な」

 手をクイッと上げ、煽るポーズを筑摩の前に見せる。

 こっちに向けられる、殺伐とした渦のような狂気が筑摩の瞳に満ち、それは隠しようのない殺意となった。

 さっきまでとは格段に違う速さで、やつが跳ぶ。

 跳び蹴りを食らわせるつもりだ。

 正面から攻撃してくる、いっそ清々しいまでの態度に多少なりとも好感を覚えたところで、俺は返り討ちにしようと相手の動きを見切る。

 一瞬でも気を抜けば殺《や》られそうな風圧を体に感じ、昔感じた、強い敵に対する武者震いを思い出した。こいつも、かなりの腕前で嬉しいよ。

 筑摩の飛び蹴りは空振りに終わった。

 俺は完全に蹴りの筋を見切り、自慢の反射神経で避けていた。

 だが、ここで怯む相手ではない。やつは瞬時に体勢を立て直し、軸足を右に変えて、左足を強烈に突き出してきた。こいつの利き足は右だと確信していたはずだったが、両利きの器用なやつだったのかもしれない。要注意だ。

 二、三発の蹴りを上手にかわす。

 俺は敵の攻撃の振りを見極めるのがうまいと言われていた。動体視力がいいらしい。喧嘩でお世話になっていた不良の先輩がそうアドバイスしてくれたのを唐突に思い出す。

 しかし油断はしてられない。

 連続してくり出される攻撃をかわしつつ、反撃をうかがうが、何せこいつにはわかりやすい隙が見当たらなかった。

 キレつつも、冷静に俺の動きの筋を読んでやがる。侮れないな。

 ――本気を出すか。

 何より、愛しい人に怪我を負わせた相手だ。最初から手を抜いてやるつもりはなかった。

 今まで腹の底に隠して、ため込んできた怒りを、俺は噴出させる。

 筑摩が仕掛けてきたフェイントを見抜き、突破する。

 渾身の力で拳を突き当てた先には、後ろに吹っ飛ばされる筑摩。

 そこでとどめを刺すこともできたが、きっと千晃さんはそういう行為を望まないだろう。

 俺は踏みとどまり、筑摩の野郎を怒鳴りつける。

「クズをやりたいんなら、クズなりの流儀を見せてみろ!」

 集団で襲うような真似をするやつらに、希望のある明日など来るはずがない。
 腐ってないで、ただれてないで、負のパワーを別のエネルギーに変えるほどの根性を見せろ。

「てめえらはただの雑魚だ! 俺たちの敵ですらねえ!」

 筑摩が唇を噛みしめる。

 ふいに、背中にほとばしる殺気。
 反応する前に、俺の頭に何かが振り下ろされるのを感じた。

「幸介くん!」

 千晃さんの叫び声が聞こえる。

 その時に取った行動は、今までの中でもトップクラスに入るレベルの反射能力だった。

 野生の本能とでも言えばいいのか、俺の手のひらは相手が構えた凶器を見事に取り押さえていたのだ。

 我ながらびっくりする。自分の潜在能力の高さに。

 軽く自画自賛をしたところで、俺は再び鋭い目を相手に浴びせ、威嚇をした。

 竹は、筑摩が負けたのがよほど悔しかったのだろう。得物《えもの》まで持ってきて俺を再起不能にしようとするとは、こいつの腐り具合も相当だ。

 バットは俺の手の中でギリリ、と音が鳴るほどしなっていた。木のバットで助かったわ。金属バットの類だったらヤバかった。

「くたばれ」

 竹が吐き捨てる。

 それは、こっちの台詞だ。
 見てやがれ。

 俺は掴んだバットを力の限り自分の方に引き寄せた。

 離れようとする竹を逃がさず、こいつの胸倉をしっかりと掴んで懐に入る。

 食らいやがれ。

「オラア!」

 バットごと、俺は竹の体を背中で一本背負いし、地面に投げ飛ばした。
 飛ばす先はもちろん、筑摩の上である。

 ぎょっとする筑摩の表情が愉快だった。竹は思い切り仲間の体にぶつかり、のしかかってしまった。二人はそのまま、「うぅ……」と唸りながら体の痛みに悶え続ける。

 俺は筑摩と竹を見下ろし、こいつらに宣言した。

「お前らがさらったあの人は、はっきり言ってお前らなんかよりよっぽど強い」

 二人はゆっくりと顔を上げる。悔しそうに、けれど戦意が削がれたように、暴力に任せる衝動はすでに失っているみたいだった。

「俺は、あの人が好きだ。あの人が何より大事だ。真面目に生きて、何も恨まずに、一生懸命がんばっているあの人を、悪く言う権利は誰にもねえよ。もちろん、俺にも」

 出会えたことで、変化する運命がある。

 それを教えてくれたのは、音羽千晃という人だった。

 彼に接するたび、俺の中の、どうしようもなく持て余していた部分が、柔らかく、トゲを失くして浄化されていく感覚がしたんだ。

 きっとこいつらには、そういう人がいなかった。

 でも、たぶん、それだけの話で。

「あの人は、すごい人だ。俺らなんかが笑っていい相手じゃねえんだよ」

 きっかけさえあれば、この二人だって。

「わかったら人生を出直してこい。金輪際、俺とあの人に関わるな」

 これで、終わりだ。
 後は、自分たちで大いに反省しろ。

 手が今頃ジンジンと痛み始めた。てか、すげえ痛い。
 我に返れば、俺の服装も泥だらけで、体もあちこち打撲痕が刻まれている。

 まあ、でも、男の勲章だ。
 つらくなんかない。

 周りを見渡す余裕ができて、仲間たちを探すと、後の不良たちは千代田たちが完全に片づけてくれていた。飯田も矢来も、無傷とはいかなくとも軽い怪我で済んでいるようだ。ほっとした。

 千代田が両手を合わせて軽く頭を下げる。竹を仕留められなかったことを詫びているのだろう。気にしてねえよ、という意味を込めてグッドポーズを返す。

「幸介くん!」

 千晃さんが再度、涙声で俺の名前を呼ぶ。怪我だらけの自分の状態は、正直カッコ悪い。でも、無理に笑ってピースサインを決めた。ギリギリでも何でも、俺は勝った。もうこいつらにも、俺たちを笑うすべてのものにも、屈したりはしない。

 その覚悟が、今の俺にあった。

 けたたましいサイレンの音がどんどん大きくなり、近づいてくる。警察がここを突き止めたんだとわかった時には、すべてが終わっていた。


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