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【本編】第3章 錯乱する歯車
第21話
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ライト「えっ──?」
セレンの言葉に耳を疑った。
突然の事に困惑を隠せずにいるとセレンは続けた。
セレン「僕はライトくんに可能性を感じていたんだ。この学園内で君が1番強い存在になり得る素質があると思ったから。」
セレンの口調は今までとは違っていた。
いつもの優しそうな声は変わらなかったが、その奥には落胆と悲観に満ちるような暗い感じだった。
セレン「噂も耳にするしアギトからも君のことは聞いていた。だけど、当の本人である君には魔術師に本気でなろうとする意気が全くもって伝わってこない。」
ライト「!!」
『お前、本当に魔術師になりてぇのか…?』
『お前からは魔術師になりたいと思う程の意気が伝わんねぇって言ってんだよ。』
ラグナの言葉が脳裏をよぎる。
ライト「ちがっ、俺は──!」
セレン「ライトくんは何も悪くない。『その程度』だった君に期待を勝手に寄せた僕が悪いんだ。」
ライト「その程度って…俺は本気で──」
セレン「本当に残念だけど、僕は君に期待を抱くことはもう出来ない。」
セレンは淡々と冷たい言葉を放った。
ライト「確かに俺は未熟でまだ周りには到底及ばないことくらいわかってる。でも、いつかは絶対にセレンさんを認めさせる!」
そう言うと一瞬だがセレンが睨むように目を細めた気がした。
その行為に少し気が引けた。
セレンはひとつため息をついた。
セレン「君は甘いよ、もう少し自分に目を向けた方がいい。」
ライト「自分に、目を…?」
セレン「君も気づいているんだろう?」
セレンにそう問いかけられるが、ライト自身には何を言っているのかさっぱりだった。
セレン「ああ、その様子だと気づいていないのか。じゃあ、ひとつアドバイスをあげるよ。」
セレンはライトの方へと歩み寄った。
至近距離まで立ったところでライトの後頭部に手を当て、ぐいっと持ってくるようにしてセレンはライトの耳元の傍で囁くように言った。
セレン「今の君に魔術師になる資格はない。」
ライト「!!」
今までいかなる時も誰に対しても優しい口調だったセレンが、暗く恐ろしいような口調で強い言葉を放つのはライトも初めて耳にした。
セレンは一通り言い終えたように歩いて行ってしまった。
ライト「……。」
未だに頭の整理が追いつかなかった。
脳にセレンの言葉が永遠と繰り返されるばかりで考えることすらできなかった。
気がつけばライトはヒナの前に立っていて、口を開いていた。
ライト「先生。」
ヒナ「ん、どうかした?」
ライト「少し休憩しに水を飲んできます。」
ヒナ「うん、行ってらっしゃい!」
その後のライトは周りを見ることも出来ず、颯爽とこの場を去ろうとワープ地点へと向かった。
アンナ「……。」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
実習を終え、帰りの支度をする。
結局あの後もなかなか戻ることが出来ず、最後まで戻らないと心配されると思い実習が終わる数分前に戻った。
リズ「今日の実習楽しかったな~。」
ベガ「お前また進化してなかったか?1回手合わせしてみたかったぜ。」
リズ「そういうベガくんも絶好調だったでしょ?」
ベガ「へっ、まぁな。この数日の成果が出てた気がするな。」
他の属性の実習も終わったらしく、次々に講義室へと帰ってくる。
みんな充実した時間になったのか、誰もが楽しそうな感じだった。
HRを終え、生徒達は帰る支度を始める。
アンナ「ねぇ。」
ライト「……。」
アンナ「ねぇってば。」
ライト「! あぁ、ごめん。どうかした?」
ぼーっとしていたライトはアンナの顔を見て笑顔で言葉を返した。
アンナ「どうかした?じゃないわよ。今日の実習、絶対何かあったでしょ。」
やはりアンナも鋭い。
そうも思ったがあれ以降周りが全く見えず思考も停止していたせいかずっと暗い顔をしていたのかもしれないと思い、当たり前の事かとも思った。
ライト「…何も。」
アンナ「誤魔化さないで。あのセレンって人?何か言われた?嫌なことされた?」
ライト「ちょ、ちょっと。」
アンナの声が少し大きくなり、講義室にいた人はみんな揃ってこちらに顔を向けた。
ライトは焦ってアンナに声をかけた。
リズ「どうしたの?」
すぐ近くにいたリズも声をかけてくる。
話してる途中で急に大声を出せば周りも気になるし心配もすることだろう。
アンナ「…ちょっと来て。」
ライト「ちょっ、待っ…!?」
アンナはライトの手首を握って講義室を飛び出した。
講義室からそう遠くないところだが、人があまり通らない静かな場所へと移動した。
アンナ「ここなら誰にも聞かれないしいいでしょ、何があったの?」
ライト「本当に何もないって。」
アンナ「何もないは嘘よ、チーム戦で言ったこと忘れたの?」
ライト「!! それは…っ。」
ライトは言葉に詰まった。
ここにはアンナ以外誰もおらず、言ってもアンナなら大丈夫だろう。
それに、これまでも今も迷惑をかけ気を遣わせていることもあるはずだ。
ここで話さずに隠すのはライト自身が許せないことだった。
ライト「…俺は、魔術師になれないのかな。」
アンナ「えっ…?」
ライト「今日の実習でセレンに言われたんだ。俺に魔術師になれる資格はないって。」
ライトは俯いて静かに言葉を発した。
アンナ「それで、言い返さなかったの?」
ライト「言い返せなかった。結局俺は周りの人ほど強い気持ちを持ってこの学園に入学したのかと思うと自分でも分からなくって。」
自分の気持ちがどこか馬鹿らしく感じ、苦笑いを浮かべる。
ライト「全くだよね。悔しいけど、俺はもうあの頃の熱を取り戻せないのかもしれない。」
それから数秒、沈黙が続いた。
たった数秒が数分経ったかのように長く感じられた。
アンナ「私はそうは思わない。」
アンナは沈黙を裂くように静かに口を開いた。
アンナ「確かにあんたの事見てると入学後の試練の時よりも変わった気がするのは事実よ。」
アンナの言葉にライトは口をつぐんだ。
アンナ「でも、変わったのは決して悪い方じゃないんじゃない?」
ライト「…多分違うよ、あの頃の俺は何も知らなかった。魔術師になるっていう覚悟も、この世界の厳しさも。」
アンナ「それでもあんたは諦めてないんでしょう?」
ライトはその言葉を否定することは出来なかった。
しかし、ライトは試すようだったが聞いておきたかった。
ライト「どうしてそう思うの?」
アンナは何かを思い出したかのように黙り込んだ。
直後目を閉じて俯き、申し訳なさそうに呟いた。
アンナ「…ごめんなさい。保健室から抜けた後のこと、全部聞いてた。あんたを1人にすることが私の中で怖かったから、ずっと扉の傍で少しだけ盗み聞きしてた。」
保健室での話、チーム戦で敗れラグナから責められたあとの事だ。
人前で泣くのを嫌がったライトはアンナを退出させて1人になって静かに嗚咽していた。
ライト「そうなんだ。」
アンナ「別にあんたが心配だったとかそんなんじゃないけど、…孤独は辛くて寂しいって私もよくわかってる。」
アンナも過去にこんな経験があったのだろうか。
同学年、同属性、それに加え施設に通わなかった同士。
だからこそ2人はお互いがお互いの事を共感できることも多いだろう。
ライト「…ごめん、俺もう帰らなきゃだから行くね。」
ライトが講義室へ戻ろうと歩き出した。
アンナから見たその背中はいつも以上に小さく見えた。
アンナ「ま、待って…!」
気づいたら声を出していた。
その背中を見たら聞かずにはいられなかった。
ライトは声をかけられるとその場で止まった。
アンナ「あんた、これからどうすんの?」
返答はすぐに帰ってこなかった。
質問を投げかけてから5秒ほど経って、ライトはアンナの顔を見ずに背中を向けたまま言った。
ライト「…一応、このまま頑張るよ。だけど──。」
アンナ「…!!」
アンナはライトの言葉を信じることはできなかった。
だが、心のどこかでこうなることはなんとなく察しがついていた。
アンナ「…本気なの?」
ライト「まだ決まってないって。でも、こうするしかない。」
アンナ「そう、あんたがそうしたいなら私は止めたりしないわ。あんたが決めなさい。」
そう言うとライトは講義室へと戻って行った。
アンナ「……。」
自分はどうするべきだったのだろうか。
アンナは考えても仕方ないそんなことを考えていた。
アンナ「確かに、あいつがどんな選択を取っても私は私のやるべき事をやるだけ。…でも──」
アンナは過去のライトを思い返した。
入学後の試練、ノアに全員の想いを背負って《雷鳴球》を放つ姿。
その後の初行事のチーム戦、体力が尽きた者は観戦室に転移され、そこで見たアギトとの戦いで己の全てをぶつける姿。
そして、初の学年行事のチーム戦。
その日の為に練習に励んだ結果発熱。
体調不良の中、チームの期待に応えるべく最後の最後まで諦めずに立ち向かった姿。
アンナが見てきたライトの姿は、決して『諦め』の2文字を出すことはなかった。
アンナ「…勝手に潰れてもらっちゃ困るのよ。」
アンナもゆっくりと講義室へと戻った。
セレンの言葉に耳を疑った。
突然の事に困惑を隠せずにいるとセレンは続けた。
セレン「僕はライトくんに可能性を感じていたんだ。この学園内で君が1番強い存在になり得る素質があると思ったから。」
セレンの口調は今までとは違っていた。
いつもの優しそうな声は変わらなかったが、その奥には落胆と悲観に満ちるような暗い感じだった。
セレン「噂も耳にするしアギトからも君のことは聞いていた。だけど、当の本人である君には魔術師に本気でなろうとする意気が全くもって伝わってこない。」
ライト「!!」
『お前、本当に魔術師になりてぇのか…?』
『お前からは魔術師になりたいと思う程の意気が伝わんねぇって言ってんだよ。』
ラグナの言葉が脳裏をよぎる。
ライト「ちがっ、俺は──!」
セレン「ライトくんは何も悪くない。『その程度』だった君に期待を勝手に寄せた僕が悪いんだ。」
ライト「その程度って…俺は本気で──」
セレン「本当に残念だけど、僕は君に期待を抱くことはもう出来ない。」
セレンは淡々と冷たい言葉を放った。
ライト「確かに俺は未熟でまだ周りには到底及ばないことくらいわかってる。でも、いつかは絶対にセレンさんを認めさせる!」
そう言うと一瞬だがセレンが睨むように目を細めた気がした。
その行為に少し気が引けた。
セレンはひとつため息をついた。
セレン「君は甘いよ、もう少し自分に目を向けた方がいい。」
ライト「自分に、目を…?」
セレン「君も気づいているんだろう?」
セレンにそう問いかけられるが、ライト自身には何を言っているのかさっぱりだった。
セレン「ああ、その様子だと気づいていないのか。じゃあ、ひとつアドバイスをあげるよ。」
セレンはライトの方へと歩み寄った。
至近距離まで立ったところでライトの後頭部に手を当て、ぐいっと持ってくるようにしてセレンはライトの耳元の傍で囁くように言った。
セレン「今の君に魔術師になる資格はない。」
ライト「!!」
今までいかなる時も誰に対しても優しい口調だったセレンが、暗く恐ろしいような口調で強い言葉を放つのはライトも初めて耳にした。
セレンは一通り言い終えたように歩いて行ってしまった。
ライト「……。」
未だに頭の整理が追いつかなかった。
脳にセレンの言葉が永遠と繰り返されるばかりで考えることすらできなかった。
気がつけばライトはヒナの前に立っていて、口を開いていた。
ライト「先生。」
ヒナ「ん、どうかした?」
ライト「少し休憩しに水を飲んできます。」
ヒナ「うん、行ってらっしゃい!」
その後のライトは周りを見ることも出来ず、颯爽とこの場を去ろうとワープ地点へと向かった。
アンナ「……。」
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実習を終え、帰りの支度をする。
結局あの後もなかなか戻ることが出来ず、最後まで戻らないと心配されると思い実習が終わる数分前に戻った。
リズ「今日の実習楽しかったな~。」
ベガ「お前また進化してなかったか?1回手合わせしてみたかったぜ。」
リズ「そういうベガくんも絶好調だったでしょ?」
ベガ「へっ、まぁな。この数日の成果が出てた気がするな。」
他の属性の実習も終わったらしく、次々に講義室へと帰ってくる。
みんな充実した時間になったのか、誰もが楽しそうな感じだった。
HRを終え、生徒達は帰る支度を始める。
アンナ「ねぇ。」
ライト「……。」
アンナ「ねぇってば。」
ライト「! あぁ、ごめん。どうかした?」
ぼーっとしていたライトはアンナの顔を見て笑顔で言葉を返した。
アンナ「どうかした?じゃないわよ。今日の実習、絶対何かあったでしょ。」
やはりアンナも鋭い。
そうも思ったがあれ以降周りが全く見えず思考も停止していたせいかずっと暗い顔をしていたのかもしれないと思い、当たり前の事かとも思った。
ライト「…何も。」
アンナ「誤魔化さないで。あのセレンって人?何か言われた?嫌なことされた?」
ライト「ちょ、ちょっと。」
アンナの声が少し大きくなり、講義室にいた人はみんな揃ってこちらに顔を向けた。
ライトは焦ってアンナに声をかけた。
リズ「どうしたの?」
すぐ近くにいたリズも声をかけてくる。
話してる途中で急に大声を出せば周りも気になるし心配もすることだろう。
アンナ「…ちょっと来て。」
ライト「ちょっ、待っ…!?」
アンナはライトの手首を握って講義室を飛び出した。
講義室からそう遠くないところだが、人があまり通らない静かな場所へと移動した。
アンナ「ここなら誰にも聞かれないしいいでしょ、何があったの?」
ライト「本当に何もないって。」
アンナ「何もないは嘘よ、チーム戦で言ったこと忘れたの?」
ライト「!! それは…っ。」
ライトは言葉に詰まった。
ここにはアンナ以外誰もおらず、言ってもアンナなら大丈夫だろう。
それに、これまでも今も迷惑をかけ気を遣わせていることもあるはずだ。
ここで話さずに隠すのはライト自身が許せないことだった。
ライト「…俺は、魔術師になれないのかな。」
アンナ「えっ…?」
ライト「今日の実習でセレンに言われたんだ。俺に魔術師になれる資格はないって。」
ライトは俯いて静かに言葉を発した。
アンナ「それで、言い返さなかったの?」
ライト「言い返せなかった。結局俺は周りの人ほど強い気持ちを持ってこの学園に入学したのかと思うと自分でも分からなくって。」
自分の気持ちがどこか馬鹿らしく感じ、苦笑いを浮かべる。
ライト「全くだよね。悔しいけど、俺はもうあの頃の熱を取り戻せないのかもしれない。」
それから数秒、沈黙が続いた。
たった数秒が数分経ったかのように長く感じられた。
アンナ「私はそうは思わない。」
アンナは沈黙を裂くように静かに口を開いた。
アンナ「確かにあんたの事見てると入学後の試練の時よりも変わった気がするのは事実よ。」
アンナの言葉にライトは口をつぐんだ。
アンナ「でも、変わったのは決して悪い方じゃないんじゃない?」
ライト「…多分違うよ、あの頃の俺は何も知らなかった。魔術師になるっていう覚悟も、この世界の厳しさも。」
アンナ「それでもあんたは諦めてないんでしょう?」
ライトはその言葉を否定することは出来なかった。
しかし、ライトは試すようだったが聞いておきたかった。
ライト「どうしてそう思うの?」
アンナは何かを思い出したかのように黙り込んだ。
直後目を閉じて俯き、申し訳なさそうに呟いた。
アンナ「…ごめんなさい。保健室から抜けた後のこと、全部聞いてた。あんたを1人にすることが私の中で怖かったから、ずっと扉の傍で少しだけ盗み聞きしてた。」
保健室での話、チーム戦で敗れラグナから責められたあとの事だ。
人前で泣くのを嫌がったライトはアンナを退出させて1人になって静かに嗚咽していた。
ライト「そうなんだ。」
アンナ「別にあんたが心配だったとかそんなんじゃないけど、…孤独は辛くて寂しいって私もよくわかってる。」
アンナも過去にこんな経験があったのだろうか。
同学年、同属性、それに加え施設に通わなかった同士。
だからこそ2人はお互いがお互いの事を共感できることも多いだろう。
ライト「…ごめん、俺もう帰らなきゃだから行くね。」
ライトが講義室へ戻ろうと歩き出した。
アンナから見たその背中はいつも以上に小さく見えた。
アンナ「ま、待って…!」
気づいたら声を出していた。
その背中を見たら聞かずにはいられなかった。
ライトは声をかけられるとその場で止まった。
アンナ「あんた、これからどうすんの?」
返答はすぐに帰ってこなかった。
質問を投げかけてから5秒ほど経って、ライトはアンナの顔を見ずに背中を向けたまま言った。
ライト「…一応、このまま頑張るよ。だけど──。」
アンナ「…!!」
アンナはライトの言葉を信じることはできなかった。
だが、心のどこかでこうなることはなんとなく察しがついていた。
アンナ「…本気なの?」
ライト「まだ決まってないって。でも、こうするしかない。」
アンナ「そう、あんたがそうしたいなら私は止めたりしないわ。あんたが決めなさい。」
そう言うとライトは講義室へと戻って行った。
アンナ「……。」
自分はどうするべきだったのだろうか。
アンナは考えても仕方ないそんなことを考えていた。
アンナ「確かに、あいつがどんな選択を取っても私は私のやるべき事をやるだけ。…でも──」
アンナは過去のライトを思い返した。
入学後の試練、ノアに全員の想いを背負って《雷鳴球》を放つ姿。
その後の初行事のチーム戦、体力が尽きた者は観戦室に転移され、そこで見たアギトとの戦いで己の全てをぶつける姿。
そして、初の学年行事のチーム戦。
その日の為に練習に励んだ結果発熱。
体調不良の中、チームの期待に応えるべく最後の最後まで諦めずに立ち向かった姿。
アンナが見てきたライトの姿は、決して『諦め』の2文字を出すことはなかった。
アンナ「…勝手に潰れてもらっちゃ困るのよ。」
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