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【本編】第2章 暗闇に差す残光
第7話
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朝を迎え、時刻が8時を回った。
今日は学園も休みでゆっくりできる日ではあるが、そんな悠長な時間はなかった。
エンリ「ダメ…もっと集中して…。」
目を瞑り神経を集中させるエンリを傍らに、他の3人は集まってそれを見ていた。
リズ「エンリくん大分苦戦してるね…。」
ライト「うん、マナの流れ的には感覚が掴めてきてると思うけど…。」
ベガ「まぁ以前よりはマナの使い方もわかってきてるところだろ。感覚を掴むのは個人差がかなり別れるんだ、焦らずに気ままにやっていこうぜ。」
ひとまずエンリの様子を見守りつつ3人は練習に入った。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
あれから昼食を挟み、時刻は午後3時を回っていた。
リズ「《マリンカーレント》」
リズの淑やかな詠唱の後、ライトの視界が一気に歪み、グラッと体勢を崩し地面に倒れ込んだ。
リズ「…や、やったぁ!成功した!」
視界が良好に戻るまで上手く立ち上がることが出来ずただ地面にうずくまっているしかない。
単体にしか使えない魔法とはいえ、この魔法を受けてしまえば大きな隙が生まれる。
またひとつ、リズはサブアタッカーとして強くなれただろう。
ベガ「やったな、ナイスファイトだ。」
ライト「ああ、これが実践で使いこなせれば戦闘も相当楽になると思う。」
長い時間を要したが、新たな魔法を習得したリズ。
一方その頃エンリはというと。
エンリ「……。」
未だ感覚を掴めずに試行錯誤を繰り返していた。
朝からずっとこの状態で、昼食もあまり喉を通らなそうだったので、少し休憩を入れた方がいいのかもしれない。
ライト「エンリくん、そろそろ休憩を──」
ライトはエンリに歩み寄りながら休憩を促そうとした。
しかしライトは途中で言葉を止め、軽く息を飲んだ。
エンリ「……。」
物凄い集中力だった。
恐らくライト達の声は届いていないだろう。
集中力だけではない、向上心から生まれる覇気や闘志をじわじわと感じ、その意気に呑まれそうなレベルだった。
リズ「なんて意気…。」
ベガ「冗談ってレベルじゃねぇぞこれ…。」
驚きを隠せるはずがなかった。
エンリ自身はマナを集結するのに苦労を強いられているが、マナの量が異常だった。
マナを集めて、循環させ、集結し、放つ。
それで魔法を使えるのだが、集結する段階が未だ掴めないエンリはひたすらとマナを集めて循環させることしか出来ていない。
だが、マナにも当然限りがある。
しかしマナは増え続け、循環だけが繰り返されている状態だ。
ライト「これは…。」
もしかすると彼は、と言わんばかりにライトの中で何か予感を感じた。
ライト(もしかして俺は、とんでもない魔術師と出会ってしまったのかもしれない。)
決して甘く見ていたわけではない。
だが、魔法が使えない彼がたった1日程度でここまで変われるのだろうか。
エンリ自身は魔法が使えない自分をどう思っていたかはわからないが、気づいてないだろうがとてつもない才能があるのかもしれない。
エンリ「んー、やっぱダメだな……ってどうしたのみんな。そんなにまじまじと見られると恥ずかしいんだけど…。」
きょとんとした顔で見つめ返される。
しかし、その何気ない顔の裏に秘める彼の実力にライトは少し寒気を感じた気がした。
ライト「そ、それより進捗はどう?」
エンリ「それが結構いい感じにはなってるんだけど、あと一歩が足りないというか…。」
集中していたからか、自身が集めたマナの量に気づいていないのだろうか。
それに気づければもっと伸びると思うのだが。
ライト「まぁ、明日も休みだからじっくりやっていけばいいと思うよ。それより1回休憩しよ。」
エンリ「あれ、もうそんなに時間経ってたんだ。」
普段と変わらないはずの何気ない会話。
しかし、普段とはどこか変わって聞こえてくる。
まるでエンリの中の何かが、不気味な笑みを浮かべて語りかけてくるように。
エンリに抱いていた興味は、まっさらな憂惧へと変わっていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
その日から1週間が過ぎた。
それでもエンリは未だ魔法を使えていない状態だ。
ノアが学生時代に魔法が使えなかったのはエンリしか知らない。
エンリはそれからノアに学生時代どのようにして魔法が使えるようになったのか、他にも様々なことを聞いていた。
ノア「もしかするとエンリくんは、みんなの言う『魔法』は使えないのかもしれないわね。」
エンリ「それってどういう…?」
ノア「あぁ、ごめんなさい。決して使えないことはないわ。でもエンリくんの特性、戦術、適正を見たら、一般的な魔法よりも──」
エンリ「……なるほど、そういう戦い方もあるんですね。」
ノア「ええ。集団での戦闘になると少し効果は落ちるけど、それでも不意打ちしたりサポートがしやすいわ。そして単体での戦闘こそが、1番の効果を示してくれるわ。」
エンリ「僕にできるんでしょうか?」
実際1週間ライトの家の練習場を借りて鍛えても、まったく進歩してる感じがしない。
不安も当然のように生まれる。
そんなエンリにノアはにこやかと笑みを浮かべて話した。
ノア「できるかできないかは、エンリくん次第よ。でも私は出来るって信じてるわ。だってこれまで逃げてきたかもしれないけど、今はこうやって自分と向き合えてる。」
エンリ「……!!」
ノア「あなたには実感がないかもしれないけど、ここ1週間でかなり成長してるわ。それは他の先生や生徒も見てるはずです。いくつか簡易的で実用性のある魔法をまとめてみるわ。」
エンリ「すいません、ありがとうございます。」
エンリは頭を下げ礼をし、部屋から退出した。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
その日も学園が終わった後、ライトの家の練習場を借りてトレーニングを重ねた。
ライト「本を見たいってことはマナを扱えるようにはなったの?」
ライトは問う。
エンリ「あ、ううん。ちょっと見たいものがあってね。」
ライト「見たいもの…?」
見たいものとはなんの事かライトは分からなかったが、あまり深く追求する必要もないので本を貸して練習に入った。
エンリ(ノア先生が言ってたこと、学園の図書館で調べたら有効な魔法が結構あった。先生はまとめてくれるって言ってたけど全部じゃないだろうし、覚えるに越したことはないよね。)
エンリは左手を空中で下に振り、ウインドウを開いた。
──ピピピピピピッ
そこにある〈写真〉のコマンドをタップし、本にある覚えたい魔法を記録として残す。
意外と数が多く、学園の図書館で調べた時に載っていなかった魔法もあったので、とりあえず初級魔法と扱えそうなその他の魔法を撮った。
エンリ(あまりライトくんの前でこの技は練習したくないな。せっかくだから驚かせたいし。)
そう思ったエンリは家に帰ってから練習しようと思い、今は他にどんな魔法があるかを調べた。
この本はただでさえ記載されている魔法が多い。
恐らく学園にもないだろう。
ライトの親が魔術師なのでそこで貰ったのかもしれない。
ふとエンリはライトに目をやる。
汗水流して懸命に練習に励んでいた。
エンリが見たその姿はキラキラと輝いていてとてもかっこよく見えた。
エンリ(いつか僕も、あんな風になれるのかな。)
こちらの視線に気がついたのか、ライトと目が合った。
ライト「? どうかした?」
エンリ「え、あ、ううん!頑張ってるなぁって見てただけ、続けていいよ。」
ライト「そっか!」
ライトは笑って短く返すと再び練習に戻った。
的を目がけて魔法を放つ。
ほとんどが的の中心を射抜いていた。
エンリ(ライトくんも魔法の精度が前より良くなってる。僕も早く追いつかないと。)
未だスタートラインに立てないことに焦りや不安は沢山ある。
なんで魔法が使えないのか、何度も自分を恨み憎んだ自分もいたが、過去の自分とはもう決別した。
今はただひたすら、前だけを見て足掻くだけしかできないのだから。
今日は学園も休みでゆっくりできる日ではあるが、そんな悠長な時間はなかった。
エンリ「ダメ…もっと集中して…。」
目を瞑り神経を集中させるエンリを傍らに、他の3人は集まってそれを見ていた。
リズ「エンリくん大分苦戦してるね…。」
ライト「うん、マナの流れ的には感覚が掴めてきてると思うけど…。」
ベガ「まぁ以前よりはマナの使い方もわかってきてるところだろ。感覚を掴むのは個人差がかなり別れるんだ、焦らずに気ままにやっていこうぜ。」
ひとまずエンリの様子を見守りつつ3人は練習に入った。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
あれから昼食を挟み、時刻は午後3時を回っていた。
リズ「《マリンカーレント》」
リズの淑やかな詠唱の後、ライトの視界が一気に歪み、グラッと体勢を崩し地面に倒れ込んだ。
リズ「…や、やったぁ!成功した!」
視界が良好に戻るまで上手く立ち上がることが出来ずただ地面にうずくまっているしかない。
単体にしか使えない魔法とはいえ、この魔法を受けてしまえば大きな隙が生まれる。
またひとつ、リズはサブアタッカーとして強くなれただろう。
ベガ「やったな、ナイスファイトだ。」
ライト「ああ、これが実践で使いこなせれば戦闘も相当楽になると思う。」
長い時間を要したが、新たな魔法を習得したリズ。
一方その頃エンリはというと。
エンリ「……。」
未だ感覚を掴めずに試行錯誤を繰り返していた。
朝からずっとこの状態で、昼食もあまり喉を通らなそうだったので、少し休憩を入れた方がいいのかもしれない。
ライト「エンリくん、そろそろ休憩を──」
ライトはエンリに歩み寄りながら休憩を促そうとした。
しかしライトは途中で言葉を止め、軽く息を飲んだ。
エンリ「……。」
物凄い集中力だった。
恐らくライト達の声は届いていないだろう。
集中力だけではない、向上心から生まれる覇気や闘志をじわじわと感じ、その意気に呑まれそうなレベルだった。
リズ「なんて意気…。」
ベガ「冗談ってレベルじゃねぇぞこれ…。」
驚きを隠せるはずがなかった。
エンリ自身はマナを集結するのに苦労を強いられているが、マナの量が異常だった。
マナを集めて、循環させ、集結し、放つ。
それで魔法を使えるのだが、集結する段階が未だ掴めないエンリはひたすらとマナを集めて循環させることしか出来ていない。
だが、マナにも当然限りがある。
しかしマナは増え続け、循環だけが繰り返されている状態だ。
ライト「これは…。」
もしかすると彼は、と言わんばかりにライトの中で何か予感を感じた。
ライト(もしかして俺は、とんでもない魔術師と出会ってしまったのかもしれない。)
決して甘く見ていたわけではない。
だが、魔法が使えない彼がたった1日程度でここまで変われるのだろうか。
エンリ自身は魔法が使えない自分をどう思っていたかはわからないが、気づいてないだろうがとてつもない才能があるのかもしれない。
エンリ「んー、やっぱダメだな……ってどうしたのみんな。そんなにまじまじと見られると恥ずかしいんだけど…。」
きょとんとした顔で見つめ返される。
しかし、その何気ない顔の裏に秘める彼の実力にライトは少し寒気を感じた気がした。
ライト「そ、それより進捗はどう?」
エンリ「それが結構いい感じにはなってるんだけど、あと一歩が足りないというか…。」
集中していたからか、自身が集めたマナの量に気づいていないのだろうか。
それに気づければもっと伸びると思うのだが。
ライト「まぁ、明日も休みだからじっくりやっていけばいいと思うよ。それより1回休憩しよ。」
エンリ「あれ、もうそんなに時間経ってたんだ。」
普段と変わらないはずの何気ない会話。
しかし、普段とはどこか変わって聞こえてくる。
まるでエンリの中の何かが、不気味な笑みを浮かべて語りかけてくるように。
エンリに抱いていた興味は、まっさらな憂惧へと変わっていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
その日から1週間が過ぎた。
それでもエンリは未だ魔法を使えていない状態だ。
ノアが学生時代に魔法が使えなかったのはエンリしか知らない。
エンリはそれからノアに学生時代どのようにして魔法が使えるようになったのか、他にも様々なことを聞いていた。
ノア「もしかするとエンリくんは、みんなの言う『魔法』は使えないのかもしれないわね。」
エンリ「それってどういう…?」
ノア「あぁ、ごめんなさい。決して使えないことはないわ。でもエンリくんの特性、戦術、適正を見たら、一般的な魔法よりも──」
エンリ「……なるほど、そういう戦い方もあるんですね。」
ノア「ええ。集団での戦闘になると少し効果は落ちるけど、それでも不意打ちしたりサポートがしやすいわ。そして単体での戦闘こそが、1番の効果を示してくれるわ。」
エンリ「僕にできるんでしょうか?」
実際1週間ライトの家の練習場を借りて鍛えても、まったく進歩してる感じがしない。
不安も当然のように生まれる。
そんなエンリにノアはにこやかと笑みを浮かべて話した。
ノア「できるかできないかは、エンリくん次第よ。でも私は出来るって信じてるわ。だってこれまで逃げてきたかもしれないけど、今はこうやって自分と向き合えてる。」
エンリ「……!!」
ノア「あなたには実感がないかもしれないけど、ここ1週間でかなり成長してるわ。それは他の先生や生徒も見てるはずです。いくつか簡易的で実用性のある魔法をまとめてみるわ。」
エンリ「すいません、ありがとうございます。」
エンリは頭を下げ礼をし、部屋から退出した。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
その日も学園が終わった後、ライトの家の練習場を借りてトレーニングを重ねた。
ライト「本を見たいってことはマナを扱えるようにはなったの?」
ライトは問う。
エンリ「あ、ううん。ちょっと見たいものがあってね。」
ライト「見たいもの…?」
見たいものとはなんの事かライトは分からなかったが、あまり深く追求する必要もないので本を貸して練習に入った。
エンリ(ノア先生が言ってたこと、学園の図書館で調べたら有効な魔法が結構あった。先生はまとめてくれるって言ってたけど全部じゃないだろうし、覚えるに越したことはないよね。)
エンリは左手を空中で下に振り、ウインドウを開いた。
──ピピピピピピッ
そこにある〈写真〉のコマンドをタップし、本にある覚えたい魔法を記録として残す。
意外と数が多く、学園の図書館で調べた時に載っていなかった魔法もあったので、とりあえず初級魔法と扱えそうなその他の魔法を撮った。
エンリ(あまりライトくんの前でこの技は練習したくないな。せっかくだから驚かせたいし。)
そう思ったエンリは家に帰ってから練習しようと思い、今は他にどんな魔法があるかを調べた。
この本はただでさえ記載されている魔法が多い。
恐らく学園にもないだろう。
ライトの親が魔術師なのでそこで貰ったのかもしれない。
ふとエンリはライトに目をやる。
汗水流して懸命に練習に励んでいた。
エンリが見たその姿はキラキラと輝いていてとてもかっこよく見えた。
エンリ(いつか僕も、あんな風になれるのかな。)
こちらの視線に気がついたのか、ライトと目が合った。
ライト「? どうかした?」
エンリ「え、あ、ううん!頑張ってるなぁって見てただけ、続けていいよ。」
ライト「そっか!」
ライトは笑って短く返すと再び練習に戻った。
的を目がけて魔法を放つ。
ほとんどが的の中心を射抜いていた。
エンリ(ライトくんも魔法の精度が前より良くなってる。僕も早く追いつかないと。)
未だスタートラインに立てないことに焦りや不安は沢山ある。
なんで魔法が使えないのか、何度も自分を恨み憎んだ自分もいたが、過去の自分とはもう決別した。
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