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10.鈴と花植え
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湊Side
期末テストが終わってから約1ヶ月。
追試も終わり今は結果が目の前に伏せられている。
俺と鈴、そして壮馬の3人で紙を囲んでいる。
「いくよ、、」
「ああ」
「ホントに見るからね」
「ああ」
「ホントに…」
「ああっ!もうさっさとめくるぞ!!」
壮馬が焦らしに耐えられず解答用紙を表向ける。
「うわああああ!!!」
見るのが怖いのか手で目を覆いながら鈴の悲鳴のようなものが生徒会室に響き渡る。そして、「どう?、どうだった?」としきりに聞いてくる。
オレは目を覆っている彼の手を握り一言だけ伝えた。
「よく頑張った」
------------------------------------
「ちょっと鈴君、俺に泥かかってるんだけど!」
「泥のあるところに壮馬君がいるんじゃん!」
今、オレたちは裏庭の花壇の整理をしていた。
そして、鈴と壮馬は花植え(泥のかけ合い)をしている。追試のことがあってから鈴は壮馬のことを『壮馬さん』から『壮馬君』と呼ぶようになった。以前よりも二人が喋ることが増えたと思う。
結論から言うと、鈴の追試は国語のみ不合格だった。
しかし、今回はテストの点が大幅に伸びたからサービスと、謎に優しい先生の一言で裏庭の花壇の整理をすれば合格したことにしてくれるらしい。
本来なら鈴が一人でやればいいのだが、花壇の整理には水も使うし、何よりやったことないであろうことをは一人で任せるのが不安だったため一緒にやることにした。壮馬はなんとなくついてきただけらしい。
「ほら!ホースで水かけるぞー!」
!!!
ふと、目を離した隙に壮馬がホースをもって鈴にちょっかいをかけようとしている。
「危ない!!」
ドブシャッ!!!
「あ、」
「湊!大丈夫!?」
「湊すまん、まさかこんなにも威力のあるホースだとは」
壮馬の放った水は想像以上の威力で俺にかかった。
鈴は、、、濡れていないようだ。よかった…。
しかし自分の服はびしょびしょである。それだけじゃない。何とこれから植える予定だった花が水圧で折れたのだ。水でベタベタで自立もしていない。
「これ、どうしようか」
「あー…ホントにすまん。同じやつ買いに行くわ」
壮馬が立ち上がる。でもまぁ、どうせここにいたところで花がなくてはやることもない。
「俺達も花屋2着いてくよ。ついでに俺は家に戻って着換えを持ってくるから」
本気?助かるわー。と言いながら壮馬はとりあえず散らばった道具や、泥を綺麗にしていた。
鈴はというと、周囲が水まみれになったせいで作業ができないようだったが心配そうにびしょ濡れになった俺の方を見ていた。
「鈴、タオル持ってきてもらっていい?」
そういえば、「急ぐね!」と言って走り出した。
水気の多いこの場所に居ると何が起こるか分からない。どれくらい濡れたら猫にも戻ってしまうのかは分からないが、とにかくここから離したかった。
「お前さー、鈴君に対して過保護だよなwめっちゃ必死になって盾になってたからちょっと意外だったわw」
おい、こっちは笑い事じゃないんだぞと思いながらも笑ってその場をやり過ごす。
「いやぁ、でも流石水も滴るいい男♡」
「おい、気持ち悪い」
壮馬がここまで冗談を言うようになったのもいつからだったか。なんやかんやで居心地が良い。だからこそ、隠し事をしていることを後ろめたく感じる。
壮馬も俺達が何か隠していることは気付いているだろうが、あえて何も聞かずにいてくれている。いつまでもその優しさに甘えていてもいいのだろうか。
心の中に残る鉛のような重たいものはなかなか俺を解放してくれない。
期末テストが終わってから約1ヶ月。
追試も終わり今は結果が目の前に伏せられている。
俺と鈴、そして壮馬の3人で紙を囲んでいる。
「いくよ、、」
「ああ」
「ホントに見るからね」
「ああ」
「ホントに…」
「ああっ!もうさっさとめくるぞ!!」
壮馬が焦らしに耐えられず解答用紙を表向ける。
「うわああああ!!!」
見るのが怖いのか手で目を覆いながら鈴の悲鳴のようなものが生徒会室に響き渡る。そして、「どう?、どうだった?」としきりに聞いてくる。
オレは目を覆っている彼の手を握り一言だけ伝えた。
「よく頑張った」
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「ちょっと鈴君、俺に泥かかってるんだけど!」
「泥のあるところに壮馬君がいるんじゃん!」
今、オレたちは裏庭の花壇の整理をしていた。
そして、鈴と壮馬は花植え(泥のかけ合い)をしている。追試のことがあってから鈴は壮馬のことを『壮馬さん』から『壮馬君』と呼ぶようになった。以前よりも二人が喋ることが増えたと思う。
結論から言うと、鈴の追試は国語のみ不合格だった。
しかし、今回はテストの点が大幅に伸びたからサービスと、謎に優しい先生の一言で裏庭の花壇の整理をすれば合格したことにしてくれるらしい。
本来なら鈴が一人でやればいいのだが、花壇の整理には水も使うし、何よりやったことないであろうことをは一人で任せるのが不安だったため一緒にやることにした。壮馬はなんとなくついてきただけらしい。
「ほら!ホースで水かけるぞー!」
!!!
ふと、目を離した隙に壮馬がホースをもって鈴にちょっかいをかけようとしている。
「危ない!!」
ドブシャッ!!!
「あ、」
「湊!大丈夫!?」
「湊すまん、まさかこんなにも威力のあるホースだとは」
壮馬の放った水は想像以上の威力で俺にかかった。
鈴は、、、濡れていないようだ。よかった…。
しかし自分の服はびしょびしょである。それだけじゃない。何とこれから植える予定だった花が水圧で折れたのだ。水でベタベタで自立もしていない。
「これ、どうしようか」
「あー…ホントにすまん。同じやつ買いに行くわ」
壮馬が立ち上がる。でもまぁ、どうせここにいたところで花がなくてはやることもない。
「俺達も花屋2着いてくよ。ついでに俺は家に戻って着換えを持ってくるから」
本気?助かるわー。と言いながら壮馬はとりあえず散らばった道具や、泥を綺麗にしていた。
鈴はというと、周囲が水まみれになったせいで作業ができないようだったが心配そうにびしょ濡れになった俺の方を見ていた。
「鈴、タオル持ってきてもらっていい?」
そういえば、「急ぐね!」と言って走り出した。
水気の多いこの場所に居ると何が起こるか分からない。どれくらい濡れたら猫にも戻ってしまうのかは分からないが、とにかくここから離したかった。
「お前さー、鈴君に対して過保護だよなwめっちゃ必死になって盾になってたからちょっと意外だったわw」
おい、こっちは笑い事じゃないんだぞと思いながらも笑ってその場をやり過ごす。
「いやぁ、でも流石水も滴るいい男♡」
「おい、気持ち悪い」
壮馬がここまで冗談を言うようになったのもいつからだったか。なんやかんやで居心地が良い。だからこそ、隠し事をしていることを後ろめたく感じる。
壮馬も俺達が何か隠していることは気付いているだろうが、あえて何も聞かずにいてくれている。いつまでもその優しさに甘えていてもいいのだろうか。
心の中に残る鉛のような重たいものはなかなか俺を解放してくれない。
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