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【第427話】不安定なアスタロト
しおりを挟む「最後にアスタロトの気持ちを聞かせて欲しい。グラドの忘れ形見であり、トルバートの代替品でもある俺を殺せば、お前は本当に幸せになれるのか? 真の意味でディザールからアスタロトになれるのか?」
俺が問いかけるとアスタロトは舌打ちをした後に大きな溜息を吐いた。そして、暫く考え込むと少しくたびれた声で答えを返した。
「幸せになれるかだと? 例え憎い相手を殺したとしても……正義の名のもとに敵を殺したとしても、幸せになる事は決してない。そんなことは私が一番分かっている、くだらない質問をするな! シルフィ、リーファ、そして女神として転生したリリスすらも死んだ今、お前達を殺すのは単なる区切りの一つに過ぎないのだ!」
アスタロトは今『女神として転生したリリスも死んだ』と言っていた。仮面をしているせいで俺の横に立っているリリスの姿が見えていないのだ。
もしかしたらリリスが生きている事実を知れば少し説得に応じてくれるかもしれない。俺はアイコンタクトを送り、リリスに喋らせることにした。
「仮面を外して私を見てディザール……湖の洞窟でガラルドさんを庇った私は貴方に刺されたことで生死の境を彷徨ったけど、ちゃんと生きてるよ」
「なっ! この声はリーファ!」
今まで聞いたことのない焦り声を発したアスタロトはすぐさま仮面を外し、リリスを視認する。するとクローズの方へ視線を移し、怒気をはらんだ声で問いかけた。
「おい、クローズ。どうしてお前はリーファが生きていた事を黙っていた? 昨日ドライアドに行ったお前はリーファにも接触している筈だろう?」
アスタロトが問いかけると、クローズは悪びれもせずに飄々と自分の考えを語る。
「どうせなら黙っておいて感動の再会とさせてあげたくてね。素敵なサプライズだろう? アスタロトは贖罪とかお堅い事を言って、いつも仮面を外さないからリリスが声を出さない限りは気付かないと踏んだのさ。彼らは集団でここへ来るからリリスの魔力を正確に検知するのは難しいだろうしね」
「お前は本当に神経を逆撫でするのが上手いな。今日でなければお前を殴り飛ばしているところだ。だが、まぁいい。リーファが生きているのなら話は別だ、リーファには言いたいことがあるからな」
アスタロトはクローズに向けていた怒りの表情を一変させて穏やかな表情を浮かべると、リリスに手のひらを向けて話し始めた。
「ちゃんと会話をするのは本当に久しぶりだなリーファ。こんな再会になってしまったが今からでも遅くはない……僕と一緒に大陸の人類を滅ぼさないか? 魔人の僕と女神の君が手を組めば、きっと大陸をあるべき姿に変えられる」
アスタロトは気が付けば自分の事を『私ではなく僕』と言ってしまうぐらいに素の部分を出し、穏やかな声色で誘いだした。しかし、リリスは首を横に振ると、俺の手を握り、力強い声で答えを返す。
「私は絶対にディザールの仲間にならないよ、貴方の考えには賛同できないもの。それに私はリーファとしての生を終えて、今は女神リリスとして生きているから。愛を誓い合ったガラルドさん、そして大事な仲間達と共に生きていくと決めたの。だから、誘いにはのらないしディザールのことは必ず止めてみせる」
この緊迫した状況でリリスは俺達が恋人同士になったことを暴露してしまった。突然のことに仲間達は驚いて目を見開いているが、それ以上に驚いていたのがアスタロトだった。
少なくとも昔のアスタロトはリーファに対し、友達以上の気持ちを抱いていただろうから、今のリリスの言葉を受けて複雑な気持ちなのかもしれない。だが、そんな事はお構いなしにリリスは言葉を続ける。
「むしろ私がディザール側につくんじゃなくて、今からでもディザールが考えを改めて降参してほしいと思ってるよ。魔人になってからのディザールはずっと間違った選択ばかりしてきたのだから、私達の考えや行動に触れて改心していってほしいよ」
「改心……か、まるで自分達が全て正しいかのような言い草だな」
「私達が全て正しいなんて言わないよ。だけど、貴方は確実に間違ってる。そもそも圧倒的な力を持っていた魔人のクローズさんがディザールを脅して、魔人の力を注入したことが悲劇の始まりだし、魔人化してしまった点は仕方ないと思うよ。でも、その後いくらでも離れられる機会はあったでしょ? 強大な力を得られたとしても、それをどう扱うかはその人次第だもの」
「もういい……何も喋るな、リーファ……」
「いいや、絶対に黙らないよ、説教したいことが山ほどあるんだから! 魔人化したディザールはその後ずっとグラドに執着し続けたけど、あんなに優しかったグラドを恨むなんておかしい! 嫉妬の感情は分からなくはないけど度を越えてるよ……。それに魔獣寄せを持つグラドは災いになるとか理由をつけて攻撃していた時もあったけど、害になるのを防ぐだけならストレートに殺すものでしょ? グラドの精神を壊そうとしたり、家族を巻き込むのは狂ってるよ」
「……あの時の僕の苦しみは……理解してもらえるとは思ってない……だから……」
「確かに誰かの気持ちを100%理解する事なんてできないよ。だけど、辛い思いをしてきた貴方なら人の心の痛みが分かるはずなのに……どうして道を踏み外し続けるの? グラドの妻子や全く関係ない人間を自分の復讐に巻き込むなんて、そんなの貴方が嫌いなカッツさんやコルピ・カーランより下劣じゃない!」
「…………」
とうとうアスタロトは何も喋らなくなってしまった。それでも言いたいことを溜め込んでいたリリスの言葉は止まらなかった。
「フィルさんやザキールさんの事もそうだよ、勝手に命のコピーを作り出して自分の駒にする為に生き方まで勝手に決めてグラドに復讐しようとするなんて……。それが上手くいかなかったら今度は人類を標的にして……復讐が歪すぎるよ! 本当は自分の手でグラドを殺すことすら出来ない弱虫だったんでしょ? そんな生き方をしていたからシルフィちゃんが……私の親友が死んじゃったんだよ! 返してよ……私のシルフィちゃんを返してよッッ!」
今までリリスが喉を傷めそうなほどに怒りを叫ぶ姿を見た事がなかったから、俺はただただ言葉を失っていた。一方、アスタロトは両手で激しく自身の頭を抑えると、頭痛で苦しんでいるかのように呻き声をあげながら、怒鳴り返す。
「うぅっ……黙れ……黙れッッ! 今の僕に人間としての善の心が残っているはずがないだろう!」
アスタロトは体から湯気のように魔力を放出し、右手で地面を殴りつけた。すると、武舞台の中心から端まで大きな亀裂が入った。拳に魔力を込めていなかったことを考えると相当な膂力を持っていることが分かる。
湖の洞窟で会った時にも思ったが、やはりアスタロトは精神面が脆いようだ。あれだけ過酷な人生を歩んできたのだから普通じゃなくなるのも仕方がないとは思うが……。
このままではすぐにでもアスタロトが無差別に暴れ出してしまいそうな危うさがある。一旦、俺がリリスを止めたほうがいいと前に乗り出そうとしたその時、俺より少し早くクローズが出てきて、リリスとアスタロトの間に入り、両手を左右に広げて言った。
「まぁまぁ落ち着きなよ、二人とも。特にアスタロトは落ち着いた方がいい。君が頭を抱えてしまうほどに苦しむのも理解できるよ、君にとってリーファは色々な意味で大事な存在だものね」
余計に煽りになったのではないかとヒヤヒヤしながら見つめていたが、アスタロトはギラリとした目つきでクローズを睨みつつ、少し落ち着きを取り戻した声で「リーファは恩人ではあるが、それだけの存在だ」と呟いた。
アスタロトの言葉を受けたクローズは場違いなニコニコ顔でアスタロトの肩をポンと叩くと、俺達の方へ向き直って呟く。
「この通り私はアスタロトから強く嫌われているうえにシルフィさんを間接的に死なせてしまった過去もある。それ以外にも転生を通して沢山の犠牲を積み上げてきた存在だ。だからこそ私は絶対にサラスヴァ計画と大陸支配……そして、その先の夢に向かって進み続けるしかないんだ。君達は必ず私とアスタロトが殺してみせる、早く戦いを始めようじゃないか」
クローズとアスタロトが遂に魔力を整えて戦いの姿勢に入った。口喧嘩ともいえる時間を重ね、今から戦いが始まるのだ。俺は拳を構えるとクローズ達に宣言する。
「今からお前らを倒し、拘束して牢にぶち込んでやる。そこで反省して生き方を改めるんだな。それが出来なきゃ俺が殺してやる」
俺が宣言するとクローズはクスクスと笑いながら煽りの言葉を返してきた。
「フフフッ、ガラルド君がどれほど甘い男なのかは過去を調べさせてもらって知っているんだよ? 無理して『殺す』なんて言わない方がいいんじゃないかな?」
「背負っているのは俺一人の気持ちや責任だけじゃないからな、だから気を抜かない方がいいぜ? また不意の一撃を貰っちまうかもしれない……ぜっ!」
俺はドライアドの時と同じように戦いの始まりを告げるよりも早くレッド・バレットを放った。今回のクローズは不意打ちを警戒していたらしく、すぐさま両腕を前方に並べて防御姿勢をとった。
だが、俺の怒りが乗ったレッド・バレットは小さくも強烈な螺旋を両腕の間に滑り込ませ、両腕を弾きながらクローズの顔面に直撃する。
再び鼻から血を流したクローズは「昨日よりも更に技のキレが増しているのか?」と困惑しながら血を拭いている。驚くクローズに追い打ちをかけるように俺は勝利を宣言する。
「クローズ、お前から全ての悲劇が始まった。永遠に等しい時を生きるお前が死ねば、邪悪の種を蒔く者がいなくなり、悲劇の連鎖は終わる。今の俺は甘さを捨てる覚悟と理由ができた。精々気合を入れて抵抗するといい。人間になった今のクローズは殺されやすいだろ?」
「クックック、いいね、着々と戦士の顔になっているよガラルド君。確かに今の私は過去の私より弱いから殺すには絶好のチャンスだろうね。だけど、甘く見ない方がいい、人間に転生した私でもモードレッド以上の強さを持っているのだからね」
そう呟くとクローズはアスタロトやリリス達をそっちのけで直接俺に殴りかかってきた。俺は瞬時にレッド・モードを発動し、打撃戦で迎えることにした。
戦いが始まってすぐ、クローズの拳が俺の腕と肩に直撃し、俺は後ろへ大きく仰け反った。分かってはいたが、やはりクローズの基礎能力値は相当高い。モードレッドよりも強いと言い切るだけのことはある。
だが、戦えないレベルではない。アスタロトが何故か傍観を決め込んでいる今、邪魔が入る前にクローズに致命傷を負わせることで敵戦力を一人でも多く削るべきだ。
俺は対アスタロト用のスタミナを考えず、一気にクローズを倒す事に決め、全力のレッド・ラッシュを叩きこむことにした。
「早めに倒させてもらう! 喰らえ、レッド・ラッシュ!」
燃費を度外視した火力と手数特化の拳の雨がクローズの体に炸裂する。
「ぐぁっ! ぐああぁっ!」
俺の拳がヒットした箇所全てにダメージを与えている手ごたえを感じる。呻き声をあげながら被弾と共に後ろへ下がっていくクローズは全身を痣と血で染め、反撃すらできないようだ。
一瞬、手を抜かれているのかとも考えたが打撃を受けて怪我をしている以上、クローズも必死なはずだから演技ではないだろう。
過去視で見た時のクローズは魔人の体だから圧倒的な力を持てていただけなのだろうか? だが、基礎能力が高いのはさっきのやりとりで分かっているし、基礎能力が高くなければ、そもそも魔人化しても強くはなれないはずだ。
手応えと不気味さを感じながらラッシュを繰り出し続けた俺は最後にクローズの顎を下から拳で打ち上げて体を浮かせると両手に魔力を溜めて、思いっきり解き放った。
「吹き飛べ! レッド・テンペスト!」
放たれた熱砂を通してクローズにダメージを与えているのが伝わってくる。砂粒一つ一つが自分の指みたいに繊細になっている気がする、そのおかげでレッド・テンペストで向こう側が見えなくてもクローズが血を吐き、胸と両腕に傷を負わせているのが分かる。
俺は自身の破壊力とコントロールの成長に驚きながらレッド・テンペストで押し続けた。熱砂の螺旋を受け続けたクローズは呻き声をあげながら何とか堪えていたが、とうとう足の踏ん張りが効かなくなり、武舞台から放り出されて場外の地面へと落ちたみたいだ。
俺はレッド・テンペストを止めて、クローズが倒れている場所へと駆け寄った。すると、クローズは倒れたままの姿勢で口から血を垂らしながら大声で笑いだした。
「ハッハッハ! ガラルド君の成長は予想以上だ、右腕なんて折れてしまっているよ。やっぱり君の『もう一つの力』が作用しているようだね。これほどの力を見せられたら私も出し惜しみせずに2つ目のスキルを使わせてもらわないといけないね」
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