見捨てられた俺と追放者を集める女神さま スキルの真価を見つけだし、リベンジ果たして成りあがる

腰尾マモル

文字の大きさ
上 下
236 / 459

【第236話】牢の風

しおりを挟む
※(141話でゼロの父ワンと祖父サウザンドが戦った際にサウザンドが代表をしていた組織ウィッチズケトルが襲撃で壊されたと明記しましたが、その時に組織があったペアレの街そのもの戦いで滅びたと明記をするのを忘れていました。今は修正済みです 2022/5/16)


========================

 航海を終えて、俺達がイグノーラの中に足を踏み入れると、民家から出てきた一人のおじさんが俺達の存在に気がつき、声をあげた。

「おぉ! ガーランド団がイグノーラに来てくれたぞ! 皆に知らせろ~!」

 おじさんの呼びかけをきっかけに住民がわらわらと駆け付け、俺達を取り囲んだ。

俺達は急いでいると説明したのだが、住民は

『こんなに早く遊びに来てくれて嬉しいです!』

『うちの店の料理はまだ食べてないだろ? ご馳走するから寄ってきな!』

とこちらの事情はお構いなしで歓迎してくれている。もしかして騒がしくて俺の声が聞こえなかったのだろうか?

 何とか人の波を掻き分けて城の方へ進んでいくと、中央広場にソル兵士長の姿を発見した。ソルはこちらを見ると満面の笑みを浮かべて駆け寄ってきた。

「ガラルド、サーシャ、グラッジ様ではないか! こんなに早く再会できるとは思ってなかったぞ。ん? もしかしてガラルドが手に持っているそれが例のジャッジメントという代物か?」

「ああ、察しがいいなソルさんは。早速で悪いんだが牢屋にいるザキールのところへ行かせてもらうぞ」

 俺が用件を伝えると何故かソルは眉尻を下げて俯いてしまった。ザキールの身に何かあったのかもしれない、聞いてみよう。

「何だか渋い顔をしているな、もしかしてザキールは死んじまったのか?」

「……死んでるならまだ良かったかもしれないが……ザキールは……いや、実際に現場を見せてから説明する事にしよう。牢屋まで案内するからついてきてくれ」

 そう言うとソルは地下牢へ案内してくれた。一体ザキールはどうなったのだろうとドキドキしながら歩を進めていると、階段を降りている途中で奥から風が流れてくるのを感じた。

 地下牢なのになんで風が流れているんだ? と疑問に思いながらザキールのいたエリアまでくると、そこには信じられない光景が広がっていた。

 なんとザキールが居ないのである。そして驚くべき事実はもう一つあり、ザキールが閉じ込められていた牢屋の天井と床が円形にくり抜かれていたのだ。

 その穴は直径3メードほどで斜め上45度方向へ一直線に空いており、穴越しに青空が確認できた。まるで外部から俺のサンド・テンペストでぶち抜いて脱走させたかのような光景だが、抉られた天井の切断面があまりにもツルツルとしている。

 このツルツル具合が意味するところは、恐ろしい威力の技で貫通させたということだ。俺がレッド・モードでテンペストを放ったとしても城の頑丈な壁や天井をここまで綺麗には破壊できない。

 はっきり言って技の練度が違い過ぎる。こんな芸当が可能なのは一人しか思い当たらない……アスタロトの仕業だろう。

「教えてくれソルさん。ザキールを脱走させたのはアスタロトだな?」

「ああ、正解だ。牢屋の方から突如爆音が聞こえてきて慌てて駆け付けた私の前に男が立っていたんだ。事前に聞いていた通りアスタロトは目の開いていない仮面を被っていてな、すぐにアスタロトだと分かったよ」

 ソルは苦々しい顔で溜息を吐いた後、俺達に事の顛末を教えてくれた。

 アスタロトは魔術か何かで天井や壁に穴を開けると、すぐにザキールを縛り付けていた拘束具を破壊したそうだ。駆け付けたソルはすぐさま全力の鎌穿れんせんを放ったらしいが、アスタロトは片腕で軽々と防御したという。

 木々を抉りながら進むほどに高威力なソルの鎌穿れんせんを生身で……しかも、片腕で受け止めるなんて、相変わらず化け物じみた強さだ。

 それでもめげなかったソルはアスタロトに斬りかかったらしいが、腹に重い一撃をもらい、その場にうずくまり倒れたらしい。

 その後アスタロトは

「ザキールを強く拷問せず、解剖もしなかったお前達の甘さ……いや、優しさに免じて今回は誰も殺さないでやる。だが、次の戦争では容赦はしない、他の仲間にそう伝えておけ」

と言い放ち、ザキールを連れて去っていったそうだ。

「ザキールが連れていかれたことは残念だったがソルさん達が無事で本当によかったよ」

 俺がそう伝えるとソルは申し訳なさそうに苦笑いを浮かべた。ジャッジメントを使う事は出来なかったが、俺達には他にもやらなければいけない事がある。とりあえず、新国王であるイグニスと謁見して、大陸南の国々のことを聞いておこう。

 ソルを加えた俺達はそのまま謁見の間に行きイグニスと面会した。玉座に座っていたイグニスは立ち上がり、俺のところへ駆け寄り手を握ってきた。

「ようこそガーランド団、そしてガラルド殿、また会えて嬉しいですぞ。ソルからザキールの件は聞きましたかな?」

「ああ、残念だったがアスタロトが単身突っ込んで来るなんて分からないし仕方がなかったと思うからあまり気に病まないでくれよ? それより俺達は大陸南の国々と接触したいと思っていてな、実は――――」

 俺は大陸北に帰ってから何をしていたか全て話した。イグニスは俺の話を聞き終えると、壁に貼ってある大陸地図を指差しながら話し始めた。

「なるほど、よく分かりました。我々にも各国との交渉・連絡を手伝わせてくだされ。大陸南は国の数がさほど多くありませんし、東西に幅の広い運河も流れておりますので、東西の沿岸に近い国をリヴァイアサンで移動できるガーランド団に行ってもらい、内陸側の国々は我々が交渉にあたりましょう」

「ああ、助かるよ。いくら移動の早いリヴァイアサンでも限度はあるし、陸地は進めないからな」

「それと一つ助言をさせてください。かつてゼロの父ワンが祖父サウザンドの組織を襲撃して滅びた街ペアレ……そこの近くにある国々へ行く際は各国の王に『ワンの愚行』と『帝国リングウォルドがエンドと繋がっていた』ことが記述された『歴史書』を大陸会議へ持ってくるように指示してくだされ。そうすれば大陸会議で帝国に詰め寄る際に大きな武器となるでしょう」

 ずっと昔にワンの仕業によってペアレが無くなった時点で帝国とエンドが繋がっていたと証明できる物は何も残っていないと思っていたからイグニス王の提案には驚かされた。

俺ではペアレの周辺国にまでは考えが及ばなかった、流石はグラハムの後任を務めるだけのことはある。イグニスのアドバイスをありがたく使わせてもらう事にしよう。

 各国への訪問の打ち合わせを終えると、次は死の海の渡航について話し合った。

イグニス曰く『ウンディーネと上手く連携を取り合って航路を定める』作業は順調に進んでいるらしく、あと30日もあれば、俺達が建てた簡易灯台と同じようなものを、南から北への海路にも設置できるらしい。

 これなら大陸会議には余裕で間に合うし、ゆとりを持って大陸南の国々がディアトイルへ来られそうだ。

 そして俺達はイグニス王との話し合いを終えて別れの挨拶を交わしたあと、ゆっくりする事もなくそのままリヴァイアサンの待つ海岸へと向かった。




 全員がリヴァイアサンの背にあるモンストル号に乗り込むとサーシャが皆に語り掛ける。

「ザキールの件は残念だったけど、イグノーラと有意義な打ち合わせが出来てよかったね。あとは各国との交渉を成功させよう。移動ばかりで大変だけど体調を崩さないように頑張ろうね!」

 サーシャの言葉で気合が入った俺達はその後、順調に各国への訪問を済ませていった。訪れた国の中ではイグノーラでの戦争の件を知っていて俺達を英雄のようにもてはやしてくれる国もあれば、外部から来た人間だと煙たがる国もあった。

 だけど、根気強く丁寧に説明を続けて、訪れた国のほぼ全てから大陸会議への出席を取り付ける事ができた。上手く出席にこぎつける事が出来たのは俺達が頑張ったからというのもあるだろうが、それ以上に死の山を危険視しているからだろう。







 大陸南での仕事を終えた俺達はドラウの森にいるリリス達を迎えに行く途中でシンバードに寄って報告を済ませた。俺達はシンからは多めに休日を貰い、自由な時間が増えたけれど、結局そのほとんどをドラウの森での修行や研究に費やしていた。

 ドラウの森での修行や研究、シンバード領や他国領での仕事、そして大陸会議の準備も着々と進め、気がつけばあっという間にディアトイルへ出発する日が訪れた。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

『おっさんの元勇者』~Sランクの冒険者はギルドから戦力外通告を言い渡される~

川嶋マサヒロ
ファンタジー
 ダンジョン攻略のために作られた冒険者の街、サン・サヴァン。  かつて勇者とも呼ばれたベテラン冒険者のベルナールは、ある日ギルドマスターから戦力外通告を言い渡される。  それはギルド上層部による改革――、方針転換であった。  現役のまま一生を終えようとしていた一人の男は途方にくれる。  引退後の予定は無し。備えて金を貯めていた訳でも無し。  あげく冒険者のヘルプとして、弟子を手伝いスライム退治や、食肉業者の狩りの手伝いなどに精をだしていた。  そして、昔の仲間との再会――。それは新たな戦いへの幕開けだった。 イラストは ジュエルセイバーFREE 様です。 URL:http://www.jewel-s.jp/

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる

シンギョウ ガク
ファンタジー
※2019年7月下旬に第二巻発売しました。 ※12/11書籍化のため『Sランクパーティーから追放されたおっさん商人、真の仲間を気ままに最強SSランクハーレムパーティーへ育てる。』から『おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる』に改題を実施しました。 ※第十一回アルファポリスファンタジー大賞において優秀賞を頂きました。 俺の名はグレイズ。 鳶色の眼と茶色い髪、ちょっとした無精ひげがワイルドさを醸し出す、四十路の(自称ワイルド系イケオジ)おっさん。 ジョブは商人だ。 そう、戦闘スキルを全く習得しない商人なんだ。おかげで戦えない俺はパーティーの雑用係。 だが、ステータスはMAX。これは呪いのせいだが、仲間には黙っていた。 そんな俺がメンバーと探索から戻ると、リーダーのムエルから『パーティー追放』を言い渡された。 理由は『巷で流行している』かららしい。 そんなこと言いつつ、次のメンバー候補が可愛い魔術士の子だって知ってるんだぜ。 まぁ、言い争っても仕方ないので、装備品全部返して、パーティーを脱退し、次の仲間を探して暇していた。 まぁ、ステータスMAXの力を以ってすれば、Sランク冒険者は余裕だが、あくまで俺は『商人』なんだ。前衛に立って戦うなんて野蛮なことはしたくない。 表向き戦力にならない『商人』の俺を受け入れてくれるメンバーを探していたが、火力重視の冒険者たちからは相手にされない。 そんな、ある日、冒険者ギルドでは流行している、『パーティー追放』の餌食になった問題児二人とひょんなことからパーティーを組むことになった。 一人は『武闘家』ファーマ。もう一人は『精霊術士』カーラ。ともになぜか上級職から始まっていて、成長できず仲間から追放された女冒険者だ。 俺はそんな追放された二人とともに冒険者パーティー『追放者《アウトキャスト》』を結成する。 その後、前のパーティーとのひと悶着があって、『魔術師』アウリースも参加することとなった。 本当は彼女らが成長し、他のパーティーに入れるまでの暫定パーティーのつもりだったが、俺の指導でメキメキと実力を伸ばしていき、いつの間にか『追放者《アウトキャスト》』が最強のハーレムパーティーと言われるSSランクを得るまでの話。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

処理中です...