見捨てられた俺と追放者を集める女神さま スキルの真価を見つけだし、リベンジ果たして成りあがる

腰尾マモル

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【第134話】ソル兵士長の実力

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「どうやら、刃を収める気はないようだな、だったらこっちも全力で戦わせてもらう!」

 俺はソルの目を真っすぐ見つめて言い切った。俺の言葉を受けたソルは口角を少しだけ上げ、鞘から剣を取り出してこちらへ向けた。

「国の運命を決める大事な場面で言う事ではないかもしれないが、私は北の大地からきた腕利きと戦えるのが少し楽しみだ。グラッジ以外の人間を殺すつもりはないが、死なせてしまったら申し訳ない」

 どうやら完全に勝ちを確信しているようだ。正直俺も倒せるとは思っていないが、今回の戦いはあくまで撃破ではなく逃げ切る事が目的だ。俺はこの場でベストな選択は何かを考え、全員に指示を出した。

「皆、俺の言う通り動いてくれ。まず、シルバーはグラッジを背負って船まで走ってくれ、その間にサーシャは黒猫を小型で召喚して、グラッジの背中にくっ付けてアクセラで回復してやってくれ。グラッジが回復さえできればグラッジが海を凍らせて海に浮かぶ船まで走ることができるだろ」

「おいおい、全員でソルと戦うんじゃないのか?」

 シルバーが食い気味に反論してくる、だが、俺はすぐに理由を説明した。

「ソルを倒すことが俺達の目的じゃない、全員で逃げ切る事が大事なんだ。まずはボロボロなグラッジを非難させることが一番のリスク回避になるだろ?」

「……分かった、だが、絶対ガラルドも無事に船へ帰って来いよ」

 シルバーは渋い顔をしながらグラッジを背負って俺達の前を去っていった。それを見ていたソルは逃がさまいとすぐにシルバーに突進したが、俺がサンド・ステップで横から打撃を加えて邪魔をした。

 俺の棍を盾で止めたソルは舌打ちをして俺を睨んでいる、どうやら少しは焦っているようだ。

 そして、棍と盾を押し合いながら、俺は残ったリリスへ指示を出した。

「リリスの仕事は俺の援護をしつつ、ピッタリくっついて離れない事だ。俺が必ずリリスを守る、そして、リリスはタイミングが来たら俺を運んでくれ」

「タイミング? この視界の悪い森でアイ・テレポートを使うタイミングがくるってことですか?」

「……俺が言えるのはここまでだ、作戦の細部まで口に出しちまったらソルに狙いがバレてしまうからな」

「……分かりました、必ず察してみせます」

 リリスからしたら俺の言葉は分かり辛くて不安だと思うが、それでも強く言い切ってくれた。その信頼に応える為にも頑張らねば。俺は全身に魔力を強く漲らせて、一気に解き放った。

双纏そうてん!」

 二種の魔力が俺の体から迸る、それを見たソルはさっきまで舌打ちをしていた人間とは思えないぐらいに口角を大きく上げて、無邪気な笑みを浮かべている。

「ほほう、他国の戦士は二つの魔力を宿す事ができるのか、これは楽しい戦いになりそうだ」

「この形態は俺の専売特許だ! さぁ、一気に行くぜ!」

 俺は棍を背中にしまい、両こぶしに魔力を集中させて、時間を稼ぐ為にソルをがむしゃらに殴りまくった。

双纏そうてん! サンド・ラッシュ!」

 技と言うのもおこがましい、燃費を度外視した砂を纏う拳撃の雨が盾ごとソルの体を押し出していく。

「ぐっ! でたらめな攻撃をしやがって、後先を考えてないのか!」

 なんと言われようが関係ない、とにかくソルを足止めして、仲間に手出しさせないのが作戦の第一段階だ。

俺はかつてない呼吸速度で拳撃を繰り出し続ける。盾にぶつかる拳の音が少しずつ高い音へと変わっていくのが拳越しにも感じられる……盾が壊れかけている証拠だ!

 俺は打撃のポイントを盾の中心に限定して連撃を加え続けると、遂に盾が大きな亀裂と共に弾け飛んだ。

「なんだと!」

「今だ! オラオラオラァ!」

 慌てて、両腕でガードしたソルだったが、砂を纏った俺の拳がソルの肩、腹、横腹、顔、あらゆるところにクリーンヒットする。そして、とうとうソルは膝を着いた。

 もしかしたらこのまま戦闘不能に出来るかもしれない、そう考えた俺は最後の一撃を加えるべく拳を大きく振りかぶった――――が、この判断が良くなかった。

背中を曲げて膝を着いたソルは一見隙だらけに見えたが、その間に剣を抜くべく右手が鞘の方に動いていたのだ。

 つもりに積もった研鑽が見えるソルの圧倒的な抜刀術は、今まで戦ったどの敵よりも速かった。四方八方で戦闘音が聞こえるこの場すら、細く高い鞘走りの音がハッキリと耳に刺さり、刀身が俺の軽鎧へと到達する。

「うげぇぇぁぁっ!」

振り抜かれた剣は一撃で軽鎧を粉砕し、俺は今までに出したことがないうめき声をあげて大きく吹き飛ばされた。

胴への攻撃だったにも関わらず吐血したことからも内臓がやられているかもしれない。吹き飛ばされた先でうつ伏せになっていた俺は、すぐに起き上がらなければと足に力を入れたが、膝が震えて動かない。

 そんな俺に追い打ちをかけるようにソルは再び剣を鞘にしまい、刀身に風の魔力を込め始めた。離れた位置からどんな攻撃を仕掛けてくるのかは分からないが、間違いなく一撃必殺レベルの遠距離攻撃をしてくる事だろう。

 ソルは戦う前に「殺してしまったら申し訳ない」と言っていたが、確実にトドメを刺すつもりだ。動いてくれない足に絶望する俺に向かって、ソルが技を叫んだ!

鎌穿れんせん!」

 ソルが抜刀した瞬間、剣から縦に長い風の刃が飛び出した。その刃は出始めこそ幅は狭かったが、俺に近づくにつれて広くなり幅2メード程にまで成長した。

 風の刃は触れた地面だけでなく、硬い岩までも抉りとるように前進し、速度が収まることはなかった。

吹き飛ばされた際に俺とソルの間にはかなりの距離が空いていたから、足さえ痺れてなければ避けられていたのに……と唇を噛みしめながら飛んでくる風の刃を見つめて、死を覚悟していた。

「アイ・テレポート!」

 風の刃が今まさに俺へ到達するというタイミングでリリスが俺の真横に瞬間移動した。突然の行動にびっくりする暇もなく、リリスは俺の肩を両足で豪快に蹴り飛ばした。

 そのおかげで俺の体は風の刃の軌道から逸れて、首の皮一枚で直撃を避ける事ができた。当のリリスも俺を蹴った反動で反対側に飛んだことによって直撃を避けられたようだ、俺が動けなかったせいでリリスが死んでしまうなんて事態にならなくて本当に良かった。

 女神とは思えない豪快な打開策を肩の痛みで実感しながら俺はリリスへお礼を言った。

「助かったぜリリス、今の蹴りがなかったら確実に死んでいたぜ」

「いえ、手荒な救出になってしまってすいません。まさか未来のフィアンセに飛び蹴りをする事態になるなんて、乙女として恥ずかしいです……」

 フィアンセかはともかく、これで少し余裕ができた。俺の足の痺れも徐々に回復し、ソルも少し疲弊している。今こそ戦いを終わらせる好機だ、俺はリリスとアイコンタクトを取った後、再び双纏そうてんでソルに突進した。

鎌穿れんせんとやらには肝を冷やしたが、これであんたはヘトヘトだな、一気に決めさせてもらうぜ」

「ふっ、ほざけ。この程度の疲労、何ともないわ!」

 そこからは互いに大技を撃たせない様に距離を詰めた戦いとなった。俺が三発拳撃を当てれば、ソルが一太刀やり返すといった均衡した流れが続いた。

 その間にリリスはアイ・テレポートで消耗した体力の回復に努め、常時俺の真後ろに位置取り続けてくれた。

 俺とソルの防具がボロボロになり、体は痣だらけになっていたが、不思議と楽しくてこの戦いを続けていたい気持ちにもなった。

しかし、俺達は船に戻らなければならない。俺は逃亡作戦の最終段階を終えるべく、バックステップでソルとの距離を計り、両手に魔力を込めた。

「こいつで戦いを終わりにしてやるぜ! 双纏そうてんサンド・テンペスト!」

 俺の両手から全開の暴風が解き放たれる。地面と木々を削りながらサンド・テンペストがソルに向かって真っすぐに進んだ。ソルが初めて目にする俺の最高火力技なのだが、ソルは不敵に微笑み、ぼそりと呟いた。

「いい技だ、ただ当たらなければ意味がない」

 その瞬間、ソルは自身の右半身から爆風を発生させることで高速移動して、サンド・テンペストを難なく避けた。ソルの後方をサンド・テンペストが木々を抉りながら進む中、剣をこちらに向けたソルが勝利を宣言する。

「一気に片をつけたかったみたいだが、連撃も暴風も決め手にはならなかったようだな、もう何度言ったか分からないが、今度こそ諦めてくれるかガラルド?」

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