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第6話
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ある日の夕方ごろ。
自宅でエッセイの執筆をしていた俺は、スマートデバイスの呼び出し音に気付いて筆を止めた。
「……ん?」
デバイスを手に取って、画面を確認する。電話の番号には覚えがあるような、ないような。大方情報を渡したエージェントの誰かだろう、とあたりを付けてイヤホンを耳に差し込み、通話ボタンをタップする。
「はい、ナザロフです」
『ルスラーンさん? エージェント識別番号Я-020732、二級エージェントのサーシャです』
イヤホンから聞こえてきた声は、アニシン領のエージェント協会に所属する二級エージェント、サーシャ・スピリドノフのものだった。
人間の彼と、鹿獣人のマクシム・ヤグディン、犬獣人のヤロスラフ・オロフのグループには、つい先月に情報を15万セレーで一つ提供した。その結果報告の電話だろう。
「ああ、スピリドノフ。お疲れ様、どうだった?」
朗らかな声で言葉をかけると、電話向こうの青年は非常に嬉しそうな声色で言葉を返してきた。
『ルスラーンさんの情報の通りでした! カルペツ助司祭、締め上げたらべらべら吐いてくれましたよ!』
サーシャの言葉に、俺はほっと胸を撫で下ろした。
ルージア清教会ヤノフスキー支部所属、『光の家教会』の助司祭ローマン・カルペツが、教会の経営する孤児院の子供たちを暴行している、という情報に、誤りはなかったようだ。
「だろうな。お前のところに任せた甲斐があった」
『はい! 助司祭の処罰については、清教会本部から追って連絡があるそうです』
にこやかに笑いながらサーシャを褒めると、きっと満面の笑みで頷いているだろう、電話の向こうから嬉しそうな声が聞こえる。
清教会は宗教集団である故に、連邦政府も警察も軽々しく手が出せない。清教会本部からの処罰があって初めて逮捕・勾留といった形で手が出せるようになるが、さして間を置かずに沙汰は下るだろう。
俺も数度頷きながら、サーシャに言葉をかけていく。
「分かった、ありがとう。仕事の成功報酬は、もう協会から振り込まれたか?」
『はい、ボーナスもついて三人分まとめて300万セレー、分配もばっちりです!』
彼の発した報酬額に、俺は目を見開いて動きをぴたりと止めた。
三人合わせて300万セレーとは、随分な額になったものだ。領に収める税金を引いても一人当たり大体80万セレーは手元に残る計算だ。向こう二ヶ月は仕事をせずに遊んで暮らせるだろう。
「300万? そこまで膨れ上がったか……それは予想してなかった。余罪があったか?」
椅子から立ち上がり、スマートデバイスを片手に歩きながら水を向ける。こういう案件は大概、次の仕事に繋がる余罪がボロボロこぼれ出るやつだ。
はたして、サーシャが声を潜めて伝えてくる。
『そうなんですよ、助司祭、孤児院の子供たちの暴行だけじゃなくて、運営資金の着服までしていて……叩けばまだまだホコリが出るだろうと』
「はっはーん」
話を聞いて、俺はにんまりと笑うほかなかった。
本当にボロボロこぼれ出てきていたようだ。これは本格的に彼らのグループに話を聞かねばなるまい。たぶん、俺も100万セレー程度は総額で稼げる話になる。
「あちこちに問題が飛び火しそうな案件だな、了解した。詳しく話を聞かせてくれ。協会と清教会に提出した報告書も見たい。場所はお前の希望に合わせる」
『了解です! マクシムとヤロスラフも連れて行きますね! そうだな……お金も入ったし、二番街の『コレッソ』、行ってみたいなと思ってたんですけどいいですか?』
そう問いかけてくるサーシャは、心が沸き立つのを押さえられないと言った声色だ。
二番街ピログ通りの酒場『コレッソ』は、比較的落ち着いて上質な空間を提供してくれる場所だ。多少酒の値段は張るが、秘密の話をするのにも向いている。
こういう状況では都合がいい。すぐに同意の返事を返す俺だ。
「構わないぞ、店に着いたら連絡してくれ。席を取るなら、なるべく個室のテーブルでな」
『はい! また後で!』
短く話をすると、サーシャも答えて通話を終了する。
イヤホンを耳から外した俺は、スマートデバイスの画面を見つめながらにんまりと笑い、喉を鳴らした。
「なるほどな……くくっ、カルペツ助司祭がそこまでの大物だったとは。笑えてくる話だな」
そう言いながら、俺はハンガーにかけたジャケットを手に取る。きっとサーシャはもう出かけている頃だろう。遅れるわけにはいかなかった。
開襟シャツの上にジャケットを羽織り、すぐに家を出て二番街に向かう。
表通りから一本入ったピログ通りは微妙にひっそりとしていて、人気が多くない。
そんな中明かりを煌々と灯す『コレッソ』に入れば、すぐに兎獣人のウェイトレスが声をかけてきた。
「いらっしゃいませ」
「待ち合わせだ、サーシャ・スピリドノフの予約で」
「かしこまりました、こちらでございます」
サーシャの名前を告げれば、すぐさまウェイトレスが店内奥、壁際の個室を指して。そちらに足を運び、カーテンをめくると、果たして、サーシャ、マクシム、ヤロスラフの三人が着座して俺を待っていた。
「ルスラーンさん」
「お疲れ様です」
「ああ、お疲れ様」
六人掛けのテーブル、三人は横一列に並び、畏まって座っている。その向かい、ちょうどサーシャの真向かいに座るように椅子を引いたところで、俺は気が付いた。
三人とも、ジャケットの下に襟付きシャツを着て、ネクタイを締めている。恐らく足元も革靴だろう。誰に見せても文句なしの正装だ。
「……なんだ、スピリドノフ、ヤグディン、オロフも、三人とも正装してきたのか。そこまで格式ばった服装で来なくてもよかったんだぞ」
「いや、だって」
「ねえ?」
「『コレッソ』に行くって聞いたから、ちゃんとしないといけないかな、って……」
俺の言葉に、三人は顔を見合わせながら眉尻を下げた。
仕方がないと言えばその通りだ。こんな上等な店、彼らのような若者にはそうそう縁がないだろう。34歳になる俺が若者でないかどうかは、議論の余地があるとして。
苦笑を零しながら、俺はテーブルに置かれたメニューブックに目を向ける。
「まあ、いいさ。いい服を着ているからって酒が不味くなることはない。三人は、もう何か頼んだのか?」
「いえ、まだです」
「ルスラーンさんに聞いてからの方がいいかなって」
「俺たち、こういう店で出てくる酒、詳しくなくて……」
そう話しながら、恐縮する三人だ。無理もない、店に不慣れな客が、店で出てくる酒に精通するはずもない。
ちらと三人の顔色を見ながら、俺はメニューブックの表紙をめくった。
「分かった、ちょっと待て」
今日の店に並ぶ酒の内容を確認しつつ、この三人に飲ませるには何が相応しいかを見定める。こういうのは大概、年長者や場慣れしている者の仕事だ。
程なくして、酒にあたりを付けた俺がメニューブックを閉じながら三人に問いかける。
「そうだな、最初の一杯はぐっと飲めるものにするか。ウォッカベースとウイスキーベース、どっちがいい?」
「あ、カクテルですか? じゃあウォッカで」
「俺もウォッカで」
「俺はウイスキーにします、折角だから」
口々に自分の飲みたい酒を告げてくる三人。やはり、ある程度指針を示してやった方が選びやすいようで。
しかし、全員ウォッカベースにすると思ったら、マクシムだけはウイスキーベースときた。それならば自分もウイスキーベースでバランスを取るべきだろう。
「分かった。失礼、注文を」
「はい」
注文を心に決めて、テーブル傍に立つウェイトレスに手を上げる。すぐさま伝票を片手にこちらを向いた熊獣人の彼女に、手短に注文を告げていった。
「ウォッカリッキーを二つ、『ポットフィールド』でハイボールを二つ」
「かしこまりました」
俺の告げた内容をすぐさま鉛筆で書き留めて、ウェイトレスはカウンターの方へと消えていく。それを見送るより先に、ヤロスラフが俺の方に向き直って口を開いた。
「ルスラーンさん、ウォッカリッキーとウイスキー・ハイボールだと、頼み方って違うものなんですか? どっちもカクテルだと思ってたんですけど……」
「大いに違うぞ。一般的なカクテルで使う蒸留酒の銘柄は、店のカラーにも関わる。ウォッカリッキーにはこのウォッカ、と店が決めている場合も多い。
ウイスキー・ハイボールは逆にウイスキーの個性を客が選ぶものだからな、銘柄を指定して頼んだ方がいい」
「「へぇー」」
俺の解説に、三人が揃って驚きの声を上げた。
こういう知識は、知っている人間と酒場に行かない限りは、なかなか身に付かないものだ。俺自身がよくよく知っている。
指をちらちらと動かしながら、俺は再びメニューブックを開いた。指し示すのはウイスキーのページ、割り方の記載の部分だ。
「まあ、ウイスキーベースのカクテルもいろいろとあるし、他のカクテルについては店がこのウイスキー、と指定している場合もあるがな。ウイスキー・ハイボールは単純にウイスキーのソーダ割りとして、カクテルとは別の飲み方と考えておいた方がいい」
「なるほど……勉強になります」
俺の説明にサーシャが深く頷く。
と、ちょうど飲み物が出来上がったようで、ウェイトレスがアルミ製の盆の上にタンブラーを四つ乗せてやってきた。氷と液体で満たされたそれらは、二つが無色透明、もう二つが淡い黄金色だ。
「ウォッカリッキーとハイボール、お待たせしました」
「ありがとう。さあ、乾杯するぞ」
テーブルの上、一緒に運ばれてきたコースターの上に置かれたそれらをそれぞれに回す。そうして俺がタンブラーを持ち上げるのを見て、三人もタンブラーに手を付けた。
店の迷惑にならない程度に、粛々と、声を出してタンブラーを前に。
「スピリドノフ一行の仕事の完遂を祝して……乾杯」
「「乾杯!」」
寄せられるタンブラーの中で、ウォッカリッキーとウイスキー・ハイボールが静かに揺れる。それらに一斉に口を付けてぐっと呷れば、次に出てくるのは感嘆の溜め息だ。
「あー、美味い」
「普段『カメーリヤ』で飲むウォッカリッキーとは全然違うな」
「ハイボールも、すごく美味しい」
「ふふっ」
普段は味わえない上質な酒に舌鼓を打つ三人を見て、ふっと笑みがこぼれる俺だ。
そのまま一杯目の酒を飲み進め、各々のタンブラーが空になったところで、俺はようやく本題を切り出した。
「さて、一杯目が概ね片付いたところで本題に入ろうか」
「あ、そうだ。サーシャ、報告書持って来てるだろ」
「あ、うん」
俺の言葉に真っ先に反応したマクシムがサーシャに声をかければ、彼もすぐに傍らに置いていた鞄を取り出した。鞄の中からファイルを出し、鋲で止められた報告書を入れたまま、俺にそれを渡してくる。
「はい、こちらが協会に提出した、今回の案件の報告書です」
「ああ、読ませてもらう……と、その前にだ。三人とも、次の酒を頼んでおけよ。少し時間をかけるからな」
「分かりました」
ファイルを受け取るのと交換に、俺は手元にあったメニューブックをサーシャへと手渡した。早速メニューブックを開いて内容を見始めるサーシャに、俺はさらに声をかけていく。
「ああ、それとだ。俺の分の酒も追加で頼む。『ナイトホース』12年をストレートでシングルだ」
「了解です」
そうして三人が酒を決め、注文し、その酒が運ばれてきて、それらに口を付けている間、俺は受け取ったファイルから取り出した報告書を、つぶさに確認していた。
一番街メコンチェフ通りにある『光の家教会』。そこの助司祭であり、五番街ブツコ通りにある『みなしごの家孤児院』院長でもあるローマン・カルペツが、孤児たちを不当に扱っていること。同様に、孤児たちを虐待していること。
その案件に対して俺が彼ら三人のグループにもたらした情報は、「『みなしごの家孤児院』から夜な夜な子供の叫び声が聞こえる」「『みなしごの家孤児院に直接寄付を申し出ても、教会を通すよう不自然に拒絶される』」の二点だ。
これらの情報をもとに孤児院のスタッフに聞き込みを重ね、院長の不正を明らかにした三人がヤノフスキー市警察と共に教会に乗り込んだのが、つい三日前のこと。そこで拘束されたカルペツ助司祭が孤児たちの虐待を認め、さらに協会が持っている運営資金を着服していたことを明かしたというのが、この報告書に書かれた一連の流れだ。
手元の『ナイトホース』を口に運びながら俺が報告書をめくっていくと、ある一枚の写真画像が目に留まった。
見たところ、ノートの紙面の写真に見える。そこには孤児たちに、一日に蕎麦の実の粥を椀一杯と牛乳をコップ一杯しか与えていないことが記されていた。
だが、俺が着目したのはそこではない。この紙面の裏、前のページに書かれている内容が、うっすら透けて見える。
「スピリドノフ、いいか」
「んっ、はい、何でしょう」
顔を上げて真正面のサーシャを見る。果たしてモスコー・ミュールを飲んでいた彼が、とっさにタンブラーを置いて俺の方に身を乗り出した。
テーブルの上に報告書を置いて、俺は件の写真を指で示す。
「4ページ目のこの画像、元データが見たい。残しているか?」
「えっと……ああ、これでしたらヤロスラフが」
「あ、写真ですか? ちょっと待ってくださいね……」
サーシャが隣に座るヤロスラフに目を向ければ、ウイスキー・クラッシュを飲んでいた彼が鞄からスマートデバイスを取り出す。アルバムアプリを起動させて該当の写真を表示させ、それを俺へと差し出してきた。
「はい、これです」
「見せてくれ……ふむ」
スマートデバイスを受け取り、画面を拡大する。色調補正もかけて裏面の内容を確認した俺は、途端に眉間に深い皺を寄せた。
何事かと首を傾げる三人に対し、俺は表情をそのままにヤロスラフへと視線を投げる。
「オロフ、念のために聞いておくが、これは何を撮影したものだ?」
「ええと、カルペツ助司祭の自室の机から出てきた、助司祭の日記です」
「確かか?」
ヤロスラフの言葉に、念を押す俺。傍で聞いているサーシャとマクシムが、ますます首を傾げる。
「はい、清教会本部から支給される日誌用のノートでした。間違いありません」
「そうか……ほーう」
ヤロスラフがこくりと頷くと、俺は彼のスマートデバイスを手に持ったまま、ぺろりと舌をなめずった。
何が何だか分からない様子の三人に、俺は至極真剣に言葉を投げかける。
「スピリドノフ。ヤグディンに、オロフも。酒を飲み込んだら言え」
「うん?」
「ん、どうしたんですかルスラーンさん」
アマリヤン連合国の『メイヤーズマルク』10年をハイボールで飲んでいたマクシムが、口の中に残った液体を急いで飲み込む。サーシャも手に持っていたタンブラーをテーブルに置いて、身を乗り出した。
彼らに対し、俺はヤロスラフの撮影した写真の一部を見せる。
「この左側のページ。裏面に書かれている内容がうっすら見えるのが分かるか」
「えっ?」
「えーと……」
「……えっ?」
左側のページ、色調補正をかけて明るくしたそれを、じっと見つめる三人。
彼らが眉根を寄せる中、俺は読み取れたそれをそっと、読み上げる。
「『三番街、ハモン通り、クヴィテラシヴィリ伯爵、200万セレー。
三番街、モニア通り、オブモチャエフ子爵、250万セレー。
二番街、クリムキン通り、『ヴィノグラード』カール・グセフ、100万セレー。』
……この部分から読み取れるのはこんなところか」
俺の告げた内容に、三人が三人とも、信じられないと言いたげな表情を見せた。
当然だろう。額が額なら内容も内容だ。腐敗しているなんてレベルではない。
「あの……」
「まさか……」
「助司祭は……」
恐ろしいものを見てしまった、と言いたげな彼らに、俺はこくりと頷いてやる。
「賄賂の内訳だろうな。自分個人の日誌にわざわざ書くくらいだ、相応の理由があるだろう。
孤児院の運営資金だけじゃない。清教会への寄進や、孤児院への寄付の形で集めた金を、不当に着服している疑いがある」
「そんな!」
「酷い……孤児たちは今日も、明日の粥すら覚束なくて、苦しんでいるというのに」
俺の発言に、サーシャもヤロスラフも、悲しみを一杯に溢れさせて言葉を零した。
当然だ。彼らは五番街の『みなしごの家孤児院』を、実際に訪れている。孤児たちがどんな状況に陥っているか、自分たちの目で確かめている。
子供たちが苦しんでいるだけではない。運営母体となる教会が、私腹を肥やしているのだ。
表情に怒りを滲ませる三人に、俺はテーブルに両肘をつきながら口を開く。
「もう少し、細かい情報を集める必要がある。
『みなしごの家孤児院』に金が回っていないのは今回明らかになったが、司祭や助司祭が寄付金を囲っているかは、情報を集めて精査してみないと何とも言えん」
俺の言葉に、三人も頷いた。
孤児院に回るべき金が回っていないことは状況を見れば明らかだが、状況証拠でしかない。正確に、教会が寄付金を着服している証拠を掴まなくてはならない。その為のエージェントだ。
「そうですね……分かりました」
「もし本当に教会が寄付金を着服しているなら、何とかしないと」
「清教会からの処罰があったとしても、教会そのものが腐敗しているんじゃ、意味が無い」
真剣な顔をしてそれぞれの所感を述べるサーシャ、マクシム、ヤロスラフ。
その年若い三人の将来有望なエージェントに、俺も真剣な目を向けて頷いた。
「どうやらこの案件は、俺が思っていた以上にでかい事態を引き起こしそうだな。三人とも、覚悟しろよ」
「「はいっ!」」
そうと分かれば祝杯を挙げている場合ではない。
俺達四人は揃って、手元に残っていたそれぞれの酒を、ぐいと一息に飲み干したのだった。
自宅でエッセイの執筆をしていた俺は、スマートデバイスの呼び出し音に気付いて筆を止めた。
「……ん?」
デバイスを手に取って、画面を確認する。電話の番号には覚えがあるような、ないような。大方情報を渡したエージェントの誰かだろう、とあたりを付けてイヤホンを耳に差し込み、通話ボタンをタップする。
「はい、ナザロフです」
『ルスラーンさん? エージェント識別番号Я-020732、二級エージェントのサーシャです』
イヤホンから聞こえてきた声は、アニシン領のエージェント協会に所属する二級エージェント、サーシャ・スピリドノフのものだった。
人間の彼と、鹿獣人のマクシム・ヤグディン、犬獣人のヤロスラフ・オロフのグループには、つい先月に情報を15万セレーで一つ提供した。その結果報告の電話だろう。
「ああ、スピリドノフ。お疲れ様、どうだった?」
朗らかな声で言葉をかけると、電話向こうの青年は非常に嬉しそうな声色で言葉を返してきた。
『ルスラーンさんの情報の通りでした! カルペツ助司祭、締め上げたらべらべら吐いてくれましたよ!』
サーシャの言葉に、俺はほっと胸を撫で下ろした。
ルージア清教会ヤノフスキー支部所属、『光の家教会』の助司祭ローマン・カルペツが、教会の経営する孤児院の子供たちを暴行している、という情報に、誤りはなかったようだ。
「だろうな。お前のところに任せた甲斐があった」
『はい! 助司祭の処罰については、清教会本部から追って連絡があるそうです』
にこやかに笑いながらサーシャを褒めると、きっと満面の笑みで頷いているだろう、電話の向こうから嬉しそうな声が聞こえる。
清教会は宗教集団である故に、連邦政府も警察も軽々しく手が出せない。清教会本部からの処罰があって初めて逮捕・勾留といった形で手が出せるようになるが、さして間を置かずに沙汰は下るだろう。
俺も数度頷きながら、サーシャに言葉をかけていく。
「分かった、ありがとう。仕事の成功報酬は、もう協会から振り込まれたか?」
『はい、ボーナスもついて三人分まとめて300万セレー、分配もばっちりです!』
彼の発した報酬額に、俺は目を見開いて動きをぴたりと止めた。
三人合わせて300万セレーとは、随分な額になったものだ。領に収める税金を引いても一人当たり大体80万セレーは手元に残る計算だ。向こう二ヶ月は仕事をせずに遊んで暮らせるだろう。
「300万? そこまで膨れ上がったか……それは予想してなかった。余罪があったか?」
椅子から立ち上がり、スマートデバイスを片手に歩きながら水を向ける。こういう案件は大概、次の仕事に繋がる余罪がボロボロこぼれ出るやつだ。
はたして、サーシャが声を潜めて伝えてくる。
『そうなんですよ、助司祭、孤児院の子供たちの暴行だけじゃなくて、運営資金の着服までしていて……叩けばまだまだホコリが出るだろうと』
「はっはーん」
話を聞いて、俺はにんまりと笑うほかなかった。
本当にボロボロこぼれ出てきていたようだ。これは本格的に彼らのグループに話を聞かねばなるまい。たぶん、俺も100万セレー程度は総額で稼げる話になる。
「あちこちに問題が飛び火しそうな案件だな、了解した。詳しく話を聞かせてくれ。協会と清教会に提出した報告書も見たい。場所はお前の希望に合わせる」
『了解です! マクシムとヤロスラフも連れて行きますね! そうだな……お金も入ったし、二番街の『コレッソ』、行ってみたいなと思ってたんですけどいいですか?』
そう問いかけてくるサーシャは、心が沸き立つのを押さえられないと言った声色だ。
二番街ピログ通りの酒場『コレッソ』は、比較的落ち着いて上質な空間を提供してくれる場所だ。多少酒の値段は張るが、秘密の話をするのにも向いている。
こういう状況では都合がいい。すぐに同意の返事を返す俺だ。
「構わないぞ、店に着いたら連絡してくれ。席を取るなら、なるべく個室のテーブルでな」
『はい! また後で!』
短く話をすると、サーシャも答えて通話を終了する。
イヤホンを耳から外した俺は、スマートデバイスの画面を見つめながらにんまりと笑い、喉を鳴らした。
「なるほどな……くくっ、カルペツ助司祭がそこまでの大物だったとは。笑えてくる話だな」
そう言いながら、俺はハンガーにかけたジャケットを手に取る。きっとサーシャはもう出かけている頃だろう。遅れるわけにはいかなかった。
開襟シャツの上にジャケットを羽織り、すぐに家を出て二番街に向かう。
表通りから一本入ったピログ通りは微妙にひっそりとしていて、人気が多くない。
そんな中明かりを煌々と灯す『コレッソ』に入れば、すぐに兎獣人のウェイトレスが声をかけてきた。
「いらっしゃいませ」
「待ち合わせだ、サーシャ・スピリドノフの予約で」
「かしこまりました、こちらでございます」
サーシャの名前を告げれば、すぐさまウェイトレスが店内奥、壁際の個室を指して。そちらに足を運び、カーテンをめくると、果たして、サーシャ、マクシム、ヤロスラフの三人が着座して俺を待っていた。
「ルスラーンさん」
「お疲れ様です」
「ああ、お疲れ様」
六人掛けのテーブル、三人は横一列に並び、畏まって座っている。その向かい、ちょうどサーシャの真向かいに座るように椅子を引いたところで、俺は気が付いた。
三人とも、ジャケットの下に襟付きシャツを着て、ネクタイを締めている。恐らく足元も革靴だろう。誰に見せても文句なしの正装だ。
「……なんだ、スピリドノフ、ヤグディン、オロフも、三人とも正装してきたのか。そこまで格式ばった服装で来なくてもよかったんだぞ」
「いや、だって」
「ねえ?」
「『コレッソ』に行くって聞いたから、ちゃんとしないといけないかな、って……」
俺の言葉に、三人は顔を見合わせながら眉尻を下げた。
仕方がないと言えばその通りだ。こんな上等な店、彼らのような若者にはそうそう縁がないだろう。34歳になる俺が若者でないかどうかは、議論の余地があるとして。
苦笑を零しながら、俺はテーブルに置かれたメニューブックに目を向ける。
「まあ、いいさ。いい服を着ているからって酒が不味くなることはない。三人は、もう何か頼んだのか?」
「いえ、まだです」
「ルスラーンさんに聞いてからの方がいいかなって」
「俺たち、こういう店で出てくる酒、詳しくなくて……」
そう話しながら、恐縮する三人だ。無理もない、店に不慣れな客が、店で出てくる酒に精通するはずもない。
ちらと三人の顔色を見ながら、俺はメニューブックの表紙をめくった。
「分かった、ちょっと待て」
今日の店に並ぶ酒の内容を確認しつつ、この三人に飲ませるには何が相応しいかを見定める。こういうのは大概、年長者や場慣れしている者の仕事だ。
程なくして、酒にあたりを付けた俺がメニューブックを閉じながら三人に問いかける。
「そうだな、最初の一杯はぐっと飲めるものにするか。ウォッカベースとウイスキーベース、どっちがいい?」
「あ、カクテルですか? じゃあウォッカで」
「俺もウォッカで」
「俺はウイスキーにします、折角だから」
口々に自分の飲みたい酒を告げてくる三人。やはり、ある程度指針を示してやった方が選びやすいようで。
しかし、全員ウォッカベースにすると思ったら、マクシムだけはウイスキーベースときた。それならば自分もウイスキーベースでバランスを取るべきだろう。
「分かった。失礼、注文を」
「はい」
注文を心に決めて、テーブル傍に立つウェイトレスに手を上げる。すぐさま伝票を片手にこちらを向いた熊獣人の彼女に、手短に注文を告げていった。
「ウォッカリッキーを二つ、『ポットフィールド』でハイボールを二つ」
「かしこまりました」
俺の告げた内容をすぐさま鉛筆で書き留めて、ウェイトレスはカウンターの方へと消えていく。それを見送るより先に、ヤロスラフが俺の方に向き直って口を開いた。
「ルスラーンさん、ウォッカリッキーとウイスキー・ハイボールだと、頼み方って違うものなんですか? どっちもカクテルだと思ってたんですけど……」
「大いに違うぞ。一般的なカクテルで使う蒸留酒の銘柄は、店のカラーにも関わる。ウォッカリッキーにはこのウォッカ、と店が決めている場合も多い。
ウイスキー・ハイボールは逆にウイスキーの個性を客が選ぶものだからな、銘柄を指定して頼んだ方がいい」
「「へぇー」」
俺の解説に、三人が揃って驚きの声を上げた。
こういう知識は、知っている人間と酒場に行かない限りは、なかなか身に付かないものだ。俺自身がよくよく知っている。
指をちらちらと動かしながら、俺は再びメニューブックを開いた。指し示すのはウイスキーのページ、割り方の記載の部分だ。
「まあ、ウイスキーベースのカクテルもいろいろとあるし、他のカクテルについては店がこのウイスキー、と指定している場合もあるがな。ウイスキー・ハイボールは単純にウイスキーのソーダ割りとして、カクテルとは別の飲み方と考えておいた方がいい」
「なるほど……勉強になります」
俺の説明にサーシャが深く頷く。
と、ちょうど飲み物が出来上がったようで、ウェイトレスがアルミ製の盆の上にタンブラーを四つ乗せてやってきた。氷と液体で満たされたそれらは、二つが無色透明、もう二つが淡い黄金色だ。
「ウォッカリッキーとハイボール、お待たせしました」
「ありがとう。さあ、乾杯するぞ」
テーブルの上、一緒に運ばれてきたコースターの上に置かれたそれらをそれぞれに回す。そうして俺がタンブラーを持ち上げるのを見て、三人もタンブラーに手を付けた。
店の迷惑にならない程度に、粛々と、声を出してタンブラーを前に。
「スピリドノフ一行の仕事の完遂を祝して……乾杯」
「「乾杯!」」
寄せられるタンブラーの中で、ウォッカリッキーとウイスキー・ハイボールが静かに揺れる。それらに一斉に口を付けてぐっと呷れば、次に出てくるのは感嘆の溜め息だ。
「あー、美味い」
「普段『カメーリヤ』で飲むウォッカリッキーとは全然違うな」
「ハイボールも、すごく美味しい」
「ふふっ」
普段は味わえない上質な酒に舌鼓を打つ三人を見て、ふっと笑みがこぼれる俺だ。
そのまま一杯目の酒を飲み進め、各々のタンブラーが空になったところで、俺はようやく本題を切り出した。
「さて、一杯目が概ね片付いたところで本題に入ろうか」
「あ、そうだ。サーシャ、報告書持って来てるだろ」
「あ、うん」
俺の言葉に真っ先に反応したマクシムがサーシャに声をかければ、彼もすぐに傍らに置いていた鞄を取り出した。鞄の中からファイルを出し、鋲で止められた報告書を入れたまま、俺にそれを渡してくる。
「はい、こちらが協会に提出した、今回の案件の報告書です」
「ああ、読ませてもらう……と、その前にだ。三人とも、次の酒を頼んでおけよ。少し時間をかけるからな」
「分かりました」
ファイルを受け取るのと交換に、俺は手元にあったメニューブックをサーシャへと手渡した。早速メニューブックを開いて内容を見始めるサーシャに、俺はさらに声をかけていく。
「ああ、それとだ。俺の分の酒も追加で頼む。『ナイトホース』12年をストレートでシングルだ」
「了解です」
そうして三人が酒を決め、注文し、その酒が運ばれてきて、それらに口を付けている間、俺は受け取ったファイルから取り出した報告書を、つぶさに確認していた。
一番街メコンチェフ通りにある『光の家教会』。そこの助司祭であり、五番街ブツコ通りにある『みなしごの家孤児院』院長でもあるローマン・カルペツが、孤児たちを不当に扱っていること。同様に、孤児たちを虐待していること。
その案件に対して俺が彼ら三人のグループにもたらした情報は、「『みなしごの家孤児院』から夜な夜な子供の叫び声が聞こえる」「『みなしごの家孤児院に直接寄付を申し出ても、教会を通すよう不自然に拒絶される』」の二点だ。
これらの情報をもとに孤児院のスタッフに聞き込みを重ね、院長の不正を明らかにした三人がヤノフスキー市警察と共に教会に乗り込んだのが、つい三日前のこと。そこで拘束されたカルペツ助司祭が孤児たちの虐待を認め、さらに協会が持っている運営資金を着服していたことを明かしたというのが、この報告書に書かれた一連の流れだ。
手元の『ナイトホース』を口に運びながら俺が報告書をめくっていくと、ある一枚の写真画像が目に留まった。
見たところ、ノートの紙面の写真に見える。そこには孤児たちに、一日に蕎麦の実の粥を椀一杯と牛乳をコップ一杯しか与えていないことが記されていた。
だが、俺が着目したのはそこではない。この紙面の裏、前のページに書かれている内容が、うっすら透けて見える。
「スピリドノフ、いいか」
「んっ、はい、何でしょう」
顔を上げて真正面のサーシャを見る。果たしてモスコー・ミュールを飲んでいた彼が、とっさにタンブラーを置いて俺の方に身を乗り出した。
テーブルの上に報告書を置いて、俺は件の写真を指で示す。
「4ページ目のこの画像、元データが見たい。残しているか?」
「えっと……ああ、これでしたらヤロスラフが」
「あ、写真ですか? ちょっと待ってくださいね……」
サーシャが隣に座るヤロスラフに目を向ければ、ウイスキー・クラッシュを飲んでいた彼が鞄からスマートデバイスを取り出す。アルバムアプリを起動させて該当の写真を表示させ、それを俺へと差し出してきた。
「はい、これです」
「見せてくれ……ふむ」
スマートデバイスを受け取り、画面を拡大する。色調補正もかけて裏面の内容を確認した俺は、途端に眉間に深い皺を寄せた。
何事かと首を傾げる三人に対し、俺は表情をそのままにヤロスラフへと視線を投げる。
「オロフ、念のために聞いておくが、これは何を撮影したものだ?」
「ええと、カルペツ助司祭の自室の机から出てきた、助司祭の日記です」
「確かか?」
ヤロスラフの言葉に、念を押す俺。傍で聞いているサーシャとマクシムが、ますます首を傾げる。
「はい、清教会本部から支給される日誌用のノートでした。間違いありません」
「そうか……ほーう」
ヤロスラフがこくりと頷くと、俺は彼のスマートデバイスを手に持ったまま、ぺろりと舌をなめずった。
何が何だか分からない様子の三人に、俺は至極真剣に言葉を投げかける。
「スピリドノフ。ヤグディンに、オロフも。酒を飲み込んだら言え」
「うん?」
「ん、どうしたんですかルスラーンさん」
アマリヤン連合国の『メイヤーズマルク』10年をハイボールで飲んでいたマクシムが、口の中に残った液体を急いで飲み込む。サーシャも手に持っていたタンブラーをテーブルに置いて、身を乗り出した。
彼らに対し、俺はヤロスラフの撮影した写真の一部を見せる。
「この左側のページ。裏面に書かれている内容がうっすら見えるのが分かるか」
「えっ?」
「えーと……」
「……えっ?」
左側のページ、色調補正をかけて明るくしたそれを、じっと見つめる三人。
彼らが眉根を寄せる中、俺は読み取れたそれをそっと、読み上げる。
「『三番街、ハモン通り、クヴィテラシヴィリ伯爵、200万セレー。
三番街、モニア通り、オブモチャエフ子爵、250万セレー。
二番街、クリムキン通り、『ヴィノグラード』カール・グセフ、100万セレー。』
……この部分から読み取れるのはこんなところか」
俺の告げた内容に、三人が三人とも、信じられないと言いたげな表情を見せた。
当然だろう。額が額なら内容も内容だ。腐敗しているなんてレベルではない。
「あの……」
「まさか……」
「助司祭は……」
恐ろしいものを見てしまった、と言いたげな彼らに、俺はこくりと頷いてやる。
「賄賂の内訳だろうな。自分個人の日誌にわざわざ書くくらいだ、相応の理由があるだろう。
孤児院の運営資金だけじゃない。清教会への寄進や、孤児院への寄付の形で集めた金を、不当に着服している疑いがある」
「そんな!」
「酷い……孤児たちは今日も、明日の粥すら覚束なくて、苦しんでいるというのに」
俺の発言に、サーシャもヤロスラフも、悲しみを一杯に溢れさせて言葉を零した。
当然だ。彼らは五番街の『みなしごの家孤児院』を、実際に訪れている。孤児たちがどんな状況に陥っているか、自分たちの目で確かめている。
子供たちが苦しんでいるだけではない。運営母体となる教会が、私腹を肥やしているのだ。
表情に怒りを滲ませる三人に、俺はテーブルに両肘をつきながら口を開く。
「もう少し、細かい情報を集める必要がある。
『みなしごの家孤児院』に金が回っていないのは今回明らかになったが、司祭や助司祭が寄付金を囲っているかは、情報を集めて精査してみないと何とも言えん」
俺の言葉に、三人も頷いた。
孤児院に回るべき金が回っていないことは状況を見れば明らかだが、状況証拠でしかない。正確に、教会が寄付金を着服している証拠を掴まなくてはならない。その為のエージェントだ。
「そうですね……分かりました」
「もし本当に教会が寄付金を着服しているなら、何とかしないと」
「清教会からの処罰があったとしても、教会そのものが腐敗しているんじゃ、意味が無い」
真剣な顔をしてそれぞれの所感を述べるサーシャ、マクシム、ヤロスラフ。
その年若い三人の将来有望なエージェントに、俺も真剣な目を向けて頷いた。
「どうやらこの案件は、俺が思っていた以上にでかい事態を引き起こしそうだな。三人とも、覚悟しろよ」
「「はいっ!」」
そうと分かれば祝杯を挙げている場合ではない。
俺達四人は揃って、手元に残っていたそれぞれの酒を、ぐいと一息に飲み干したのだった。
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