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第1章 異世界
第7話 強硬派と穏健派
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そして、夕食。
俺はメインディッシュの、柔らかく煮込まれた魔物の肉を夢中になって食んでいた。
レオン曰く、ヴァグヤバンダでは食事は昼と夜の二回が基本、昼食はイモや豆が中心になり、夜は肉が中心のメニューになるんだそうだ。
だからレオンの目の前に並んでいるメニューは、大振りにカットされた魔物の肉を煮込んだシチュー、魔物の内臓とタチマメを煮込んだいわゆるもつ煮、蒸かした岩イモを潰して団子にして牛脂で焼いたイモ餅、と言った具合だ。この世界では、このメニューで結構なご馳走らしい。
だが実際、このシチューは美味い。味付けは薄味だが、肉を食べる口が止まらない。
「クッ、クッ(うまっ、うまっ)」
「ニル、美味いか?」
もつ煮をスプーンで掬いながら、レオンが俺の頭を撫でつつ声をかけた。
ニル、という新しい名前はまだ若干違和感があるが、それでも俺に付けられた名前だし、俺とレオンが契約を結んだ証だ。慣れないより他にはない。
俺の頭に添えられる手に頭を擦り付けながら、俺はレオンへと思念を飛ばした。
『レオン、美味い! この肉は何の肉だ?』
『そうか、よかった。今日の材料はマウンタウルスの肩肉だそうだ』
嬉しそうに話す俺に、レオンが頭に乗せた手を動かしながら答えてくる。
マウンタウルス。聞き慣れない生き物の名前だ。魔物の一種なのだろうか。
『マウンタウルス?』
『山に住む牛の魔物でな、太い手足に巨大な身体、その体格に見合わない俊敏な動きが特徴の牛型の魔物だ。崖もぐいぐい自分の腕で登っていくんだぞ』
レオンによると、牛の頭部と尻尾に人間の身体という出で立ちの魔物らしい。つまるところはミノタウロスだが、人間とは比べ物にならないほど大きいのだそうだ。
山に立ち入る人間も生き物も見境なく襲うため、旅団に討伐依頼が頻繁に舞い込んでくる。それ故、肉を入手する機会も多いということらしい。
しかし、それだけ巨大で、それだけ俊敏に動く魔物の肉なら、筋肉質で引き締まった肉をしていそうなものだが、今食べている肉は随分と柔らかい。
『へー……そんな魔物の肩肉って、聞く限りではすごい締まって硬そうだよな……こんなにホロっと解けて柔らかいのに』
『ああ、普段はもっと歯応えがあって、それはそれで美味いんだが、こんなに柔らかくなるとは、俺も驚いた』
俺の言葉に、レオンもこくりと頷いた。
要するに牛肉だからステーキとして出てくることもあるそうだが、普段はもっと肉質が硬いのだ、とレオンは言う。
そういうものだよな、と思いながら俺が煮込まれて柔らかな肉を食べていると、レオンは俺から視線を外し、隣の席で同じようにシチューの肉を喰らう茶髪の長耳人種の青年に声をかけた。
「エマーヌエル、今日のタウルス肉の下ごしらえについて、何かカスペルは話していたか?」
「いや、俺も詳しい話は……『新しい下ごしらえの方法を試す』とは言っていた気がするが」
声をかけられた青年が、肉の繊維を食いちぎりながら答えた。
この青年こそ、レオンの同輩にして、今日の昼間に遅刻したレオンの代わりに仕事をこなした『薄明の旅団』無席次、エマーヌエル・フランセンだ。
エマーヌエルの答えを受けて、レオンは自分の手元のシチューに視線を落とした。薄茶色のスープに浸った牛肉の塊を、スプーンで掬いあげながら言葉を零す。
「そうか……」
「お前、なんか心当たりでもあるのか? 今日の昼食後に、カスペルと二人きりで話してたんだろ」
「い、いや、何も。ただ新入りの使い魔に、タチマメの鞘を剥くコツを教わっていただけだよ」
エマーヌエルの問いかけに、レオンは慌てて肉を口に運びながら返した。
結局あの後タチマメの鞘の剥き方なんか教わらなかったというのに、この青年は随分と白々しい。それとも嘘をつくのが下手なのか。下手なんだろうな。
狼狽を隠さないレオンの様子に小さく肩を竦めつつ、エマーヌエルはレオンと反対側の席へと視線を向けた。
「ふーん。まぁいいや、知らないんなら。イクセル、お前はどう思う?」
そこには、人間の子供ほどの背丈がある灰色の毛皮を持った狼がいた。顔の上半分を白い仮面で覆い、仮面のスリットから青い瞳を覗かせる狼が、じっと主人を見つめ返す。
「……」
「ハハ、冗談だよ、お前に聞いたってしょうがないよな」
エマーヌエルは笑いながら、イクセルと呼んだ狼の頭を軽く叩いた。
そのやり取り、顔の仮面、予想の付く通り使い魔になった魔物だ。このエマーヌエルが主人なのは振舞いからして間違いない。
その様子を見た俺の瞳が、すっと細められる。
『レオン』
『分かっている、彼もそうだろう』
俺の思念に、レオンも食事を進めながら短く返した。
すなわち、魔物にされた俺のクラスメイトだ。エマーヌエルは無席次だし、レオンの同輩。あの事件で使い魔を得たことは、想像に難くない。
もつ煮の最後の一匙を口に運びながら、レオンが俺をちらりと見てくる。
『ニラノは、あのソルジャーウルフが元は誰だったか、覚えているか?』
『うっすらと……確か、出席番号5番の大根君だったはずだ』
俺も俺で肉の最後の一つを食べながら、視線と思念を返した。
三年C組出席番号5番、大根泰道。クラスの中でもガタイがよく、運動が得意な奴だった。部活は確か野球部だったはず。
俺はそこまで彼と親しいわけではなかったが、そこまで距離を置いていたわけでもない。顔を合わせれば話をするくらいの間柄だったから、こうして魔物となり、人間の言葉を奪われたのを見ると、やるせない気持ちになる。
イモ餅をフォークで突き刺したレオンが、気持ちしょんぼりして耳を伏せた俺に、優しく手を添えてきた。
『そうか……分かった、消灯前にでも時間を作って話をしてみよう。エマーヌエルは同じ無席次だから、話もしやすいはずだ』
『そうだな、ルーペルトみたいなのよりは、とっつきやすい気がする』
頭に手を置かれて顔を上げられず、肉の皿に顔を寄せたままの俺がレオンを見上げると、彼もそのままにこりと笑った。
と、俺達が思念で会話する様子をずっと眺めていたエマーヌエルが、何やら面白そうに口角を持ち上げた。
「なんだ? レオンとニルは、こそこそと内緒話か?」
「内緒話って、あのな。ニルはイクセルと同じように喋れないんだから、会話するには念話を使わないとしょうがないだろう」
「キュッ(そうだぞ)」
揶揄うように声をかけてくるエマーヌエルに、レオンがむっとした表情になりながら言葉を返す。俺も喋れないにしても話の意味は理解できるので、批判的に一声鳴いてみせた。
同じ立ち位置にいるからか、随分と気安く親しい感じだ。エマーヌエルもレオンの言葉にからからと笑っている。
「ハハハ、そうだったそうだった……っと、そろそろお喋りはおしまいか。おい、レオンも前向けよ」
「ん? おっと、もう時間か」
と、急に笑い声を収めたエマーヌエルが食堂の前方、キッチンの方を指さした。そちらに視線を向けたレオンもすぐさまに食器を置く。
何事か、と首を傾げる俺の身体を、レオンの両手がそっと持ち上げた。抱かれるのか、と思ったら向きを変えさせられて、すぐに降ろされる。
『レオン、何が始まるんだ?』
『ディーデリック老からの訓辞だよ。恐らく、第五席の後釜の発表がある……それに、今後の方針もな』
再び顔を見上げると、レオンの表情はいつになく真剣だった。
視線を外して前を見れば、団員全員の前に立ち、視線を集めるようにしてディーデリックが立っていた。その隣には第八席のヨーランの姿もある。
手に持った杖に向かってディーデリックが声を出すと、食堂いっぱいに彼の声が響き渡る。拡声器のような役割をしているか、そんな感じの魔法がかかっているようだ。
「えー、オホン。これより、本日の訓辞を行う。
諸君らも知っての通り、二日前に引き起こされた召喚事故の責任を取って、第五席のクンラート・ネイハウスは除籍、斬首延命刑となった。
これにより、第五席は空席となったわけだが……席次会での協議の結果、本日付でボールドウィン・ラスボーンを新たな第五席として任命する」
「よっしゃあっっ!!」
ディーデリックがその名を告げると、食堂の左前方、椅子に腰掛けていた烏のような翼を背中に持つ男性が立ち上がって、高々と拳を突き上げた。人型鳥人種と思しき彼が、ボールドウィンなのだろう。
しかし、失敗を犯したクンラートに、もう刑が下されたとは。動きが早い。
「なるほど……ボールドウィンか。まぁ大方の予想通りだな」
「ああ、二桁の席次入りも近いと見られる男だったからな……しかし、やはり強硬派か」
団員に祝福されて拍手を送られ、周囲の人間としきりに握手を交わしているボールドウィンを見て、拍手しながらエマーヌエルとレオンが口を開いた。
どうやら、そこまで意外性のある人事異動ではなかったらしい。他の面々も驚いた様子は見せていなかった。
が、レオンがぽつりと零した「強硬派」という単語。今日にカスペルと話していた時にも出ていたような。
『強硬派?』
「仕方がないだろう、クンラートだってディーデリック老の愛弟子だったんだ。同じようにディーデリック老に師事するボールドウィンが、強硬派でないはずはないだろう?」
「そうだな……穏健派ならカトーかクリステルに師事するだろうから」
思念を飛ばすも、レオンとエマーヌエルは返事を返してくることなく話を続けている。カトー、クリステル。また知らない奴の名前が出てきた。
このまま話を続けられても訳が分からない。俺はレオンの腕に前脚を乗っけて、改めて声をかけた。
『レオン、今日にカスペルと話していた時にも言っていたが、強硬派とか穏健派とか、どういうことだ?』
『ん? あぁすまない、ニラノには詳しく話していなかったか』
そこでようやく俺が置いていかれていることに気付いたらしい。会話を留めて視線をこちらに向けてきた。
だが、彼は俺の背中をそっと撫でただけで、また視線を外した。その目は真っすぐに、ディーデリックに向けられている。
『だが、そうだな。今はちょっと具合が悪い。訓辞が終わったら詳しく説明するよ』
そう話しながら、レオンがそっと前を指さした。
指を追って視線をそちらに向ければ、団員を落ち着かせたディーデリックが、改めて杖を握って声を張っているところだった。
「よし、ボールドウィンの周辺は落ち着いたな? であれば一度着席するように。
続いて、諸君らにとって非常に良いニュースだ。
我々『薄明の旅団』は遂に、我々が理想とする、食物に溢れる世界を発見した。二日前の召喚事故によって召喚され、諸君らの使い魔となったあの少年少女たちこそ、その世界への道標だ!」
「「おぉぉーーっ!!」」
力強く告げられた言葉に、先程までとは比べ物にならない歓声が、四方八方から沸き起こった。
席次持ちも、無席次も関係なく、全員が喜びの声を上げている。
その勢いに圧倒されながら、俺はそっとレオンに声をかけた。
『皆、すごい喜びようだな……』
『そうだとも、食糧問題の解決は旅団員全員の悲願だからな。強硬派も、穏健派も、ニラノたちの世界を見つけたことは、この上ない喜びのはずだ』
俺の背中を優しく撫でながら、レオンが言葉を返してくる。
既に俺自身と会話をして、カスペルやルイザとも話をしている彼は、俺達の世界が食物に溢れて満たされた世界であることを知っている。だが、それを知っていても尚、レオンの表情は明るかった。
その反応に俺は首を傾げながら、思念を飛ばしていく。
『なんでだ? 穏健派の奴らは、他の世界を侵略することにはいい顔しなさそうだが……』
『侵略することにはいい顔をしないよ。だが、異世界に進出することには皆、とても前向きだ。
要は、それぞれの派閥で異世界に対するアプローチの仕方が違うんだ』
レオン曰く、この旅団に所属する人間は皆、祖国や故郷が飢えなくて済むように活動しており、そこに一つの例外もないとのこと。だからデ・フェール王国の外からも団員がやってくるのだそうだ。
そして、その飢えを解消する大きな足掛かりが、こうして見つかった。手段がどうあれ喜ばしいのは、皆同じなのだと彼は言う。
そう思念を飛ばし合っている間にも、ディーデリックの演説は続いていた。
「かの世界からやって来た少年少女たちの姿を、諸君らも覚えているだろう。
あの発育と血色の良い肉体、服装の上等さ、健康そのものと言った姿を!
きっと、いや確実に、かの世界には衣食が満ち足りているに違いない! かの世界への道を開ければ、今日までの飢えと戦う生活とはおさらばだ!!」
「「うぉぉぉぉぉぉ!!」」
きっぱりと、強い口調で断言するディーデリックの言葉に、団員の熱狂はますます増していく。
しかし、そうやって熱狂している団員の何人か、何割かは、俺達の世界から食い物を略奪しようとしているわけで。俺の眉間にも自然としわが刻まれる。
『ああ言っているが……その実、あのジジイとそれに同調する奴は、俺達の世界から奪おうとしてるってわけか?』
『そう。強硬派の連中は短絡的に、見つけた異世界から食料を奪い取ろうとしている。その異世界人が困ろうが飢えようがお構いなし、自分たちが飢えなければそれでいい、という立ち位置だ。
穏健派の皆はその異世界のルールに則って、対等に取引を持ち掛けようとしている。異世界人が困らない範囲で、余ったものを分けてもらおうと話をする。そんなつもりでいるわけだ』
結局訓辞が終わるのを待たないうちに説明するレオンの話を聞いて、俺はますます首を傾げた。
要するに、強硬派のやろうとしていることは強盗だ。到底許されるものではない、と俺からしたら思うところだ。だが、彼らは大っぴらにそれを標榜し、主張している。おかしい。
『……なんで強硬派が堂々としていられるんだ?』
『衣食の足りている世界から来たニラノたちからしてみたら、強硬派の言い分はとても信じられないだろうな。だが、ヴァグヤバンダではどちらも基本的に足りない。特に食は全ての国家で足りていない。だからどこかに少しでも余剰があれば、民がこぞって奪いに来るんだ。
『薄明の旅団』の団員も、その日の食い物にも困る生活を送って来た奴は多い……だから、『余っているなら奪っていい』という考えが根強くあるんだ』
悲しそうな表情で話すレオンに、俺は目を見開いた。
確かにここは異世界、価値観も倫理観も地球とは違うだろう。しかし、強盗が容認されるほどに倫理観が崩壊しているとは、ちょっとショックだ。
思わず、既に空になった俺のご飯皿に視線が落ちる。シチューは美味しかったが、強奪してきたものを食わされていたのでは、と思うと少しやりきれない。
『そうなのか……まさかとは思うが、今日の食事の材料も、よそから奪ってきたものとか言わないよな?』
『ハハ、やっぱり気になるか。安心していい、城の中にいる分には、真っ当な手段で得られた食材しか使われないよ。
仕事で討伐した魔物の肉、城の畑で育てた岩イモにタチマメ、それにデ・フェール王国や、王国の民からの援助。それで基本的に賄っている。
城から出て仕事をする際……特に王国の外に出てからの食事だと、なかなかそうも行かないらしいけれどな』
悲しそうな目をしながら、レオンはそう話を終えた。
確かに、旅団の所属するデ・フェール王国内なら、王国からの庇護も得られるだろうし、住民からの信頼もあるから、奪わなくてもなんとかなるんだろう。
だから、それらが得られない国外での仕事の時に、已むに已まれず他人から奪う。そういう理屈なんだそうだ。
ふと、レオンの悲しそうな目と俺の目が向かい合った。ぱちりと瞬きを経て、俺はそっと思念を飛ばす。
『レオンは……派閥は、どっちなんだ?』
『俺は穏健派だよ。君たちが転移してくるまでは、どちらとも言えない立場でいたけれど……ディーデリック老のやり口を目の前で見て、考え方を変えた』
俺の問いかけに、小さく笑みを零しながらレオンが言葉を返してきた。
ふっと顔を上げると、隣ではエマーヌエルが怪訝そうな表情をしていて、前方では演説がクライマックスに差し掛かったディーデリックが大きく杖を突き上げている。
「いいか諸君! 我等『薄明の旅団』の悲願が成就する日は近い!
かの世界への道が開かれたその暁には、我等は必ずやこのヴァグヤバンダを支配するだろう。デ・フェール王国の民から受けた施しを、今こそ返すのだ!!」
「「おぉぉぉーーーっ!!」」
ディーデリックの言葉に呼応するように、団員の殆どが一斉に立ち上がり、拳を天に突きあげる。もう、歓声というより進撃前の鬨の声だ。
俺の前にいるレオンは、立ち上がらない。呆然とした表情でリーダーの老爺を見つめていた。その表情は、どこか他人事だ。
彼と同じ方を向いて、歓声を一身に受けるディーデリックを睨みながら、俺の表情がますます険しいものになっていく。
『あのジジイ……』
『なんだ、もう気が付いたのか? カスペルも話していたが、随分と物分かりがいいな、ニラノ』
『言われるほどじゃないさ……気付くだけの話だよ。気付いたものを活かせるかどうかは、また別の話だ』
小さく口角を持ち上げて、俺の頭を撫でるレオンに視線をちらと向けてから、俺は努めて冷静に、言葉を並べていく。
『『俺達の元居た世界を発見した』、『その世界は食物に溢れた世界だ』、そこに重点を置いて話していたな。手段や、その世界に自分たちと同じ人間が暮らしていることは、脇に置いている。
言っちゃなんだけど、リーダーとしてはこの上なく上手い。自分についてくる人間が、どう言えば最も動いてくれるのかを分かってる。腹立たしいくらいだ』
『……まあな。俺もその点においては否定しない。ディーデリック老は、人の上に立つべくして立っているお方だ』
俺の発言に同意して、レオンも頷いた。
実際、ディーデリックのリーダーとしての技量は認めざるを得ない。悔しいが、上手い。人を先導するのも、人の気持ちを盛り上げるのもとても上手い。
そんな人間を相手取って、俺達は反旗を翻そうというのである。だいぶ無茶をしている自覚はあるが、やらねばなるまい。
『だが、だからと言って異世界を搾取していい理由にはならない……だろ?』
『そういうことだ。だから、ひっくり返すための地盤固めが必要になる……あとで名簿を見ながら、俺の知る限りの情報を教えよう』
そう会話を交わしながら、俺とレオンは改めて前を見据える。
訓辞を終え、万雷の拍手を浴びてにこやかに笑うディーデリックの姿が、変わらずにそこにはあるのだった。
俺はメインディッシュの、柔らかく煮込まれた魔物の肉を夢中になって食んでいた。
レオン曰く、ヴァグヤバンダでは食事は昼と夜の二回が基本、昼食はイモや豆が中心になり、夜は肉が中心のメニューになるんだそうだ。
だからレオンの目の前に並んでいるメニューは、大振りにカットされた魔物の肉を煮込んだシチュー、魔物の内臓とタチマメを煮込んだいわゆるもつ煮、蒸かした岩イモを潰して団子にして牛脂で焼いたイモ餅、と言った具合だ。この世界では、このメニューで結構なご馳走らしい。
だが実際、このシチューは美味い。味付けは薄味だが、肉を食べる口が止まらない。
「クッ、クッ(うまっ、うまっ)」
「ニル、美味いか?」
もつ煮をスプーンで掬いながら、レオンが俺の頭を撫でつつ声をかけた。
ニル、という新しい名前はまだ若干違和感があるが、それでも俺に付けられた名前だし、俺とレオンが契約を結んだ証だ。慣れないより他にはない。
俺の頭に添えられる手に頭を擦り付けながら、俺はレオンへと思念を飛ばした。
『レオン、美味い! この肉は何の肉だ?』
『そうか、よかった。今日の材料はマウンタウルスの肩肉だそうだ』
嬉しそうに話す俺に、レオンが頭に乗せた手を動かしながら答えてくる。
マウンタウルス。聞き慣れない生き物の名前だ。魔物の一種なのだろうか。
『マウンタウルス?』
『山に住む牛の魔物でな、太い手足に巨大な身体、その体格に見合わない俊敏な動きが特徴の牛型の魔物だ。崖もぐいぐい自分の腕で登っていくんだぞ』
レオンによると、牛の頭部と尻尾に人間の身体という出で立ちの魔物らしい。つまるところはミノタウロスだが、人間とは比べ物にならないほど大きいのだそうだ。
山に立ち入る人間も生き物も見境なく襲うため、旅団に討伐依頼が頻繁に舞い込んでくる。それ故、肉を入手する機会も多いということらしい。
しかし、それだけ巨大で、それだけ俊敏に動く魔物の肉なら、筋肉質で引き締まった肉をしていそうなものだが、今食べている肉は随分と柔らかい。
『へー……そんな魔物の肩肉って、聞く限りではすごい締まって硬そうだよな……こんなにホロっと解けて柔らかいのに』
『ああ、普段はもっと歯応えがあって、それはそれで美味いんだが、こんなに柔らかくなるとは、俺も驚いた』
俺の言葉に、レオンもこくりと頷いた。
要するに牛肉だからステーキとして出てくることもあるそうだが、普段はもっと肉質が硬いのだ、とレオンは言う。
そういうものだよな、と思いながら俺が煮込まれて柔らかな肉を食べていると、レオンは俺から視線を外し、隣の席で同じようにシチューの肉を喰らう茶髪の長耳人種の青年に声をかけた。
「エマーヌエル、今日のタウルス肉の下ごしらえについて、何かカスペルは話していたか?」
「いや、俺も詳しい話は……『新しい下ごしらえの方法を試す』とは言っていた気がするが」
声をかけられた青年が、肉の繊維を食いちぎりながら答えた。
この青年こそ、レオンの同輩にして、今日の昼間に遅刻したレオンの代わりに仕事をこなした『薄明の旅団』無席次、エマーヌエル・フランセンだ。
エマーヌエルの答えを受けて、レオンは自分の手元のシチューに視線を落とした。薄茶色のスープに浸った牛肉の塊を、スプーンで掬いあげながら言葉を零す。
「そうか……」
「お前、なんか心当たりでもあるのか? 今日の昼食後に、カスペルと二人きりで話してたんだろ」
「い、いや、何も。ただ新入りの使い魔に、タチマメの鞘を剥くコツを教わっていただけだよ」
エマーヌエルの問いかけに、レオンは慌てて肉を口に運びながら返した。
結局あの後タチマメの鞘の剥き方なんか教わらなかったというのに、この青年は随分と白々しい。それとも嘘をつくのが下手なのか。下手なんだろうな。
狼狽を隠さないレオンの様子に小さく肩を竦めつつ、エマーヌエルはレオンと反対側の席へと視線を向けた。
「ふーん。まぁいいや、知らないんなら。イクセル、お前はどう思う?」
そこには、人間の子供ほどの背丈がある灰色の毛皮を持った狼がいた。顔の上半分を白い仮面で覆い、仮面のスリットから青い瞳を覗かせる狼が、じっと主人を見つめ返す。
「……」
「ハハ、冗談だよ、お前に聞いたってしょうがないよな」
エマーヌエルは笑いながら、イクセルと呼んだ狼の頭を軽く叩いた。
そのやり取り、顔の仮面、予想の付く通り使い魔になった魔物だ。このエマーヌエルが主人なのは振舞いからして間違いない。
その様子を見た俺の瞳が、すっと細められる。
『レオン』
『分かっている、彼もそうだろう』
俺の思念に、レオンも食事を進めながら短く返した。
すなわち、魔物にされた俺のクラスメイトだ。エマーヌエルは無席次だし、レオンの同輩。あの事件で使い魔を得たことは、想像に難くない。
もつ煮の最後の一匙を口に運びながら、レオンが俺をちらりと見てくる。
『ニラノは、あのソルジャーウルフが元は誰だったか、覚えているか?』
『うっすらと……確か、出席番号5番の大根君だったはずだ』
俺も俺で肉の最後の一つを食べながら、視線と思念を返した。
三年C組出席番号5番、大根泰道。クラスの中でもガタイがよく、運動が得意な奴だった。部活は確か野球部だったはず。
俺はそこまで彼と親しいわけではなかったが、そこまで距離を置いていたわけでもない。顔を合わせれば話をするくらいの間柄だったから、こうして魔物となり、人間の言葉を奪われたのを見ると、やるせない気持ちになる。
イモ餅をフォークで突き刺したレオンが、気持ちしょんぼりして耳を伏せた俺に、優しく手を添えてきた。
『そうか……分かった、消灯前にでも時間を作って話をしてみよう。エマーヌエルは同じ無席次だから、話もしやすいはずだ』
『そうだな、ルーペルトみたいなのよりは、とっつきやすい気がする』
頭に手を置かれて顔を上げられず、肉の皿に顔を寄せたままの俺がレオンを見上げると、彼もそのままにこりと笑った。
と、俺達が思念で会話する様子をずっと眺めていたエマーヌエルが、何やら面白そうに口角を持ち上げた。
「なんだ? レオンとニルは、こそこそと内緒話か?」
「内緒話って、あのな。ニルはイクセルと同じように喋れないんだから、会話するには念話を使わないとしょうがないだろう」
「キュッ(そうだぞ)」
揶揄うように声をかけてくるエマーヌエルに、レオンがむっとした表情になりながら言葉を返す。俺も喋れないにしても話の意味は理解できるので、批判的に一声鳴いてみせた。
同じ立ち位置にいるからか、随分と気安く親しい感じだ。エマーヌエルもレオンの言葉にからからと笑っている。
「ハハハ、そうだったそうだった……っと、そろそろお喋りはおしまいか。おい、レオンも前向けよ」
「ん? おっと、もう時間か」
と、急に笑い声を収めたエマーヌエルが食堂の前方、キッチンの方を指さした。そちらに視線を向けたレオンもすぐさまに食器を置く。
何事か、と首を傾げる俺の身体を、レオンの両手がそっと持ち上げた。抱かれるのか、と思ったら向きを変えさせられて、すぐに降ろされる。
『レオン、何が始まるんだ?』
『ディーデリック老からの訓辞だよ。恐らく、第五席の後釜の発表がある……それに、今後の方針もな』
再び顔を見上げると、レオンの表情はいつになく真剣だった。
視線を外して前を見れば、団員全員の前に立ち、視線を集めるようにしてディーデリックが立っていた。その隣には第八席のヨーランの姿もある。
手に持った杖に向かってディーデリックが声を出すと、食堂いっぱいに彼の声が響き渡る。拡声器のような役割をしているか、そんな感じの魔法がかかっているようだ。
「えー、オホン。これより、本日の訓辞を行う。
諸君らも知っての通り、二日前に引き起こされた召喚事故の責任を取って、第五席のクンラート・ネイハウスは除籍、斬首延命刑となった。
これにより、第五席は空席となったわけだが……席次会での協議の結果、本日付でボールドウィン・ラスボーンを新たな第五席として任命する」
「よっしゃあっっ!!」
ディーデリックがその名を告げると、食堂の左前方、椅子に腰掛けていた烏のような翼を背中に持つ男性が立ち上がって、高々と拳を突き上げた。人型鳥人種と思しき彼が、ボールドウィンなのだろう。
しかし、失敗を犯したクンラートに、もう刑が下されたとは。動きが早い。
「なるほど……ボールドウィンか。まぁ大方の予想通りだな」
「ああ、二桁の席次入りも近いと見られる男だったからな……しかし、やはり強硬派か」
団員に祝福されて拍手を送られ、周囲の人間としきりに握手を交わしているボールドウィンを見て、拍手しながらエマーヌエルとレオンが口を開いた。
どうやら、そこまで意外性のある人事異動ではなかったらしい。他の面々も驚いた様子は見せていなかった。
が、レオンがぽつりと零した「強硬派」という単語。今日にカスペルと話していた時にも出ていたような。
『強硬派?』
「仕方がないだろう、クンラートだってディーデリック老の愛弟子だったんだ。同じようにディーデリック老に師事するボールドウィンが、強硬派でないはずはないだろう?」
「そうだな……穏健派ならカトーかクリステルに師事するだろうから」
思念を飛ばすも、レオンとエマーヌエルは返事を返してくることなく話を続けている。カトー、クリステル。また知らない奴の名前が出てきた。
このまま話を続けられても訳が分からない。俺はレオンの腕に前脚を乗っけて、改めて声をかけた。
『レオン、今日にカスペルと話していた時にも言っていたが、強硬派とか穏健派とか、どういうことだ?』
『ん? あぁすまない、ニラノには詳しく話していなかったか』
そこでようやく俺が置いていかれていることに気付いたらしい。会話を留めて視線をこちらに向けてきた。
だが、彼は俺の背中をそっと撫でただけで、また視線を外した。その目は真っすぐに、ディーデリックに向けられている。
『だが、そうだな。今はちょっと具合が悪い。訓辞が終わったら詳しく説明するよ』
そう話しながら、レオンがそっと前を指さした。
指を追って視線をそちらに向ければ、団員を落ち着かせたディーデリックが、改めて杖を握って声を張っているところだった。
「よし、ボールドウィンの周辺は落ち着いたな? であれば一度着席するように。
続いて、諸君らにとって非常に良いニュースだ。
我々『薄明の旅団』は遂に、我々が理想とする、食物に溢れる世界を発見した。二日前の召喚事故によって召喚され、諸君らの使い魔となったあの少年少女たちこそ、その世界への道標だ!」
「「おぉぉーーっ!!」」
力強く告げられた言葉に、先程までとは比べ物にならない歓声が、四方八方から沸き起こった。
席次持ちも、無席次も関係なく、全員が喜びの声を上げている。
その勢いに圧倒されながら、俺はそっとレオンに声をかけた。
『皆、すごい喜びようだな……』
『そうだとも、食糧問題の解決は旅団員全員の悲願だからな。強硬派も、穏健派も、ニラノたちの世界を見つけたことは、この上ない喜びのはずだ』
俺の背中を優しく撫でながら、レオンが言葉を返してくる。
既に俺自身と会話をして、カスペルやルイザとも話をしている彼は、俺達の世界が食物に溢れて満たされた世界であることを知っている。だが、それを知っていても尚、レオンの表情は明るかった。
その反応に俺は首を傾げながら、思念を飛ばしていく。
『なんでだ? 穏健派の奴らは、他の世界を侵略することにはいい顔しなさそうだが……』
『侵略することにはいい顔をしないよ。だが、異世界に進出することには皆、とても前向きだ。
要は、それぞれの派閥で異世界に対するアプローチの仕方が違うんだ』
レオン曰く、この旅団に所属する人間は皆、祖国や故郷が飢えなくて済むように活動しており、そこに一つの例外もないとのこと。だからデ・フェール王国の外からも団員がやってくるのだそうだ。
そして、その飢えを解消する大きな足掛かりが、こうして見つかった。手段がどうあれ喜ばしいのは、皆同じなのだと彼は言う。
そう思念を飛ばし合っている間にも、ディーデリックの演説は続いていた。
「かの世界からやって来た少年少女たちの姿を、諸君らも覚えているだろう。
あの発育と血色の良い肉体、服装の上等さ、健康そのものと言った姿を!
きっと、いや確実に、かの世界には衣食が満ち足りているに違いない! かの世界への道を開ければ、今日までの飢えと戦う生活とはおさらばだ!!」
「「うぉぉぉぉぉぉ!!」」
きっぱりと、強い口調で断言するディーデリックの言葉に、団員の熱狂はますます増していく。
しかし、そうやって熱狂している団員の何人か、何割かは、俺達の世界から食い物を略奪しようとしているわけで。俺の眉間にも自然としわが刻まれる。
『ああ言っているが……その実、あのジジイとそれに同調する奴は、俺達の世界から奪おうとしてるってわけか?』
『そう。強硬派の連中は短絡的に、見つけた異世界から食料を奪い取ろうとしている。その異世界人が困ろうが飢えようがお構いなし、自分たちが飢えなければそれでいい、という立ち位置だ。
穏健派の皆はその異世界のルールに則って、対等に取引を持ち掛けようとしている。異世界人が困らない範囲で、余ったものを分けてもらおうと話をする。そんなつもりでいるわけだ』
結局訓辞が終わるのを待たないうちに説明するレオンの話を聞いて、俺はますます首を傾げた。
要するに、強硬派のやろうとしていることは強盗だ。到底許されるものではない、と俺からしたら思うところだ。だが、彼らは大っぴらにそれを標榜し、主張している。おかしい。
『……なんで強硬派が堂々としていられるんだ?』
『衣食の足りている世界から来たニラノたちからしてみたら、強硬派の言い分はとても信じられないだろうな。だが、ヴァグヤバンダではどちらも基本的に足りない。特に食は全ての国家で足りていない。だからどこかに少しでも余剰があれば、民がこぞって奪いに来るんだ。
『薄明の旅団』の団員も、その日の食い物にも困る生活を送って来た奴は多い……だから、『余っているなら奪っていい』という考えが根強くあるんだ』
悲しそうな表情で話すレオンに、俺は目を見開いた。
確かにここは異世界、価値観も倫理観も地球とは違うだろう。しかし、強盗が容認されるほどに倫理観が崩壊しているとは、ちょっとショックだ。
思わず、既に空になった俺のご飯皿に視線が落ちる。シチューは美味しかったが、強奪してきたものを食わされていたのでは、と思うと少しやりきれない。
『そうなのか……まさかとは思うが、今日の食事の材料も、よそから奪ってきたものとか言わないよな?』
『ハハ、やっぱり気になるか。安心していい、城の中にいる分には、真っ当な手段で得られた食材しか使われないよ。
仕事で討伐した魔物の肉、城の畑で育てた岩イモにタチマメ、それにデ・フェール王国や、王国の民からの援助。それで基本的に賄っている。
城から出て仕事をする際……特に王国の外に出てからの食事だと、なかなかそうも行かないらしいけれどな』
悲しそうな目をしながら、レオンはそう話を終えた。
確かに、旅団の所属するデ・フェール王国内なら、王国からの庇護も得られるだろうし、住民からの信頼もあるから、奪わなくてもなんとかなるんだろう。
だから、それらが得られない国外での仕事の時に、已むに已まれず他人から奪う。そういう理屈なんだそうだ。
ふと、レオンの悲しそうな目と俺の目が向かい合った。ぱちりと瞬きを経て、俺はそっと思念を飛ばす。
『レオンは……派閥は、どっちなんだ?』
『俺は穏健派だよ。君たちが転移してくるまでは、どちらとも言えない立場でいたけれど……ディーデリック老のやり口を目の前で見て、考え方を変えた』
俺の問いかけに、小さく笑みを零しながらレオンが言葉を返してきた。
ふっと顔を上げると、隣ではエマーヌエルが怪訝そうな表情をしていて、前方では演説がクライマックスに差し掛かったディーデリックが大きく杖を突き上げている。
「いいか諸君! 我等『薄明の旅団』の悲願が成就する日は近い!
かの世界への道が開かれたその暁には、我等は必ずやこのヴァグヤバンダを支配するだろう。デ・フェール王国の民から受けた施しを、今こそ返すのだ!!」
「「おぉぉぉーーーっ!!」」
ディーデリックの言葉に呼応するように、団員の殆どが一斉に立ち上がり、拳を天に突きあげる。もう、歓声というより進撃前の鬨の声だ。
俺の前にいるレオンは、立ち上がらない。呆然とした表情でリーダーの老爺を見つめていた。その表情は、どこか他人事だ。
彼と同じ方を向いて、歓声を一身に受けるディーデリックを睨みながら、俺の表情がますます険しいものになっていく。
『あのジジイ……』
『なんだ、もう気が付いたのか? カスペルも話していたが、随分と物分かりがいいな、ニラノ』
『言われるほどじゃないさ……気付くだけの話だよ。気付いたものを活かせるかどうかは、また別の話だ』
小さく口角を持ち上げて、俺の頭を撫でるレオンに視線をちらと向けてから、俺は努めて冷静に、言葉を並べていく。
『『俺達の元居た世界を発見した』、『その世界は食物に溢れた世界だ』、そこに重点を置いて話していたな。手段や、その世界に自分たちと同じ人間が暮らしていることは、脇に置いている。
言っちゃなんだけど、リーダーとしてはこの上なく上手い。自分についてくる人間が、どう言えば最も動いてくれるのかを分かってる。腹立たしいくらいだ』
『……まあな。俺もその点においては否定しない。ディーデリック老は、人の上に立つべくして立っているお方だ』
俺の発言に同意して、レオンも頷いた。
実際、ディーデリックのリーダーとしての技量は認めざるを得ない。悔しいが、上手い。人を先導するのも、人の気持ちを盛り上げるのもとても上手い。
そんな人間を相手取って、俺達は反旗を翻そうというのである。だいぶ無茶をしている自覚はあるが、やらねばなるまい。
『だが、だからと言って異世界を搾取していい理由にはならない……だろ?』
『そういうことだ。だから、ひっくり返すための地盤固めが必要になる……あとで名簿を見ながら、俺の知る限りの情報を教えよう』
そう会話を交わしながら、俺とレオンは改めて前を見据える。
訓辞を終え、万雷の拍手を浴びてにこやかに笑うディーデリックの姿が、変わらずにそこにはあるのだった。
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