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番外編

遊園地

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シッター視点

「えっと…ありがとうございます。僕達まで…」
「いや保護者役が欲しかっただけだから。でも乗りたいものあったら言ってね?」
「はい」
僕と康二は藤沢さんと遊園地に来ていた。
僕に来た仕事だったのに康二も連れてきていいよって。
なんて優しいの…と思ったら前回と違って雇い主は息子さんの方でした。
直人さん。
…学生なのに既に社長らしいけど。
「柚のことお願いしてもいい?多分ほとんどのやつ乗れないから」
「はい」
「え…?」
がっくりとしているけど多分柚琉くんは身長制限引っかかってるからね。
5歳って言ってたけど…小さいんだよな。
「柚琉くんは僕達と回ろうね。何行きたいかな」
「あれ」
指さした先にあったのは…メリーゴーランド。
「じゃあ行こうか」
「あ、待って」
直人さんにぽんと手渡されたのはブランド物の財布。
「何か買うものあったらそこから出して。経費ってことで2人のものも買っていいから」
「え…あの」
「なおにいさーん!!はやくいこ!!」
「はいはい…じゃあよろしくね」
返す暇もなく行ってしまった。
「じゃ…じゃあ僕達も行こうか」
「ん」
「…俺までいいんだろうか」
康二は気づいてないかもだけど僕はものすごく怖いよ。
渡された財布結構重たかったんだよね。
何万円入ってるんだろうか…。
「ぼくね、ぽっぷこーんたべたい」
「え?…うん。わかったよ」
来る前に渡された紙には卵と甲殻類のアレルギーがあるって書いてあったから…ポップコーンなら大丈夫だよね。
「何味にしようか」
「んとね、えっとね…キャラメル…」
「ちょっと待ってろよ」
康二はさっき貰った財布を持ってポップコーンの売店へ走っていった。
柚琉くんは車椅子でお留守番。
…なんか嫌がるかもしれないけど乗せておいてって言われたんだよね。
これ特注かな…柚琉くんにピッタリサイズって…。
「あのね、ぼくね、ゆうえんちきたのはじめてなの…」
「え?」
「とうさんたちがね、おそとはいっぱいわるいきんがいるからでちゃいけないって。ぼくびょうきいっぱいするから…」
「そうなんだ」
病弱ならそりゃ外に出したくないよね。
じゃあなんで今日は許してくれたんだろ。
「待たせたな。一応売店の店員にも材料聞いてきたから大丈夫なはずだぞ」
「ありがと…おにーさん」
「康二でいい」
「こうじおにーさん」
僕達家族に見えたりしちゃうのかな。
「ふふ」
「にゅ?どうしたの?しったーのおにーさん」
「ちょっとね」









その頃の夏達

「あーあ…ゆずたのしんでくれてるかな」
「どうだろうね。まぁ早く何とかしようか」
「ん!!なつはやくゆずのとこいきたい!!」
「上手い具合にこっちに惹き付けられてくれてありがたいよ。おかげで処理が1度で済む」
直人兄さんが指を鳴らすと後ろにいた不審者共が色んなところからでてきた黒服に捉えられた。
「じゃあ後はよろしく。半分は警備に残して」
「「「はっ!!」」」
「さて、柚のところ行こっか」
「うん!!」













「にゅ」
「カチューシャ似合ってるね。猫さん好きなの?」
「うん!!」
なのに買ったぬいぐるみはうさぎ…もう1つは猫なんだけど…なぜうさぎ。
「ぬいぐるみ…両方とも持ってて大丈夫?荷物置きの方置こうか?」
「ううんおひざのせるの」
柚琉くんのお膝に猫とうさぎのぬいぐるみが置かれ、ポップコーンバスケットは何故かあった車椅子のホルダーに付けられた。
なんか無駄に機能多いんだよね、この車椅子。
「ゆずー!!」
「あ、直人さん」
「お待たせ。ごめんね?大丈夫だった?」
「はい。とてもいい子にしていましたよ」
「あのね、おうまさんのったの。たのしかった」
「柚は回るのが好きなのかな。コーヒーカップとか乗りたい?」
それはやめた方がいいんじゃ…。
「のるー!!」



数分後…
「おえっ…」
「ごめんね?なつたのしくなっちゃった」
案の定テンションの上がった夏羽くんがカップを回しまくり柚琉くんが酔ってしまった。
「吐き気止めぐらいしか持ってないんだけど…」
なんで持ってるんですか。
「飲み物は…あるね」
ホルダーにセットされたパークのキャラ付きプラスチックのコップ。
…あぁそれさっき買ったやつです。
なんかストローについてるキャラクターが欲しいって。
…Sサイズで500円した。
「柚お薬飲める?」
「ん…」
なんだろこの家族は。
僕はかなり大変な仕事を受けちゃったんじゃないのかな。














いつの間にか専属のような扱いになっていることに寧桜は気づかない。
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