普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です｡帰らせて｡

番外編

夏 風邪

｢けほっごほっ｣
｢だいじょーぶ？｣
｢ゆず…さむいよ…｣
｢ぎゅーしてあげるね｣
｢こらこら､柚は離れなさい｡うつっちゃうよ｣
｢うー…!!｣
僕は父さんに抱っこされて夏から剥がされた｡
｢…にしても夏が風邪をひくなんて…昨日夜更かししたでしょ｣
｢ゆずとえほんよんでたの…｣
｢柚が火照ってると思ったのはそれか…柚もちょっとお熱出てるね｣
｢ふぇ？｣
｢自覚してないかもだけど…今日は2人ともねんねね｣
｢｢はぁい｣｣
結局また戻された｡
｢ゆずぎゅー…｣
｢ん､ぎゅー｣
ぎゅーってするとポカポカするの｡
あったかいの｡
｢あれほど夜更かしはダメって言ったのに…｣
｢｢ごめんなさい…｣｣
｢とにかく今は体を休めてお熱バイバイしようね｡何か食べたいものとかある？｣
｢りんご…｣
｢いちご…｣
｢ん､持ってくるね｣
お熱あるとやだな｡
ぼーっとしちゃう｡
｢ゆず…｣
｢なぁに？｣
｢ごめんね…なつ､やめればよかったね…｣
｢ううん｡ぼくもたのしくなっちゃったから｣
絵本読んでたらね､絵本自分たちでも作ってみたいねってなってお絵描きしてたの｡
…でも完成しなかったの｡
お絵描きは好きだけど物語はわかんない｡
｢にゅー…｣
｢なつぽかぽか｣
｢ゆずもぽかぽか｣
｢あったかいね｣
｢ね…でもさむい｣
｢うん…｣
ぎゅーってしてるのに寒くなっちゃうの｡
どうして？
｢はい､2人の果物と追加の布団｡寒いでしょ？｣
｢にゅ…｣
ついでに着替えもされた｡
僕のモコモコ羊さんパジャマ…あったかい｡
｢…白羊と黒羊だ｣
｢｢ふにゅ？｣｣
｢ううん｡なんでもない｡ここに置いておくから食べられそうなら食べるんだよ｣
｢｢はぁい…｣｣
モコモコパジャマの上にお布団を被せられた｡
夏とおててをぎゅっとして､体もぎゅっとして｡
2人で温めながら眠りについた｡