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番外編

樹くん失業の危機

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「樹、言いたいことはわかるね?」
「はい…」
僕は失態ばかりだ。
近くにいながら誘拐に気づけなかったり、転ぶのを事前に阻止できなかったり。
怪我をおわせてしまってばかりだ。
「責任はとります」
「へ?…いや、あの子の相手は一族の中でも1番難しいし…よくやってくれてるねって言おうとしたんだけど」
「ですが旦那様。私は失敗ばかりです」
「あの子の前で完璧であることの方が難しいと思うけど」
「いえ私は従者ですから…」
「いやいやいやいや。方向音痴と運動音痴を兼ね備えた柚についていける樹は凄いからね!?」
「…父さんひどい」
いつの間にか僕達の話を聞いていた柚琉様。
ほらこれだってあった。
いることに気づけない。
「樹くん、遊ぼ?」
「いえ今は旦那様とお話を…」
「なんなら給料上げてもいいくらい働いてくれてるのに…」
「私に渡す分があるのでしたら柚琉様に使ってください」
どうせ自分に貰っても里に送るだけだし。
「あのね、僕もお裁縫やりたいの。睦樹くんにお願いしたらね、樹くんの方が上手だからって断られちゃった」
「そうですか。何が作りたいんですか?」
ものによっては追加で買ってこないと…。
「うさぎさん!!」
「それでしたらまず生地を選びましょうか」
旦那様にいただいた作業部屋に白の布なら沢山置いていたはず…。
いつかパッチワークもやろうかな。
柚琉様の手先のリハビリにもなるかもしれないし。
細かな作業は得意なようだから多分ハンカチサイズにカットしておけば刺繍も出来るはず。
「ふわふわうさちゃんがいい!!」
「ふわふわですか…」
「なにか追加で買うようなら言ってね?出すから」
「ありがとうございます」
「にゅ?」
倉庫に置いてある予備とお金を出すってことだよね。
倉庫に入っているものは共用だしたまに奥様付きの方も使っているようだ。
多分柚琉様用のものには誰も手を出していないけど。
「あのねあのね、ほっぺもね、ピンク色にしてあげるの。それでねお耳は可愛い模様付きのでね」
「はい、ご用意しますよ」
知らないうちに注文増えてた。
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