普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ

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番外編

あかりをつけましょぼんぼりに…ぼんぼりってなんだっけ。

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「柚琉様、おはようございます」
「おはよー…なぁに、それ…」
樹くんは手に何か持っていた。
「実家から送ってもらった柚琉様のサイズの着物ですよ。あちらのほうが腕のいい呉服屋がいますし」
「おきもの…?」
「はい。眠いでしょうけど頑張りましょうね」
「んー…」
頑張ってみるけど多分無理…。
落ちてくる瞼をこしこしこすっていたら樹くんに止められた。
こすったら目に傷がつくからダメなんだって。
「出来ましたよ」
「ん…」
「歩く…のは無理ですね。抱き上げても?」
「だっこ…」
僕は自分から樹くんに手を伸ばした。





「あら、柚遅かったと思えばもう着付けをしてもらったのね」
「かあさんおはよぉ」
「まだまだお眠さんね。樹も椿たちを手伝ってあげてちょうだい。飾り付けに時間がかかっているようなの」
「はい」
母さんは樹くんから僕を受け取るとそのまま近くのお椅子に座った。
僕はお膝の上です。
「柚は明るい色の着物が似合うわね」
「どうして…おきものなの?」
「これから写真を撮るからよ。柚は座ってニコって笑っていればいいの」
「うん…」
写真だけなら頑張れる…。
そのあと寝てもいいんだよね。
「あれ…夏は?」
ようやく意識がはっきりしてきて周りを見ることができた。
「夏は別のお部屋にいるわよ。ここはΩだけ」
「ふーん…」
だから使用人さんも母さんのところにいる人ばっかりなんだ。
樹くんだけかな?
βの人…。
「写真を撮るときだけみんな来るのよ」
「何のお写真?」
「…柚今日は何の日かしら」
「3月3日…ひなまつり?」
「そうよ」
あー…ひなまつりは女の子…じゃなかった。
Ωの日なんだっけ。
正確には子を産む人すべての日らしいんだけど僕よくわからないもん。
「お内裏様とお雛様…2人そろってすまし顔…」
すごいな。
すまし顔って僕が絶対に出来ない顔だもん。
すぐ顔に出ちゃうんだもん…トランプもね、手加減しないで!っていうといつも負けちゃうの。
「1番をとばすだなんて珍しいわね」
「1番…あかりをつけましょぼんぼりに…ぼんぼりってなぁに」
「あの1番上の丸いものが付いた棒のことよ。照明になるの。柚には実物を見せたことはなかったわね」
ぼんぼり…どんな明かりになるのかな。
気になるけどどこで見られるの?
まさかおうちにはないでしょ?
「ふふ、準備ができたようだから行きましょうか」
「ん!」




















夏(お内裏様)柚(お雛様)

※非売品
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