普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です｡帰らせて｡

番外編

おそば

｢っげほっぅ…｣
｢…柚はちゅるちゅるするの苦手だね…｣
違うもん…おつゆ吸い込んじゃってむせただけだもん!!
1人だけおそばも上手く食べれないとかやだ!!
｢他のに変える？｣
｢やだっ!!｣
｢柚｡いつも短く切ったのしか食べてなかったもんね｡ごめんね｡兄さん達の配慮が足りなかったね｣
｢やだ!!僕もみんなと一緒がいーい!!｣
｢ほら､皿貸せ｣
直人兄さんに押さえ込まれて翔兄さんに僕の器を取られて…赤ちゃん用の食品ハサミでちっちゃく切られた｡
うぅ…僕のおそばがぁ…｡
｢…柚の年越しそばは切るか何かにまぜるかしないとダメかな｣
｢そば飯は？｣
｢まずご飯そんなに食べない柚が食べると思う？｣
｢…そば固めて焼いていっそおやつにしたらどうだ？｣
｢それのがいいかもね｣
僕も普通のおそば食べたい…｡
いつの間にかお箸からスプーンに変わっていたカトラリー…ぐすん｡
｢…おつゆ減ったぁ…｣
｢柚用に薄めたんだよ｡さっきみたいにむせちゃうといけないから｣
｢これからは最初からつゆに入れて渡すからな｣
｢僕のおそば…｣
｢その代わり具材色々入れてやるから｣
｢ほんと！？｣
あのねあのね…｡
｢お揚げほしいっ!!｣
｢…柚…？それはそばじゃなくてうどんのトッピングだよ…？｣
｢…ダメなの？｣
｢…おいなりさんで出してやるから｣
｢わぁい!!｣
あのね､僕のおうちのおいなりさんはね､キツネさんなの～｡
厨房の人達がね､海苔を切って狐のお顔にしてくれてるんだよ？
｢天ぷら!!｣
｢海老でいい？｣
｢桜えびがいい!!｣
｢…えびの天ぷらって言ってかき揚げ指定するのは柚だけだと思うぞ｣
え？
桜えびととうもろこしのかき揚げ美味しいもん…｡
｢他はいらない？｣
｢かまぼこ!!｣
｢かまぼことちくわですよね｡柚琉様が具を指定されると練り物ばかりになるので覚えましたよ｣
｢美味しいもん｡お魚好きー｣
｢じゃあこれからはそれを入れるようにしようね｣
｢はぁい!!｣
そして視線を器に戻すと…かまぼことちくわと狐のおいなりさんがそこにいた｡
｢ふぇ！？｣
｢ふふ｡柚…隣で色々用意してるのに話に夢中になって気づかないから…｣
｢ほら｡これでいいんだろ？さすがに天ぷらは用意できなかったが…｣
｢うん!!｣
おそば美味しっ!!