普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ

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番外編

死亡ルートその後

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柊二視点

『あーやっぱり入り浸るようになっちゃった』
…え?誰の声?
『あーあー!!振り返っちゃダメ!!見られちゃいけないんだから!!』
僕はどうやらこの白い変な空間で前を向き続けていなきゃいけないらしい。
『君あの子の父親だよね?』
「あの子っていうのは…どの子?」
『あ、そっか。柚琉くんだよ。まぁ今は僕が貰い受けたんだけど』
「…柚は4年前に死にましたよ」
『うん。だから死んだその子を引き取ったんだよ?放っておいたら消えちゃうし』
…引き取った?消える?
「もしかして…柚がいつも話してる神…って人ですか?」
『そーそー。…ってえ?いつも話してる?え?僕普通に話されてる感じ?』
「えぇ…おやつ取られたとか仕事してないとか…」
『スキャンダルしか話してない!?僕ちゃんと仕事してるよ!?』
「仕事から逃げてエマちゃんに捕まってるって聞いてますけど…」
『管理するだけとか暇なの!!あの子いなくなるとずっと見続けてる必要もなくなるし!!』
…仕事しないってこういうことか。
柚が仕事しないって言うなら相当かなと思ったけど…これはかなりサボってるな。
『あーもう!!本題忘れるところだった!!』
「本題、ですか?」
『君達お供え物多すぎ。疲れたんだけど』
「それだけ柚は周りから愛されてるんです」
『食べ物ならいいよ?どうせ食べたら消えるし…でもぬいぐるみとか服とか。たまに下着まで置いてあるのは何故?こっちで服も身の回りのものも用意してるのに…僕の仕事部屋がだんだん可愛くなっていくんだけど』
「仕方ないです。生前の柚の趣味嗜好がそういうものばかりでしたので」
『下着は?』
「それは知りません」
…使用人の誰かか?
「言いたいことはそれだけですか?」
『え?あ、ちょ…』
僕は勢いよく振り向いた。
そこにいたのは…。
「…いや普通の姿じゃないですか」
『あんまり人の記憶に残るの良くないんだってー!!神は一応不干渉でないといけないんだから!!あの子と夏羽くんはこの世界にとってかなり重要な人物だったからいくらでも干渉しても良かったけど君はただの人だしね~』
「…柚をよろしくお願いします」
『うんうん。いい子だからこっちも助かってるよ~たまに大量のお菓子抱えて帰ってくるのは君達の仕業ってわかったし』
…毎日来てますけど?
家でおやつ食べたのに神様とエマちゃんとも一緒に食べるって言って自分で自分の遺影にお供えしてるし…。
『ま、しばらくの間はこっちにいさせるから。おやつだけは供えてあげて?あの子拗ねちゃうから』
「…厨房の方では3食のご飯まで供えようとしてますけど」
『あの…天使そこまで食事しないんですけど…それかおやつかのどちらかしか食べられないよ?』
「じゃあおやつのがいいですね」
甘いものの方が柚は喜ぶし。
「ちなみに私達も死んだら柚の元へ行けるんでしょうか?」
『ん~死神に引き継ぐ数分間だけ?本来魂をひきとって天使にするなんてありえない事だからね。僕があの子を消したくなくてやった事だし…君達まで引き取るのはさすがに怒られちゃうんだよ~』
「…そうですか」
家族の中で最も逢いに行くのが早そうなのは僕と雫かな。
…いやその前に父さんか。
柚もおじいちゃん大好きだったし喜んでくれるかな…喜んじゃいけないんだけど。
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