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番外編

死亡ルートその後

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夏視点

夏が3歳の時に夏の唯一の弟の柚は死んじゃったらしい。
らしいっていうのも…死んだ瞬間は覚えてないんだよね。
いつも一緒に遊んでたのに急にいなくなっちゃったなって感じ。
…遠くの病院に行ったって言われてたけど最近になってようやく分かるようになった。
「…はぁ」
宿題を閉じてベッドに潜り込んだ。
なんで急に柚のこと思い出したんだろうな…。











「ふぁぁ…」
…朝か…起きなきゃ…。
「すぴぃ…ぷぴぃ…」
「え?」
夏の隣で…柚が寝ていた。
写真と同じ3歳で時が止まったままで。
「…柚…?」
「…ふぁい…ふぁぁ…。おはよぉ…なちゅ…」
「…柚…なの?」
「ふぇぇ…?」
…ダメだ、話が通じてない。
とりあえず柚を抱き上げてパジャマのままだけどリビングに向かう。
「夏おは…」
「…あ、とうさんだぁ!!」
「…柚…?」
父さんは膝に乗ろうとして失敗し続けている柚を抱き上げた。
「朝起きたら隣にいたの。…柚って死んじゃったんだよね?4年前に」
「…そのはずだけど…」
しばらくすると家族全員がリビングに集まった。
「柚、どうしてここにいるのかしら」
「ふにゅにゅ?」
「…柚はちょっと抜けてるところがあるから自分が死んだことも分かってないんだろ」
「わかりゅもん!!」
「じゃあどうしてここにいるか言える?」
全員が柚に注目する。
「んとね…かみしゃまがね、ぼくのおやちゅたべちゃったの!!だかりゃね、おやちゅくだしゃい」
「「「「…え」」」」
おやつの…催促に?
「柚は…幽霊なのかな」
「でも普通に触れるぞ」
「ぼくてんち!!」
「…てんち?」
「てんちみなりゃいなの。かみしゃまのおてちゅだいしゅるんだよ?」
「…天使見習いかな…」
「神…まじでいたのか」
なんで兄さん達受け入れられてるの?
夏まだ理解できないんだけど…。
「あにょね、みんにゃがおしょなえしゅるとね、ぼくのとこにおやちゅくりゅの!!」
「…いつも置いてるあれ?」
「ぼくね、てんちのがっこーいってりゅからね、かえったあとのおやちゅなの!!」
「そのおやつを神様が取っちゃったってこと?」
「あい!!」
「…2人分そなえるようにしようか」
「しゃんにん!!」
「あと1人分は?」
「えまちゃ!!」
…えまちゃ?
エマちゃん…かな?
「えまちゃとおちゃしゅる!!」
「柚。今おやつは食べれるの?」
「たぶん!!」
おやつを運んできた樹は…涙ぐんでいた。
柚が死んじゃったあとは夏の方についてたもんね。
自分の主が帰ってきたらそれは嬉しいか。
「うみゃぁ!!」
「…いつも通りの柚ね…」
母さんは翔兄さんの膝に座る柚の頭を撫でた。
「…柚だけ時間が止まっちゃったみたいね」
「ふぇ!?…ぼく…せいちょーできてにゃい…?」
「えぇ」
「ふにゅぅ…だかりゃみんにゃもちっちゃいこあちゅかいすりゅんだ…」
ちっちゃい子っていうか…ほんとにちっちゃいし。
夏と双子のはずなのに1人だけ小さいもん。
「…にゅ?なちゅどーちたの?」
「…なんでもない」
「…いりゅ?」
「いる!!」
柚の差し出したドーナツを受け取って隣に座って食べ始めた。
「おいちーね」
「ね」
…懐かしいような気がする。
父さんと母さん泣いてるし。
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