普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ

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番外編

ぬいぐるみ

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「柚琉様起きてください。朝ですよ」
「ん…おはよぉ…」
「…またそのぬいぐるみですか?」
「うん…」
僕は抱き抱えていたうさぎさんを樹くんに見せた。
「僕の1番お気に入りの子!!」
「…ですがもう汚れてきていますし…」
「や!!捨てちゃダメ!!」
「…そうですか」
うさぎさんをベッドに寝かせ、樹くんに着替えさせてもらう。
「さ、朝ごはん食べましょうか」
「うん!!」
今日のご飯はなんだろな~?







そして部屋に帰ってきて事件は起こった。
「うわぁぁぁん!!」
「ただい……え?どうしたの?柚?なんで泣いてるの?」
帰ってきた父さんは大泣きしている僕を見つけて慌てて慰め始めた。
「あのね、柚のうさぎさんのぬいぐるみあったでしょ?」
「うん。…どれかわかんないけど」
「汚れてるからって新しいのに変えられててそれで柚が泣いちゃったの」
「…柚?新しいうさぎさん嫌だったの?」
僕はふるふると首を横に振った。
「らって…いちゅきく…が…はじめてくれたのらもん…ぼくの…たかりゃものぉ!!」
「樹。そのぬいぐるみはどこに?」
「…洗濯しておりますが。ちなみにあの部屋に置いた新しいぬいぐるみも全て同じ材料で私が作ったものですが?」
「ふぇ…?」
「喜んでいただけないのでしたらあの子は必要ないですね」
「やだ!!いる!!ごめんなさい!!」
僕は樹くんにしがみついて頭をグリグリした。
「…そういえば樹が作ったのは洗濯可能だったね」
「藤沢製の洗濯のできる綿や布を使っていますから」
「うぅ…じゃあうさぎさんいる…?」
「はい。少々ほつれなどがありましたので手を加えてしまいましたが…」
「いい…」
樹くんの初めてくれたぬいぐるみだもん。
樹くんが手を加えるのならいいよ。
「これで一件落着?」
「あ、柚琉様」
「なぁに?」
「うさぎの耳にヨダレのシミが出来ていたのですが…あなたまだ口になにか咥えていないと寝れないんですか?」
「にゃぁぁぁぁ!!違うもん!!もう僕赤ちゃんじゃないもん!!」
「そうですか?」
「はむはむしたら感触気持ちよかっただけだもん!!もうしないもん!!」
「…本当に?」
「本当だもん!!」


















その後、うさぎの耳を食べながら眠る柚の姿が目撃されたのは言うまでもない。
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