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番外編
柚 片思い編
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「…落ち着いた?」
「はい…すみません」
僕の目の前に座る林道さんは…さっき喘息の発作を起こして苦しんでた僕を助けてくれた人。
なんと、父さんの部下だったらしい。
僕のためにいっぱい作るあれこれ…全部林道さんの所属するチームが作ってたんだって。
ご迷惑をおかけしました…。
「前に会った時のことは…覚えてない?」
「…はい」
「病院で転んだ柚琉くんを助けただけだしね。忘れてても仕方ないよ」
「あ…あの時の」
あの時はまたねって言われたけど…また会うことなかったんだよね。
「…本当は影から柚琉くんの様子みて次作るもの決めるだけだったんだけど…姿現してしかも会話までして…先輩に怒られたけど」
「…ごめんなさい」
「いいよ。まぁそのおかげでめちゃくちゃ危なっかしい子だってことは分かったし…そのおかげか…作るものが幼児向けばかりに」
待って僕それ知らないんだけど。
え?
新商品っていつもくれるやつ…もしかして子供用だったの?
僕もう16歳になるのに?
使いやすいな~と思ってた椅子とか机も?
「柚!!」
「あ、お迎え来たみたいだね」
「…ありがとうございました」
それからも何度もお茶をして…僕は林道さんのことを好いていったのかもしれない。
発情期じゃないのに顔が赤くなったり…どきどきしたり。
「…柚琉くん体調悪い?大丈夫?」
「あ…ううん。平気です…」
大丈夫…。
ただ変にドキドキしてるだけだし。
「あ、彰ー!!」
その時少し離れたところから林道さんを下の名前で呼ぶ人がいた。
「…詩織。恥ずかしいから道のど真ん中で大声で呼ばないで」
「ごめんごめん。…あ、もしかして仕事中だった…?」
「…あの…林道さん…そちらの人は…?」
僕は左手でどきどきする胸を押さえながら聞いた。
違うと…僕の思い違いなのだと…そう思いたい。
「紹介するね」
「はじめまして!!林道の妻の詩織です!!いちおーシオンって名前で歌手やってまーす」
「…はじめ…まして」
…嘘じゃなかった。
僕の思い違いでもなかった。
2人は…番だったんだ。
僕なんて入る隙もない…。
そう思った瞬間、目から涙が零れそうになった。
「…柚琉くん?」
俯いたままになってしまった僕を心配してか林道さんが声をかけてくれた。
「…なんでも…ないです。今日はここまでいいです…」
「え?でもまだ迎え来てな…」
「さようなら!!」
そのまま走ってその場から逃げた。
少し離れた場所で電話をかけて車を呼び、おうちに帰った。
「ふ…ぅぅ…」
「…柚」
自分の部屋で布団を被って静かに泣く僕に直人兄さんが話しかけてきた。
「…ごめんね。兄さん…柚の気持ちも林道のことも知ってて黙ってたんだ」
「ふぇ…?」
「柚はずーっと失敗せずに生きてきたから。たまには間違うことがないとね」
「う…うぅ…!!」
「…よしよし」
僕は布団を被ったまま直人兄さんに抱きついた。
「傷ついたね。苦しいね。悲しいね。…兄さんが一緒にいてあげるからね」
「…ふぇぇん…」
「…ふふ。林道にも感謝しないといけないかなぁ?このままいけば柚のこと囲いこめそう」
「はい…すみません」
僕の目の前に座る林道さんは…さっき喘息の発作を起こして苦しんでた僕を助けてくれた人。
なんと、父さんの部下だったらしい。
僕のためにいっぱい作るあれこれ…全部林道さんの所属するチームが作ってたんだって。
ご迷惑をおかけしました…。
「前に会った時のことは…覚えてない?」
「…はい」
「病院で転んだ柚琉くんを助けただけだしね。忘れてても仕方ないよ」
「あ…あの時の」
あの時はまたねって言われたけど…また会うことなかったんだよね。
「…本当は影から柚琉くんの様子みて次作るもの決めるだけだったんだけど…姿現してしかも会話までして…先輩に怒られたけど」
「…ごめんなさい」
「いいよ。まぁそのおかげでめちゃくちゃ危なっかしい子だってことは分かったし…そのおかげか…作るものが幼児向けばかりに」
待って僕それ知らないんだけど。
え?
新商品っていつもくれるやつ…もしかして子供用だったの?
僕もう16歳になるのに?
使いやすいな~と思ってた椅子とか机も?
「柚!!」
「あ、お迎え来たみたいだね」
「…ありがとうございました」
それからも何度もお茶をして…僕は林道さんのことを好いていったのかもしれない。
発情期じゃないのに顔が赤くなったり…どきどきしたり。
「…柚琉くん体調悪い?大丈夫?」
「あ…ううん。平気です…」
大丈夫…。
ただ変にドキドキしてるだけだし。
「あ、彰ー!!」
その時少し離れたところから林道さんを下の名前で呼ぶ人がいた。
「…詩織。恥ずかしいから道のど真ん中で大声で呼ばないで」
「ごめんごめん。…あ、もしかして仕事中だった…?」
「…あの…林道さん…そちらの人は…?」
僕は左手でどきどきする胸を押さえながら聞いた。
違うと…僕の思い違いなのだと…そう思いたい。
「紹介するね」
「はじめまして!!林道の妻の詩織です!!いちおーシオンって名前で歌手やってまーす」
「…はじめ…まして」
…嘘じゃなかった。
僕の思い違いでもなかった。
2人は…番だったんだ。
僕なんて入る隙もない…。
そう思った瞬間、目から涙が零れそうになった。
「…柚琉くん?」
俯いたままになってしまった僕を心配してか林道さんが声をかけてくれた。
「…なんでも…ないです。今日はここまでいいです…」
「え?でもまだ迎え来てな…」
「さようなら!!」
そのまま走ってその場から逃げた。
少し離れた場所で電話をかけて車を呼び、おうちに帰った。
「ふ…ぅぅ…」
「…柚」
自分の部屋で布団を被って静かに泣く僕に直人兄さんが話しかけてきた。
「…ごめんね。兄さん…柚の気持ちも林道のことも知ってて黙ってたんだ」
「ふぇ…?」
「柚はずーっと失敗せずに生きてきたから。たまには間違うことがないとね」
「う…うぅ…!!」
「…よしよし」
僕は布団を被ったまま直人兄さんに抱きついた。
「傷ついたね。苦しいね。悲しいね。…兄さんが一緒にいてあげるからね」
「…ふぇぇん…」
「…ふふ。林道にも感謝しないといけないかなぁ?このままいけば柚のこと囲いこめそう」
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