普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です｡帰らせて｡

選択編

樹ルート 10

樹視点

｢ぱぱー!!｣
｢紗良さら｡どうしたの？｣
｢ままねんねしたからぱぱのとこきたー!!｣
｢じゃあちょっと手伝ってもらってもいいかな？｣
｢さらおてつだいするー!!｣
｢この籠もってくれる？｣
僕は小物類を入れた籠を紗良に持たせた。
｢ぱぱはー？｣
｢パパも行くから｣
紗良のあとを着いてリビングへと向かう｡


｢すぅ…くぅ…すぴっ…ぐぅ…｣
｢柚琉様…床で寝ないでくださいよ…せめてソファーにしてください…｣
｢ラグがあるから大丈夫…くぅ…｣
｢大丈夫じゃないですから｡抱き上げますよ｣
｢あぃ…｣
｢さらもだっこー｣
｢ちょっと待ってね｣
柚琉様をソファーに寝かせてから紗良を背負った｡
｢さらだっこがよかったー｣
｢ごめんね｡ちょっと両手あけてないと家事するの厳しいから｣
｢むぅ…｣
本当は旦那様がくれた使用人もいるんだけど…元々は僕も使用人だったし指示しづらいんだよね…｡
｢ひーくんのおうちはおかあさんがかじしてるんだよ？なんでままはねてるの？｣
｢ママはちょっと紗良よりも病気が多いんだ｡だから良くなるためにたくさん寝てるんだよ｣
…お腹に2人目がいるってこともあるんだけど…｡
つわりなんて4歳の子に話してもわかんないし｡
ピーピー｡
｢あ､紗良ちょっとおりて｣
｢やーだ!!｣
｢ん…くぁぁぁ…おはよぉ…いつきくん…さら…｣
｢おはようございます｡…完全に寝坊ですけどね｡お風呂､湧きましたけど入りますか？｣
｢ん…はいる…｣
｢え！？さらもおふろはいるー!!｣
｢じゃあ一緒に入ろっか…紗良の服…｣
｢あとから持っていきますよ｣
｢おふろー!!｣
｢紗良走るの早いよぉ…｣
…柚琉様未だに走れませんからねぇ…｡
｢あ､そうだ｡樹くん､久しぶりの命令ね｣
｢なんでしょうか？｣
｢この子が産まれるまでに敬語外してね｡じゃあお風呂入ってくる｣
……え？
2人目生まれるのって…6ヶ月後…だよ…ね？
それまでに…敬語を…外せと…｡
…この…24年の…習慣を…6ヶ月でなくせと…｡
無茶な…でも命令だから…成し遂げないと…｡